自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

ファッション

2012年07月20日 | 絵と文


ピンクのコーデュロイのジャケットが見つかりました。
ビニールのカバーに包まれてそれは大事そうにクローゼットの奥に収まっていました。
最近お尻に火がついたように身辺整理の気分に追いたてられ、
ここ数年めったに覗いたことのない二階の箪笥部屋まではるばる遠征したときのこと。

襟山や袖口にうっすらと浮き出たしみが郷愁をくすぐってきます。
よく活躍してくれたっけ。処分する前に皆勤賞をあげなくちゃ。


既成品などは限られていて標準的なものがほんの数えるほど、好みを仕立てるにしても生地の品数は少なく、
目的のグレーイッシュピンクのコール天の反物を見つけたときは、飛び上るほど嬉しかったのをおぼえています。
早速時代の先端、ではない古びたシンガーミシンで、気に入るまで丁寧に仕立てました。
それからお出かけのたび愛用したのはいうまでもありません。
ややくすんだ色合いとはいえ、当時としてはかなり目を引くいでたちだったと言えるでしょう!
そのとき私は・・・おお!花のアラフォーだったのです!

今はどこのブティックにもサイズ、色彩とりどりに服は溢れ、
この在庫の山、波、いつか始末がつくのだろうかと人ごとながら心配になるのですが
使い捨ての時代、結構ご婦人がたの需要は多いようで、余計な心配など無用、時代遅れと反省。

ついでに昔人間の目で見れば、最近のファッションのなんと頭のてっぺんから足先に至るまで、
ばらばらの個性、ハチャメチャ、自由奔放、支離滅裂…
そこらに落ちている有り合わせの継ぎ接ぎで間に合わせているんじゃないかしら?

そういえば先日のスケッチと観光を兼ねたバス旅行、
客のほとんどはスニーカー、洗いざらしのTシャツにGパン、と、見えた
着るものに悩んだのが馬鹿みたい、  あ~あ、そんなのが似合う時代に生まれたかったなぁ・・

   ・・・・・
   ・・・・・


古びたピンクのジャケットには、不思議な力が籠っているようでした。
ファッションにあまり興味がなくなっても、次々浮かぶいろんな思いが面白く、最後はまるで心も軽やかに~
何故か、ラッタッタ~ 体も左右に揺れているのでした。


ものごとすべて好都合な解釈をしていれば、それが柔軟な頭脳の持ち主というものです (●^曲^●) 

肉食系古女子

2012年07月06日 | 絵と文


最近冷蔵庫の中はいつも冷凍した肉類がブロックのままぎっしり詰まっています。
野菜や果物と少量の魚があれば満足していた食生活を長年続けたところで主人に先立たれ
健康でいたかったら絶対ニク食べないとダメだよ、と何度もあおりたてた息子はまるで忘れたような顔をして
肉食系のおばばどの、などと無責任に笑うのです。

野菜と干物やキノコ類などの好物をちまちま料理して、思い通りの味に仕上げる行程など独り暮らしの醍醐味です。
それが近頃思いもよらぬトンカツとかビフテキとか天ぷらなど、ときどき箸を休めて懐かしく想い描いているのに気付き
それは足りなくなった栄養分を体が要求しているのに違いない、とさっそく実行に移すことに決めました。

おいしー!!

・・・ただ若いころのように小気味よく平らげられないのがさみしいところ
ほんの一切れでスピードが落ち、もう満足、これ以上はおあとが怖いよとサインが出るので、
だから何時までたっても冷凍庫に空きができません。
息子が来たとき賞味期限を調べて、食べきれないからと持って帰るのはご随意に。
実はそれもひそかな快感なのですが、ひょっとして奴さん、それを見通していたのかな。

頭に浮かぶのがフランス料理でもなくイタリアンでもなく、ビフテキや天ぷらばかりなのってやはり昭和の人間だなぁ・・・
なんで好きだったラーメンが頭に浮かばないんだろう?
それなら昨日食べたばっかりじゃない
と馬鹿なこと考えているうちとんでもないこと思い出しました。 

彼の病状が人知れず進んでいたころに、食の好みが逆転していたこと。
大好きだった肉類にはまるで手を付けず、妙に野菜ばかり食べ始めて、それも年のせいかと深くも考えなかったこと…
日々の食べ物がそのまま人の体を作るという当たり前のことを忘れていたころ。

とするとヤバイ? いいえ、逆?
人生は物事すべて終盤にプラスマイナス零となるはずだから、
それまで見向きもしなかった分を急いで取り込もうとしているのかも。
・・・


どっちであろうと、もう大した影響はありません。
今となったら、自然のままに。
ビーフの一切れを、今度は焼こうか蒸そうか炒めようか…
週1くらいのプチ肉食系では上昇志向ともさらに縁がなく、
開き直って今日もあれこれ想像する・・・のはなんて楽しい時間なんでしょう!