学校から帰るなりいつも真っ先に「次郎は?」と家の中を探し回るのが兄の太郎だ。
しんと静まった弟の部屋で二人何をしているのかと思えば、
漫画本に読みふけっている弟と、横でクジラみたいに眠りこけている兄、というきまった図式が展開する。
寝るんだったら自分の部屋の自分のベッドが落ち着くんじゃない?
兄は寂しがりやで、どこでも誰とでもすんなり馴染んでしまうのに比べて、
弟は兄の所在などてんで念頭になく、平気でひとりの世界に浸っている。
もっと小さい頃は結構兄貴にコキ使われて、「なんでオレサマが?」と洩らしながら汗をたらして走り回っていた。
思い通りにならないと癇癪を起して大声で泣き出す弟の様子を、にこにこ笑って眺めている穏やかな兄、
これも見慣れた図式だった。
地元を離れて高校に入った太郎が10か月ぶりで帰省したとき
「あいつ、敬語使って来やがんの!」と眼を白黒させていたおかしい時期もあったけど
気がつくと、いつも目の下にいた小さな弟を、いつの間にか見上げながら話している。
それでも運動神経で勝り体育系で揉まれて、苦労した分均衡はとれていて、兄貴の体面は保っているようだが
成長するにつれ弟の自主性を認めた兄はあっさり権力の鉾をおさめて、まァ仲のよい兄弟に育った。
弟は今春から希望通り大阪の大学へ
兄は東京で、練習第一、自由と引き換えに栄養満点三食付きの合宿暮らし、それもあと1年となれば青春の思い出となり
「今は前だけを見ていたい」と前方志向なのが好もしい。
親がかりだった次郎は、心機一転アルバイトしながらの自炊生活を希望して、できれば奨学金も頂いて、
勉学のほかに自由な時間を行使する夢を描いているらしい
何を始めるつもりかしら?
果たして前方に待ちうけている道は? 迷いながらでも無事辿ってゆけるだろうか?
西と東に分かれて、それぞれの未来へ第一歩を歩み始めたふたりの孫たち~
ともに新鮮で、興味も深々。
できるものならいつまでも見届けていたいのだが。
しんと静まった弟の部屋で二人何をしているのかと思えば、
漫画本に読みふけっている弟と、横でクジラみたいに眠りこけている兄、というきまった図式が展開する。
寝るんだったら自分の部屋の自分のベッドが落ち着くんじゃない?
兄は寂しがりやで、どこでも誰とでもすんなり馴染んでしまうのに比べて、
弟は兄の所在などてんで念頭になく、平気でひとりの世界に浸っている。
もっと小さい頃は結構兄貴にコキ使われて、「なんでオレサマが?」と洩らしながら汗をたらして走り回っていた。
思い通りにならないと癇癪を起して大声で泣き出す弟の様子を、にこにこ笑って眺めている穏やかな兄、
これも見慣れた図式だった。
地元を離れて高校に入った太郎が10か月ぶりで帰省したとき
「あいつ、敬語使って来やがんの!」と眼を白黒させていたおかしい時期もあったけど
気がつくと、いつも目の下にいた小さな弟を、いつの間にか見上げながら話している。
それでも運動神経で勝り体育系で揉まれて、苦労した分均衡はとれていて、兄貴の体面は保っているようだが
成長するにつれ弟の自主性を認めた兄はあっさり権力の鉾をおさめて、まァ仲のよい兄弟に育った。
弟は今春から希望通り大阪の大学へ
兄は東京で、練習第一、自由と引き換えに栄養満点三食付きの合宿暮らし、それもあと1年となれば青春の思い出となり
「今は前だけを見ていたい」と前方志向なのが好もしい。
親がかりだった次郎は、心機一転アルバイトしながらの自炊生活を希望して、できれば奨学金も頂いて、
勉学のほかに自由な時間を行使する夢を描いているらしい
何を始めるつもりかしら?
果たして前方に待ちうけている道は? 迷いながらでも無事辿ってゆけるだろうか?
西と東に分かれて、それぞれの未来へ第一歩を歩み始めたふたりの孫たち~
ともに新鮮で、興味も深々。
できるものならいつまでも見届けていたいのだが。