自然はともだち ひともすき

おもいつくままきのむくままの 絵&文

甘い聖夜

2011年12月25日 | 写真と文


快食快眠の至って快調な日が続いているのに、ひと眠りのあとぱっちり目が覚めて眠れなくなってしまった。
暖かい布団の中で三転四転しながら考えている。
大切な大切な時間と日ごろ口にするなら、深夜といえどもこうして無為に費やしていいものか?

思い切って冷え切った洋間に電灯をともし、暖房のスイッチを強めてついでに着替えも一揃え運び込んで温めた。
真冬でも素肌に着替える長年の習慣は、この時期健康に甚だ悪いからあっさり宗旨替えをすることに。
それから再び布団にもぐりこんで、部屋がすっかり温まるまで30分。おまけでもうあと30分。
節電節約の必要は分かるけど、これくらいのゆとりはあっていいでしょ
何しろ今まで暮らしぶりはストイックに過ぎたんだから(?)
ここへきて大甘に変貌する自分の姿に苦笑がでるけど、そろそろとし相応にゆきましょう

明るく照らし出された部屋に描きかけのパネルと、昨日調合しておいた絵具の皿が10枚余り。
窓際の定位置に、鉛筆やらメモ紙やら雑多な書類にカタログなど散らばった机があり、
一隅に赤や緑の小さな光の点滅するパソコンとテレビ。  

モカの香りに包まれながら絵具の色合いを確かめているうち
ひとりでに体がゆらゆら揺れて、盛り上がって、なんだか踊り出したい衝動にかられた
白い壁の中からオーケストラの音楽まで聞こえてくるみたい~ 
心がぽっとふくらんで弾ける 
凄くいい気持! ♪!☆!♪!☆!♪!

誰にも言えない真夜中のリラックスタイム
あ、これがきっと有効な時間の使い方なんだ!?
 
 

明ければ25日。 過ぎたこの夜は聖夜と呼ばれる日だった
白み始めた戸外に、新雪の上あしあとひとつない純白の道が伸びていて
無信心な自分でさえも、一転心引き締まる清浄の夜明けが訪れている。

三婆

2011年12月06日 | 絵と文


昔からお天気女のT1ちゃんは、大分くたびれて古くなった今も効能がき通りにまぶしいおひさま連れで現れた。
昔と違うのは颯爽とではなく、見慣れぬ杖に助けられて、とんでもないスローモーションドラマでも見るように。

彼女が会いたいねと言ったとき、立ちどころにことは成り立つ。
もうおしまいかと一時はあきらめかけた友情が、未だに生き生きと現存するのを確かめたら、それだけでも生きているのが楽しくなる。

あれはまだお互い髪の毛も黒く背筋もしゃんと伸びていたころだったけど、T2ちゃんちで泊ったとき、
着替えた3人がそろって同じデザインのパジャマ姿で現れて思わず笑い転げたものだった。
「三婆だぁ!」

チェックとストライプとピンクの無地
相談したように同じシルエット。
小さいころからの遊び友達って、こうなるんだ
何年前のことだったか。

T1ちゃんは小説のヒロインを地でゆくような悲運のひと
体は若いころ術後の輸血とコバルト治療に痛めつけられて、骨密度90歳ときいてからも10年くらいは経っている。
ちょっと動いてもすぐに複雑骨折で病院行きとなるので、楽しみの温泉行きは夢になっていた
それが、この秋調子ややよさそうな声で突然連絡があり、それからとんとんスラスラと話が進んだのだった
会いたいね、からすぐ会おう、ってことに。

顔を合わせたとたん、たちまち懐かしい郷土弁満杯の近況報告が矢継ぎ早
止まることを知らないT1&T2ちゃんの口元を呆れて見つめる
これだったらまだまだ頭は大丈夫。
聞きづらいのかどちらも大声だから、内緒ごとは話せないのに一服するけど。

送迎バスの運転手がニヤリとしている。
幸いほかに誰も同乗していなかったので、文字通り今回「三婆」満喫の温泉行きとはなった。
しかし「三婆」の中身は以前と比べてかなり濃厚になってるなぁ…

多分だれもが持っている似たような経験や想いをいっぱい詰め込んで
帰路に就いた頃から雲行きが怪しくなって、それからじっくり冷たい雨になった。
以来ずっと雨続きだ。

T1ちゃんの元気がこれからも続きますように。
次回三人で会うときも、きっとよく晴れた日となるに違いない。