「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」 1982年 日本
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監督 山田洋次
出演 渥美清 倍賞千恵子 田中裕子 沢田研二
下絛正巳 三崎千恵子 前田吟 太宰久雄
佐藤蛾次郎 吉岡秀隆 内田朝雄 児島美ゆき
馬淵晴子 殿山泰司 アパッチけん 光石研
高城美輝 笠井一彦 朝丘雪路 笠智衆
ストーリー
大分は湯平温泉でバイをする寅は、馴染みの湯平荘に宿をとった。
夜、寅と宿の親父、勝三が酒を飲んでいると、そこへ、ひとりの青年が現れた。
三郎というその青年は、かつて、この宿で女中をしていた女性の息子で、その母がひと月ほど前に病死し、遺骨を埋めにこの地にやって来たという。
彼の親孝行に感心した寅は、さっそく昔の知り合いを集め、供養をしてやる。
同じ宿に泊り合わせていた、東京のデパートに勤めている旅行中の螢子とゆかりという二人の娘も、寅はその席に座らせてしまう。
翌日、二人の娘と見物をしていた寅は、車で東京に帰ろうとしていた三郎と出会い、その日は四人でドライブをすることになった。
そして夜、二人の娘と別れるときになって、三郎は螢子に付き合って欲しいと言う。
突然のことで、螢子はとまどうようにフェリーに乗り込んだ。
車で東京に帰った寅と三郎はヘ卜ヘトになって柴又に辿り着く。
とらやの家族の団らんは、母と二人で育った三郎にはとてもうらやましく思えた。
そして、三郎は自分の思いを螢子に伝えてほしいと寅に頼んで帰っていった。
一方、螢子も、寅との楽しい会話が忘れられず、とらやを訪ねた。
寅は三郎の気持ちを螢子に伝える。
親のすすめる見合いを断った螢子だが、三郎は二枚目すぎると乗り気ではない。
そこで寅は、螢子をとらやに招待し、彼女には知らせずに三郎も呼んだ。
ぎこちない二人だが、なんとかその日からデートをするようにはなったけれど・・・。
寸評
渥美清さんと仲のいい朝丘雪路さんがチョイ役で出演。
とらやの前の江戸家の桃枝として派手な服装で登場する。
馴れ馴れしくじゃれる桃枝と寅をみて社長が「もう惚れちゃったのかい?早いねェ~今度は」と茶々を入れる。
ふたりが過激にいちゃついているところへ、怒った旦那がやって来て桃枝は旦那のところへ…。
ハイさよならとなって、再び社長が「もう、ふられちゃったのかぁ、こりゃまた早いねえ~」と言う。
この頃のシリーズの中では、このギャグでなかなかよくできた導入部になっていたと思う。
次に起こるのが夕飯時の松茸騒動である。
少量の松茸を使った松茸ご飯を皆で食べるが、松茸はどこにあるのか分からないくらいのものだ。
満男の茶碗に入っていた松茸を見つけた寅さんが「あ、いい女! いい女だ」と子供に言う言葉とは思えないもので気を引いて、満男の松茸をパクってしまう。
満男が「あ!ずるい! 返してよォー!」と言うと、寅さんが「卑しいマネするんじゃない! お前わぁ~」とあべこべなことを言うのが何とも可笑しかった。
今回の寅さんは九州は大分を旅している。
最初の場所は臼杵の石仏で、寅さんは小道を歩いている。
僕も随分と昔に早朝の臼杵の石仏群を訪ねたことがあるのだが、早朝だったこともあり人は誰もおらず、周りの小道もひっそりとしていて、随分と風情のあるところだったことが思いだされ懐かしかった。
あまりの早朝で係りの方もおらず、無料で僕はじっくりと見学できたのだった。
少し奥まった場所にある湯平温泉で蛍子ちゃんたちと出会った寅さんは、湯平駅で恋愛談義をかわす。
そこで蛍子の連れのゆかりが「結構ファンがいるのよ、ほら、変な色気があるでしょ、この子」と蛍子を評する。
そうなのだ、田中裕子さんのあのぞくぞくっとする不思議な魅力は一体なんだろう。
若いのに、その身のこなしがやけに色っぽいのだ。 いいわあ~、田中裕子は!
散々三郎と蛍子の仲を取り持って奮闘してきた今回の寅さんなのだが、三郎と蛍子が結婚の約束をしたのを聞き旅に出かけることになってしまい、出かける前にちょっと薄笑いを浮かべながら、さくらに「やっぱり、二枚目はいいなあ…。ちょっぴり妬けるぜ」と言い残す。
やはり寅さんは蛍子に恋していたことが判るが、寅さんも三郎青年と同じ気持ちだったのだ。
秘かに思っているが、気持ちを素直に口に出して言えないのだ。
男のそんな純な気持ちの在り方を、少し前蛍子に言って聞かせた寅さんの言葉が思い起こされる。
田中裕子の魅力がプンプンだったが、三郎と蛍子の恋の進展がほとんど描かれていなかったのは残念だ。
後年になってこの作品が注目されるのは、沢田研二、田中裕子のふたりがこの共演を境に急激に恋仲になり、不倫になってしまって、すったもんだの後で数年後に結婚したことによる。
実生活でも三郎青年と蛍子ちゃんだったわけだ。
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監督 山田洋次
出演 渥美清 倍賞千恵子 田中裕子 沢田研二
下絛正巳 三崎千恵子 前田吟 太宰久雄
佐藤蛾次郎 吉岡秀隆 内田朝雄 児島美ゆき
馬淵晴子 殿山泰司 アパッチけん 光石研
高城美輝 笠井一彦 朝丘雪路 笠智衆
ストーリー
大分は湯平温泉でバイをする寅は、馴染みの湯平荘に宿をとった。
夜、寅と宿の親父、勝三が酒を飲んでいると、そこへ、ひとりの青年が現れた。
三郎というその青年は、かつて、この宿で女中をしていた女性の息子で、その母がひと月ほど前に病死し、遺骨を埋めにこの地にやって来たという。
彼の親孝行に感心した寅は、さっそく昔の知り合いを集め、供養をしてやる。
同じ宿に泊り合わせていた、東京のデパートに勤めている旅行中の螢子とゆかりという二人の娘も、寅はその席に座らせてしまう。
翌日、二人の娘と見物をしていた寅は、車で東京に帰ろうとしていた三郎と出会い、その日は四人でドライブをすることになった。
そして夜、二人の娘と別れるときになって、三郎は螢子に付き合って欲しいと言う。
突然のことで、螢子はとまどうようにフェリーに乗り込んだ。
車で東京に帰った寅と三郎はヘ卜ヘトになって柴又に辿り着く。
とらやの家族の団らんは、母と二人で育った三郎にはとてもうらやましく思えた。
そして、三郎は自分の思いを螢子に伝えてほしいと寅に頼んで帰っていった。
一方、螢子も、寅との楽しい会話が忘れられず、とらやを訪ねた。
寅は三郎の気持ちを螢子に伝える。
親のすすめる見合いを断った螢子だが、三郎は二枚目すぎると乗り気ではない。
そこで寅は、螢子をとらやに招待し、彼女には知らせずに三郎も呼んだ。
ぎこちない二人だが、なんとかその日からデートをするようにはなったけれど・・・。
寸評
渥美清さんと仲のいい朝丘雪路さんがチョイ役で出演。
とらやの前の江戸家の桃枝として派手な服装で登場する。
馴れ馴れしくじゃれる桃枝と寅をみて社長が「もう惚れちゃったのかい?早いねェ~今度は」と茶々を入れる。
ふたりが過激にいちゃついているところへ、怒った旦那がやって来て桃枝は旦那のところへ…。
ハイさよならとなって、再び社長が「もう、ふられちゃったのかぁ、こりゃまた早いねえ~」と言う。
この頃のシリーズの中では、このギャグでなかなかよくできた導入部になっていたと思う。
次に起こるのが夕飯時の松茸騒動である。
少量の松茸を使った松茸ご飯を皆で食べるが、松茸はどこにあるのか分からないくらいのものだ。
満男の茶碗に入っていた松茸を見つけた寅さんが「あ、いい女! いい女だ」と子供に言う言葉とは思えないもので気を引いて、満男の松茸をパクってしまう。
満男が「あ!ずるい! 返してよォー!」と言うと、寅さんが「卑しいマネするんじゃない! お前わぁ~」とあべこべなことを言うのが何とも可笑しかった。
今回の寅さんは九州は大分を旅している。
最初の場所は臼杵の石仏で、寅さんは小道を歩いている。
僕も随分と昔に早朝の臼杵の石仏群を訪ねたことがあるのだが、早朝だったこともあり人は誰もおらず、周りの小道もひっそりとしていて、随分と風情のあるところだったことが思いだされ懐かしかった。
あまりの早朝で係りの方もおらず、無料で僕はじっくりと見学できたのだった。
少し奥まった場所にある湯平温泉で蛍子ちゃんたちと出会った寅さんは、湯平駅で恋愛談義をかわす。
そこで蛍子の連れのゆかりが「結構ファンがいるのよ、ほら、変な色気があるでしょ、この子」と蛍子を評する。
そうなのだ、田中裕子さんのあのぞくぞくっとする不思議な魅力は一体なんだろう。
若いのに、その身のこなしがやけに色っぽいのだ。 いいわあ~、田中裕子は!
散々三郎と蛍子の仲を取り持って奮闘してきた今回の寅さんなのだが、三郎と蛍子が結婚の約束をしたのを聞き旅に出かけることになってしまい、出かける前にちょっと薄笑いを浮かべながら、さくらに「やっぱり、二枚目はいいなあ…。ちょっぴり妬けるぜ」と言い残す。
やはり寅さんは蛍子に恋していたことが判るが、寅さんも三郎青年と同じ気持ちだったのだ。
秘かに思っているが、気持ちを素直に口に出して言えないのだ。
男のそんな純な気持ちの在り方を、少し前蛍子に言って聞かせた寅さんの言葉が思い起こされる。
田中裕子の魅力がプンプンだったが、三郎と蛍子の恋の進展がほとんど描かれていなかったのは残念だ。
後年になってこの作品が注目されるのは、沢田研二、田中裕子のふたりがこの共演を境に急激に恋仲になり、不倫になってしまって、すったもんだの後で数年後に結婚したことによる。
実生活でも三郎青年と蛍子ちゃんだったわけだ。