CINECHANが観た映画について

映画ブログ。感想というより記録のようなもの。
基本的にはネタバレに近いものがあります。

23-331「月」(日本)

2023年12月11日 00時11分19秒 | 日本映画

かつてあったことは、これからもあり、かつて起こったことは、これからも起こる

 夫と2人で慎ましく暮らす元有名作家の堂島洋子は、森の奥深くにある重度障がい者施設で働きはじめる。そこで彼女は、作家志望の陽子や絵の好きな青年さとくんといった同僚たち、そして光の届かない部屋でベッドに横たわったまま動かない、きーちゃんと呼ばれる入所者と出会う。

 洋子は自分と生年月日が一緒のきーちゃんのことをどこか他人だと思えず親身に接するようになるが、その一方で他の職員による入所者へのひどい扱いや暴力を目の当たりにする。

 そんな理不尽な状況に憤るさとくんは、正義感や使命感を徐々に増幅させていき。(「作品資料」より)

 

 実際にあった障害者殺傷事件を題材にした小説を原作として映画化した社会派サスペンス。

 重度の障害者施設で働くこととなった堂島洋子。

 そこで障害者たちに親身に接する洋子であったが、職員の障害者たちへの酷い扱いや暴力も目にする。

 やがて、それに憤りを感じていた、職員のさとくんは、彼の中にある気持ちを増幅させていく。

 洋子と夫の昌平は、子供を3歳で病気で亡くし、ぎこちない生活を送っている。

 そして洋子は再び妊娠したことを知るが、子供がまた病気を持って産まれてきたらという恐怖があり、産むか産まないか悩む。

 そんな洋子の気持ちとさとくんの気持ちをリンク、あるいは対比させながら物語は展開されていく。

 それにしても、さとくんが主張する言葉は考えさせられるものだったな。

 ただ、その主張から生まれる考えに関しては、当然共感は持てないのだが。

 同じ職員の陽子は作家を目指しているが、思うようにはいかず、作家としてヒット作を出した洋子に対し、嫉妬心を抱くようになる。

 この嫉妬心も人を傷つける行為に繋がっていくんだな。

 果たして、洋子は新たな命に対し、どのような決断を下すのか。

 そして、さとくんは膨れ上がっていく考えを行動に移すのか。

 考えさせられる内容で、気持ちのいい話ではなかったが、興味深い作品ではあった。

 都合の悪いものは、見ないように、無かったことにする。

 実は人が持っているものなのかもしれないな。

/5

監督:石井裕也

出演:宮沢りえ、磯村勇斗、二階堂ふみ、オダギリジョー、長井恵里、大塚ヒロタ、笠原秀幸、板谷由夏、モロ師岡、鶴見辰吾、原日出子、高畑淳子

於:池袋シネマ・ロサ


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