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気ままに生活してるシニアの残日録

三島由紀夫「文化防衛論」を読む(3/3)

2024年05月04日 | 読書

(承前)

学生とのティーチ・イン(三島の講演、その後の質疑)

  • 日本ではどういう危険があるかというご質問だったと思いますが、それは政治体制の危険じゃないと思います、つまり日本人の民族性というものだと思います、日本人の民族性は、ご承知の通り振り子のように、こっちの端へ行くとまたこっちの端へ行く傾向があるので、それをこっちの端へ行かないように、いまいろいろ平和憲法なりがチェックしているわけです、戦前のような形で容易には起こりえないというふうに私は考えております
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    極端から極端に振れるブレの大きさは日本人の民族性かどうかわからないが、非常に危険であることは間違いないと思う、しかし、三島の「平和憲法がチェックしている」とか「戦前のような形で容易には起こりえない」との考えは甘いと思う、平和憲法自体が極端な発想であり、憲法制定当時と最近の日本の周辺環境、世界情勢があまりに違い過ぎるということを大部分の日本人はもう気付いている、変われないのは・・・
  • 共産社会に階級がないというのは全くの迷信である、日本では社会主義者も共産主義者もみんな軽井沢にプール付きの別荘を持っている、そして日本にはどういう階級がありますか、会社の社長だって昔の三井、三菱に較べれば自分の自由なんて一つもありゃしない、こういう人たちの家に行ってみましても、昔だったら召使い何十人といたがいまは二三人だ、私は階級差というものの甚だしい例をヨーロッパでたくさん見てきたが日本では無階級に近い
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    その通りでしょう、三島のいうとおり今の日本には欧米のような格差もないし、2.26事件当時の貧困はないでしょう
  • 戦争ではいつも共産党はそうなんです、ソ連に限らずこういう国は熟柿作戦と申しまして、柿がまだ熟さないうちには決して自分でもいで食べようとしない、熟して落ちかかってきたときに手を出してポッともぎ取って食べる、上海で戦後、市民は戦争に飽き飽きしていて、平和を求めていた、もう平和さえくれれば何でもいいやという心境になっていた、そこに人民解放軍が呼びかけてきた
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    戦後の日本も同じでしょう、国民が厭戦気分になってきたところに、正義の味方米軍が来て、悪い日本人を処刑し、日本人に贖罪意識を植え付け、保守派を一掃した、そしてその隙に左派思想が学校、マスコミに入り込み、或は自ら転向して検閲などの占領政策に協力し、それが固定化した
  • 軍隊は栄誉のために死ぬという大きな特徴を持っているので、それがないと傭兵になってしまう。やはり何かのために死ぬということが大事である、それが私がかなり抽象的な「文化防衛論」で述べたことです、結局文化を守るために死ぬのであり、その文化の象徴が天皇の役割ということなのです。
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    国のため死ねるかという質問にNoと答える人の比率が多い国の一つが日本となって久しい、これは国家権力や愛国心を敵視し、自由が何にもまして大事だと主張してきた左派マスコミ報道が影響してるでしょう
  • 私は、言論と日本刀は同じもので、何千何万人相手でも、俺一人だというのが言論だと思うのです、一人の人間を多勢で寄ってたかってぶち壊すのは、言論ではなくて暴力という、日本で言論だと称されているものは、あれは暴力
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    その通りだ、特定の代議士の非違をあげつらって社説で何度も非難する新聞があるが、こういう冷静さを失った紙面作りは批判を通り越して暴力でしょう。わが国新聞は、ジャニーズ問題の報道姿勢をみても、とても言論などと偉そうに言えるものではないだろう

果たし得てない約束

  • 25年前に私が憎んだものは、多少形は変えはしたが、いまも相変わらずしぶとく生きながらえている、生きながらえているどころか、おどろくべき繁殖能力で日本全体に浸透してしまった。それは戦後民主主義とそこから生ずる偽善という畏るべきパチルスである、こんな偽善と詐術は、アメリカの占領と共に終るだろう、と考えていた私はずいぶん甘かった、おどろくべきことには、日本は自ら進んで、それを自分の体質とすることを選んだのである、政治も、経済も、社会も、文化ですら
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    その通りでしょう、そしてそれは今も続いている。それにもっとも貢献しているのがメディア、学者でしょう、更に自民党も戦後体制から脱却するのをとっくの昔に放棄し、安易に流れ、選挙の前になると保守的ポーズを取るだけの無責任政党になりはてた、全員が戦後体制利得者となり、現状変更を拒み、やがて国を滅ぼすでしょう
  • 私はこれからの日本に大して希望をつなぐことができない、このままいったら日本はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする、日本はなくなって、その代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜け目のない、ある経済的大国が極東の一角に残るであろう、それでも良いと思っている人たちと私は口をきくきになれない
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    あまりに有名な一節。これを打破するのは、新聞・テレビなどの左派思想に洗脳されていないネット世代が社会の大部分を占めるようになった時だと思う、彼らが左に傾きすぎた日本を健全な中道路線に戻し、自由と平和の維持に積極的に貢献する責任ある国家「日本」を作ってくれるでしょう。明治維新も戦後の復興も若い人たちがやった、今の日本もきっと若い人たちが再生してくれるだろう

(完)



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