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DAZN観戦 2023年J1昇格プレーオフ決勝戦 東京ヴェルディvs清水エスパルス

2023-12-04 16:00:55 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回のヴェルディの記事はこちら(PO・千葉戦、2-1)
※前回の清水の記事はこちら(PO・山形戦、0-0)

<ヴェルディスタメン>

<清水スタメン>

  • 正GKの権田は今週も間に合わずベンチ外。

世紀の一戦、その舞台は新国立競技場。
そのキャパシティの大部分を埋める53,264人もの観衆を集めた、泣いても笑ってもJ2最後の試合。

アウェイ・清水のサポーターも大集結する事により、ホーム・ヴェルディのアドバンテージは希薄となり。
補強費における両者の戦力差は言うに及ばず(選手の年俸差は4倍以上だそうな)、今季行われたリーグ戦での戦いも、清水の2戦2勝と結果に表れ。
よってヴェルディの利は、「引き分けでも勝利扱い」の一点のみといった感がありました。

キックオフの前に、国立のその特異なスタジアム構成により生まれる日光を嫌ってか、ヴェルディはコートチェンジを敢行。
映像から見て左側の日向部分が大きかったものの、右側のゴール付近にもいかにも「その部分のみから降り注ぐ」日向が円周状に存在しており。
そんな画面からも、サッカーをするには?な構造が窺えました(おまけにコート内の芝も乱れがち)が、これがどう左右するか。

いきなりの前半1分、ヴェルディは清水のキックオフからの攻撃を遮断し、反転して攻めるもシュートには持ち込めず。
すると清水は(主にスローインから)サンタナをターゲットとした攻めへと切り替え、その効果から押し込み始め。
何度もセットプレーで好機を迎えると、ヴェルディサイドはその処理に手間取り、中々綺麗なクリアが出来ずと周囲に冷や汗を掻かせる立ち上がりに見えました。

そんなヴェルディですが、8分にGKマテウスのフィードによるビルドアップで、硬さを取りつつポゼッションを高め。
11分にはGK大久保のフィードを染野がスライディングでブロック(そのままゴールライン割る)と、前線にも勢いが出始めます。

今度は清水が難儀する時間となり、15分には山田がホナウドから反則気味にボールを奪うと、そのままドリブルに入った山田を乾が倒してしまい反則。
これによりホナウドが「何で向こうのチャージは反則じゃないんだ」と言わんばかりに主審に異議を唱える、今季のお決まりのような絵図が生まれ。
判定へのフラストレーションとの戦いも強いられるなか、その後はヴェルディのアバウトなスルーパスを、最終ラインがセーフティにクリアするなどミスをしない立ち回りを目立たせます。

21分に右スローインから攻めるヴェルディ、(コーナーキックの直後で)右に回っていた齋藤が中央への縦パス、良い位置で受けた森田がミドルシュート。
これを高橋が前に出てブロックした清水が反転攻勢に入りますが、素早く戻った森田が中盤で遮断と、自分の責任を自分で処理する働きぶり。
激しい攻防シーンを彩った両者が、試合を(逆に)動かすキーマンとなるとはこの時は露知らず。

中々ペースを掴めずにいた清水も、25分にGK大久保からのビルドアップ、素早い運びで右サイドに持ち込んだのち原がドリブルで齋藤を剥がして一気に奥へ。
そしてマイナスのクロス気味に中央へ戻し、受けたカルリーニョスがペナルティアークからシュート。(枠外)
30分には最終ラインからビルドアップ、距離の長いパスでヴェルディのプレッシングをいなして右から攻め。
中山の斜め方向へのドリブルを経て逆サイドへ展開し、敵陣左サイドでパスワークを続けたのちに、乾がその逆を突くミドルパスを右ポケットへ。
受けた原がカットインからシュート、深澤のブロックで浮いたボールをサンタナがバイシクルにいくもミートせずと、連撃に持ち込むも決められず。(その後左サイドから山原クロス→サンタナヘッドもミートせず)
ヴェルディの前線の守備に慣れて来た感があり、しっかりと後方からチャンスを作る流れを形成しつつありました。

そのヴェルディの守備は28分の清水のFKの際に、一度跳ね返したのちのラフな放り込みを、エリア内でヘッドでクリアにいった山田が前述の部分的な日光を気にしてかミート出来ず。
これでエリア内での空中戦となり、サンタナがこぼれ球を繋いだ所を乾がダイレクトでシュートしましたが、こちらも日光が気になったかふかしてしまい先制ならず。
後方でやや乱れが見られると、それが前線にも波及したか、左サイドハーフの齋藤が穴になっていた感があり。
原の前進を阻めずに好機を作られるシーンが膨らみます。
ベンチも危機感を覚えるその絵図に、たまらずピッチサイドでの城福浩監督の指示が齋藤に向けて飛ぶ事となり。

それでも清水が攻め込む流れが続き、守勢を強いられるヴェルディ。
端的に良くない流れながらも、リーグ終盤からこのプレーオフにかけて、内容が悪くても勝ち抜いてきた経験は健在であり。
中央をしっかり固め、ワイドからのクロスは多少大目に見たうえで、ポケットへの侵入を許さない事を第一に考える姿勢で堰き止めます。
実際上げられたクロスも、ブロックを掠めてズレる(30分のサンタナのヘッドの場面とか)など際どいながらも防ぎ。

迎えた終盤、清水サイドも埒が明かないと踏んだか、ワイドからのクロス攻勢を改め。
右サイドからの攻撃を貫くなか、ヴェルディの対応をパスワークでかわし、ポケットを突く事で崩しに掛かるという攻めを繰り返し。
44分には中山が、45分には原がそこからマイナスのクロスを入れ、後一歩で合わずという惜しいシーンを演出するに至りました。
しかし後者が防がれたのち、山田がドリブルでカウンターに持ち込みかけた所をホナウドが倒してしまい反則・警告。
最初のカードを貰ってしまい、不安材料も抱えて前半を終える事となりました。

1点が流れを変えかねない、最終決戦に相応しい展開。
ハーフタイムでの交代も無く、何処で動くかという采配も注目される事となったでしょうか。

ヴェルディのキックオフ、戻し→谷口の右奥へのロングパスから、細かく繋ぐ攻め。
タッチに出ると山田がロングスローを敢行する等、強引な姿勢で押し込みに掛かった立ち上がり。
しかしその意識が仇となったか、後半3分中原のボールキープからのバックパスが短くなった所を突かれてカルリーニョスが奪取。
そして右サイドを駆け上がったカルリーニョスのクロスがニアサイドを突き、サンタナがヘッドで跳び込んだものの林が防ぐという具合に、肝を冷やすヴェルディ。

やはり敵陣でのボール奪取は緊迫感を生み出すものですが、以降それを立て続けに起こしたのはヴェルディの方。
6分にCKからの流れで宮原が中央でカットすると、そのままミドルシュートを放ちましたがGK大久保がキャッチ。
これで好循環を得ると、以降9分に清水ディフェンスの連係ミス?(裏へのロングパスにGK大久保が前に出てクリアも鈴木・高橋と交錯)で、高橋と鈴木が痛み倒れ込む絵図が生まれ。
その隙を突くように、要所でパスカットに顔を出す宮原。
12分にはホナウドからボール奪取した宮原、そのこぼれ球を拾った齋藤が右ポケットからシュート(枠外)という具合に、ショートカウンターで脅かす流れを続けます。

13分には再びホナウドが反則を犯し、判定に異議を唱えるシーンを作るなど、厳しい展開となってきた清水。
すると秋葉忠宏監督は手を打ち、15分にカルリーニョス→北爪へと交代。
同時にお決まりのパターンである、原を右センターバックとした3-4-2-1へのシフトを敢行します。

前回の試合では見られず、シーズン終盤にはそれが裏目に出る場面が目立つなど、(自分の中で)良い印象が無かったこのシフト。
しかし続く16分敵陣でポゼッションに入る清水、ホナウドのエリア内へのスルーパスは遮断されるも、セカンドボールを確保して右からの攻め。
人数を掛けてパスを繋ぐ清水に対し、ヴェルディは森田・稲見も最終ラインに降りての厳しい対応を強いられ。
そしてポケットへ北爪が浮き球のパスを送り、走り込む乾の前で森田が蓋をして防がんとし。
しかし確保したかに見えた森田、左腕にボールを当ててしまった事でハンドを取られ、一転PK献上という事態を招いてしまいます。
VARチェックが挟まれるも判定は変わらず、絶好のチャンスを得た清水。
キッカーはサンタナで、独特のステップから放たれた右へのシュートがGKマテウスの逆を突いてゴール。
これで先制に辿り着き、一歩前に出る事となりました。

1点が必要となったヴェルディ。
21分に反撃の矢として新井を投入、齋藤と交代で同ポジションに入ります。

しかしPKを与えた森田の動揺は想像以上のようで、22分には浮き球を収めにいった中山に対し、後ろから圧し掛かる様な形となってしまい反則という彼らしくもないプレー。
その後も精彩を欠くなかで、どう攻めるかという課題を突き付けられているようでした。

清水は25分に山原・中山→吉田・岸本へと2枚替え。
守備固めとも取れる采配でしたが、当初は前線の守備も正して反撃の芽を摘みに掛かった節があり。
ヴェルディのビルドアップに対しては、アンカー的に位置取る森田に対してサンタナが付き。
そしてシャドーが規制を掛けてサイドに追い込むというスタイルで、前進を阻みにいった清水。

最初はそれが機能するも、26分に縦パスを受けにいった山田を高橋が倒してしまい反則・警告を受けた辺りから潮目が変わり始め。
これにより倒れた際に山田が足を攣らせる事態となったヴェルディは、29分に再度交代、林・山田→平・綱島へと2枚替え。
その直後に、新井にアフターチャージを犯してしまった原も反則・警告と、後手に回る要素を自ら生んでしまった清水。
サンタナの森田へのチェックも曖昧になり、ボールタッチが増えて来た事でヴェルディも森田自身も落ち着きを取り戻したでしょうか。

それでも3-4-2-1の清水は、最終手段の「5バックでリトリート」が残されており。
パスは回るようになったヴェルディですが、清水のその姿勢によりひたすらブロックの外での繋ぎを強いられる状況に。
33分にはその状態から乾に奪われてカウンターになりかかる所を、岸本の前進を稲見が反則気味のアタックで止めて何とか防ぎ。

ヴェルディの最後の交代は36分で、深澤・稲見→山越・長谷川。
長谷川がFWに入った事で、綱島が降りてボランチに。
時を同じくして、清水は原が足を痛めた事でこちらも最後の交代に。(38分)
原・乾→北川・神谷へと2枚替えして両者シャドーに入り、岸本を原の位置(右CB)に入れる最終布陣となりました。

これにより森田が最終ラインに降り、FWというよりはセカンドトップの役回りとなった長谷川が降りるという形が基本となるヴェルディのビルドアップ。
清水の前線五角形の内側に位置取る長谷川を軸に、崩しを図らんとします。
それでもじっくりと回す反面、エリア内を突ける局面は減ったままなのは変わらず。
44分に清水のパスミスからその場面が訪れ、宮原のアーリークロスが、最終ライン裏に抜け出す格好となった染野に収まる絶好機に。
しかしワントラップから反転シュートを撃ちにいくも、高橋の決死のブロックに阻まれ同点ならず。

時間も押し迫り、こうしたアーリークロスを上げる機会を増やすヴェルディ。
アディショナルタイムに突入し、8分という長い目安となるも、得点の匂いは膨らまず。
CKからのこぼれ球を森田が拾いミドルシュート(ゴール左へ外れる)と、自身で取り返すという積極性も実らず、時間は進んでいき。

それでもパワープレイには出ず、一矢に賭けるという姿勢を貫くヴェルディ。
そして+4分という所で、清水が神谷のキープで前に出た所を囲んで奪うと、中原のミドルパスが最終ラインの裏で染野に収まり。
今度は位置も浅く自分で持ち運びを強いられる所、裏を取られた鈴木が中央へ戻るのを受け、右ポケットへ切り込んだ染野を防ぎにいったのは高橋。
先程はブロックに成功した高橋でしたが、その余勇からかスライディングを敢行したのが完全に仇となり、確保せんとする染野の左足を削ってしまう格好に。

これが試合後の大きな議論を呼ぶシーンとなり反則・PK献上に繋がったのは言わずもながですが、土壇場故にヴェルディサイドのプレッシャーも半端無く。
このJリーグ史上最も重要といっても過言では無い程のPK、キッカーは反則を受けた染野が務め。
そして利き足方向へ強く蹴る事を選択した結果、読んだGK大久保の右手を掠めてゴールに突き刺さり。
息を吹き返す、そして清水を半歩追い抜く同点弾を齎しました。

昇格に近付いたはずが、一転して緊急事態という清水。
しかし出来る事は少なく、逆にパスミスを拾ったヴェルディに左コーナーに持ち込まれて時間を稼ぐ絵図も作られてしまい。
何とか遮断しロングボールを送るも、ヴェルディの染野に対するそれとは精度も距離も圧倒的に足りず、好機を生み出せません。

AT内の時間ロスもあり10分が過ぎた所で、決着を告げる主審の笛が鳴り響き。
1-1の引き分けで勝ち抜きという形で、悲願の昇格に辿り着いたヴェルディ。
その瞬間キャプテン・森田が感涙し倒れ込み、首脳陣一同はピッチサイドで歓喜の和を作り上げ、沸き上がるスタンドの大観衆。
激戦に次ぐ激戦を経て、最後の最後に勝ちきる(スコアはは引き分けでしたが)力を発揮して幕が閉じられました。
16年ぶりとなるJ1の戦いは相当な厳しさを予感させるものの、城福監督の「J1に定着、そして優勝を目指すクラブになる」というコメントを、その気にさせてくれる戦いは貫けたシーズンならびにPOとなったでしょうか。

これにて全日程が終了する事となった今季のJ2リーグ。
来季は2クラブ減少で、J1と同数の20クラブでの戦いとなる一方で、降格が3クラブとなるなどその座を守りきるのも難易度は上がり。
1年で復帰の願い叶わずとなった清水もその渦中に放り込まれる事となりましたが、そこから脱するのに不足しているものは何なのか。
今季のような巨大戦力を抱える事が、絶対では無いのを証明する形となりましたが、オフを経てどういった編成になるか色んな意味で楽しみです。

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DAZN観戦 2023年J1昇格プレーオフ準決勝 東京ヴェルディvsジェフユナイテッド千葉

2023-11-29 16:01:37 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回のヴェルディの記事はこちら(42節・大宮戦、2-0)
※前回の千葉の記事はこちら(42節・長崎戦、1-3)

<ヴェルディスタメン> ※()内は42節のスタメン

  • 42節で出場停止だった深澤がスタメン復帰。

<千葉スタメン>

プレーオフ出場の4クラブのうち、3つが「オリジナル10」のクラブという運命の悪戯となった今季。
1回戦から必然的に直接対決が起こるのは避けられずという状況で、ぶつかったのは、J2歴が最も長い2クラブであるヴェルディと千葉となりました。

ヴェルディは2009年、千葉は2010年から、以降昇格出来ずという経歴。
ほぼ同じ長さ「J2沼」に沈む事となっていますが、その内情を軽く振り返り。
ヴェルディが初の降格となったのは、それより前の2005年の事で、当時の主力選手の一人だったのが現千葉監督・小林慶行氏。
降格という事態を受け、立ち上がったのがクラブレジェンドであるラモス瑠偉氏で、ファンファーレ付きで2006年から監督に就任。
しかし補強策(具体的には、永井秀樹氏再獲得により「ベテラン選手の放出」との矛盾が発生)が反発を招き、小林慶氏はじめ主力選手の大量離反を招く事となったのが崩落の序章に。
そして肝心のラモス氏の監督としての技量も疑問符が付くもので、それでも昇格を目指したために大補強を敢行する事となった2年間。
何とかJ1復帰を果たしたものの、その2008年(監督は柱谷哲二氏に交代)もシーズン途中に度々選手が入れ替わり。
身の丈経営の理念を忘却した結果、最降格を経て待っていたのは経営危機という具合に、文字通り降格=転落がイコールとなってしまいました。
以降建て直しに奔走し、小規模な中でのやり繰りを余儀なくされる事に。

一方の千葉、そのヴェルディの混乱期と同時期に、退潮著しいなか親会社の中で革新が。
旧古河電工からJR東日本へと経営の主導権が移ったものの、そのすぐ後にJ2降格となったのが2009年の事であり。
そしてヴェルディ同様「直ぐに昇格を」と焦ってしまったのがケチの付きはじめで、かつヴェルディとは異なり潤沢な資本を持っていたのが拙かったか。
毎年場当たり的なチーム編成となり、成績的にもPO出場→昇格出来ずという事を繰り返し。
最近はその資本の部分でも息切れしたのか、大補強も行えずJ2でも停滞する事となり。

経緯は違えど、「限られた資源の中でサッカースタイルを煮詰める」指向に落ち着いたのが良かったでしょうか。
今季からその方向に転換した(と思われる)のは千葉ですが、既にそうならざるを得なかったヴェルディも、その間は伝統のポゼッションスタイルを愚直に貫くといったスタイル。
そこに「強いチーム」としての肉付けを加え、呪縛を解かんとしている真っ只中。
J1への渇望感が勝るのはどちらか、といった戦いの結末の行方は果たして。
かくしてヴェルディのホーム(味の素スタジアム)ながら、千葉サポーターも大量に詰め掛け、世紀の一戦という雰囲気を創出してのキックオフとなりました。

持ち味のハイプレスの通り、ハイテンションぶりを入りから見せ付ける千葉。
前半2分風間のボール奪取からの攻撃、ヴェルディのゲーゲンプレスもいなして前進の末に、呉屋のポストプレイが林のチャージで反則となりフリーキックに。
左ワイドの位置からのキックで当然クロスを選択し、キッカー田口の中央へのクロス、ドゥドゥの頭を越えた奥で佐々木が脚で合わせにいき。
触れたかどうか不明ながらもそのままゴールに突き刺さり、千葉が先制かと思われたその刹那、主審の笛が鳴りオフサイドで無効に。
どうやらドゥドゥと佐々木の間に居た風間が対象となった(他の2人は映像で見る限りはオンサイド)ようで、プレーに関与したと判断されてしまい。

千葉の攻撃のスピード感は凄まじく、それを齎しているのは夏の補強で加わったドゥドゥ。
左サイドで裏抜けの脅威を与えつつ、日高とのポジショナルな崩しも出来るという、攻撃面ではまさに一騎当千な存在であり。
9分、左スローインをドゥドゥがポストプレイののち、繋ぎを経て日高の裏へのロビングに走り込み。
そして入れ替わりからシュートにいくという、彼のスピードが活きる攻撃となりましたが、稲見と交錯してしまい撃てず。
反則の笛も鳴らず、ドゥドゥ自身もこの後1分以上倒れ込む事となるなど踏んだり蹴ったりの結果となります。(ドゥドゥは起き上がりピッチ外→復帰)

ドゥドゥ復帰の直後には、ヴェルディも染野が田口との交錯で痛み、ピッチ外→復帰と同じ轍を踏み。
やはり大一番故に、デュエルの激しさも凄まじく。

そのスタイル故に、シーズン中は後半に失速する試合が目立っていた千葉。
この日もそれが懸念されるハイテンションぶりで、勝利には先制点が必須。
18分にカウンターに持ち込むも遅らされ、一旦GKまで戻して再攻撃ののち、右サイドで田口の裏へのミドルパスに田中が走り込んでクロス。
この低いボールを呉屋が脚で合わせシュートするも、GKマテウスのセーブに阻まれます。
それによるCKからも田口がサインプレー気味にボックス内遠目へクロス、後方から高橋が走り込んでのヘディングシュート(枠外)と、絡め手も使って先制を狙い。

守勢のヴェルディも、あわよくば失点というシーンを招きながらも慌てる素振りは見せず。
この辺りは、39節の同カードでの大逆転勝利(3-2)の他、最終節のような「明らかに悪い内容でも勝ちきる」ゲームを演じている自信から来るものでしょうか。

次第に千葉は、見木の遠目からのミドルシュートが多発(25分と30分、いずれも枠外)するという、中々得点を奪えない流れを描く事となり。
また1トップの呉屋も、ヴェルディのタイトな寄せに難儀し、倒されては怒りを露わにするシーンが目立つなど暗雲を呼び寄せる結果となった感がありました。

そして迎えた34分、GKマテウスの鋭いフィードを染野フリック→山田右へ展開→中原と繋ぎ、敵陣でポゼッションに入るヴェルディ。
逆の左へ展開ののち、森田の縦パスから一転して中央での崩しを選択すると、染野のフリックから狭い局面で繋いだ末に中原がエリア内へ切り込んでシュート。
ゴール右へと突き刺さり、実質2点差となる先制点を齎しました。

千葉はリードされた事で、攻めのリズムは一転して悪くなりパスが繋がらず。
最低でもあと2点という状況に、焦りの方が先に立っていた事が伺え。

こうなるとヴェルディの思う壺で、41分にはCK攻勢に持ち込み(いずれも右CK、キッカーは中原)、1本目はクロスの跳ね返りから森田縦パス→深澤入れ替わって右ポケットからシュート。(風間がブロック)
2本目はクロスが直接ゴールを襲う軌道となり、GK鈴木椋がパンチングで凌ぎ。
時間を使いながらあわよくば追加点という、理想的な流れを作ります。

早めに追い付かんと、無理に縦パスを差し込む攻撃も目立ってきた千葉。
そしてそれが追い打ちをかける結果となり、44分に縦パス→フリックの流れを谷口がカットして一転ヴェルディの好機に。
中原→染野→齋藤と素早く縦に運び、左奥で溜めを作った齋藤のクロスが上がると、ファーサイドで合わせたのは森田。
パスワークに絡まずに最前線まで上がって来てのヘディングシュートと、ボランチらしくない働きでゴールネットを揺らします。
これで2-0と、俄然有利な状況を得たヴェルディ。

一向に好循環を生み出せない千葉。
アディショナルタイムには、低いロングパスが風間に通って好機かと思いきや、ハンドを取られてしまい不発となり。
結局2点差で折り返す事となりました。

何とか反撃したい千葉は、ハーフタイムで呉屋→小森へと交代。
判定にフラストレーションを溜めていた感がありありだったので、当然と言える采配だったでしょうか。

ヴェルディのキックオフで始まった後半ですが、戻しを経てのロングパスが誰にも合わず。
その後もタッチに逃げるようなロングパスが目立つなど、ボールを捨てるかのような振る舞いが見られた立ち上がり。
それに伴い労せずして攻撃権を得る千葉は、最後方の佐々木の長いパスで組み立て。
後半4分にはその低いロングパスを小森がポストプレイで繋ぐという具合に、積極的に降りて攻撃を流動化させる小森の存在で糸口を掴まんとします。

消極的に映るようなヴェルディは、6分に敵陣でボールカットした森田が右奥を突き、佐々木を股抜きしてカットイン。
エリア内を突いたものの日高に倒されて奪われる(反則無し)と、一転して千葉のカウンターに。
佐々木縦パス→小森ポストプレイを経て、受けたドゥドゥがドリブルで推進した末に、追い越してきた小森へスルーパス。
受けた小森が左ポケットからシュートを放つも、林のブロックで防がれゴールならず。

試合巧者という評価を得ているヴェルディですが、この日はフィニッシュで終わるシーンが少ないのがかえって仇となった感があり。
前半は何度も千葉に決定機を作られていた事もあり、PO独特の雰囲気と合わさって「ボールポゼッションで時間を使う」振る舞いが出来ずにいたでしょうか。

3得点を目指すべく、怒涛の攻撃を仕掛ける千葉。
それは、10分以降ヴェルディが攻める隙を与えない程であり、逆に防ぎにいかんとして反則を膨らませてしまうヴェルディディフェンス。(14分にはポストプレイする風間を倒した谷口が反則・警告)
それでもフィニッシュは11分の風間のミドルシュート(GKマテウスキャッチ)ぐらいと膨らまず。
細かく繋いでポケットを突く、得点期待値の高い攻めを目指したものの、瀬戸際でのヴェルディの粘りが光る事にも繋がってしまい。
そして17分、燃料切れ故かドゥドゥと風間が退く事となります。(米倉・福満を投入、田中が右SH→左SHにシフト)

一方のヴェルディも20分に最初の交代、齋藤・山田→加藤・綱島へと2枚替え。
FW起用が板に付いてきた綱島、21分に千葉のロングパスをブロックするという前線の守備から好機を齎し。
左奥を突いた加藤のグラウンダーのクロスを合わせ、フィニッシュまで放った綱島。(佐々木がブロック)
フレッシュな前線により、専守という状況を覆します。
その後は中原の推進力によるカウンターのシーンも何度か見られ、千葉の後方を脅かし。

千葉は右サイドに米倉が入った事で、(彼に期待出来ない)突破では無くパスワークで前進する意識が強まり。
26分、田口が反則気味のチャージを受けながらもボールキープして右に叩いてから前進、米倉の手前からのクロスがブロックされるも尚も繋ぎ。
そして福満のスルーパスに抜け出す米倉、深澤のカットが入ったものの、エリア内へこぼれた事でかえって絶好のシュートチャンスに。
しかし放たれた米倉のシュートは右サイドネット外と、組織的な崩しも実りません。

31分に2度目の交代をする千葉、日高・田中→メンデス・椿へと2枚替え。(佐々木が左サイドバックにシフト)
攻撃の駒が次々と息切れしていくような入れ替わりで、時間も押し迫り早くゴールが欲しい状況。

そして33分、ヴェルディの攻撃が途切れ、こぼれ球を縦パスで繋いだのはCBの鈴木大。
これを福満フリック→小森と素早く運んでヴェルディの裏を突く事に成功。
エリア内中央から放たれた小森のシュートが、GKマテウスのセーブを掠めてゴールに突き刺さり、ようやくこじ開けた千葉。
残り時間は多くないながらも、希望の光を灯します。

千葉の失速癖が懸念されたものの、先程の深澤がカットしきれなかったシーン然り、ヴェルディの方がスタミナ面で不安が露わになってきた感があり。
セットプレーも多くなってきた事で、後方から田口中心の放り込みが多くなってきた千葉の攻撃ですが、それに対する守備も四苦八苦。
40分にはFKからの二次攻撃で、田口ロングパス→佐々木落とし→米倉でエリア内を突き。
ディフェンスに遭いこぼれた所を福満がミドルシュート(ブロックされCKに)と、形を作られながらも何とか凌ぎ。

この直後に深澤→平へと交代、左SBをテコ入れしたものの、それから直ぐに林が足を攣らせてしまう事態も生まれ。
田口に足を伸ばして貰いながら、プレー続行した林ですが、その2分後に再度倒れ込み交代となり。
これで奈良輪を投入し、平がCBへとシフト。
それだけでなく、綱島をCBへと回しての5バックシステム(3-4-2-1)を採り、文字通り逃げ切り体制へ移行しました。
なお奈良輪は最終ラインには加わらず、シャドーとして2列目の左に。(左ウイングバックは加藤)

千葉は43分に左CKから、田口ニアにクロス→鈴木大フリックと定番の流れを経て、佐々木のボレーシュートに綺麗に繋げ。
しかしふかしてしまい決められず、ビハインドのままとうとうATに。

鈴木大が前線に加わるパワープレイで、ひたすら後方からロビングを上げる攻撃に全てを託し。
GK鈴木椋のロングフィードを小森がフリック、浮いたボールをさらに米倉が落としと空中で繋いでいき、椿がダイレクトでペナルティアークからシュートを放ち。
しかしGKマテウスのセーブが立ちはだかり、スタミナ切れを隠せないヴェルディを押し込み続けるも最後の一刺しが物足りない結果となります。

その後は福満を下げたうえでメンデスも前線に加わり、2CBがともに上がるという総動員。
しかし最後までゴールを奪えず、ついに聴くのを避けたかった試合終了の笛が鳴り響く事となり。

ヴェルディが勝利で勝ち上がりを決め、泣いても笑っても後1試合。
決勝戦は国立開催という事でホームアドバンテージは薄そうですが、それでも順位でのアドバンテージは健在であり。
相手は清水とあり選手の力量差はハッキリしていますが、アイデンティティとなりつつある「良くない試合でも勝ちきる」力を発揮し、悲願の昇格に辿り着く事が出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2023年J1昇格プレーオフ準決勝 清水エスパルスvsモンテディオ山形

2023-11-28 16:01:11 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の清水の記事はこちら(42節・水戸戦、1-1)
※前回の山形の記事はこちら(42節・甲府戦、2-1)

<清水スタメン> ※()内は42節からの変更

  • リーグ戦での累積警告の持越しならびに出場停止は無し。よって42節で8枚目を貰ったホナウドも出場可能で、スタメン出場。
  • リーグ戦で未出場のGK大久保がスタメンに。レギュラーGKの権田はベンチ外。

<山形スタメン>

  • リーグ戦での累積警告(以下略)4枚目を貰った後藤優も問題無くスタメンに。

今季から入れ替え戦が無くなったのが、最大の動きである昇格プレーオフ。
2018年に「決定戦」と釘打たれ再導入されてからというもの、1回勝負かつホームのJ1チームが引き分けで勝利というレギュレーションもあり、文字通り最後の壁に。
ウィルス禍により3度のみの開催となったものの、J1側の完勝といえたの2018年の磐田(vsヴェルディ、2-0)のみ。
2019年の徳島も2022年の熊本も、引き分けで涙を呑む形で昇格ならず。
しかし今年はそれが無く、勝ち上がれば問答無用で昇格なので各関係者のモチベーションも相当なもの。

さて初戦ですが、前年と違い2試合同時開催とはならず、土曜に行われたのは清水vs山形。
2週間のインターバルの中、自動昇格を逃して意気消沈という精神状態からの脱却を図った清水と、5連勝で逆転出場を果たした勢いを保つべくとなった(と思われる)山形の一戦となりました。
清水はGK権田が、山形は川井がベンチ外という具合に、その間のアクシデントを想像させるメンバー人選。

試合が始まり、ロングボール中心の立ち回りで入る清水。
その中で2度攻撃機会を掴み、中山を走らせる裏へのロングパスをGK後藤雅が前に出てクリア(前半2分)と、ペースを保ちながら試合を動かしに掛かり。

しかしレギュレーション上、最初からとにかく1点が欲しい状況の下位・山形の思惑の方が強かったようで。
3分にこぼれ球を野田がダイレクトで縦パス、受けたチアゴが持ち上がりを経て左ポケットへラストパスを送り、藤本がシュート(クロス?)するもホナウドがブロック。
その跳ね返りを中央で南がシュート、GK大久保がセーブとまず有効打を放ち。
すると6分にも、シーズン中でお馴染みの縦に速いサイド突破、スルーパスに走り込んだチアゴの奥からのクロスをイサカが合わせヘディングシュート。
GK大久保がセーブし、尚も右にこぼれた所を山田が走り込んでシュート、しかしこの強烈なボールもセーブした大久保。

権田の代役というにはおこがましい程の大久保の活躍で清水の失点は防がれたものの、それを盾とした山形が最初に自身のペースに入り。
GKを含めた最終ラインで繋ぐビルドアップに入り、清水の守備の様子を観察。
2トップ(守備時)のサンタナ・乾はボランチを切るものの、南・高江の巧みな動きに対し完全にはなされず。
その分清水のドイスボランチも、前に出てそれをカバーするかないしは待機するか迷っていた感があり、それにより出来たスペースを突いて前に運ぶといった立ち回り。

しかし清水は12分、こちらも例によって乾がボランチよりも後ろに降りてパスを出し入れするビルドアップ。
そして前進した山原から受け直した乾、中央からミドルシュートを放ち(GK後藤雅セーブ)ゴールを脅かします。
これを境に清水の攻撃が続く流れとなり、それに伴い最終ラインから繋ぐシーンも増え始め。

押され始める山形でしたが19分に再び好機、西村の裏へのロングパスが一気に右ポケットを突き、走り込んだ後藤優のシュートをまたもGK大久保がセーブ。
浮いたボールをさらにチアゴがヘディングで詰めるも枠外と、ゴールの匂いは相変わらず強く。

時間経過で清水は修正を図って来たか、以降優位に立ち。
ビルドアップでは4バックがしっかり幅を取り、サイドを振るパスワークを増やし。
それにより山形は、ウイング(サイドハーフ)がセンターバックに出て来る状況が激増し、サイドバック同士のマッチアップを強いられていきます。
ハイプレス故に前に出なければならないSB、それを剥がされて深めまで進入を許してしまうという繰り返し。

24分に左への展開から、山形の(山田が前に出て来る)その姿勢を見るや山原がスルーパス、受けた中山に対し西村が対応を余儀なくされる状況に。
そして奥へ切り込んだのち入れられた中山のクロスに、岸本が脚で跳び込むも合わずという、相手のお株を奪う早い運びによる決定機。
その後もサイドの跳梁、特に左で中山が果敢に仕掛けるシーンを増やす清水。
32分にはサンタナとのワンツーで切り込む中山、奥から上がったクロスをファーサイドで乾がボレーシュート(ゴール左へ外れる)と、フィニッシュも膨らんでいきます。

相手をペースに巻き込んだというような清水。
全体積極的にもなり、2トップも最終ラインまでプレッシャーを掛け、それに伴いボランチ2人が山形のボランチをチェックしにいくという姿勢も見せ始め。
そうなると待っているのは敵陣で奪ってからの好機で、40分に中山の反則気味のディフェンスで奪い左サイドでパスワーク、奥へ切り込んだ中山のパスをポケットで受けた乾がマイナスのクロス。
これは合わずに流れるも戻しを経て右手前から原のクロス、跳ね返りの落とを拾った山原が左ポケットへ切り込んでシュート(ブロック)と、敵陣で展開されるサッカー。
42分にも中山の敵陣でのディフェンスから、こぼれ球を拾ったサンタナが中央からミドルシュート(ゴール左へ外れる)と、個の力に組織力も加味されて最強に見えるような押し込みを見せます。

それを前にした山形は35分以降攻撃機会を全く得れず、終盤を迎えても清水の攻勢は続き。
耐え凌ぐ山形の膨らんでいく反則を下にしたセットプレー攻勢となり、出来ればモノにしたいが、そうで無くても時間経過で引き分けの可能性が高まるという両得の立ち回り。
そしてアディショナルタイム、左スローインからサンタナがフリックで浮かせ、中山が落として収める勢いのままにエリア内を突く好機。
そのまま奥に切り込みましたが、GK後藤雅が前に出て抑えて撃てず。
逃したと同時に前半終了となり、スコアレスで勝負の後半戦へ。

後半もその流れのままに、開始1分でスローインを収めたサンタナに対する野田のチャージで反則。
敵陣ながら中盤という位置にも拘らず、放り込みを選択する清水。
前半よりも一層その選択のラインを下げたようで、当然ながら引き分けで良しという判断の下であり。

そんな思惑の相手をひっくり返したい山形、3分に高江の縦パスを収めたイサカがキープから左へ展開しチアゴに託し。
そしてワイドからカットインで脅かすチアゴ、シュートはブロックされるも、中央へこぼれた所を高江がダイレクトでミドルシュート。
鈴木がブロックするもエリア内の山田に当たりこぼれた所を、藤本がシュートと決定的な一撃を放ちましたが、GK大久保がこれも右手一本でセーブと打ち破る事が出来ず。
ならばと6分、右サイドから山田縦パス→後藤優ポストプレイ→イサカドリブルで前進すると、ホナウドに倒されるも山田が拾い。
アドバンテージかと思った刹那、その山田も山原に倒された事で反則の笛が鳴り(山原に警告)、エリアからすぐ手前での直接FKを得ます。
右ハーフレーンという横位置でどうするか思案を巡らせた結果、高江の小さな蹴り出しを経て小野がシュートと変化を付け。
しかし躊躇わずに前に出た清水により(鈴木のブロックで)防がれます。

前半同様好機は掴む山形ですが、清水の立ち回りの変化を受けて若干焦りが強まったでしょうか。
9分にはボランチのパス交換から前進を果たすも、高江のポケットへのスルーパスが大きくなってしまい藤本には繋がらず。
11分には自陣で攻撃開始という所で、高江がパスを眼前の小野に当ててしまい跳ね返り、白崎が拾った事で清水の攻撃に。(その後右奥を突きポケットから乾がクロスも合わず)
繋ぎの精度も乱れがちとなり、反撃の機運を高められず。

12分に清水の方が最初に動き、山原・中山→吉田豊・カルリーニョスへと2枚替え。
左サイドアタックの割合が多かった清水、燃料補填のためその左2人を代える采配となったでしょうか。

セットプレーでは時間を使う清水ですが、立ち回りの中では相変わらず積極性を貫き。
中盤でバチバチとやり合い、激しくボール権が入れ替わるという絵図も増えていき。
その果てに、14分にこぼれ球に対し小野とサンタナがスライディング同士で激突してしまう一幕が生まれたものの両者大事には至らず起き上がり。

読み辛い流れですがそれでも清水の有利な立場は不変であり、16分にカウンターに持ち込んで岸本が右ポケットを突いたものの、シュートかクロスか中途半端な脚の振りをしてしまった結果ミートせず終わり。
18分にホナウドが右手前からクロスを送り、ファーサイドを狙った結果ゴールに向かう軌道となり、GK後藤雅がコーナーへと逃れるセーブ。
ミスも見られるなど、何処までが狙った攻撃か判らない流れとなるも、ミッション的には問題無く時間が進んでいきます。
19分に山形ベンチも動き、藤本→デラトーレへと交代。

山形は、前半に多発していたSBが前に出る所を突かれる弱点は修正を図った模様。
きちんと相手SBに対してWGが対処する姿勢はとるようになりましたが、それに伴いサイドで押し込まれると、最大の武器であるチアゴの自陣でのプレーの時間が長くなるというトレードオフ。
守備対応に追われるシーンが目立ったものの、それでも失点=2点必要=窮地という戦いなので仕方無く。

CKから西村がヘディングシュートを放つ(27分・枠外)など、攻めの姿勢は貫くものの、前半立ち上がりのような苛烈なフィニッシュが勝ち抜きに必要なのは言うまでも無く。
何とかそれを果たさんと、29分に再度交代し高江・後藤優→小西・高橋潤へと2枚替え。

一方、22分に岸本→北川へと交代した清水。
その北川も右ワイドに張るシーンが目立つなど、かつてのストライカーもシステムに順ずる献身性が強まり。
そんな中、32分に白崎の敵陣でのパスカットから、拾った乾の横パスをエリア内で受ける好機を迎えた北川。
しかし山形ディフェンスの抵抗もありボールキープを経て乾に返し、その乾のラストパスからシュートを放ったのはサンタナ。
最後は現エースのフィニッシュとなったものの、ゴール左へ外れてしまい決められず。
サンタナは続く34分にもミドルシュートを放つ(GK後藤雅キャッチ)など、その威力で山形サイドに最後までプレッシャーを与えます。

35分に山形は最後の交代で、チアゴ・イサカ→泉・横山へと2枚替え。
最後にウイング双方を入れ替え、そのフレッシュさで勝負する姿勢を取ったでしょうか。

その通りに事態は好転し始めるも、40分に清水も最後の交代。
サンタナ・乾の2枚看板を退かせ、宮本・北爪を投入します。
これにて守備固めの3-4-2-1になるかと思いきや、北爪が右サイドハーフとなり4-2-3-1を保つ事を選択。
白崎が乾のポジション・北川がサンタナのポジションに回ります。
リーグ戦終盤の戦いでは、(点を取らなければならない状況もあり)3-4-2-1へのシフトが裏目に出るのが多かっただけに、少しでも不安の色を出さない事に努めた感があり。

その後清水がCK攻勢に持ち込み、その2本目の右CKでニアにクロス→鈴木フリック→原ヘディングシュート(41分・枠外)と、リスク無しで勝ち越しを狙う姿勢を貫き。
時間も押し迫り、ペースも握られる事で厳しくなる山形。
最早一刺しを狙うしかなくなる中、その機会は45分に訪れ、左サイドを小野スルーパス→泉走り込んでクロスと素早い運び。
この低いボールを高橋潤が合わせるも前方のデラトーレに当たってしまい跳ね返り、不運な形で逃してしまうのか……と思った刹那、小西が反応してダイレクトでシュート。
しかしこれもゴール右へ外れてしまい、無情な結果に終わる事となり。

そしてATへ突入。
清水は北川のゴールバーを掠めるミドルシュートなど、得た好機では先制を狙う姿勢ながら、ボールキープに重みを置き時間を使い。(それでも山形が前に出ざるを得ないので好機が生まれるのですが)

山形は最後まで普段通りの攻めを貫き崩さんとした(最後の場面では野田のロングパスに西村が上がって合わせにいきましたが)ものの、厳しい状況を打開する事は出来ず。
そして試合終了の時を迎え、0-0のまま引き分け。
清水が勝ち上がり、山形はここで涙を呑む結果となりました。

スコアレスながら、決定機の応酬で撃ち合いの要素も含んだ見ごたえある試合だったでしょうか。
これにより清水は暗雲を振り払った……と判断すべきか否か。
というより、その判断よりもとにかく次戦も勝つ事を最優先とした準備が行われるはずなので、外野からとやかく言うのは場違い感があり。
決勝は国立開催でVARも導入される大一番となりますが、その結末はどんなものか。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 ベガルタ仙台vsFC町田ゼルビア

2023-11-27 16:00:54 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の仙台の記事はこちら(41節・長崎戦、1-2)
※前回の町田の記事はこちら(順延26節・秋田戦、2-1)

<仙台スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節出場停止だったホヨンジュンはベンチ外のまま。
  • 梁が29節以来のメンバー入り。

<町田スタメン>

  • 39節(熊本戦、3-0)で無事にJ1昇格が決定し、続く40節で優勝も決定。
  • 26節で負傷交代した松本の詳細が発表され、全治6か月との事。

懸念された失速の予兆を綺麗に振り払い、悲願のJ1昇格並びに優勝にこぎつけた町田。
前回の勝利から連勝街道に乗った状況で、最終節を迎えました。
前節・山口戦(2-0)は山口ホーム(維新みらいふスタジアム)での開催のなか、ガードオブオナーで迎えられるなど、我が世の春を堪能中といった所でしょうか。

こうした送り迎えの儀式は、従来の町田のお家芸でもあり。
2年前は新潟との最終節、引退を表明していた田中達也を(交代の際)送り出す花道を作るのに協力。
前年は、天皇杯で優勝した甲府に対し逆にガードオブオナーで迎える、という具合。
そして今季の最終節、引退表明していた太田をスタメン起用(といってもこれで5試合連続スタメン)して仙台に挑みました。

最初の好機は前半2分、町田が左サイドから、右サイドの鈴木が逆からやって来てロングスローという具合の平常運転。(投げられたボールを直接GK林がキャッチ)
優勝決定した後もやる事は変わらずという流れでしたが、この日は意外にも地上での繋ぎの比率が高かった前半戦。
攻撃時はバイロンが一列上がり、鈴木を右SBとした4-2-3-1へ可変しての組み立てを見せます。
5分にバックパスを受けた鈴木がトラップをミスしてラインアウトするなど、不慣れな様子も窺えましたが。
それでも、じっくり落ち着く時間を作るという立ち回りは、いわき戦(37節・2-3)での反省が伺えるものであり。

そんな隙を突きたい仙台、自身もショートパス主体での組み立てを図り。
しかし町田のプレッシングは強烈で、9分にはあろう事かGK林が繋ぎをミスしてエリア内で高橋に拾われる危機を招き。
そして右ワイドに流れたのちクロス、中央でデュークがフリック気味にヘディングシュートを放つもゴール左へと外れ。
中途半端なポゼッションは格好の餌食という、プレッシングスタイルのサッカー。
ここではパスに迷いを見せてしまったGK林、(高橋が福森に詰めていたため)ワイドに開いたキムテヒョンへのフィードでのパスが正解だったでしょうか。

王者の力を発揮する町田ですが、自身のポゼッションによる攻撃は特に秀でたものは無く。
そのため、お互いに繋ぐも好機に結び付かずという時間が続く状況も生まれてしまい。(12~17分頃)

それでも静かな流れから、徐々に激しくなる展開は見応えがあり。
21分に再びショートパスでのビルドアップを図る町田、自陣でカットに遭うもこぼれ球を繋いで前進に成功。
鈴木→デュークへのスルーパスはカットされるも、鎌田から反則気味に高橋が奪い返し、拾った宇野がさらに長澤のアタックで倒されるもバイロンが拾いアドバンテージで継続と凄まじい攻防戦。
そしてカットインからミドルシュートを放ったバイロンでしたが、オフサイドポジションのデュークに当たってしまい実りません。

仙台は一定の割合で繋ぎには成功するも、敵陣でのパスのズレで好機を生み出す事が出来ず。
30分にGKへのバックパスから、林→長澤と経由するダイレクトでの左へ展開ののち、キムテヒョンがドリブルに持ち込み。
これまで散々左SBとしての資質に(自分が)疑問符を抱いてきた彼の姿でしたが、ここで鮮やかな持ち運びを披露します。
しかし敵陣での長澤へのパスがズレてしまい、折角の突破も活かせません。

時間が進むにつれ、町田がロングボールでの組み立てが増えるお馴染みの展開へと移り変わり。
35分にはGK福井のロングフィードを受けたバイロン、右サイド奥を取ってカットインの姿勢からクロスと見せかけてシュート。
福森がブロックするもコーナーキックとなり、ここからもデュークがヘディングシュートを放つ(枠外)など、徐々に町田らしさを発揮。
この、様子見を経て次第に得意技を押し出すという立ち回りは、入りから貫くよりも効いている風があり。
40分には空中戦の最中、合わせにいったバイロンをチャージしたキムテヒョンが反則・警告と、仙台サイドも対応に悩まされ。

終盤はセットプレーも量産して押し込んだ町田ですが、仙台サイドも粘りフィニッシュを生ませず。
結局スコアレスのまま前半終了となります。

今季も残り45分と、様々な思いにふけながら始まった後半戦。
入りはトランジションが激しくなり、その中で右スローインを得た町田が仙台サイドが戻りきらないうちに素早く裏へと投げ込み、宇野のクロスの跳ね返りを尚も繋いで組み立て。
そしてスローインをした鈴木のクロスが上がると、誰にも合わずファーサイドで小出がクリアの体勢に入るも、蹴られたボールが逆方向に飛んで右ポスト内側を叩いた末にゴールインというまさかの絵図となります。
どうやら小出は左足でのクリアをミスし(空振り?)、その結果軸足に当ててしまったようで。
町田にとって完全なラッキーゴール、というオウンゴールでスコアが動きました。

仙台はポストワークを務める山田が、町田の激しいデュエルによって倒れ込んでしまう事が2度。
それに伴ってかリズムを作れずという入りを強いられ、ビハインドとなったのちはさらに町田の圧力に難儀します。
6分には中盤で前に出てパスカットしたチャンミンギュ、高橋へパスを出すとともに自身もオーバーラップし、そのままエリア内に入ってターゲットを務める等やりたい放題という具合になっていき。(高橋はドリブルののちデュークにパス、デュークが右ポケットからクロスを上げるも繋がらず)
幾度も攻め込まれ、何とか凌ぐ仙台ですがクリアボールを拾われて二次攻撃を受ける等、流れを切る事すらままならず。

そして10分、ここでは最終ラインからショートパスでの繋ぎを選択する町田、左へ展開ののち太田縦パス→デューク前方へポストプレイで裏を取った荒木。
そのまま左ポケット奥へ切り込んでマイナスのクロスを送り、ニアで合わせにいった高橋がディフェンスに遭いこぼれた所を、デュークがボレーシュートで仕留めます。
キムテヒョンのブロックも及ばずゴール右へと突き刺さり、10分で2得点と真価を発揮する町田。

その後は仙台も、激しくなってきた町田のサッカー故に、多発するトランジションを突くチャンスは何度かあり。
12分にクリアボールを拾った菅田から長澤→氣田と中央を縦に速く繋いでいき、右へ展開して小出がクロス(合わず)とその片鱗を見せる攻撃。
しかし基本は中央を固める町田、それが出来ない時が大多数なだけにサイドからの崩しを図りたい状況に。

そんな思惑からか、17分に動き一挙3枚替えを敢行した堀孝史監督。
小出・長澤・山田→オナイウ・エヴェルトン・菅原へと交代し、これにより3-4-2-1の布陣へとシフト。
ウイングバックは右=オナイウ・左=氣田で、菅原を頂点として2列目に加藤・郷家という1トップ2シャドー。(キムテヒョンが左センターバック)

そして20分、空中戦から鎌田がボールを確保し、一旦戻したのち右から前進を図る仙台。
オナイウが加藤とのワンツーで右ポケットへ切り込み、太田のディフェンスに遭うも右CKに。
一つオナイウの持ち味を生かしたと思ったその刹那、このCKでショートコーナーを選択すると、右ハーフレーン手前から加藤がクロス。
これを中央で菅原がフリックで合わせると、ゴール左へと突き刺さる鮮やかな得点に。
1点を返し、ホームの大観衆の中で反撃の狼煙を上げます。

不意の失点という格好になった町田、キックオフの前にデューク→藤尾へと交代。
以降、太田を前に上げたうえで、彼をターゲットとしたロングボールでの攻めを繰り返し。
この日引退試合の太田はそれに応えて良く合わせていたものの、恐らくはサイドの突破力を上げた仙台に対し、使いきって交代し強度を上げる策を採ったと思われます。
実際23分に、仙台がオナイウのドリブルでカウンターに持ち込みかけた所を、宇野が反則で止めて警告という具合に被害が拡大しており。

それ故なるべく早めに追い付きたい仙台、27分に縦パス→フリックを鎌田がカットした事で、町田のトランジションの隙を突く絶好機を迎え。
縦パスを受けた郷家がさらに左ポケットへスルーパスを送り、走り込んだ菅原がフリーでシュート。
しかし角度が足りないのが影響したか、GK福井のセーブに遭い同点ならず。
ここでニア上を破る事が出来る人物となれば、ステップアップも可能でしょうが……。

そして太田の交代の時を迎える町田、29分に翁長と代え。
チームメイト全員と抱擁し、ラストダンスを終える事となりました。
同時に鈴木→奥山政へ交代と、両サイドをテコ入れと予想通りサイドの抑えを図る采配。

高まった強度をバックに、追加点を狙いにいく町田。
30分左サイドを下田縦パス→荒木ポストプレイ→翁長裏へミドルパスという崩しから、オフサイドの位置に居た藤尾がスルーして翁長が自ら拾い直し。
戻しを経て荒木のグラウンダーのクロスが高橋に収まり、シュートするもGK林がセーブ。
これでCKを得たのちも、二次攻撃でGK福井ロングフィード→藤原フリックから攻撃開始、拾った下田の低いクロスに藤尾が跳び込んでヘディングシュート。(眼前で菅田がブロック)
続く33分にも、敵陣でのボールカットからバイロンが右から切り込み、ポケットで切り返しからシュート(ブロック)と一方的に攻め続け。

何とか凌ぐ仙台、34分に再びキムテヒョンがドリブルで持ち運ぶと、今度は高橋が反則で止めて警告と成果?を上げ。
35分に再度カードを切り、加藤→相良へと交代し終盤の逆襲に繋げんとします。

町田にとっては逃げきるかどうかという判断も考慮に入れるような時間帯。
そんななか最後の交代カードを使ったのが38分で、荒木・高橋→安井・アデミウソンへと2枚替え。
来季のJ1での戦いを見据えての獲得と一部で謳われているアデミウソン、これが今季3試合目の出場。

まだ追加点を狙うといったカードに映るもので、その通りに攻め込む町田。
39分再び右からバイロンが切り込んでポケットからシュート、ブロックに遭い右CKに。
キッカー下田のファーへのクロスをマイナス方向へ落とすアデミウソン、拾った藤尾がシュートしましたが惜しくも左サイドネット外。
その後仙台も攻め込み、右→左へのサイドチェンジを受けた氣田の突破を経てCK攻勢に持ち込み。
お互いのCKの交錯を経て、ついに試合が動く事となります。

43分、GK林がロングフィードを送るも、藤原がヘッドで跳ね返したボールがそのまま仙台最終ラインの裏へ。
これを受けたアデミウソン、オフサイドをアピールする仙台ディフェンス(林のフィードの際、キムテヒョンの上がりが遅れたためとれず)を尻目にエリア内に持ち込んでGKと一対一を迎えます。
そして林の右を破るシュートでゴールネットを揺らし、追加点を齎したアデミウソン。
加入後初ゴールでの喜びに、ようやく戦力になれたという実感を露わにしていたでしょうか。

キックオフの前に、仙台は最後の交代カードで大ベテラン・梁を投入。
その梁のクロス(セットプレー含む)で最後の攻勢に入り、アディショナルタイムには菅田がそのクロスに合わせループヘッドを放つも枠を捉えられず。

結局その流れは直ぐに途切れ、町田が時間を使いながら攻める展開に。
ハイテンションのアデミウソンが、その後裏抜けで2点目を狙いにいくもオフサイドとなる事2度という具合に、微笑ましいシーンも作り。

何とか最後に好機を作る仙台、それはオナイウの右からのロングスロー。
エリア内で混戦が生まれ、掻き出されたボールをミドルシュートに持っていったオナイウでしたがゴール上へと大きく外れ。
同時に試合終了のホイッスルが鳴り、最終戦も1-3で勝利し5連勝フィニッシュとなった町田。
その戦いぶりは賛否両論あれど、とにかく強かったのは不変であり。
この日のボールポゼッションも、初のJ1での戦いに備えた「4局面」のスタイルを高めるためのものと考えれば納得の一言。
クラブ自体はそのまま定着を目指している節が見受けられるものの、まずは新しいその景色に馴染みたい所でしょう。

一方の仙台、開幕前は昇格候補と謳われながらの低迷ぶりは、それと対極を描くようなものとなり。
おまけにサポーターの不祥事や元社員の不正と、グラウンド外での事象も目立ってしまっては、浮上の機運も高まらないのは仕方無いといえるでしょうか。
前者についてもう少し述べると、この日も太田交代の際に則して、拍手どころかブーイングを送るという具合に何処か履き違えたような行動が目立っており。
冒頭で触れた町田の姿勢のような「良き敗者たれ」の精神は、現場よりも周囲の人物に必要な状況なのかもしれません。

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DAZN観戦 2023年J2リーグ第42節 大分トリニータvsザスパクサツ群馬

2023-11-26 13:02:05 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の大分の記事はこちら(38節・ヴェルディ戦、0-1)
※前回の群馬の記事はこちら(41節・千葉戦、1-2)

<大分スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 下平隆宏監督の今季限りでの退任が決定。後任は未定だが、前監督・片野坂知宏氏の就任が決定的との一部報道あり。

<群馬スタメン>

シーズン前に大胆……かどうかはいささか不明ながらも、リプランディングという名の方針転換を発表した群馬。
その成果は1年目で早くも表れ、組織立った戦いを貫いた結果、クラブ史上初と言っても良い昇格争いに絡む事となり。
残念ながら失速して果たせなかったものの、この試合に勝利する事によって、勝ち点60の大台に乗せるか否かという最終戦。

半信半疑だったこの政策、ならびに大槻毅監督の手腕も、明確なメッセージならびにスタイルで結果を出したとあり万々歳の一年に。一部で物議を醸したマスコット変更は結局破談になったようですが
翌年は新たな練習場も完成予定という具合に、浮上の機運は依然として高く。
そんな広がるクラブ規模を経て、今季物足りなかった得点力をどう肉付けしていくのかが本気で昇格を目指す壁となる事でしょう。

最終戦の相手は、他方目標である昇格を達成できず、(下平監督の)政権終了も内定しているという大分。
序盤は好調かつサッカーの内容も良好だったものの、本格的な昇格争いのなか次第にそれを失ってしまい。
そして昇格どころかプレーオフ出場すら果たせずと、前年から下降線というシーズンに。

そんな曲線の到達点であるホーム最終戦は、不調ぶりを感じさせない入りとなりました。
序盤から左サイドを徹底的に攻め、藤本の奥への切り込みのみならず、左肩上がりのシステムで高く上がる高畑にスムーズにパスが通るのが起点となり。
それに味付けを果たすのが左インサイドハーフの弓場で、ビルドアップの段階から高めの位置を取る事により群馬の右サイドを下げる役割。
つまりはピン止めという作業で、ワイドの2人を存分に活かす下地を作り上げていました。

前半5分、弓場のそのオーバーラップにより下がった群馬を突き、高畑→藤本と経由する左サイドアタック。
ここからクロスを左右連続で上げる攻撃の末に左コーナーキックを得ると、キッカー保田のクロスが手前でディフェンスに当たるも、中央で長沢が合わせ。
コースが変わった事により肩で合わせる格好となったこのシュートが、ゴールバーを叩く惜しいものとなり。
これを幕開けとして、ひたすら群馬ゴールを脅かし続ける流れを得た大分。
12分には右から野嶽縦パス→長沢収めてポストワークという中央→左への展開で、例によって高畑→藤本と経由ののちポケット奥まで切り込む藤本。
そしてマイナスのクロスが流れた所、渡邉のダイレクトパスを経て保田の強烈なシュートが放たれるもGK櫛引がセーブ。
15分に今度は香川の持ち上がりが起点となり、高畑が奥からクロスを上げると、上がっていた弓場がファーサイドでヘディングシュート。
これもGK櫛引がセーブと、守護神の凌ぎに頼らざるを得ない状況を強いられる群馬。

何とか攻撃機会を得て一息付きたい群馬ですが、お馴染みの3バックへ可変してからのビルドアップも、それに対し大分3トップが絞って各人に対応。(当然ボランチへのパスコースは切られる)
何度か左ワイドで持った杉本がそのまま自陣でカットインと、大胆な動きを経ての繋ぎが大分の意表を突くといった程度で、アタッキングサードまで運ぶ道筋を中々得られず。

そんな流れ故に、必然に見えた大分の先制点は24分。
敵陣で保田のボール奪取からの繋ぎで、一旦戻して右サイドから隙を窺う体勢を作り。
ペレイラ・保田がパス交換を繰り返す事で、保田に付いていた平松が僅かに前に出た所を、ペレイラのパスからその背後を保田が持ち上がりと見事にそれを突き。
そして野嶽のクロスが上がり、長沢がヘディングシュートで仕留めるという綺麗な締めでゴールに辿り着きました。

尚も苛烈に攻め続ける大分、28~29分には例に漏れない藤本の左での突破からのクロス(グラウンダー)、クリアされるも拾って尚も継続。
左サイドでの数多な繋ぎからの戻しを経て、ハーフレーンから渡邉エリア内へパス→弓場ポストプレイという崩しを経て、渡邉のエリア内からのシュートがゴールを襲い。
しかし左ポストを直撃と、今度は枠に助けられた群馬。

試合を支配されつつある群馬ですが、手をこまねいている訳では無く、何とか前線からのプレッシングで流れを断ち切りにいき。
しかしGK西川を絡めてのビルドアップを巧みに貫く大分。
2センターバックを維持したままで、ボール奪取どころか後ろに重心をやる事(それにより弓場の上がりを抑制する事)もままなりません。

そして37分、ここも右から野嶽縦パス→長沢ポストプレイという、もう一つの定例に沿った攻めから左サイドに渡って前進。
高畑→藤本で奥を取ってクロスが上がり、ファーサイドで弓場が合わせたもののミート出来ずタッチへと流れ。
しかし判定は何故か大分のスローインとなり継続し、右から渡邉が鮎川とのワンツーでカットイン、そのままポケットからシュート。
GK櫛引が辛うじてセーブするも、中央にこぼれた所を弓場が詰めてゴールネットを揺らします。
当然ながら釈然としない群馬サイドですが、全体の流れが判定までも味方になってしまったでしょうか。

追加点を得た大分、尚も40分に右奥に追い詰められてのビルドアップとなったものの、パス&ゴーでワイドに開いて受け直すペレイラの巧みな動きでプレッシャーを脱出。
その姿に、リーグ序盤の素晴らしいサッカー(5節・千葉戦の記事)が蘇ったという事を実感するに至りましたが、それが昇格の可能性が潰えた後なのが皮肉でもあり。

未だシュートゼロで終盤を迎えた群馬、ロングパスを交えての攻撃でようやく流れを作り。
そして45分、そのロングパスを合わせにいった川本が香川のチャージを受けて反則となり、良い位置での直接フリーキックに。
左ハーフレーンという横位置で、選手配置でクロスを匂わせながらキックを蹴ったのは川本で、壁に当たって右に逸れた結果CKに。
クロスの跳ね返りを天笠がダイレクトでエリア内へ送り、平松折り返し→杉本ボレーシュートと繋げましたが枠外に終わり。
最終盤に2本矢を放った群馬でしたが、結局2-0のまま前半終了となります。

ハーフタイムで早くも動く大槻監督、杉本→山中へと交代。
浦和ユース出身者の「大槻チルドレン」は、新潟に個人昇格した長倉が有名となりましたが、第一号はこの山中であり。

迎えた後半戦、2分に敵陣中央で平松がボール奪取し、左から攻めた末にその山中がクロス(クリアされる)と幸先良い入り。
5分にもGK西川のフィードの跳ね返しから、素早く前進して山中のクロスと、采配の狙いを見せ付ける攻撃。
課題であろう弓場の上がりに対しては、佐藤亮がピン止めされる事を強いられていた前半から、天笠が付いていく事で解消を図ります。

それでも盤石とはいかず、まず襲い掛かったのが判定。
5分に保田のドリブルを正面から川本がスライディングで止めにいったものの、チャージとなってしまい反則・警告。
やや厳しい判定に見え、続く6分に今度は中盤でパスカットした天笠がその勢いのまま長沢に倒されての反則で、長沢に警告が付き出され。
最初の判定が、そのままカードの基準になったかのような流れを描きます。

すると大分に流れが傾き、再び攻め続けられる展開に。
9分、ここでは高畑が長沢狙いへのミドルパスを選択すると、セカンドボールを拾って中央から執拗に急所へのパスを送る攻撃。
そして2度目のクリアを保田がダイレクトでミドルシュートし、中塩がブロックした跳ね返りを拾った弓場がさらにミドルシュート。
エリア内の渡邉に当たるも、その渡邉がダイレクトで3本目のシュート(城和がブロック)と、三連撃を何とか防ぐ群馬。

こうして後半も、多少群馬の攻撃を受ける事がありながらも良好だった大分。
しかし16分に交代カードを使用し、弓場・藤本→野村・梅崎へと2枚替え。
良かった2人を退かせた事で、勢いが削がれる結果となります。
まあそれも、最終節故の何らかの思惑が絡んでの采配かも知れませんが。

弓場の位置に入った野村ですが、以降ビルドアップでは保田の脇でのプレーが目立ち。
つまりはドイスボランチ気味になっての繋ぎのスタイルで、オーソドックスな反面読まれ易い状況となってしまったでしょうか。

以降攻撃権を得た群馬、それに合わせるようにベンチも動き17分に佐藤亮→北川へと交代。(FWに入り、川本が左SHに・山中が右SHへシフト)
18分に川本の右→左へのサイドチェンジから攻め込み、アタッキングサードでクロス攻勢。
その後右奥からのスローインとなり、一旦奪われるも山中が即時奪回し、こぼれ球を北川がダイレクトでクロス。
これを香川がブロックするも、右腕に当ててしまった事で反則の笛が鳴り響きます。
エリア内なのでPKとなり、腕を畳んでいたか否か微妙なライン故に、猛然と異議を唱えた香川ですが得られたのは警告のみに終わり。
ともかく絶好機を得た群馬、キッカーは北川が務めてゴール左へシュート。
反応したGK西川の手を掠めてゴールに突き刺さり、1点を返しました。

1点差となったものの、依然として大分優勢は変わらず。
形は多少変わっても、22分に最終ラインからの繋ぎで群馬のプレッシングをいなして前進、サイドチェンジを絡めつつ好機を迎え。
右から野嶽のクロス、長沢が合わせにいくもこぼれ球となり、梅崎がシュートするも酒井がブロック。
跳ね返りをさらに保田がシュートしますがこれも城和がブロックと、先程の三連撃のような怒涛の攻めを必死に防ぐ群馬。

こうした凌ぎをプラスへ変換したい所でしたが、その後大分のラフプレー気味のボールキープにより、再度判定に悩まされる事態となり。
ピッチサイドから大槻監督の異議が激しく響く中で、群馬の反則で途切れた事によりピッチ内は騒然。
そんな現場から離れた所でも、長沢と酒井がヒートアップした末に主審に止められるなど、サッカー以外の部分で熱くなってしまいました。
カードは出ずに収まったものの、このタイミングで大分は選手交代、既に警告付きとなっていた長沢を退かせ。(伊佐と交代・同時に渡邉→中川へと交代、28分)

その直後の29分、左から中塩縦パス→平松ドリブル→川本と素早く運ぶ群馬。
川本の低いクロスがニアサイドの北川に収まり、そのままシュートが放たれましたがGK西川のセーブに阻まれ。
その後CKを二本続けたものの、途切れると再び大分ペースに移り、ワンチャンスを逃した格好となります。
伊佐投入後は、彼狙いのロングボールの割合も増やし、攻撃機会を確保しに掛かる大分。

何とか反撃の流れを得たい群馬、35分に平松→高木へと交代。
以降攻め上がるもののフィニッシュには辿り着けない流れとなり、41分にCKを得たというタイミングで最後の交代。
川本・天笠→畑尾・武へと2枚替えし、投入された2人による2トップで、高木がボランチに回る事となり。(さらに北川が右SH・山中が左SHにシフト)

その群馬の采配を受けて、大分もそのCKが反則で終わったのちに最後の交代。(42分)
鮎川→羽田へと交代し、羽田がリベロの位置に入る3-4-2-1での5バックシステムへとシフトします。

以降もフィニッシュを放てない群馬に対し、攻めのペースを落としながらも群馬のプレッシングをかわしていく嫌らしいスタイルとなる大分。
そのままアディショナルタイムへと突入し、後は逃げきるだけという段階。
しかしそんな中でも、敵陣でのキープの最中に突如ペレイラが上がっていき、エリア内でパスを受けんとした場面も見られ。
野村がそれを見て送ったパスはズレてしまい繋がらずと、実りませんでしたがカウンターを浴びなかっただけ良しと言うべきか。

そんな危ういか微笑ましいかという判断に苦しむ場面も作りながら、無事に2-1のまま試合を終わらせた大分。
敗れれば群馬に順位で抜かされる所でしたが、何とか回避に成功しました。

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