ぶらりドリブルの旅

ひたすらサッカー観戦がメイン

DAZN観戦 2023年J2リーグ第18節 徳島ヴォルティスvsFC町田ゼルビア

2023-05-31 16:33:40 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の徳島の記事はこちら(14節・大宮戦、3-1)
※前回の町田の記事はこちら(15節・ヴェルディ戦、1-0)

<徳島スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 渡が累積警告により出場停止。
  • 故障者のリリースは無し。推測されるのはベンチ外が続いているカカ・エウシーニョ・田向・石井・千葉あたりか。
  • 来季加入が内定している青木(日本大)が特別指定で15節から登録。

<町田スタメン>

  • J1川崎から松井が育成型レンタルで加入し、今節から登録。
  • 前節(清水戦、2-1)負傷交代した池田の詳細が発表され、全治8週間との事。

ここで触れた、藤枝が抱えていたジンクス破りを前節に達成されてしまった徳島。
「渡邉りょうがノーゴールでも勝つ」事を、出場停止で物理的に不可能な状況で綺麗に果たされる事となっての敗戦。(0-3)
それでもスタメンは不変で首位・町田との一戦に臨みました。
これで清水戦(13節・1-1)以降、出場停止の杉本(16節・金沢戦、2-0)以外は変更無しと、手応えを得ている以上今更1敗ごときで……という選択でしょうか。

ロングボール主体のパワーサッカーを展開する町田に対し、最後方からのビルドアップを中心に前進を図る徳島という判り易い絵図のサッカー。
ボールを握る時間帯が必然的に増える中で、どれだけ我慢ができるか。
その我慢とは、相手の堅守を崩せない事による焦りと、強力2トップを始めとするアタッカーの圧力への苛立ちという主な2点でしょうか。

前半3分の町田のゴールキック、右サイドへ密集を作ったのちに、GKポープは逆の左へロングフィードを送るというフェイントを早速敢行。
フリーで受けた翁長を軸とした左サイドアタックから、サイドチェンジを経て平河が右からクロスと、とにかく相手の逆を突く事で苛立ちの要素を増やさんという立ち回りを演じます。
そして続く4分には荒木が森昂に反則を受け、左サイドからのフリーキックを獲得。
キッカー下田のクロスからデュークが強烈なヘディングシュートを後方から放つ(枠外)という具合に、それにより生まれる相手の隙から一発で仕留めんとする町田。

7分の徳島は最終ラインからの右→左への対角線のロングパス、西谷がダイレクトで前へと送ると、受けた柿谷がドリブルを経てグラウンダーでクロス。
このニアサイドを突いたボールに杉本が走り込んでシュート、GKポープがセーブすると混戦の中こぼれ球となり、杉本・森海と立て続けにシュートを放ちますが至近距離でポープがいずれもセーブ。
際どいせめぎ合いとなりましたが、ゴールは割らせず。
ベテラン・柿谷の急所の突き方は一級品という感じで、町田の難攻不落の守備を破るキーとなる予感を孕ませます。

その後はお互い好機が生まれない時間が長くなり。
当然徳島は「ボールを握らされる展開」となり、後方でのパスワークで隙を窺うも果たせず……という状況に。
17分に森昂が縦パスを送ると、町田選手の間(3人)を通して玄に渡ったのちに前進。
西野のスルーパスで右奥で柿谷が持つ展開となったものの、奪われて終了。
先程の7分のシーンもロングパスを送ったのは森昂であり、前線のキーマンが柿谷ならば、後方はこの森昂の散らしという印象でした。

それでも町田の前線の圧力は、ただ居るだけでも相当なもの。
21分に自陣からのスローインで、安部が近くの杉本に渡そうとしましたがあろう事かファウルスローを取られ。
これで町田へと切り替わると、躊躇う事無く翁長がロングスローを入れる(シュートは撃てず)という具合に、判り易い武器によるプレッシャーに晒される徳島。
直後の22分には平河のドリブルを、後ろから倒してしまった西谷が反則・警告を受け、これで4枚目となり次節出場停止に。
この右サイドのFKから、キッカー下田はクロス気味に直接ゴールに向かうボールを入れ、GKスアレスは意表を突かれたものの正面でセーブ。
被害はどんどん膨らんでいきます。

一方西谷を窮地に追い込んだ平河も、34分には安部に対するアフターチャージで反則・警告。
これで平河も次節出場停止と同じ穴の狢となりましたが、この日はこれだけでは終わりませんでした。

試合の方は、徳島が攻めあぐみを見せる中で終盤を迎え。
ボールは握るものの思うように攻勢に入れないという、焦りを生みやすい状況を突きにかかる町田。
43分の左スローインから、受けた荒木がボールキープしながら逆走して徳島のベクトルを前に引き込んで逆サイドへ展開。
フリーの奥山政が縦パスを急所に送ると、そのベクトルの間を突くように綺麗にエリキに渡ります。
そしてエリア内に入り込んだエリキ、切り返しを経てのシュートでゴール左へと突き刺して先制。
徳島にとってはこの試合のように、プレッシングを掛けにいったギャップを突かれた格好でリードを奪われる事となりました。

前半残り時間は少ないながらも、やり返したい徳島は45分。
白井縦パス→柿谷受けて右へ展開を経て、玄が斜めに向かうドリブル。
町田のアタックを受けながらも右ポケットへ進入し、奥から入れられたマイナスのクロスをニアサイドで柿谷が合わせシュート。
これはチャンミンギュのブロックに阻まれ、続くアディショナルタイムでも西谷の左からのグラウンダーのクロスをニアサイドで受けた柿谷。
そして放たれたシュートもGKポープのセーブに防がれますが、立て続けのフィニッシュで後半に向けてファイティングポーズを保たんとする柿谷。

結局前半は0-1のまま終了し、ハーフタイムでの交代も無く。
徳島サイドは終了間際の好循環を保つ選択を取ったでしょうか。

そして始まった後半戦。
リードを奪った事で順風に見えた町田ですが、後半3分に左サイドで西谷がドリブルする所を、平河が後ろからアタックを掛けてしまう場面が。
西谷が倒れず推進を続けた事で反則とはならなかったものの、危うく2枚目という懸念が浮かび上がります。

前半同様に、最終ラインからの組み立てで打開を図る徳島。
それに対する町田は、前半からデュークがしきりにプレッシャーを掛けるものの、以前のように相手サイドバックにまで付いていく事は無く。
中央を開けないという意識をこの日は貫いており、徳島にボールを握られながらも破綻しなかったのも、これが陰の立役者となっていたでしょうか。

一方徳島の前進は、前半しきりに縦パスを受けて繋ぎ役を演じていた玄の出番が減り。
これも町田の対策の一環でしょうか、次第に左サイドから西谷の突破頼みという状況を強いられていきます。
しかしこれが後の転換期を演出した節もあり一概には言えず。

相手の攻撃を封じつつ、ロングスローなどで一発を狙う姿勢の町田。
そのロングスローは、右サイドからでも翁長が逆に来てまで敢行するという具合に徹底を見せ。
その影響もありサイドが入れ替わるという事案も何度か見られます。
今思えば、左サイドに移ってボールに関わっていた平河を見るに、結果論ですが本格的にサイド変更した方が良かったと振り返り。

その懸念が噴出したのが17分。
徳島は自陣で西谷がボールを受けると、「ドリブルさせてはいけない」という思いが溢れてしまったのか、それに後ろからチャージしてしまう平河。
西谷が倒れて反則を告げる笛が鳴り、たまらず平河に対して警告ならびに2度目によるレッドカードを突き付ける主審。(谷本涼氏)
ドリブルに入る前に敢行したチャージという事もあり、「若さ故の……」と嘆かずにはいられない退場劇となりました。

ともかくこれで10人での凌ぎを強いられる町田。
すかさず2トップ(エリキ・デューク)をともに退かせて藤尾と沼田を投入、藤尾1トップの4-4-1へと変更します。(荒木が右サイドハーフに回る)

一方の徳島は21分に玄→中野へと交代。
数的優位のため労せずして敵陣に入り込めるという状況で、中継役よりもアタッカーを重視したでしょうか。
その後徳島のビルドアップに対し、町田はプレッシングを仕掛ける余裕は全く無く。
自陣でのディフェンスも、サイドをある程度捨てる選択を採らざるを得なくなり。

そんな相手に対し、徳島は早い段階(20~25分ぐらい)で西谷の推進力を押し出し、サイドに意識を散らせたのちに縦パスを打ち込み中央を使いにかかるという立ち回り。
その中央では数的優位となったぶん、アンカーの白井も受け手を他に任せて前線へ張り出すシーンが増えていき。
そしてそれらが繋がったのが29分でした。
右サイドでの繋ぎを経て杉本が中央へ斜めの縦パスを送ると、エリア内へ入り込む白井を尻目に受けに入った柿谷が左足アウトサイドでのパス。
そしてフリーで受けた白井がGKポープの眼前で横パス、森海が合わせてシュートと完全に崩しきってのゴール。
同点に追い付き、一気に優位な立場へと移り変わりました。

町田は追い付かれた事で前への意識を高めに掛かりますが、そのプレッシングは殆ど機能せず。
揺さぶりであっさりとかわされ、結局は攻撃権を支配される状況に陥ります。
たまらずベンチが動き、34分に荒木→深津に交代。
判り易く5バックへと移行し、同点を保つ事を重視する姿勢を取ります。

しかしその直後徳島の右スローインで再開すると、間を入れずに送られた中野のクロスをクリアしきれずに右コーナーキックへ。
そしてこのCKからショートコーナーで右ポケットを突く徳島、奥から西谷の戻しを経て白井がシュート気味に中央へグラウンダーのボールを蹴り込み。
そして柿谷がまたもアウトサイドで芸術的な合わせを披露すると、ネットに突き刺さるボール。
町田の意に反して、徳島がセットプレーから揺さぶる展開となった末に、逆転に成功します。

必死の守備固めの策も実らなかった町田。
その後も5-3-1の布陣は弄らず、掛けざるを得なくなったプレッシングで何とか徳島のボール保持を阻みにいきます。

そして39分に最後の交代を敢行し、奥山政・下田→太田・安井へと2枚替え。
右サイドに移った翁長からの飛距離の長いスローインで強引に敵陣へ進入に成功すると、その後もロングスローの連続でエリア内を窺う攻撃を続け。
しかし状況は苦しい事に変わり無く。

アディショナルタイムに突入(徳島は森海→棚橋へと交代)し、尚もセットプレー中心に攻める町田。
GKポープがプレッシャーを剥がしてのロングフィードを送り、チャンミンギュフリック→安井エリア内からシュート(ブロック)が唯一のフィニッシュとなり。

そしてその後は徳島の時間稼ぎのターンに。
左サイド奥でスローインの連続に持ち込んで迎えた最終盤。
最後まで出場を続けた柿谷がここでも美技を見せ、左足アウトサイドでのスルーパスが絶妙に左サイド奥を突き。
受けた西谷からのマイナスのクロスは惜しくもシュートに繋がらずも、このスーパープレーで花を添えられた末に試合終了の時を迎えました。

ホームという舞台の中、柿谷デーと言っても可笑しくない内容で勝利を手にした徳島。
町田サイドは今季初の複数失点を喫したという具合に、今度は良い方向へのジンクス打破となりました。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J2リーグ第18節 ロアッソ熊本vsモンテディオ山形

2023-05-30 16:44:18 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の熊本の記事はこちら(13節・群馬戦、2-0)
※前回の山形の記事はこちら(15節・仙台戦、1-2)

<熊本スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 前節(水戸戦・3-0)出場停止となっていたGK田代がスタメン復帰。
  • 相澤の故障が発表され、4/25に発生して全治2か月との事。
  • 前節負傷交代した石川の詳細が発表され、5/25に手術実施して全治8か月との事。今季絶望か。
  • 来季加入が内定した藤井(中京大)が特別指定で前節から登録。

<山形スタメン>

  • 成瀬が水戸に移籍のため前節をもって登録抹消。形式的にはレンタル終了→再度育成型レンタル。
  • 15節に負傷した小西の詳細が発表され、全治4~6週間との事。

連戦が2週も組み込まれていた5月も今節で終了となり、月日が経つのは早いものだと実感する頃でしょうか。
その5月を、5戦で3勝を挙げているチーム同士の対戦。

しかし熊本はアクシデントに見舞われ、ストライカーの石川(9得点)を欠いて臨む事となり。
前節も2得点を挙げ、波に乗っていると思われた矢先の出来事であり。
オフの主力選手の大量流出から、ようやくチームが固まって立ち直りに成功していただけに、再びその懸念が蘇りかねない状況に。
払拭するには勝利が必須、という試合となったでしょうか。

そんな得点源の長期離脱という逆風を、前年味わった立場の山形。
その藤本は今季復帰したものの、入れ替わるようにデラトーレが離脱中と、センターフォワードのアクシデントは付き物といった感じの両チーム。

熊本のキックオフで始まると、後方で組み立てようとしたのに対して山形サイドは猛烈なプレッシング。
これによりスローインを得るという具合に、不安を抱える熊本に対して果敢に仕掛けにいった山形。
しかし要のCFが抜けても、スタイルの維持という面では影響は少なく。
最後方からのビルドアップの巧みさは何ら変わり無く、以降山形のプレッシングをいなし続けて好機を量産していきます。

果敢に熊本のボール保持に対抗姿勢を見せた山形。
前半9分にイサカのボール奪取から素早く前に運び、藤本のスルーパスを受けたチアゴが中央からエリア内を突くものの、熊本ディフェンスのチェックもありシュートはジャストミート出来ず。

一方の熊本もプレッシング意欲は旺盛で、13分には敵陣深め左サイドで松岡がボール奪取。
そのままカットインで左ポケットを突いてマイナスのボールを送ると、上村がミドルシュートを放ち、粟飯原に当たってコースが変わるもGK後藤雅がセーブ。
しかし安全な所に掻き出す余裕は無く、小さくこぼれた所をさらに大本が追撃。
枠に飛んで先制か、と思われたこのシュートを、戻った野田がヘッドでブロックと紙一重で凌いだ山形。
しかしこの決定機のシーンが暗示したように、以降も熊本の変幻自在の繋ぎに対して後れを取る事となります。

立ち上がりは右ハーフレーンに位置取る島村の動きが巧妙で、山形はワイドを意識するあまり繋ぎを許してしまう場面が目立ち。
これで色を失ったか、最終ラインにプレッシャーを掛けるものの、そうなるとアンカーの上村がフリーになるという具合に悪循環。
度々パスを通されては、前を向かれて自由に繋がれていたという印象で、アンカーシステムの相手への基本となる対策自体が疎かになっていたでしょうか。

こうして自由を得た上村に引き摺られるように、前線の選手も流動的にパスに絡んでいく熊本。
島村は中央~逆の左サイドにも張り出してパスを受けるようになり、その分ワイドの大本に多大なスペースが与えられて推進……という具合。

山形は決してやられっぱなしでは無く、半分を過ぎた辺りからは自身もボールポゼッションを高めて攻撃機会を増やし。
それでも現在のポイントゲッターはチアゴであり、サイドハーフである以上いかに彼に良い流れで渡すかがカギとなる状況。
熊本のプレッシャーを受けながらのそれは中々厳しいといった印象は拭えません。
30分には敵陣で川井が奪い、縦パス→藤本ポストプレイを経てアーリークロス、ファーサイドでチアゴが走り込んでボレーで合わせたもののその体勢は苦しく枠外に。

前半も終盤を迎えて再び熊本の攻勢が強まり。
そんな中42分に山形がチャンスを迎え、チアゴが左サイドを前進するもディフェンスに遭い、一旦戻したのち小野の中央へのパスをチアゴがスルーして國分に渡り。
そして縦パスを受けた藤本が左ポケットからシュートを放ちますが、ゴール右へと外れ先制ならず。
しかし熊本は山形の好機直後の緩みを見逃さず、ゴールキックを素早くフリーの上村に繋いで前進。
スルーパスで一気に左ポケットを取り、松岡のマイナスのクロスを粟飯原が合わせシュート。
GK後藤雅がセーブするもこぼれ球を再度粟飯原がシュートと、立ち上がりの決定機を彷彿とさせる連撃でしたが、2本目は熊本がブロックとまたもDFに防がれます。

攻撃機会では互角といった様相でしたが、以上の印象から熊本サイドがかなり押していた感じであった前半戦。
スコアレスで前半を終えたのは、山形サイドにとっては何よりの良薬でした。

後半を迎え、変わらず積極的な姿勢を取る山形。
しかし修正はしっかりと施し、國分が上村につきながらのプレッシングで自由を奪い。
こうなると熊本は上村を使わずに攻めるしかありませんが、その初手の後半2分、ロングボールを収めにいった粟飯原が野田に倒されるも反則の笛は鳴らず。
たまらずピッチサイドの大木武監督も激しく異議を飛ばすという具合に、前半の良好な流れが失われつつあったでしょうか。

そして結果に反映されたのはあまりにも早く。
3分の山形、敵陣で攻撃が途切れるも熊本の繋ぎに対してゲーゲンプレスを掛けて右サイドで國分がカット。
そして素早く左へ展開し、エリア内へラストパスがチアゴに渡る絶好機となると、前に出たGK田代を嘲笑うかのようにループシュートを放ったチアゴ。
ゴール右へと突き刺さり、ペースをひっくり返した象徴となる先制点を獲得しました。

これまでの展開からして、リードを奪われたショックは大きいといった熊本。
自覚は無かったかもしれませんが、流れ的に逆らう事が出来ず。
5分の熊本の攻撃、平川がドリブルで敵陣へ運ぶも、藤田息のチャージを受けた末に國分と縺れて倒れ込み。
その際に腕でボールに触れてしまった國分のハンドとなるも、またも(藤田息の)反則の笛は鳴らずというシーンに激高する大木監督。
それを受けて今度は主審も警告で返してしまうという具合に、不穏な空気が漂います。

反撃に転じようとするも、山形サイドが上村のチェックを欠かさなかった事で、前半とは異なり上村を安易に使えない状況に陥った熊本。(前半大いに利用していただけにそのギャップは甚大であっただろう)
繋ぎ役として平川が降りてカバーを試み、15分には大西縦パス→平川フリック→粟飯原ポストプレイ→平川スルーパスとダイレクトでの繋ぎで前進。
中央で島村が受けてエリア内を伺い、ディフェンスに遭ったこぼれ球を粟飯原が拾いシュート(小野がブロック)と、流れるような攻撃。
その直後の16分に粟飯原→大崎へ交代と、CFの穴を埋めるのに必死な采配を見せる大木監督。
前進は果たせているだけに、ポイントゲッターが決めて流れを変えたい所だったでしょう。

しかし追い打ちを掛けるように、18分に松岡が足を痛めて(攣って?)しまい担架で運ばれる事態に。
たまらず2度目の交代をせざるを得なくなったベンチ、道脇を投入して大崎を松岡の左ウイングへとシフト。

めげずに攻め込む熊本、20分に再び上村に代わって中継点となる平川を中心に前進、右サイドを推進した島村の縦パスでチャンスエリアで受け直した平川。
そして切り返しでブロックを剥がした末にエリア内からシュートを放ち、GK後藤雅がセーブしたボールをエリア内で大崎が詰めるという、前半同様の決定機が生み出されます。
しかし大崎のシュートは枠を捉えられず、左へと外してしまいモノに出来ません。

焦りを隠せない熊本サイド、直後には竹本のドリブルが藤田息に倒され、またも反則無しとなった事で紛糾するベンチ。
警告付きとなった監督の代わりと言わんばかりに、藤本主税コーチが激しく異議を飛ばした末に自身も警告を受けてしまいます。
その後も攻め上がるものの、流石に決定機を逃し続けていては見通しは暗く。
それを受ける山形サイドは峠を越したと言わんばかりに、24分に最初のカードに手を付けてイサカ・チアゴ→田中・横山へと2枚替え。(田中がトップ下に入り、國分が左SHへ)

何とか石川不在をカバーせんと、前線で動き回る道脇。
25分には山形のビルドアップに対してプレッシャーを掛ける余り、GK後藤雅に対してアフターチャージしてしまう一幕もあり。
それでも27分には、浮き球を収めた所を野田に後ろから倒されて反則と、ポストプレイヤーの仕事を果たします。
これで左ハーフレーン・エリアからやや手前という絶好の位置での直接フリーキックとなりましたが、キッカー平川の直接シュートは上へと大きく外れ。

どうしても得点出来ない熊本、時間が進むにつれて焦燥も激しくなってきたようで。
縦パス→フリックを多用しては繋げられずと、繊細なパスワークは影を潜める事となってしまいます。

逆に、32分に再び2枚替えを敢行(藤田息・國分→岡﨑・高橋)した山形は運動量の補填と共に攻め手も維持。
熊本の失速を尻目に攻勢に転じると、36分に南のロングパスを左サイドで収めた高橋が反則を受け。
このFKを素早くリスタートさせ、左奥を突いた小野のクロスがクリアされた事でさらにコーナーキックに移り。
ポジション争いでヒートアップを見せるなど、熊本の苛立ちも再び露わになる中、キッカー田中のクロスがクリアされるも逆の右サイドで二次攻撃。
そして川井のクロスをファーサイドで野田が叩き付けるヘディングシュート、大西が満足に競れずにGK田代も脇を抜かれてしまい、ゴールに吸い込まれます。
貴重な追加点はセットプレーで手にした山形。

ディフェンスの集中力も欠如した感が表れ、折れるのは必至といった状況の熊本。
キックオフの前に最後の交代を敢行(竹本・島村→田辺・藤田一、大本が右WGに回る)、何とか闘争心を維持せんとします。
必死にパスワークで前線へ運ぶも、逆に山形の守備は最後まで切れる事無く。
フィニッシュに辿り着けないまま、時間はとうとうアディショナルタイムへ突入します。

どうしても相手の壁を破れない熊本に対し、その隙を突く山形。(43分に藤本→吉田へと交代、高橋がCFへシフト)
中盤でボールを奪うと、小野が果敢にロングシュートを狙いにいき、GK田代が辛うじてセーブと3点目を意識させます。
そしてひたすら長いパスワークを演じ、プレッシングを掛ける熊本を嘲笑うかのようにマイボールを確保。
最後には左サイドに密集させたうえで逆へ展開→裏へのロングパスを通し、横山がGKと一対一に持ち込みます。
そしてGK田代をかわした末に、右奥から無人のゴールへと蹴り込んだ横山。
途中出場で3ゴール目と、スーパーサブとしての秩序を保った末に試合終了となりました。

一方厳しい試合となった熊本。
どれだけ良い流れを作っても、やはりフィニッシュを決められなければこうなるといった展開に綺麗に陥ってしまい。
特に道脇・大崎の2人は、個人レベルでも早く初ゴールが待たれる状況でしょう。

Jリーグランキング にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J3リーグ第11節 カマタマーレ讃岐vs奈良クラブ

2023-05-29 16:00:30 | サッカー視聴記(2023年その他)

<両軍スタメン>

  • 当初は逆のコートでスタート予定も、コイントスでコートチェンジし結局ホームチームが(メインスタンドから見て)左側でスタート。

天皇杯1回戦が挟まったため、2週間ぶりの開催となったJ3リーグ。奈良は早速HondaFCの洗礼を浴びたようで
完全DAZN民である自分にとっては待ち遠しかったものの、来季からはそのDAZN中継も切り離されてしまう事が決定済み。
チェアマン・野々村芳和氏は「視聴手段は確保する」と約束したものの、秋春制への強行的な移行を唱える辺り弱者切り捨ての雰囲気が高まりつつある近年のJリーグ故、予断は許さない状況といえますが果たしてどうなってしまうか。

ネガティブな話はこれぐらいにして、今季からそのJリーグへと参入を果たした奈良。
FC大阪とともに関西勢が加わったのみならず、関西大都市圏の外であるクラブから初の参入という事で、歴史的快挙と言えるでしょう。
しかしその道のりは波乱を極め、新規参入を目指してJFLリーグを戦っている最中、度重なる入場者数の水増しが発覚。
そのためJリーグ百年構想クラブから失格処分を下される事態となり(のちに解除)、「闇雲に昇格を目指しても、待っているのは破滅」という思いに至ったでしょうか。

それでも前年の参入決定にあたっては、入場者数が最後の壁となり。
JFLでカズ人気驚異的な集客力を誇っていた鈴鹿ポイントゲッターズとの試合に何とか救われた格好で、駆け込みでクリア。
そしてJFL優勝を決め、とうとうJリーグの舞台に足を踏み入れる事となりました。

サッカー的には、スペイン出身のフリアン監督の下組織的なサッカーを繰り広げるという、欧州スタイルを積極的に取り入れているであろうクラブ。
早々に選手のキャリアを諦め15歳の時点で指導者への道を歩み始めるという、変わり種であるフリアン氏の執念が、今ハッキリとした形で表れる……とまでは言い過ぎか。
ともかくまだ序盤ながらも、1年目から上位争いを繰り広げている奈良。

そんな新星の存在で、Jリーグ経験は詰みあがっているものの相対的に下部への振るい落としに遭いつつある讃岐がこの日の相手。
先輩の意地を見せたい讃岐は、立ち上がりのトランジション勝負の時間帯で好機を作り。
前半2分右サイドで森勇がボール奪取してすかさず前線へスルーパス、受けて起点を作った赤星から中央へ展開。
そして長谷川縦パス→福井ポストプレイでエリア内を抉った末、川崎がダイレクトシュートを放ちましたがGKアルナウがセーブ。

いきなり決定機となりましたが、5分には逆に奈良がトランジションの連続を経て好機を作り。(左から嫁阪がクロスを入れるも撃てず)
続く6分にはネットを揺らされ(堀内のミドルパスを浅川がエリア内で受けてシュート)てしまいますが、オフサイドで何とか命拾いします。
直後のフリーキックでのロングフィードから(赤星のフリックで)またも決定機を迎える讃岐、森勇のグラウンダーのクロスから、福井がトラップで裏へ抜け出してシュート。
しかしまたもGKアルナウがセーブ、跳ね返りに詰めた赤星のシュートもアルナウが前に出てブロックと、最後の壁を破れず。
開始からともにゴールに極限まで近づく試合展開と、トランジションに頼るサッカーでは落ち着きを得られないのは確か。

その後試合を落ち着かせようとしたのは奈良の方で、GKを含めてのショートパスでのビルドアップにより、ポゼッションを増すお決まりの流れとなり。
しかしそれが本格化する前に、讃岐のプレッシングに引っ掛かります。
14分自陣右サイドでのスローインからの繋ぎで、寺村のダイレクトパスがあろう事か中央で奪われる事態に。
拾った福井が溜めを作ったのち長谷川→森勇と経由して右ポケットを取り、森勇から放たれたシュートがニアサイドを破ってゴールに突き刺さります。
これだけショートカウンターのお膳立てが揃えば決められない方が問題というような、先制点を挙げた讃岐。

このリードを最大限に活かす事が求められる讃岐。
しかしそれは果たせず、17分逆に自身のビルドアップのミスで失点してしまいます。
左サイドから中央、つまりGKへと戻されると、ワントラップを経てフィードを蹴りにいくGK高橋拓。
しかし猛烈に詰めた酒井のブロックに遭うと、そのままボールはゴールに突き刺さる事となり。
近年は足下の技術も求められるGKという職業、猛烈なプレッシャーを受けたこの場面での正解は切り返しで酒井を剥がす事だったでしょうか。(次点で右に開いたDFへのパス)
早まったか、相手のプレッシャーを過小評価していたか……といった同点劇となりました。

振り出しとなり、奈良のビルドアップを良く見てみる事に。
ポジション取りは普通のアンカースタイルに、インサイドハーフの降りを加えるというオーソドックスな形。
しかしそのパスワークに一ひねりといった感じで、形式的な段階的では無く、一つ飛ばしのパスを多用してプレッシャーに対抗するという意識が強く。
例を挙げると右センターバック→左CB→左サイドバックと渡し、詰まればまた左CB→右CBと戻すのが一般的ですが、この日の奈良は左SBが直接右CBまで届けるパスを送る事が目立ちました。
右CB→左SBへのパスという逆も然りで、またSBに届ける所を、ウイングが降りてきて受けるという具合に変化を付けるパスの受け手。

パスを回す中、周囲を良く見て空いた所を効果的に使う姿勢が伺えたものの、同時にそれは通常より難易度が高まるのも確か。
25分にはまたパスミスから好機を作られ、右サイドで森勇がボールを持つ場面となり。(森勇が相対したDFの股抜きを狙うもロスト)
その後も28分・32分に立て続けに自陣でボールを失って危機を招くなど、未だ発展途上といった所でしょうか。

一方の讃岐は、跳梁する右サイドハーフの森勇ですが、それ故周囲より一歩抜け出していた印象を受け。
これを見たベンチは25分過ぎ辺りから配置を弄り、攻撃時には森を右シャドー・臼井を右ウイングバックとしての3-4-2-1気味に移行する可変を採るようになります。
その際ベンチから「(森)勇人に伝えて」という指示が上がるという具合に、彼の人並外れた?前残りと攻撃能力をバランスを崩さずに何とか有用とするような思考からだったでしょうか。

試合の方は、立ち上がりの慌ただしさから一転し中々フィニッシュ数が膨らまずに推移。
やきもきする状況はボールポゼッションで上回る奈良の方、という展開ですが、終盤に来て流れを手繰り寄せ。
42分に左サイドでの嫁阪のドリブルが契機となり、パスワークを経て左奥を突いたのち、戻しを経て加藤の手前からのクロス。
これが大外奥での浅川の折り返しに繋がり、酒井がこれを足で合わせましたがGK高橋拓の眼前でのセーブに阻まれます。
この後そのボール保持力を活かし、(GK以外)全員敵陣に進入して攻めるシーンも作る奈良。
アディショナルタイムにはそれを逆手に取り、寺村のロングパスで一気にエリア内右を突くと、酒井が走り込んでダイレクトで浮かせたボールがGK高橋拓を越えて中央へ。
そこに後方から中島が走り込む際どい好機となったものの、クリアされて実らず。
奈良はシュートこそ2本止まりでしたが、攻めの形は示した格好となったでしょうか。

前半を1-1で折り返し、交代無く始まった後半戦。

前半は長短のカウンターによる攻撃シーンが目立った讃岐、後半1分には川崎の飛距離の長いスローインから、跳ね返りを拾ってからの好機。(シュートまではいけず)
これにより、ポゼッションを高める奈良に対してアバウトな攻撃の意識が高まったでしょうか。
7分にこぼれ球を回収したのち最終ラインからの攻めで左サイドを突き、福井のクロスをファーサイドで森勇が合わせるものの撃ちきれず。
繋ぎたい意識はあったでしょうが、後半奈良の動きが良くなった事で果たせなかった印象を受け。

前半に比べてIHが降りる頻度が増え、その分SBが前へ出るといった奈良の攻撃。
8分にはその寺村のドリブルで赤星の反則を誘い、右サイドからのFK。
キッカー可児ファーにクロス→嫁阪折り返しを経て、トラップした加藤のボレーシュートが放たれるも枠を捉えられず。

その後も高めに上がるSBを利用し、主に左サイドで推進していく奈良。
それによりCKも多く獲得と、押し込む流れを得た事で何処かで一本……という展開となります。

一方凌ぎを強いられる讃岐。
攻撃ではロングボールを前線へ送るも繋がらず、守備では押し込まれた事で時折5バックと化すシーンも見られるなど、厳しい状況に。
ベンチも最初に動いたものの、それは20分というやや遅めのタイミングと、必死に天秤にかけていた節があり。
2トップを揃って代え、赤星・福井→鳥飼・岩岸へと交代しました。

しかしその後最初に決定機を迎えたのは奈良。
24分に鈴木がドリブルで前進と、「スペースがある時はCBは持ち運ぶ」というビルドアップのセオリーを見せたのちに左へと縦パス。
受けた嫁阪は一旦奪われるも、自力で奪い返してクロスに辿り着き、これをニアサイドで受けた浅川はワントラップからのバイシクルシュートに持っていきます。
これを前に出て防ぎにいったGK高橋拓、至近距離で顔面でセーブという形となり、防いだものの倒れ込んでしまう高橋拓。
その絵図は2分近く続き、何とか立ち上がりプレーを続ける気合を見せましたが、その後も押し込まれる讃岐という絵図までは変えられません。

奈良のCKが2本続いた(2本目から鈴木がヘディングシュートもGK高橋拓がキャッチ)のち、一向に上向かない讃岐はポジションチェンジを敢行。
SB同士を入れ替え、臼井が左・奥田が左という配置になります。
一方奈良ベンチの采配は、28分に嫁阪→西田へと交代し、浅川が左WG・西田が右WGに。
さらに35分に2枚替え、可児・中島→山本・片岡と、IHをそっくり交代。

32分にまたも奈良のパスミスでショートカウンターになりかけた(エリア内で鳥飼が拾うも撃てず)所で、讃岐は対抗心を取り戻し。
奈良のビルドアップに対し、ボランチ以前の6人が敵陣で構える体勢を取って迎え撃ちます。
言わば「8対6」というビルドアップvsプレッシングのスタイルで、GKまで含める奈良に対し数的不利は否めないものの、その後は容易に運ばせず。
そして37分の讃岐の攻撃、右サイドで森勇がカットインと見せかけてスルーパスを出し、走り込んだ岩岸が奥からクロス。
これをニアサイドで鳥飼がヘディングシュートに持っていくと、対角線を突いたものの左ゴールポストを直撃と、際どいシーンが生まれます。

再び互角の様相となりつつある中、讃岐は38に川崎→武下へと交代。
奈良は40分に寺村・酒井→都並・森俊介へ交代(浅川がCFへ回る)と、共に最後のカードを切って最終局面に。
交代で入った武下は、ラフに左奥へと送られたボールに対し同じく交代で入った都並を追い越して拾う(42分)など、スピードを活かしそのカードの優位性を見せ付けんとします。

それでも判定の面で森勇・長谷川が警告を受ける等、やや苛立ちを目立たせていた讃岐。
アディショナルタイムにはその所為か再び奈良ペースへと移り、迎えた奈良のポゼッションによる攻撃。
ここも鈴木の持ち上がりからスタートし、既にそれを止める体力の無い讃岐を尻目に敵陣に入り込む奈良。
左→右への展開を経て、ワイドで持った西田が臼井の股抜きカットインを試みると、果たせずにエリア内へこぼれたボールがドラマを生み出します。
つまりは拾いにいった片岡が武下と交錯して倒れると、非常に際どいながらも主審は反則の笛を鳴らし、PKという結果が齎され。

まさに土壇場で得た勝ち越しのチャンスで、絶対に決めなければならないキック。
キッカーは4月月間MVPに輝いた、ゴールゲッターの浅川。
周囲の選手双方がペナルティアークを取り囲むように位置取り、満を持して放たれたゴール左へのシュート。
しかしGK高橋拓は読みきってセーブ、これを躊躇わずヘディングで詰めにいった浅川。
逆方向を襲ったボールに必死に飛び付いた高橋拓、バウンドを経てゴールに入らんとする直前で、片手で掻き出しに成功します。
まさに紙一重での凌ぎにチームメイトの祝福を受けるGK高橋拓、その一方でゴールラインを割ったかどうかで異議を唱える奈良サイド。

そのどさくさに紛れて、クリアでゴールラインを割ったにも拘らずゴールキックで再開と、齎された熱気が判定をも有耶無耶にしてしまい。
奈良にとっては不可解ぶりが二重三重にも重ねられた格好となり、尚も攻め続けましたが勝ち越し点は奪えずとなり。
1-1で引き分けとなり、奈良は手中にしていたはずの勝ち点3を失った格好で終わってしまいました。

にほんブログ村 サッカーブログ J3へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J2リーグ第17節 ファジアーノ岡山vsザスパクサツ群馬

2023-05-25 16:02:47 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の岡山の記事はこちら(13節・山形戦、2-0)
※前回の群馬の記事はこちら(13節・熊本戦、0-2)

<岡山スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 佐野・坂本の2名がU-20代表に選出、U-20ワールドカップアルゼンチン大会に参加のため離脱中。
  • 木村の負傷が発表され、5/2に手術をして全治3か月との事。
  • 来季加入内定の藤井(飯塚高)が特別指定で登録?

<群馬スタメン>

  • 14節(山口戦、2-1)ハーフタイムで交代した長倉が以降ベンチ外。故障か?
  • 14節に武・川上エドオジョンが復帰してスタメン出場。
  • 15節(磐田戦、2-4)に高木彰が復帰してスタメン出場。
  • 来季加入が内定した田頭(東洋大)が特別指定で登録。

ここまでの16戦で11引き分けと、驚異的なペースで引き分けを重ねている岡山。
前年J2新記録を作った徳島(23)をも上回るペースであり、可笑しな成績だと他人事のように見ていたら、自身にもそれが降りかかってしまったという感じでしょうか。(邪推)

その甲斐あって11戦無敗を継続中ですが、そのうち9戦が引き分け。(2勝)
勝ちきれないという印象は15節(大宮戦、1-1)の、後半アディショナルタイムに追い付かれるシーンで色濃く表れるに至りました。
前年からベースとなるメンバーは大きく変わっている訳では無く、何処かで浮上に転じなければプレーオフ圏争いすらままならないでしょうが、断ち切る事が出来るか。

群馬をホーム(シティライトスタジアム)に迎えての一戦。
何処と無く硬くなりがちな近況のなか、それを突くように入りから積極的に好機を作る群馬。
前半2分に左サイド奥でのスローインから、返しを受けた中塩のクロスが上がり、ファーで佐藤の折り返しで好機。
誰が撃つのか混戦のなか解り辛い状況で、放たれた高木彰のシュートをGK堀田がキャッチすると、すかさず彼からのスローにより組み立てる岡山。
河野のチアゴへのミドルパスはカットに入られるも、櫻川が拾って左へ展開すると、推進を見せるのは今季初スタメンの高橋諒。
パス&ゴーで仙波のスルーパスに走り込み、左ポケット奥から入れたマイナスのクロスをチアゴが合わせて揺れるゴールネット。
最初の好機で先制点をゲットと、高橋諒という新星(といってもベテランに近い年齢ですが)の活躍もあり「今日こそは……」と岡山サイドは盛り上がります。

勢いを増す岡山は、4分にロングパス攻勢で前進、裏への浮き球に走り込んだ櫻川のダイレクトシュートが放たれるもGK櫛引がセーブ。
しかしコーナーキックへと移行し、クロスの跳ね返りが小さくなった所をバイスがボレーシュート。(ブロック→バイスが再度シュートも枠外)
順調と思われたペースが乱された群馬を尻目に、好機を確実にフィニッシュに繋げていきます。

群馬が右肩上がりでのビルトアップの姿勢を取るのはお馴染みですが、岡山サイドも、鈴木が中寄りに絞りつつ同じ姿勢を取るチーム。
4-4-2の基本布陣だけでなく、そこからの可変具合もミラーゲームといった感じ。
これは自分が最近視聴した試合(仙台vs山形、J1の柏vs神戸)でも同じような趣が見られたものであり、最近のトレンドなのでしょうか。

その前に出た河野を中心として、右サイドから攻め立てる岡山。
逆の左サイドでの推進から先制ゴールを生み出しただけに、対の選択肢として非常に有効となり。
13分には左から仙波がサイドチェンジ、受けた河野は周囲とのパス交換を経て裏へのミドルパスに抜け出し、奥からカットインで右ポケットを突き。
そしてマイナスのクロスに合わせにいくチアゴと、先制点の場面と対称の絵図になったものの、チアゴは打ち切れず。

群馬はボールポゼッションによる攻めの形を作らんとするも、ビハインドとなったのちはそれが叶わずにズルズルと時間を過ごし。
中々主導権を握れず迎えた25分、躍起になるかのように、GK堀田にまでハイプレスを掛けにいく前線。
無理矢理にでもペースを上げにいったのは明白な動きであり、それに釣られるように流れを奪い取ります。

29分の群馬のビルドアップ、天笠が岡山2トップの間で構え、風間が左サイドに開くというボランチの位置取りで行われるパスワーク。
位置を変えた風間が目線を釣りつつ、センターバックが2トップの間の天笠へとパスを通すという形で揺さぶるという意図でしょうか。
ここから前線に運ぶ事に成功し、16本パスを繋いで(道中風間の左→右へのサイドチェンジを挟む)ボックス内へと持っていく攻撃。(岡本が右から折り返すもフィニッシュには繋がらず)
これで潮目が変わり、続く30分も岡山のプレッシングをかわしきって敵陣で攻撃を展開、右サイドからレーンチェンジを繰り返して中央エリア内を突き。
そして高木彰のポストプレイから、天笠がコントロールシュートを放ったものの惜しくもゴール左へと外れ。

この流れを逃したくない群馬、32分には天笠の中央突破がチアゴの反則で止められた(チアゴに警告)事で、中央からの直接フリーキックに。
キッカー佐藤は岡山サイドが入念に作ったその壁を越すシュートを放ち、右上を襲いGK櫛引も反応できずとなりましたが、ゴールバーを直撃してしまいゴールならず。
尚もこぼれ球を繋いでクロスの応酬に持っていく群馬、2度目の中塩のクロスの跳ね返りを岡本がボレーシュート、ブロックされるもさらにエリア内へと繋いで佐藤がシュート(ブロック)と攻め立て。
連撃を放つも岡山の最後の守備はやはり堅く。
44分にも迎えた決定機、天笠のミドルシュートが柳にブロックされ、尚も拾ってエリア内を踏襲したのちに左へ展開。
そして山中のクロスからファーサイドで岡本がボレーシュートと、密集からの展開を経たフィニッシュがGK堀田を抜いたものの、ゴール寸前でバイスの頭でのブロックで防がれてしまいます。

前半も終盤に、大きな決定機逸となった群馬。
その後ATに、畑尾が強引な放り込みをエリア内へ送るも、キャッチしたGK堀田の素早いフィードから岡山のカウンターを招くというシーンも作り。(チアゴがエリア内からシュートも枠外)
落胆模様も窺わせつつ、前半終了となりました。

しかし岡山も同様に、押し込まれ続けたという事実に焦燥を深めていたでしょうか。
後半2分に最初に攻撃機会を得るも、バイスのラフなロングパス→櫻川落としという強引な作り方。
その後右からの櫻川のクロスがクリアされると群馬のカウンターを招き、左サイドで高木彰スルーパス→山中ドリブルと素早く運んで奥を取り。
高木彰と被ってしまった事でスピードダウンするも低い弾道でクロスを入れる山中、岡山はこれを河井がブロックしますが左腕に当たってしまい、ハンドを取られるとPKに。
キッカーを務めた佐藤がゴール右へと蹴り込み、GK堀田は反応するも届かずゴールに突き刺さり、同点に追い付きます。
エリア内か外か微妙な位置だっただけに、岡山は納得し難い判定となってしまいましたが、前半終了間際の群馬同様に容易なカウンターを受けてしまう攻めをする方が悪いと納得するしかないでしょう。

同点になった事もあり、新たな攻め方を模索する岡山。
攻撃時の3バックは距離感を広くし、バイスが右・鈴木が左のワイドに張る姿勢を目立たせます。
そしてそこから仕掛ける左サイドアタックも、高橋諒の跳梁が目立った格好となった前半から、鈴木と高橋諒の2人で崩さんとする形へとシフト。
9分にはその攻撃から掴んだCK攻勢で、2本目の左CKから河野のファーサイドへのクロスを柳がヘディングシュートに持っていくも、ワンバウンドの末ゴール上へと外れ。

一方の群馬は11分にベンチが動き、佐藤・高木彰→エドオジョン・北川へと2枚替え。
同点ゴールを挙げた佐藤を退かせ、前節(水戸戦、2-1)勝利の立役者であるエドオジョンを投入してきました。(左サイドハーフに入り、山中が右SHへシフト)
そのエドオジョンは14分に左サイドを抉り、北川とのワンツーを経て奥からクロスを上げると、平松のヘディングシュートが放たれましたが枠外に。

対する岡山も15分、櫻川→ルカオへと交代。
前半の先制ゴールの際は、子供が生まれたとの事でパフォーマンスの中心となったルカオ、そのプレーぶりにも期待されます。

お互い前線にスイッチを入れ、ぶつかり合った結果優勢となったのは群馬。
エドオジョンの推進力が要となる左サイドアタックに加え、北川のポストワークも絡む事で岡山サイドは中々掴まえられず。
しかし前半とは違い容易にシュートには繋げられない群馬。
決定的な形を作りたいという状況で、22分に持ち込んだカウンターは北川のポストワークを経てエドオジョンが左サイドを駆け上がるという、理想形が詰まった攻撃に。
そのまま奥を突けるという場面で、エドオジョンは右足アウトでのアーリークロスを選択、グラウンダーのボールに後方から天笠が走り込んだものの届かずGK堀田が抑え。
この全力ランで力を使い果たしたのか、25分に天笠→内田へと交代します。(とはいっても毎試合後半の早い段階で退いていた天笠)

一方の岡山は29分に再び動き、田中・河井→高木友・田部井涼へと2枚替え。(兄の田部井悠はこの日ベンチ外)
高橋諒を右SHへ移すという具合に、こちらもポジションチェンジを絡めて来ました。

それでもペースを変えられない岡山ですが、群馬サイドも勢いを失い、中々好機が生まれない展開に。
一応それなりに攻撃機会を得ていた群馬も、天笠交代のようなスタミナ切れを窺わせる姿勢を見せてしまった事が災いしたでしょうか。(連戦にも拘らず前節からスタメン変更は無し)
31分にはCKからの二次攻撃で、左サイドから風間がクロスを入れる場面となるも、シュート風味で蹴られたボールは精度を欠いて逆サイドへ逸れ。

そんな相手を見て、有利とすべく35分に最後の交代を敢行する岡山。
チアゴ・高橋諒→ムーク・本山へと2枚替えし、本山がボランチに入る事で仙波が右SHへと回り。
直後の攻撃で、その仙波のドリブルを反則で止めた中塩が警告を受ける等、攻撃的な位置へと回った仙波の対応に難儀する群馬。

そして37分にCKに持ち込むと、二次攻撃で河野のラフな放り込みに対し、強引に合わせにいったルカオとクリアしきれない群馬ディフェンスにより混戦が生まれ。
エリア内中央で足下にこぼれたボールをムークがシュートしますが、GK櫛引がセーブと何とか防ぐ群馬。
一気に守勢となり、39分に山中→武へと交代(北川が右SHへシフト)と最後の手を打ち巻き返さんとしますがそれは叶わずとなりました。

40分とうとう均衡が破れる時が訪れ、左からのスローインで直接左ポケットへと入れ、胸トラップしたルカオが浮き球のままバイシクルでクロス。
これをムークが綺麗にボレーで合わせ、ゴールへ突き刺します。
セットプレーで乱戦に持ち込んだ末にモノにするという、前年の岡山らしいゴールとなりました。

再びビハインドとなった群馬。
尚もCKへと持ち込み時間を使いにかかる岡山に対し、攻める力はどれだけ残されているか。

アディショナルタイムへと突入し、頼りはエドオジョンの突破力とばかりに左サイドから攻め。
左奥でのスローインからパス交換の後にエドオジョンのクロスが上がり、武がヘディングシュートを放つもののGK堀田がキャッチ。
体力が余っている途中交代組を軸とする他無く。
再び左から攻め、今度はエドオジョンのパスを受けた武が左ポケットを突いてクロス(ブロック)と、変化を突けるものの実らず。
その後クロスの跳ね返りを拾った風間がミドルシュート(ブロック)というフィニッシュも生まれましたが、最後まで同点ゴールは生まれませんでした。

試合終了の笛が鳴った瞬間、数多その場に倒れ込む絵図を作った岡山選手。
それだけ1勝の重みが段違いという今季の成績であり、接戦を制しての勝ち点3は浮上の切欠となるでしょうか。

にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DAZN観戦 2023年J2リーグ第17節 ツエーゲン金沢vsヴァンフォーレ甲府

2023-05-24 16:50:07 | サッカー視聴記(2023年J2)

※前回の金沢の記事はこちら(14節・大分戦、3-4)
※前回の甲府の記事はこちら(10節・栃木戦、1-0)

<金沢スタメン> ※()内は前節のスタメン

  • 13節(栃木戦、0-4)で負傷したGK中野の詳細が発表され、全治6週間との事。
  • 前節(徳島戦、0-2)負傷交代した嶋田はベンチ外に。

<甲府スタメン>

  • 負傷離脱していた武富が15節(千葉戦、0-1)に復帰し途中出場、前節(秋田戦、1-0)からスタメン。
  • 負傷離脱していたジェトゥリオが前節復帰し途中出場。
  • 井上詩音がプロA契約を締結。

最前線にウタカ・殿にGK河田が控えている以外は、何処と無く地味な印象の今季の甲府。
それを象徴するかのように、7節以降複数得点試合が皆無という、ある意味喜劇的なスコアでリーグ戦を過ごしており。
つまり過去10戦は5勝5敗という完全五分な成績ながら、得点は常に1点以下であり、勝利の全てがウノゼロとなっています。

もっと語るならば、7節・清水戦以外の4勝(栃木・町田・いわき・秋田)は、全てパワーサッカーの趣があるクラブから挙げているという具合に傾向がハッキリしており。
フィジカルで押し込んでくるチームに対し、ウタカ・河田を中心としたゲームコントロールが冴え渡るものの、それ以外のチームには相性が悪いといった所でしょうか。
先制しても逆転される試合も多く(長崎・群馬)、果たしてこのまま1-0を目指す(意図しているかどうかは不明)だけで良いのかどうか。

この日の相手は金沢で、縦に速いアバウトな攻めという特徴こそパワーサッカーに近いものがありますが、最近は能動的な崩しにも挑戦しているチーム。
自身のペースに持ち込む事が出来るかどうかで、克服して自信に繋げたい所。

前半1分にはやコーナーキックを獲得した甲府。
その右CKから、キッカー長谷川のクロスを中央でウタカが合わせ(ブロックに当たり枠外)早々にフィニッシュシーンを作ります。
引き続きの右CKは不発となり、その後遅れて立ち上がりのボール争いの時間がやってきますが、それを制すると再び攻撃権を奪取。

10分過ぎぐらいまでは、金沢に攻撃機会を作らせずに試合を進めた甲府ですが、次第に勢いは削がれていき。
12分の金沢の最初の攻撃、トップ下の加藤を中心にパスを繋ぎ右サイドを前進し、エリア手前で遮断されるも加藤が拾った事で2対2のデュエルが発生。
小島と協力してボールを確保した加藤、そのままエリア内へ入り込んでシュートしますがGK河田がキャッチ。
こちらも初の攻撃機会をフィニッシュで終わらせると、堰を切ったかのように金沢ペースに移り変わります。

ダイヤモンド型4-4-2という、変則的なフォーメーションの前線の守備相手に苦戦を強いられる甲府。
金沢は前年も同様の形を取る事がありましたが、あの時は守備時のオーソドックスな4-4-2から、攻撃時はサイドハーフの嶋田がトップ下へ可変するというシステム。
しかし今回は守備時も加藤は中央のままで、前線の人数を増やしてプレッシングの圧を高める姿勢を取り。
GK河田も前に出てビルドアップに加わる余裕は無く、サイドに送っても前回のような素早い寄せに遭い前進は中々出来ず。
それでもアバウトなパスを出せている分まだ良かったですが、21分とうとう目も当てられない危機が。
ショートパスでのビルドアップで打開を図った甲府ですが、降りて受けに来た武富も小島に付かれた事で、戻しを選択せざるを得ない状況に。
そして佐藤のバックパスがあろう事か林の足下へと渡る事案が発生してしまい、そのまま放たれたシュートをGK河田がセーブと、紙一重での凌ぎとなってしまいました。

普通にやるのでは前進は果たせないので、違う手段が欲しい状況。
26分、左へ開いた蓮川がボールを持つと、そのまま自陣エリア内へと流れてボールキープ。
そして金沢の前線2人が寄って来た所を右へ浮き球のパスを送った事で打開し、右サイドから敵陣へ運ぶ事に成功します。(最後は佐藤のエリア内へのミドルパスが繋がらず)
流石はJ1所属(FC東京からのレンタル)という事で、その技術力を見せ付ける蓮川。
しかし33分、林に右サイド深めで奪われてまたもショートカウンターの危機に晒され。
奥へと切り込む林に対し、蓮川がカバーに入って何とか凌ぐ甲府。
その後も度々際どい所でのカバーも強いられた蓮川、攻守双方でキーマンとなる中々厳しい役どころとなったでしょうか。(この日が今季3試合目のスタメン)

そして金沢はこの好機以降、甲府に攻撃機会を与えない程の攻勢に持ち込むという、立ち上がりとは真逆の展開に。
最前線のウタカに中々好機が訪れず、そのメンタルが不安になるかのように、今度は前線のプレッシングが甘々となる甲府。
37分には金沢の最終ラインから右への展開に対し、武富の寄せが甘くあっさりパスワークで前進を許すと、間延びしてしまった事で自陣で数的不利の守備に陥り。
ここもポイントゲッターの林に渡ると、中央から放たれたミドルシュートをブロックして事無きを得ます。
プレッシングの意識はあるものの、どうしてもウタカの運動量という問題を抱えているので何処かで甘くなるのは避けられず。
そして中途半端となる結果中盤に広大なスペースが出来るので、金沢に上手く運ばれる下地をみすみす渡してしまっていたという状況でしょうか。
41分、孫のロングパスは跳ね返したものの中盤で拾われて攻撃継続。
右サイドでの細かい繋ぎから、加藤のエリア内への浮き球パスに走り込んだ杉浦がヒールでポストプレイと、変化で揺さぶった末に加藤がシュート。
しかしこれもGK河田がセーブと、弱点を突かれての決定機も何とか防ぐ甲府。

河田含めた最終ラインの奮闘が光った一方で、前半は最後まで攻撃に出られず。
そのまま前半が終わり、事態を重く見た篠田善之監督はハーフタイムで2枚替え。
武富・宮崎→三平・荒木へと2枚替えし、長谷川が左サイドハーフにシフトと、2列目の3人を弄って来ました。

幕を開けた後半。
最初に攻撃機会を得たのは前半と同じく甲府で後半2分、プレッシングで追い込まれた末の井上ロングパスでしたが、ウタカが落下点に入った事で跳ね返りを拾って好機に持ち込み。
そして長谷川の左ポケットへのスルーパスで左CKと前半と同様の展開を描き、キッカー長谷川のクロスを中央で合わせにいくウタカ。
これが孫との競り合いの末に背中に当たって浮き上がり、そのボールを井上がヘディングで押し込み右サイドネットを揺らし。
しかしオフサイドを取られ、三平が異議を唱える等不満の残るジャッジとなりましたが、先制点は幻に。(ウタカの背中に当たった事はピッチレベルでは判り辛い)

その後も6分にパスワークでの攻めを展開、長谷川左からカットイン→エリア内へ縦パス→荒木ポストプレイで抉ったのち、須貝経由の末に佐藤がミドルシュート。(GK白井セーブ)
HTを経てビルドアップの下地は整ったかに見えましたが、これも次第にロングボールを蹴らされる場面が増えるなど徐々に効果は薄れ。
9分にGK白井が浮き球を抑えて素早くカウンターに持ち込む金沢、低い弾道のロングフィードを一気に通し、胸で落とした林が加藤のスルーパスに走り込む絶好機に。
蓮川がここもスライディングで間一髪カバーと、際どい凌ぎとなります。

お互い1分毎に好機を作るという慌ただしい展開のなか、苦戦する甲府はウタカ中心の攻めを繰り広げ。
12~13分の間に、左サイドで溜めてクロス(ブロックされCKに)・CKからヘディングシュート(枠外)・浮き球をワントラップで裏へ抜け出し(孫を抜けず)と、多種多様に好機に絡むウタカ。
このエースの働きでペースを掴みたかった所ですが、そうはならなかったこの日。
繰り広げる攻勢に自信を付けた金沢、15分にゴールキックからショートパスでの前進。
右サイドを加藤・小島・林のパスワークで踏襲していき、小島グラウンダーでクロス→林ポストプレイを経て奥田のシュート(林田がブロック)まで繋げます。
ポゼッションに舵を切ったようなこの日の金沢ですが、17分には長峰の左からのロングパスで一気にエリア内を突き、走り込んだ林がボレーシュート(GK河田キャッチ)と長短の使い分けが凄まじく。

相手の好循環を断ち切れない甲府は、18分に佐藤→山本へと交代。
現状打破には大ベテランの経験が必要と考えたでしょうか。

それでも情勢は変えられず、金沢の好機はさらに続く事に。
23分にはあろう事か、山本の右へのサイドチェンジのパスが眼前の林田に当たってしまい、拾われて攻守交替という事態に。
林とのパス交換から、杉浦が右からカットインしてペナルティアークでシュート。(ブロック→GK河田キャッチ)

ミスからピンチを招くという悪循環ですが、既に勝負所の時間帯故に、弱点そのままで突っ切る事を目指したでしょうか。
20分に蓮川の持ち運びを絡めたビルドアップで前進に成功と、攻撃でリズムをつかむ事で強引に主導権を手繰り寄せにいく甲府。

そして決定機は25分に訪れ、敵陣右サイドでのスローインからウタカのポストプレイでスイッチを入れ、逆サイドの長谷川に素早く渡し。
長谷川は溜めを作りつつのカットインからミドルシュートを放つと、GK白井がセーブした跳ね返りを須貝が詰めてエリア内左からボレーシュート。
勝負ありかと思われた連撃ですが、白井の後方で孫がブロックと、ゴール寸前で防ぐ金沢。
27分にはそのお返しとばかりにスローインから好機を作り、右からのクロスはクリアされるも長峰が繋ぎ、加藤の左ポケットからのシュート。
これがブロックされると、ボールは甲府ディフェンスにピンボールのように当たり続けて跳ね返り、更なる追撃(杉浦のシュート)に繋がったもののGK河田がセーブ。
際どいフィニッシュの応酬に、試合の流れは全く読めない展開となります。

しかしその鍔迫り合いもいつかは終わる時が訪れ。
それを齎したのはやはり……と言いたくなるように、29分に関口の持ち運びからのパスを三平がダイレクトで裏へ送った浮き球が、エリア内のウタカに収まり。
ラインコントロールのミスでオフサイドを取れなかった金沢を尻目に、それは「お主が決めるのだ」という天のお告げか、巧みなボールコントロールから放たれたウタカのシュートでゴール右へと突き刺さるボール。
これが「持っている男」の働きなのか、エースの一撃で均衡を破った甲府。

リードはたった1点ですが、雰囲気的に重すぎる1点。
一気に苦しくなった金沢、33分に3枚替えを敢行し、梶浦・林・杉浦に代えて小野原と豊田そしてジェフェルソン・バイアーノを投入します。

前線をパワー系の選手へと代えて打開を図るも、これまでの好循環を生み出していたメンバーを一新するのは諸刃の剣でもあり。
36分に右ポケットから送られたバイアーノのクロスが精度を欠くというシーンが、そのマイナス面への危惧を表します。
金沢が反撃に手間取る隙に、甲府は35分に長谷川とウタカに代え、ジェトゥリオとエドゥアルド・マンシャを投入。
ジェトゥリオが頂点の3-4-2-1へと布陣を変更する、5バックシステムとも取れる逃げ切り体制に移りました。(3バックは右から蓮川・井上詩・マンシャ)

バイアーノ・豊田の2トップとなった後も、放送席が何度も「そうした方が良い」と語っていた、ロングボールへの傾倒はあまり見せなかった金沢。(42分に小島→毛利へと交代、小野原が右サイドバックに回る)
あくまでもショートパスによる崩しを貫いたその姿には変化を実感したものの、スコアは動かす事が出来ず。
フィニッシュも39分の加藤のシュートのみ(ゴール左へ外れる)と、相手の堅守に阻まれるという判り易い展開に陥りましたが、我慢を続けます。

そしてアディショナルタイムも最終盤。
甲府のスローインをカ跳ね返して素早く前線へと送り、カットされるも奥田がクリアをブロックして尚も繋ぎ。
意地の姿勢を見せた末に、毛利が放ったミドルシュートがゴールを脅かすも、GK河田のセーブに阻まれ同点ならず。
直後のCKからも、二次攻撃を経てもう一度ミドルシュートを放った毛利でしたが、ゴール上へ外れて万事休す。

試合終了となり、またもウノゼロでの勝利を挙げた甲府。
ゲームコントロールにはむしろ失敗し、金沢サイドの良い所が目立った試合となりましたが、順位は4位へ浮上を果たしました。
このスタイルでいくにしても、上には未だ失点数一桁を保っている町田・ヴェルディという2クラブがドンと構えているため、自分色を出すには少々物足りないという感じ。
結果に繋がっているのは良い事ですが、このまま破綻無く進撃する事が出来るかどうか、注目の要素となるでしょうか。

にほんブログ村 サッカーブログ J2へ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする