ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第1節 ファジアーノ岡山vsツエーゲン金沢

2020-02-27 19:15:32 | サッカー視聴記(2020年以前)

シーズン最初の試合とあって、落ち着かない様相を示していたのがボール。
立ち上がりの前半3分に主審によってボール交換がなされたものの、その2分後再び試合を止めてボールをチェックしにかかります。
この時は交換されずドロップボールで再開したものの、その2分後岡山のスローインになった際さらにボールを確認。(岡山・徳元が違和感を訴えるような素振り)
そして空気入れでボールに空気を送るシーンが見られた後にボール交換。
これにて一件落着したものの、開幕戦は特別という事を如実に示す事象となりました。

それはさておき。
アウェイの金沢はDF・FWの選手が多く入れ替わり、土台を固める事を考えながらの序盤戦が予想されます。
チームとしてのベースは大きく変える事無く、4バックのディフェンスラインには、山田・杉井・下川と実に3人が新加入選手。
唯一の既存選手である石尾も2年目の19歳と、顔ぶれを変える事を選択。
2トップもルカオ・加藤と新加入コンビで、フィジカルに特化したタイプのルカオを軸にしつつ、新人・加藤の成長を期待する思惑もあるでしょう。
対称的に中盤の4名(ボランチが藤村・大橋、サイドハーフが金子・大石)はいずれも前年からの既存選手で、本陣はそのままでその前後を刷新、という狙いがハッキリと表れたスタメン。

前半1分に早くも岡山がファーストシュートを放ちますが(上門シュートもブロック→こぼれ球を繋いで白井永地シュートも枠外)、前述のボールの件もありお互いリズムを掴めない立ち上がりに。
ともにボール保持・支配に拘るというチームでは無いので、速攻を目指すものの、上手く繋がらずにボールが落ち着かないシーンが目立ちます。

10分過ぎ頃から金沢のペースに。
11分に大橋が右サイドに展開し、受けた下川がドリブルからミドルシュートを放ったものの、ゴール左に外れ先制ならず。
この下川、前年所属の愛媛では左ウイングバックが主戦場でしたが、この日は右SBでの出場で早速左と寸分違わぬ活躍を披露します。
20分には下川がパスの出し手となり、ロングパスをルカオが収めてチャンス。
そのままエリア内右へと入ってシュートを撃つも、岡山GKポープ・ウィリアムがセーブ。
こぼれ球を濱田が拾うも、ルカオが強引にシュートを放ち、濱田に当たってコーナーに。(その後のコーナーはシュートに結び付かず)

岡山は劣勢を挽回しようと、この辺りでSHを入れ変え。
スタートは右が三村・左が上門でしたが、ここで両者サイドを変え反撃に出ます。
以降暫くはFWのイヨンジェ・山本のポストプレイを絡めて主導権を握るもシュートまでは行けず。
すると25分辺りで、再び三村・上門はサイドを変え、開始時のポジションに戻りました。

今一つシックリ来ていないような岡山の振る舞いが見られた前半、金沢の攻勢を何とか凌ぎ続けます。
28分、山田のロングパスを受けたルカオから好機を作り、加藤のポストプレイを受けた大橋がミドルシュート。(GKポープがキャッチ)
31分には下川のクロスを収めた加藤、体制を崩しながらもシュートしますが、これもGKポープがキャッチ。
34分にもルカオのポストプレイから、右サイドで前進した下川がカットインから強烈なシュート。
しかしGKポープがセーブして、ゴールは割らせません。

今季新加入のポープ、開幕戦でスタメン出場を果たしましたが、実にこれが4年ぶり(2016年)のリーグ戦での出場。
4年前は岐阜に所属し、この年も開幕スタメンを果たしながら、3節であっさりレギュラー陥落(2試合で8失点では仕方無いか)して通算4試合のみ。
そして川崎に移籍しても、その後レンタル先(大分)でもリーグ戦では出番を得る事無く。

どんなにチームが変わっても、正GKは1人というのは不変であり、サブのままで現役を終える選手も数多なのがGKの世界。
ポープもそんな選手の流れを歩む事が懸念されたこれまでの成績でしたが、この日の抜擢を受けるや、セーブを連発してチームを助ける活躍。
これで潮目が変わった、と言うには気が早すぎますが、以降のステップアップの足掛かりは掴めたと思います。

前半も終わり際は攻め疲れか金沢もペースを失い、かといって岡山も攻撃機会は少なく。
そのままスコアレスで終え、後半に突入します。

後半も最初にシュートチャンスを掴んだのは岡山で、5分。
左サイドでのパス回しから、白井永の中盤中央へのパスを上田がダイレクトで縦に送ると、カットに入った金沢・下川がスリップして奪えずボールは上門へ。
上門は切り返しからシュートしたものの、枠を捉えられず。
しかし金沢側のミスが絡んだのが影響したか、以降前半とは対称的な展開になります。(その直後ルカオの執拗なプレスが、GKポープに対するキーパーチャージで終わったのも影響したでしょうか)

攻撃権こそ移り変わりが激しいですが、シュートまで持って行けなくなった金沢を尻目に、何度もゴールを脅かしにかかる岡山。
12分、徳元のパスカットから山本→白井永と渡り、白井永がエリア内に進入してシュート。(藤村がブロック)
流れが良くないのを受けてか、13分には前半の岡山と同様に、金沢が両SHを入れ変える策を採ります(大石→右・金子→左)がそれでも岡山は止まらず。
14分には上門がドリブルで前進の後ミドルシュート。
GK白井裕人が何とかセーブした後のCK、キッカー・上田のクロスに対しイヨンジェが合わせにいきます。
一旦こぼれたものの、イヨンジェは強引にこぼれ球に反応してボレーシュート、しかしこれもGK白井裕のナイスセーブでゴールを割れず。

たまらず金沢は18分、金子→窪田への交代を敢行。(大石が左SHへ戻る)
直後にFKからのこぼれ球を、投入直後の窪田がミドルシュートを放ちましたが枠の外。
流れを変える一矢になるかと思いきや、以降は岡山がペースを握る展開に。

25分、上田の左サイドからのクロスがクリアされた後、白井永が拾い逆サイドから二次攻撃。
三村が奥で切り返しつつキープした後、バックパスを受けた白井永がクロスを上げると、ファーサイドでイヨンジェがヘディングシュートを放ちますがゴールを捉えられず。

金沢も28分、大石が右からの窪田のクロスをワントラップからシュートしますが、GKポープに抑えられます。
直後の29分には岡山、三村のロングパスの跳ね返しを、白井永が走り込んでミドルシュートを放ったものの枠外。

ここで両サイド選手交代を敢行し、金沢は大石→山根、岡山は三村→清水。
金沢は1枚目同様SH同士の交代になりましたが、岡山はFWの清水を投入し、それまでFWだった山本が左SHへ。(上門が右SHに移動)
4-4-2同士のミラーゲーム故ミスマッチが起こりにくい中、岡山は人を移動させる事でギャップを作ろうとしたという意図でしょうか。

水戸から加入した清水(2014年以来の出戻り)、ポストプレイヤータイプのFWであり、故障がちな大ベテラン・赤嶺の代役を担う人員でしょう。
後半35分、早速持ち味を発揮する場面が。
右サイドで上田がスルーパスを通し、受けた増谷のグラウンダーでのクロスに対し、トラップから後ろに叩いた清水。
これに白井永が走り込み、この日何度目かのミドルシュートを放つも、金沢・石尾がブロックしてゴールラインを割りCKに。
水戸コンビの力で獲ったこのCK、上田のクロスをニアで合わせた濱田、フリックを選択してボールはファーへ。
するとイヨンジェが滑り込んで足で合わせ、とうとうゴールネットを揺らして先制に成功します。

ビハインドとなった金沢、反撃に転じたい所ですが、守りを固める岡山に対し有効な手立ては無く。
ボールを握らされるという典型になり、アディショナルタイムまでシュートは皆無に終わります。
ATにようやくルカオがシュートを2本放ったものの、最後までゴールを奪えず。
ウノゼロで岡山がホーム開幕戦を制する事になりました。

両チームとも交代はSH中心に行ったのが目を引きましたが(岡山の2・3枚目も山本・上門がそれぞれ松木・椋原に交代)、それ以前にもサイド入れ替えなど策を施していたこの試合。
岡山は移籍の仲間(現柏)・故障の関戸の穴埋めという要素がありましたが、前年のメンバーを起用した金沢もこの日は難儀。
試合終盤はFWの山根を転用する策を採りましたが、それが機能したとは言い難い結果に終わり、2トップの選択とともに今後頭を悩ませる要素になりそうです。

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第1節 徳島ヴォルティスvs東京ヴェルディ

2020-02-26 15:58:00 | サッカー視聴記(2020年以前)

シーズン開幕。

その最初の試合で、早くも因縁対決が発生するのは偶然にしては出来過ぎな気がしますが。
積極的に補強に動いた徳島、その過程で上福元・梶川とヴェルディから2人獲得し、早速スタメン起用。
試合中に発生する相手サポーターからのブーイングも、何処吹く風のように徳島のパスワークに参加する2人。
そして試合内容も、ヴェルディをいなして快勝という結果を導き出すに至りました。

この上福元・梶川をはじめ、移籍選手を果敢にスタメンに取り入れた徳島のリカルド・ロドリゲス監督。
3バックに入った内田・福岡も前年は出番少なく終わっており、中心の岩尾以外は大手術といった感じに映りました。
しかし前年も開幕戦のスタメンを見ると、レギュラーに残った選手は極小。

開幕戦スタメン
GK 永井
DF 田向 ヨルディ・バイス 内田裕
MF 内田航 岩尾 鈴木徳 清武 表原 狩野
FW 杉本

第40節のスタメン
GK 梶川
DF 石井 ヨルディ・バイス 内田裕
MF 岸本 岩尾 小西 杉本 野村 渡井
FW 河田

「前半と後半で全く違うチームになる」という格言を起用選手で体現させ、昇格争いを戦い抜いた前年。
後ほんの一歩で昇格出来ずという無念の結果に終わったものの、今季もその芯にブレは見られず。
早めに新戦力を試したうえ、至らない部分は既存戦力の石井・小西・岸本・河田・渡井(故障の影響で出遅れ)らで補っていく算段なのでしょう。
それがオフに数多J1への「個人昇格」選手を輩出しながら、外野の評価の高さに繋がっているのだと思います。

さて試合が始まり、ポゼッションスタイルを基調にするクラブ同士の対戦。
ただしポジションを見ると、徳島が3-4-2-1を基本にしつつ動いていくのに対し、ヴェルディはそれがあまり見えず。
4-1-2-3が基本というのは前年、ないしはもっと前からの伝統でもありますが、この日は非常に流動的。
そう見えさせている要因は頻繁に低目に顔を出す大久保なのか、あるいは若手の藤田譲瑠チマがボランチ故か、サポートに入らんとポジションを下げ気味の佐藤優平なのか、それとも攻撃型サイドバックだった前年から一列上がって起用されたクレビーニョか。

前半13分のヴェルディの攻勢。
チマのロングパスに大久保が落下点に入り、こぼれ球をレアンドロが拾うと、エリア内に入った大久保へパス。
そしてそのままシュートを放った大久保、これはGK上福元がセーブしますが、右コーナーでキープする徳島・福岡から大久保がボール奪取しすかさずクロス。
これは逆サイドへ流れますが、ボールが繋がりレアンドロクロス→クレビーニョヘディングシュートと決定機が生まれるも、これも上福元に阻まれ得点ならず。
全体を通して味方への苛立ちが悪目立ちしていた大久保ですが、このシーンのようにチャンスに関与できるのならばまだまだ貴重な戦力でしょう。

一進一退の攻防が続いていた前半でしたが、33分に均衡が崩れます。
左センターバックの福岡がロングボールを放ると、相手の跳ね返しを拾った杉森がドリブル開始。
エリア手前まで一気に進み右の垣田へパスを出すと、垣田はエリア内右からノートラップでシュート。
GK柴崎が弾いたものの、左にこぼれたボールを西谷が詰めてネットを揺らし、先制点を奪取。

スコアもさる事ながら、ここから全体の流れも徳島側に傾き始めます。
ボールを握ろうとするも中々覚束ないヴェルディを尻目に、37分に徳島が再び好機。
中央→右→中央とボールを動かした後、岩尾が左前方へロングパスを出すと、受けたのは浜下。
そのままエリア内に入り、思い切ってシュートを撃ったものの大きくゴール上に外れます。
ホッとしたのも束の間、ヴェルディはその直後GK柴崎がパスミスを犯し大ピンチに。
カットした杉森がそのままエリア内に入りかけ、DFにこぼされたボールを西谷が右足でシュート、これを柴崎が足で防ぐもリバウンドを左足で再度シュート。
再びゴールに突き刺し、早くも2得点目を挙げた西谷。

39分には再び浜下の下にチャンス。
再び岩尾のサイドチェンジのパスをエリア内左で受けた浜下、一旦エリアから出た後にシュート。
今度はグラウンダーで襲ったものの、僅かにゴール右に外れ得点ならず。
かくして前年栃木所属であった西谷と浜下、何度も好機を迎えたものの、明暗分かれる事となりました。

尚も攻め込む前半の徳島、42分は再び杉森がドリブルでエリア手前まで進み、バックパスを受けた西谷がシュート。(ゴール右に外れる)
アディショナルタイムには浜下のクロスのクリアボールを藤田が奪ってシュート(枠外)、さらにその後垣田がGKと一対一になる絶好機も、エリア手前で放ったシュートはGK柴崎に抑えられてモノに出来ず。
ほぼ一方に傾いたまま前半を終えます。

この日はCBの一角に、本来ボランチの山本を起用したヴェルディ・永井秀樹監督。
しかし序盤はまだしも、攻め込まれると脆さを晒す事と相成りました。
そして後半の修正はというと、右SBの澤井に代えて河野を投入。
立ち上がりはクレビーニョが本来のSBにシフトしているような位置取りでしたが、その後3バックへとシフト(左CB奈良輪・中央CB山本・右CB高橋)し、中盤の枚数を増やす策を採りました。

しかし立ち上がりは相変わらず徳島の攻勢。
後半1分に浜下がボレーシュート(ゴール上に外れる)、3分にはCKのこぼれ球を西谷がシュート→岩尾がコースを変える(GK柴崎キャッチ)という具合に、栃木コンビ(放送内では福岡も含めトリオと呼ばれていたが)の跳梁は止みません。

10分、ヴェルディは連続でCKのチャンスを得ますが、その2本目。
キッカー・クレビーニョのクロスがクリアされると、徳島のカウンターが発動。
岩尾のロングパスが繋がり、杉本落とす→垣田スルーパス→西谷抜け出すという流れるような攻撃で、ドリブルシュートを放った西谷。
三度ゴールネットを揺らし、何と加入して最初の試合でハットトリック達成という快挙に。

これで試合の大勢はついたも同然に。
14分にはヴェルディの攻撃が途切れた直後、浜下が自陣でドリブルを開始しようとした所に、大久保が激しくチャージして反則を犯し倒れ込む浜下。
栃木コンビの躍動を何とか止めようとしたプレーか、あるいは単なる苛立ちからか。

以降試合は落ち着き、ヴェルディ側がボールを握るもあまりシュートに持ち込む事は出来ず。
ヴェルディの攻撃が途切れる度に、徳島側がゴールを脅かすという流れは最後まで続きます。
21分に浜下→清武へ、29分に杉森→榎本と交代を敢行した後も変わらず、両名とも良く奮起。

36分、右サイドと中央から榎本・藤田が攻撃を作っていき、藤田のクロスをエリア内右で収めた榎本、角度が無いながらもクロス気味にシュート。
GK柴崎が弾いたものの尚も攻撃は続き、梶川のパスを受けた清武が絶妙なシュートを放ちますが、ゴール右上に外してしまい追加点とはいかず。
一方で37分には西谷がエリア内左に入りシュートを放つ(DFがブロック)など、最後まで西谷はゴールを狙う姿勢を崩しませんでした。

結局3-0のまま試合を終える事に。
ヴェルディはシーズン前の練習試合(プレシーズンマッチ)を数多行っていたものの、いずれも勝利に辿り着く事が出来ず。
結果だけではどうかは解りませんが、この日の内容はまだまだチームの完成には程遠く感じるものでした。

一方良い事づくめだった徳島、昇格に向けて幸先良いスタート。
それでも長いシーズン、この日活躍した新戦力の選手が行き詰まりを見せる可能性も無くは無いでしょう。
前年の主力選手との融合という観点は未知数でありますが、今後の楽しみでもあります。

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2020年J2リーグ・開幕前の編成の雑感~4

2020-02-05 16:25:59 | 雑記

その1 その2 その3

移籍情報についてはこちらを参照

・徳島ヴォルティス

プレーオフで最後まで残ったものの、結局昇格は果たせずに終わった徳島。その反動で個人昇格する選手が多数出ると予想し、その通りに梶川・野村・内田裕・杉本と4人がJ1クラブへ移籍。ヨルディ・バイスのレンタル終了も相成って再び作り直しを余儀なくされそうなオフとなったが、J1昇格が見えて来たという自信からか、選手獲得にも積極的に動いた。
まず梶川が抜けた正GKの穴には、ヴェルディの正GKであった上福元を獲得してすかさずカバー。足元の技術という点からも、徳島のサッカーを継続するにはベターな人選であった。
マリノスからドゥシャンを獲得、これもバイスの後釜を期待しての補強だろう。チアゴ・マルチンスと同時期に入団したものの、DFの柱となったチアゴとは対照的に出場機会を失っていただけに、反発力には期待が持てそう。
名古屋からレンタルで獲得した杉森・榎本は判断材料(前年の出場)が少なく不透明だが、逆にJ2下位の栃木からの移籍ながら、西谷・浜下の両選手には攻撃に厚みを持たせる人材としてある程度の計算が持てそう。金沢で点取り屋として活躍したFW垣田も同様である。(個人的には浜下の飛躍に期待)
密かな懸念であったリカルド・ロドリゲス監督の去就も残留で落ち着き、今季も試行錯誤の下、昇格争いに絡むシーズンとなると予想する。ちなみに新たに10番を付けたのが渡井とは少々意外だった。

・愛媛FC

神谷・下川・野澤とレンタル期間終了に伴いチームを離れたが、GK岡本に吉田眞・茂木を完全移籍させるのに成功。川村と長沼は期間延長で今季も在籍と、レンタル制度も巧くチーム強化の一手として加えている、そんな印象を受けた今オフ。(少なくとも乱発気味の松本や福岡よりは)
獲得選手を見ると、横谷・渡邊一はかつて愛媛に在籍した経験を持つベテラン。西岡大志は現所属・西岡大輝の弟と、ノスタルジックかつ縁故感が漂う動きとなった。まあこの辺は、監督・川井健太氏も現役時代は兄弟選手の一員だったので気にする事でも無いだろうが。
前年の終盤は川村をボランチとして定着させたいという思想が垣間見え、それを継続させるべくのレンタル延長だろうが、レンタル元はJ1の広島。そして思い浮かぶのが、3年間磐田にレンタルで出した後現在中盤の要となっている川辺であり、川村がその路線を歩むのは十分考えられる。
一方の長沼(彼もレンタル元は広島)は、五輪イヤーの今季に代表へのアピールを考慮しての延長と言われている。J1の方でも杉岡(湘南→鹿島)など五輪世代の動向が注目された今オフ、長沼の選択は吉と出るだろうか。

・アビスパ福岡

新監督に前年水戸の長谷部茂利氏を招聘、その流れで今オフに「長谷部アビスパ」へと変貌を始めた印象。象徴的なのが水戸から獲得した前で、彼に前年と同様心臓的役割を担わせつつ、チームを徐々に変えていくのだろう。
前年のレンタル組が一斉に抜け(8人)、再び6人の選手をレンタルで獲得。抜けた選手で完全なレギュラーといえたのは石原・加藤・初瀬ぐらいであったが、この所完全移籍への移行が殆ど行えていない(最近では亀川(現長崎)と駒野(現今治)ぐらい?)辺り、その場凌ぎ・下手な鉄砲感を増幅させている。
それはともかく、今季もレンタル補強組はそこそこ戦力になりそうな顔ぶれ。前年と違い育成型は皆無なので、そろそろ活躍→完全移籍で獲得の流れを作りたい所だが。
DF陣が5人放出、しかも石原・初瀬・ウォンドゥジェとレギュラー陣が居なくなり、輪湖・篠原・實藤が居るとはいえ再編はここからになると予想。新戦力の他、2年目の三國ケネディエブスの飛躍はなるだろうか。

・ギラヴァンツ北九州

3年間の雌伏の時(J3)を経て、J2に戻る事に成功。元来地力はあるクラブで、J1ライセンスが無い(当時)にも拘わらずにプレーオフ圏内に入る(2014年・5位)という珍事を最初に達成したチームでもある。
J3に関しては全く観ていないので不明だが、編成を見てみると、J1からのレンタルで在籍している選手が多く、今季にかけて多数期間延長。そしてチーム得点王の町野に至っては完全移籍させる事に成功しており、地味ながら確実なチーム強化を果たしている、という雑感。
その流れに沿ってか、今季も3人レンタルで獲得。唯一の完全移籍での獲得が斧澤で、J1上位クラブに在籍していた(ただし出場はU23チームが殆どだが)実力を発揮できるか。
それでも助っ人が1人も居ない状況はどう考えているだろうか。もちろん下手に獲得すれば財政を圧迫するだけだが……。攻撃面では町野・高橋大・ディサロ燦シルバーノの若手トリオに、ベテランの池元が絡み得点源を形成しており、その形は下手に崩したくないという事か。

・V・ファーレン長崎

新人市場は、JFAアカデミー福島から2名獲得と、元代表コーチである手倉森誠監督らしい人選。
大方の予想通り呉屋は残せずだったが(柏移籍なためレンタル元のガンバの方が痛手だろうか、それともまだ一美(横浜FCに育成型レンタル)が居るからいいやなんて思っているのか)、秋野とビクトル・イバルボを完全移籍させ、カイオ・セザールは期間延長で残留。
秋野とカイオのドイスボランチは年齢的にも鉄板だろうが、さらに加藤大をレンタルで獲得するなど補強に余念が無いセントラルMF。前年天皇杯準決勝で見せたシステム変更(4-4-2→3-4-2-1)があるかもしれない。それにしても、磯村・加藤大と元新潟のキャプテンが2人揃うなんて……。
各ポジションの獲得選手の数はバランスがとれているが、テコ入れ感が強いのはセンターバック。フレイレ・二見とJ1プレイヤーの獲得に成功。徳永・角田が既に大ベテランの域なので補強は当然といえば当然だが、この2人の獲得で一気に強化されたはず……かどうかは開幕になってみるまで解らないが。
後は富樫の獲得か。J1でもそこそこ実績を挙げながら、前年初のJ2でのプレイとなった町田では今一つに終わってしまっただけに、奮起を期待したい所。

・FC琉球

シーズン終了と同時に、一気に10人以上も退団選手を発表。1年目の選手(井口・福井凛・与那城・花房)に対しても容赦無く断行した辺り、自分みたいな人間は「小野獲得でかかったコストカットかな……」という事を思ってしまったものである。
前年の夏の移籍期間にも主力の引き抜きに苦しんでいたが、今オフも上門・徳元が岡山に移籍、夏の増谷に続き短い間に岡山へ3人も出してしまう破目に。
DFに関しては、サイドバックに沼田を当てはめ、新助っ人タヴァレスが当たるのを祈りつつ、既存の岡崎・福井諒との相乗効果を図るという青写真だろうか。李栄直(リヨンジ)が割って入れるかどうかも注目で、前年終盤は構想外のような扱いを受けていたが、新天地ではポゼッションスタイルへの適合は見せられるだろうか。
MFは小野をはじめ風間兄弟・上里と揃っているが、FWは数も質も明らかに不足。実績はあるが既にベテランの阿部だけでは物足りない補強、ここに助っ人を当てはめるべきだとは思うが、上記の予算面を考慮すると厳しそうか。

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個人昇格した男達~2020年開幕前・その3

2020-02-04 16:47:07 | 雑記

その1 その2

まだまだレンタル絡みの話は続く。

<レンタル元に帰らず移籍した選手達>

・櫛引一紀(名古屋→大宮→広島) DF 前年の成績 18試合・1620分出場 得点1
札幌でキャリアをスタートさせ、2012年にはJ1で10試合出場。しかし2度目の昇格を経験した後の札幌ではプレーする事は無く、2017年に名古屋にレンタルで移籍。
名古屋でも昇格に貢献したのだが、翌2018年のJ1での戦いは彼にとって苦難の道となり、守備組織が脆弱な当時のチーム状況で序盤の8連敗に被ってしまう(古巣札幌戦でオウンゴールとかあったね)と、夏の大型補強の後はサブに転落した。そして前年も出場は1試合に留まり、移籍を選択。
元々能力的には問題無く、3バックの右センターバックで25節以降フル出場。攻撃参加も積極的で、主にイッペイ・シノヅカの右サイドアタックに絡む事数多と充実。
それが目に留まり広島が獲得に動き、移籍。レンタルの間に監督が代わった(風間八宏→マッシモ・フィッカデンティ)とはいえ、確かに名古屋復帰では負のイメージを抱えてのプレーとなりそう。これが正解と成績で証明する事は出来るだろうか。

・宮大樹(神戸→水戸→鳥栖) DF 12試合・925分出場 得点2
まさにCBをやるべきポテンシャルを持つ選手で、北本・渡部の後釜として期待されての入団。前年も期待(11試合出場)を受けたが、夏の大型補強であっさりと有耶無耶になり、水戸へレンタル。
折りしも伊藤がマリノスに引き抜かれた直後の水戸なので、定着するのにそれほど時間は掛からず、ストロングヘッダーとしてチームの昇格争いを支えた。
ただ、ロングパスでのビルドアップが目立っていたので、CBに繋ぐのを求める神戸では使い所に困るタイプなのも納得。鳥栖移籍は彼にとってステップアップになると素直に信じたい。

・島村拓弥(京都→ブラジルリーグ→セレッソ) MF リーグ戦では出場無し
J2→海外2部→J1というやや特殊な経歴でJ1の舞台へ。京都ユース出身だが、2年目の2018年岐阜へレンタル(4試合出場)と、「若手はレンタルに出して成長させる」という路線に乗っかる。
すると前年、ブラジル2部のロンドリーナECというクラブへ、同じユース出身の江川・荻野とともに修行に渡る事に。そこで「パラナ州選手権」という大会でかなりの活躍を見せたらしい。
すると今季は、チームに戻った江川らを尻目に島村はJ1のセレッソに。J2→J1へのレンタルという珍しい図式で、活躍すれば完全移籍になる事が濃厚だろう。ただしセレッソの選手層を考えると厳しい道のりだろうが。

・一美和成(ガンバ→京都→横浜FC) FW 36試合・2499分出場 得点17
特別指定での加入先は熊本(現J3)だったが、横取りなのか内定先はガンバに。J3(U-23)で結果を出しつつJ1の場も経験と、ゆったりながらも確実な成長曲線を描いていたが、京都へ育成型レンタルとなった前年が運命を加速させる……とは言い過ぎか。
開幕当初はサブに留まっていたが、初スタメンとなった8節で2得点を挙げ、14節から3試合連続得点を挙げると以降はCFとして定着。3トップのCFとして得点・ポストプレイで攻撃の中心を担い、自身もチームも快進撃。
まさに我が世の春というシーズンとなったが、その間にガンバのFW事情は激変。宇佐美・パトリックの復帰で層は厚くなり、ガンバに復帰しても出番は限られるのは明白な状況。クラブは再度育成型レンタルという手法を取り、今季はJ1に上がりたての横浜FCで戦う事に。1トップの戦術には合うだろうが、ここにもイバ・皆川とライバルが多く、勝ち抜く事が出来るか。

・呉屋大翔(ガンバ→長崎→柏) FW 36試合・2927分出場 得点22
大卒でガンバに入団。当時は争奪戦となったらしくその能力は高く、1年目(2016年)から14試合出場・1得点とそれなりの活躍。しかし殻を破れずレンタル移籍となった2018年、移籍先の徳島で不振と暗転。
そしてレンタルバックとなった前年だが、開幕早々に長崎に再度レンタル。今度は軌道に乗り、ほど無くしてチームの点取り屋へと飛躍した。13節から7試合連続得点という大爆発、その後もゴールを奪い続け、最終的には日本人最多得点となる大活躍を魅せた。
しかし前年の長崎は途中から、ボール支配を重視したサッカーへと移り変わり。そのため「呉屋目掛けてロングパス」という手段は減っていき、本人の思惑と方針のズレが窺えた。ビクトル・イバルボ、秋野が完全移籍へ移行するのを尻目に、手放す事となったのはそんな背景からかも知れない。(単に予算面からなのかも知れないが)

・小林友希(神戸→町田→横浜FC) DF 15試合・1350分出場
神戸ユースからの生え抜き。こうして見ると神戸の育成組織は中々優秀なのが窺えるが、トップにそれを生かす意識があるのかは依然不透明な状況。
宮とともに理想的なCBとして育成されるべき素材なはずだが、それは他クラブに任せる道を選んだようで、前年途中にレンタル。28節以降全試合にフル出場と、初めて纏まった出場機会を得る。その間町田は厳しい残留争いを戦い、引き分けの試合が激増した辺り貢献度は低くなかったのだろう。
レンタル期間は終了したが、クラブは再びレンタルを選択し、今度はJ1・横浜FCへと移籍。果たして神戸に戻る日は何時になるのか、それとも永遠に来ないのだろうか。

・神谷優太(湘南→愛媛→柏) FW(MF?) 36試合・2857分出場 得点6
ヴェルディの下部組織だったが、ユース時に編入(日出高校→青森山田高校)した事で縁切れとなったか、プロ入りの際は湘南の門を叩く。1年目からJ1で出場するも、2018年からはレンタルで愛媛入り。
その背景には代表を目指す程のポテンシャルを持っており、アピールの場を増やすべくの移籍劇だったのだろう。なお愛媛には同じく代表入りを狙う長沼もレンタルで在籍しており、環境的にベターな選択といえた。
前年は数字こそ伸ばしたものの、山瀬の加入でオプションが増えた事もあり、やや希薄となった印象を受けた。それでも多数のレンタル組では最上位の成績であったが、下川とともに移籍を選ぶ事となった。柏はJ1に上がりたてなものの、選手層の厚さは健在で五輪出場をアピールするにはヘビーな状況だが、目標達成を果たしたい。

以下閑話休題、その1からの続きです。

<完全移籍を果たした選手達>

・レオナルド(新潟→浦和) FW 38試合・3100分出場 得点28
前年のJ2得点王、その栄光を引っ提げて今季ついにJ1へ。その前にはJ3(鳥取)で得点王に輝くという経歴であり、2年連続の個人昇格。
個人的には、今季マリノスに完全移籍になったオナイウ阿道ぐらい(2018年J2山口で22得点→2019年J1大分で10得点)に、「能力は発揮したが、壁にもぶつかった」というような活躍具合になると予想。得点力に関しては文句無いレオナルドだが、ボールが回って来ないと仕事が出来ないタイプ。そしてその「FWへボールを回す」という能力に疑問符が付くのが前年の浦和なので、双方現状維持ならば苦戦は必至となるであろう。
しかし今季の浦和は戦術・フォーメーション変更を示唆しているらしく、彼を活かせるようなサッカーに生まれ変わる可能性もあり。まずは開幕を待とうと思う。

・戸嶋祥郎(新潟→柏) MF 34試合・2984分出場 得点1
ボランチとして地味ながらチームを支えた、レオナルドの派手な活躍の影に隠れがちなシーズンであったが、移籍劇もその傾向が窺えたのは気のせいか。
大卒で入団し、1年目(2018年)から終始レギュラー扱いで前年シーズン終了まで突っ走った新潟でのプロ生活。その能力の高さ故、J1クラブに引き抜かれるのは自然な成り行きだともいえる。
移籍先の柏だが、ボランチの層はやや手薄で、大谷・三原とベテランは居てもそれが逆に不安なポイントだった。よってヒシャルジソンの相方としてレギュラー定着・活躍の可能性は十分だ。

・山本義道(金沢→マリノス) DF 40試合・3599分出場 得点3
戸嶋はコンスタントに出場を重ねた選手だったが、急成長を遂げた選手に対しても「個人昇格」の食指は容赦無い近年。
典型的なストロングヘッダータイプのCBらしく、1年目は12試合・1得点に留まったものの、2年目となった前年はレギュラー定着。自身だけでなく周囲も長身選手が揃い踏みの金沢というチーム内で、DFながら3得点も記録した。
ただ金沢はポゼッションに全く拘らないチームなので、その真逆といえるマリノスが獲得に走ったのはやや謎。密かに足元は巧いのか、それともまだ若いこの時期に魔改造を仕込もうとするのか。

・香川勇気(長崎→大分) DF 32試合・2671分出場 得点4
戸嶋・山本は2年で「昇格」したが、苦労を重ねてようやくそれを果たせた選手も当然居る。
攻撃的な左SBとして山口の戦術にマッチしたが、2017年のチーム低迷・監督交代(上野展裕→カルロス・マジョール)で行き場を失い、その年の夏に所属を長崎に移す。クラブが初のJ1昇格を果たす中で故障もあり満足に出番無く過ごしていたが、2018年再び夏の移籍でヴェルディへとレンタル、そこで主力に成長してようやくマイナスイメージを払拭。
再び長崎に戻った前年。左SBとして活躍を魅せたものの、終盤の米田の躍進で立場は微妙なものになっていたのだろう。米田は右SBだが、経験豊富な亀川が両方出来る選手なので、どうしても誰かがあぶれる構成に。そんな状況でのJ1クラブからのオファーはまさに渡りに船。大分は3バックが基調の現在だが、WBとしてマッチできるだろうか。

・三幸秀稔(山口→湘南) MF 42試合・3779分出場 得点1
苦労の重ね具合ならば、経歴だけで言えば彼に勝るものは無いであろう。甲府でスタートしたプロ生活、その際にJ1も経験したが、故障で数字はほとんど残せず。その後J3の相模原で1年プレー、これで復活したと思い込んだか、個人昇格すべくオフのトライアウトに参加したものの果たせず浪人生活となってしまう。
そして翌年の2度目のトライアウト、何とか山口への入団が決まり、1年目から主力で活躍。そして2018年~前年終了まで欠場試合は僅か1試合と、欠かせないボランチに定着という復活劇を演じた。
移籍先の湘南は「エレベータークラブ」の域を出ず、彼の前途はまだまだ不透明だが、一度どん底を味わった男の強みを出せるかどうか。

・前貴之(山口→マリノス) DF 37試合・3302分出場 得点2
札幌民には有名な前兄弟。兄・貴之はこの度J1に返り咲き、弟の寛之も水戸で昇格しても良いパフォーマンスを見せていたが、長谷部茂利監督恋しと言わんばかりに福岡移籍となり、兄弟違うカテゴリーで挑む今季。
札幌でJ1出場も経験(2012年)していたが、次第に出番を失い山口にレンタルで移籍したのが2017年。するといきなり自己ベストの出場記録を叩き出し、完全移籍となり山口選手としてのレールに乗る。
能力的には3バック・4バック双方で、ディフェンスラインを安定して任せられる人材。SBとCB両方が出来る能力は貴重で、そのためマリノスではオプション的な扱いになるだろうが、ハイレベルな攻撃的サッカーをするクラブなので、その中で殻を破る事があればあるいは。

・菊池流帆(山口→神戸) DF 35試合・2974分出場 得点3
驚異的なフィジカルを前年J2で見せ付けた大卒新人。僅か1年でJ1への切符を掴んだが、あの強靭な身体からのディフェンス力と、数多の先輩選手に立ち向かうメンタルの強さは、J1でも即戦力になれる可能性大である。
岩手県・釜石市からの初のJリーガーでもあり、育成年代に直面した東日本大震災という苦境を乗り越え……とは月並みな表現だが、地元のためにもJ1という舞台でも活躍が期待される。
ただし近年の神戸はCBというポジションも外注が目立ち、菊池が割って入る余地があるかどうか不安は隠せないが。

・吉田舜(群馬→大分) GK 34試合・3060分出場(J3)
締めはJ3→J1へと飛び級した選手をば。
埼玉・熊谷市出身で、隣県の群馬へと入団したのが前年……の前に、特別指定として相模原に加入していたのが2017年。
時は流れ、正GKとして全試合出場と実力を見せ付けた前年。そしてクラブはJ2昇格し、今季はJ2の舞台で戦うと思いきや目を付けた大分が獲得、一気に2つ昇格を果たした吉田。
若い時期での正GKとして思い浮かぶのが広島に在籍する大迫で、前年クラブやユース代表で存在感を発揮し、A代表のGKとしての階段を上っている最中である。吉田も大分で正GKになる事があれば、その道がぼんやりと見えるかもしれない。

・高澤優也(群馬→大分) FW 27試合・1779分出場 得点17(J3)
大学時代、JFL・流経大ドラゴンズ龍ヶ崎の選手として出場を重ねる。JFL上位のレベルは決してJ3と並んでも謙遜無く、そこで経験を積んだ高澤、新人としてJ3に挑んだ前年早速活躍を魅せるのは訳の無い事だった、とは言い過ぎか。
ともかく点取り屋として結果を出し、群馬のJ2昇格に貢献した高澤。その活躍が大分強化部の目に留まる事となったのだろう、吉田とともに2ランクアップ。
大分はとにかく人材を活かしきる事がアイデンティティのクラブで、前年は「J2オールスター」と言わんばかりの選手編成ながら一桁順位を確保。そして今季はJ3にも目を付け始めるなど、方針にブレは見られない。その中で高澤は活躍し、J1選手としてキャリアを積めるだろうか。

・堀田大暉(福島→湘南) GK 33試合・2970分出場(J3)
仙台ユースに属するも昇格は果たせず、大学(東海大学)に進んだものの、J3でのキャリアのスタートを強いられる。しかも1年目にトレーニングの際頭部に大怪我を負い、出遅れも強いられる。
そんな窮状から掴んだ福島の正GKの座。前年はチームに2人もコリアンGKがレンタルで加入(キムミンジュン・イユノ)してきたが、2人が血も涙もない2番手争いを繰り広げるのを尻目に、正GKをキープ。
シーズン後に湘南は、レンタルに送ったキムミンジュンを戻すのでは無く、堀田獲得という手を選んだ。苦難を乗り越えた末に待っていたのはJ1への飛び級というご褒美だったが、ここからが勝負だ。

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2020年J2リーグ・開幕前の編成の雑感~3

2020-02-03 18:45:50 | 雑記

その1 その2

移籍情報についてはこちらを参照

・ツエーゲン金沢

レンタル組が一斉に戻ってしまう中、山根・長谷川は何とか期間延長という形で残留。それでも新人を6人も組み込む補強策となった。(高安・本塚は既に特別指定として在籍、高安は前年リーグ戦にも出場)
山本・沼田とDFのレギュラーを引き抜かれる苦しい状況となったが、恐らくは若い石尾と高安を組み込む算段なのだろう。レンタルながら下川・山田・ホドルフォを獲得するなど補強にも余念は無い。
MFは加藤が抜かれたのみで穴は小さいが、FWはレンタル組(垣田・小松・クルーニー)が抜けた影響で一気に手薄に、特に長身選手が居なくなってしまったのは痛手である。鹿児島からルカオを獲り、ポストプレイヤーの代役としての期待を掛けるのだろうが……。
全体的に様変わりが必至で苦戦が予想されるが、このクラブのアイデンティティは監督(柳下正明氏)の存在といえるので、お手並み拝見である。

・ジュビロ磐田

2015年以来のJ2。田口・川又・大久保と揃って退団、アダイウトンの移籍も相成り新たなチームの形を作らなければならない時期が到来……というのは、前年夏の中村の移籍時からの問題でもあるのだが。
そんな時に合わせてレンタル組の小川航・中野・石田・伊藤を戻す事が出来たのは朗報で、特に復帰していきなり9番を背負う事となった小川航に飛躍の期待が掛かる。
前年監督が代わる事2度(代行監督・小林稔氏も含めると3度)と不安定ぶりは明らかで、その影響はDF陣の大幅入れ替えに表れる事に。成長が期待されていた大南が柏に獲られたのは痛手だが、その柏から中川を獲り返すなど補強策で奮戦。新助っ人のファン・フォルリンがどれだけやるかは不透明だが、新潟でレギュラーだった大武を獲り、経験豊富な大井・藤田が残っているのでJ2を戦ううえでは不安は小さそうである。
助っ人事情はというと、アダイウトンの他にGKカミンスキーとDFファビオが退団。ムサエフとルキアンそしてエベシリオが残留し、加入したのはフォルリンの他FWにルリーニャ。ルキアンと比べて背が小さいので、スピード型だと推測すると、タイプが逆で噛み合うであろうルキアンと共に2トップに収まるならば、小川航の前途はどうなるであろうか……。

・京都サンガFC

新スタジアム完成に合わせ、何としてでも昇格を、というフロントの思惑が形となって表れているクラブ。前年大活躍の仙頭・小屋松のコンビが揃って個人昇格するなど選手流出はおびただしいが、反面加入選手は豊富かつ計算が立つものばかり。監督交代もあり、この大幅な入れ替えは賛否あれど、節目ならではでこれで良かったんだなというのが今の所の感想。
新監督・實吉礼忠氏がどんなサッカーをやるかは解らないが、FW登録の選手が少なめ(4人)なので、前年のような3トップは無さそう……と予想していたら、キャンプで4-3-3の形も練習しているらしい。そうなるとウイングにはMFの誰かを当てはめる寸法だろうか。
ピーター・ウタカは周知の通り、前年は甲府のストライカー。李も合わせて獲得するなど経験面では盤石で、不安は年齢の高さ。ここは既存戦力の宮吉が巧くカバーする事に期待したい。また甲府からは曽根田も獲得しており、ウタカとの相性を考慮すると良い補強策だ。
前年失速の一因となった守備陣も強化、田中マルクス闘莉王の引退を機に、稼働率の悪い選手をなで斬り。目玉となるのがヨルディ・バイスの完全移籍での獲得で、さらにサイドバックの補強も欠かさず。森脇は明らかな攻撃型の選手であり、ディフェンス強化としては飯田の方が戦力になりそう。
若手の頭数を揃える事も怠らず。ブラジルから帰ってきた江川・荻野がどう絡んでくるのかも気になるが、現実的には福岡・上夷ら2年目の選手の成長待ちが望まれるか。

・ファジアーノ岡山

元琉球選手を集めよという名目でもあるのか、今オフも上門・徳元と補強。昨年夏に獲った増谷も完全移籍させ、これで前琉球の選手は4人となった。
主力の一森・仲間がJ1クラブに個人昇格。正GK格の一森の後釜を考えなければならないが、サブの金山(前年8試合出場)か、あるいはレンタルの繰り返しという流浪の旅を経てやって来たポープ・ウィリアムか。名前の格好良さの割にはこれまで出場機会は限られていたポープ、そろそろ目に見える実績が欲しい所だが。(ポープは日本国籍である、念のため)
松本からパウリーニョを獲得。前年はJ1で最も出場数が多いシーズンとなったが、再びJ2へ、さらには移籍を選択。これで日本では6クラブ目というキャリアで、白井とともに仲間の穴を埋める活躍は出来るだろうか。
前述の京都とは逆にFW登録の選手がやたら多く、その数12人。いかにイヨンジェと組む2トップに難儀していたかが窺える数字で、新加入の上門・清水は決定的な人材とはいえず、今季もそれは続きそうである。(まあサイドハーフもこなせる人材も多いのだが)

・レノファ山口FC

移籍期間初期から主力の移籍が目立ったクラブで、菊池・前・三幸・山下が移籍。小野原に至ってはポルトガル(2部)に移籍である。これも典型的な「育てて売る」クラブを地でいく運営を行っているからで、ブレの無いチーム編成の努力には頭を下げざるを得ないが、安定した成績を維持するのは難しそうである。ちなみにユースから昇格を果たした伊東、これがクラブ初の昇格との事。
その伊東を含め、5人抜けたDFに対して5人を獲得。菊池が去って大宮から菊地を獲得、その大宮も菊地が去って湘南から菊地を獲得しているのだから実にややこしい。それはともかく、その5人のうち3人が新人と、次なる菊池の発掘・成長に力を注いでいる節が窺える。
多用しているレンタル移籍では、前年からは高・川井を期間延長で残し、石田・宮代などその他の選手は諦め。そして今オフで新たに5人レンタルで獲得。FWの獲得が多めなのは、今季こそ3トップの戦術を定着させようとしているのだろうか。
逆に1人の獲得に留まったMFだが、その1人とは前年の栃木残留の立役者といえるヘニキ、しかも完全移籍である。山口ではFWで起用される事は無さそうなので、本来のボランチ(センターバックも出来るらしい)定着を目指す。三幸が抜け、佐藤が晩年の域に入ってきたポジションだけに、八面六臂の活躍を見たい。

その4へ続く

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