ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2020年J2リーグ第2節 ヴァンフォーレ甲府vsアルビレックス新潟

2020-06-30 16:55:10 | サッカー視聴記(2020年以前)

前年は昇格こそ出来なかったものの、終盤にかけて成績・内容共に上昇機運が窺えた新潟。
それを持ち越せるかが今季のカギとなるのは明白で、開幕節はその通りに群馬相手に3-0と快勝。
その好調ぶりが中断期間で水を差された格好となりましたが、逆に言えばこの間順位表では長期間1位の座を維持できた、というのは気休め程度でしょうが、一種の清涼剤として再び開幕ダッシュをかけにいきたい所。

新監督にアルベルト・プッチ・オルトネダ氏を招聘し、ボールを繋ぐサッカーへと転身を図っている今季。
しかしそれは前年後半にある程度実践されつつあり、決して無謀な試みでは無いのがミソでしょう。
まあ遅攻が巧くいくようになったのは、ボランチに秋山が抜擢されてからだと思うのですが。

そんな訳で、レオナルドや戸嶋・大武らが流出して一見戦力ダウンに見えるような陣容でも、前年の土壌と新指揮官の理想が噛み合えば昇格争いに絡む可能性は十分。
そう思いながらの視聴となったこの試合。

GKには前年までのレギュラーだった大谷はベンチ要員となり、この日は小島の故障離脱もあり、藤田が初のスタメンに。
レギュラーGKを変えるというのはいかにも足元の能力を重視するポゼッションサッカーらしい起用法で、前年J1優勝したマリノス(飯倉→朴)でも行われた采配。
当然実際行われたサッカーも、DFラインにGKを交えての細かなビルドアップが大きく目立つ事となります。

ドイスボランチには秋山とゴンサロ・ゴンザレスの2人が入りましたが、ゴンザレスがセンターバック2人(マウロ・田上)の間に降り、最終ラインを3人にした手法(所謂「丁の字型」というやつ)が基調となります。
序盤は甲府のプレスもそれほど激しくなかったのが幸いし、ポゼッションでは完全にリードする事に成功。

それでも前半7分、パスを甲府・ドゥドゥに奪われ、たまらずマウロが倒してしまい反則・警告を受ける場面が。
その反省か、以降はロングボールを送り込む攻撃を何度か見せ、相手の守備網を破らんとします。
相手の甲府のフォーメーションは4-2-3-1なので、前線4枚でパスコースを切られつつプレスに来られると最終ライン3枚の状態では辛い、という要素もあったでしょう。

一方甲府の方も、今季は主体的に攻撃するのを目標としているとの事。
しかしこちらはフォーメーション変更(前年は主に3-4-2-1)も伴っており、前年のメンバーはそのギャップに苦慮しているようで、特に右サイドバックに配置された小柳は一苦労しているようでした。
といっても前年の主力選手は軒並み移籍しているので、全体として見れば「マイナスとプラスが混在」という状態でしょうが。

ファーストシュートは甲府で、レンタル移籍から戻って来たジュニオール・バホスが最前線で奮闘。
13分、バホスの右サイドのドリブルから遅攻が始まり、一旦戻してから逆の左サイドへ展開。
左SBの内田がクロスを上げ、これはクリアされるも右で拾ったバホスが再度クロス、松田のヘディングシュートが生まれましたがこれは枠外に。

しかし以降は新潟のターンに。
ポゼッションサッカーに付き纏う「ボール支配はするもののシュートは撃てず」という悩みに苛まれつつありましたが、前半19分に初シュート。
しかもこれが先制点に繋がります。
敵陣で奪ってから右サイドの攻撃で、ロメロ・フランクと新井直人のパス交換から中央へ。
これを受けた渡邊新太が縦パスを送るとともに前進、受けたファビオのワンタッチをダイレクトでゴール左へシュート。
スピーディーなパス回しでの崩しを、見事ゴールに繋げた先制点でした。

先制された甲府も、以降はペースを握り反撃に出ます。
しかし今度は3人のオフェンシブハーフのポジションに悩みが見受けられ、20分頃から、これまでトップ下だった泉澤が左サイドへとチェンジ。
左サイドでスタートしたドゥドゥはトップ下だったり右サイドに出張ったりと、何とか攻撃を活性化させようという試みが見られます。
前年も常時2シャドーの人選に苦難しているようだった伊藤彰監督、今季も2列目の選択が以降のカギとなりそうでした。

守備ブロックを形成する新潟(5-3-2)に対し、甲府もボールを握っての攻撃を仕掛けようとするも、中々崩せずに時間を浪費。
しかし左サイドへと移った泉澤の仕掛けが突破口となります。
29分、山田の左への展開からドリブルで持ち込む泉澤。
その後中央へパスを送り、バホスポストプレイ→ドゥドゥ→松田エリア手前からシュート(新潟・田上がブロック)という流れる攻撃が生まれます。

流れの中から好機を掴む事に成功すると、その後の33分。
ここも左サイドから松田(ドゥドゥの移動に伴い中央と右を行き来していたが、この場面は左に寄る)のパスを受けた泉澤がドリブル、敵陣奥へと進入。
そして切り替えしてからのクロスがファーサイドへ上がると、田上のマークを振り切ったドゥドゥがヘディングで合わせてゴール。
同点となり新潟サイドは浮足立ったか、直後にはビルドアップの段階で右SB・新井直がバックパスをミス。
これをバホスがエリア内で掻っ攫い、すぐさま中央のドゥドゥに送ると、ドゥドゥは冷静にGK藤田の股を抜くシュート。
あっという間の逆転劇となりました。

その後も甲府の攻勢が続く展開。(37分にはコーナーキックからドゥドゥが再びヘディングシュートもゴール左に外れる)
押せ押せ状態である甲府のプレスに対し、ビルドアップが機能しなくなっていた新潟は、この辺りからマイナーチェンジ。
これまで最終ラインに降りる事が常となっていたゴンザレスが、以降は自軍ボールになってもあまり降りて来ず。
「丁の字型」から「ボックス型」への変更がなされると、早速結果が出たのが前半終了間際。
秋山がボールを散らしつつ全体を伺うと、すかさずロングパスを相手エリア内に送り、そこには渡邊新が猛然と走り込み。
ダイレクトで合わせた渡邊新のシュートはGK河田の左を見事に抜き、前半のうちに同点とする事に成功しました。

点の取り合いで前半を終え、後半を迎えるにあたって先に動いたのは甲府。
山田に代えて大ベテラン・山本を投入。
前半の最後は、同点とされてからも、松田のクリアミスで決定機(渡邊新がエリア内からノーマークでシュートもGK河田がセーブ)を作られており嫌な流れで終えていた甲府。
経験豊富な後方の司令官の存在で流れを変えに図ったものの、それは叶わず。
後半に入ると新潟がシュートの雨を浴びせに掛かる展開となります。

後半2分、右サイドで攻撃を作り、ファビオがドリブルを開始。
甲府・山本に倒されるもこぼれ球が渡邊新→ロメロと繋がり、エリア内右からロメロがシュート。(枠外)
5分はビルドアップを駆使しつつ左→中→右へとサイドを移すと、新井直のスルーパスを、ロメロがヒールで繋いで渡邊新へ。
エリア内右からの渡邊新のクロスは跳ね返されるも、こぼれ球をゴンザレスがミドルシュート、ブロックされた後さらに高木がダイレクトシュート。(これもDFがブロック)
8分には中盤での奪い合いからゴンザレスがキープ、高木のパスからファビオがポストプレイ、ここに渡邊新が走り込んでシュート。(DFがブロック)

新潟にゲームの針が振れつつありましたが、その一方で最前線で体を張るファビオが接触プレイの連続で何度もピッチに倒れ込み、その都度プレイが止まるという風景が。
逆に甲府サイドも、15分にGK河田が決定機を飛び出して防いだ際、渡邊新と交錯して負傷。
良い流れに水を差されるかのようにモノに出来ない新潟、泥仕合の雰囲気が生まれ始めます。

流れを断ち切りたい甲府、早め早めの選手交代でそれを果たさんとします。
17分にはバホス→ハーフナー・マイク、泉澤→太田と2枚替え。(同時に新潟も高木→本間に交代)
新潟はその後堀米が足を攣らせる(早川に交代、同時にロメロ→シルビーニョに交代)など疲労が色濃くなってきたのもあり、徐々に戦況は甲府サイドへ。
26分、これまで今一つだった右サイドから攻撃、小柳のスルーパスに太田が抜け出して低いクロス。
松田が合わせにいくもこぼれ球となり、これをドゥドゥがバイシクルでシュートするも、新潟・早川のブロックでゴールならず。
直後の27分にドゥドゥもお役御免となります。(金園と交代)

甲府が金園・ハーフナーの2トップにシフト、彼らの高さも生かしつつの攻めに移行する一方で、新潟もシルビーニョが入った事で推進力を増しつつ攻撃。
そんな中、35分に甲府GK河田が限界を迎え、岡西へと交代。

そしてその直後に勝ち越し点が生まれ、奪ったのは新潟(36分)。
敵陣で奪ったゴンザレスから、渡邊新スルー→本間と渡り、本間はルーレットのような動きでボールキープ。
そしてエリア内右へラストパスを送ると、走り込んだシルビーニョがシュート、代わったGK岡西の横を抜きゴール。
これで苦しみながらも勝利に近づいた新潟でしたが、ドラマには続きがありました。

リードを許した甲府、2トップの高さによるパワープレイ体制へと移行します。
既に5枚の交代枠も使い切った以上、理想・目標を捨てるのにも躊躇なく、ロングボールを前線に入れてはハーフナー・金園に競らせます。
89分には、自陣で太田ボール奪取→ハーフナーポストプレイ→山本スルーパスと繋がり、金園が左サイドに抜け出し駆け上がる大チャンス。
その後金園のクロスを太田がシュートに持ち込みますが、ブロックに阻まれ同点ならず。

アディショナルタイムに入り、内田のロングスローも駆使する総動員体制でゴールを狙う甲府。
そしてその執念が実を結んだのがAT4分。
内田のエリア内左へ投げ入れたボールを金園が中央へ落とし、走り込んだ太田が胸に当ててのシュート。
決して綺麗とはいえない、まさに執念の一言のゴールで土壇場で同点に。

その後新潟が再び攻勢に出て、渡邊新・シルビーニョのシュートで惜しい場面を演出。
最後は甲府もエリア内から松田がシュート、GK藤田がナイスセーブを見せた直後に試合終了の笛が。
再開後の初戦を引き分けで終えた両チーム、理想のサッカーに近い位置にあると感じられたのは新潟の方ですが、勝ち点への執念の強さを見せたのは甲府。
イレギュラーによる難しいシーズンが幕を開けた(再開した)、そんな事を痛感させるような試合内容だったと思います。

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