ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第23節(順延) 鹿児島ユナイテッドFCvsFC岐阜

2019-10-31 18:25:49 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の鹿児島の記事はこちら(33節・栃木戦)
※前回の岐阜の記事はこちら(26節・長崎戦)

順延になっていたこのカード。(当初予定は7/20)
当初から残留争いを占う一戦として(一部から)注目されていましたが、この終盤に来て20位・22位の、しかも勝ち点差1勝分という直接対決という胸すく形で開催。

30節・琉球戦に勝利して以降、ちまちまというペースながら勝ち点を稼ぎ(2勝3敗4分)、前節でついに21位・栃木に勝ち点で並んだ岐阜。
29節・柏戦の大敗(0-4)を機に完全に守備重視の戦いにシフトしたようで、助っ人のライアン・デ・フリーズ、ジュニオール・バホスは以降サブ要員に。
松本から獲得した當間がディフェンスラインに加わった事で、守備は安定してきたようです。
しかし得点力の低さは変わらず、道中川西の故障欠場もあり(34~36節でスタメン落ち)、「点を獲れなければ引き分け狙い」という戦いをハッキリさせています。
川西欠場中はミシャエルが2戦連続得点の活躍をした事もあり、2引き分けで何とか凌ぎ。
前節(町田戦・0-0)から中2日という厳しい日程ですが、スタメンを変えずに挑みます。

一方の鹿児島、30節・金沢戦に勝利(2-1)して以降は未勝利。
5連敗も経験するなど落ち目の雰囲気が見られましたが、最近は3連続引き分けで降格圏の1個上で踏み止まり。
35節・新潟戦の大敗(0-6)が目をひくものの、それより深刻なのは31節以降わずか3得点という得点力の方だと思います。
ポゼッションスタイルを基調にした攻撃ながら、決定力不足、もっと言えば前年までJ3だったクラブ故の戦力不足は隠せず。
それでいて失点数がかさみ、攻守両面で苦しい戦いが続いている現状。
新潟戦以降守備陣は落ち着きを取り戻しており、その原動力はセンターバック・堤の復帰。
その他、藤澤の故障により酒本が右サイドバックに回っています。
31節・町田戦では、ルカオ・韓勇太(ハンヨンテ)のスタメン共存が見られましたが、1試合でお蔵入り、以降韓が1トップ。
前節からは、出場停止だった中原秀人が復帰(八反田と入れ替え)した以外はこちらも不動のスタメンです。

キックオフ。
ボールを繋ぐサッカーが基本線の鹿児島ですが、新潟戦以降はその意識をやや落としたようで、町田戦・山口戦(32節)と支配率で劣っていました。
前節・甲府戦は56対44と若干上回ったものの、相手が前半で退場者を出したという展開だったため判断できず。

そしてこの日、「相手にボールを持たせるタイプ」の典型である岐阜が相手。
しかし直接対決という冠が付いた(?)この試合、意外にも岐阜は前線からプレスを仕掛けてきました。
もちろん2トップが前田・馬場というベテランコンビのため体力面ではキツそうでしたが、それが逆に「行ける時だけ行く」、そして「ベテラン故の経験で行ける時が解っている」という良い塩梅になっていたようです。
反対に行けない時はすかさずブロック形成、しかもその切り替えが早いため、立ち上がりの鹿児島は遅攻も速攻も仕掛け辛いという展開を強いられます。

鹿児島はファーストシュートこそ放つものの(直接フリーキック、酒本が直接狙うもGKヤン・オレ・ジーバースにセーブされる・前半14分)、以降は岐阜側の決定機が目立った内容。
前半23分、エリアから若干離れた左サイドからのフリーキック、フレデリックのパスを受けた川西がそのままエリア内に進入してシュート。
虚を突かれた鹿児島ディフェンスでしたが、GKアンジュンスがセーブ。
27分、自陣からのロングパスを塚川が落とし、右サイドで受けた前田がクロス。
これを馬場がヘディングシュート、これもGKアンジュンスが横っ飛びで止めるという具合に、冷や汗ものの展開だった鹿児島。

しかし流れを変えるシーンは前半30分。
左サイドでの鹿児島の攻撃、牛之濱のスルーパスに砂森が走り込んでクロスを上げると、これがブロックに入った當間に当たってボールは岐阜ゴールへ向かいます。
辛うじてポストに当たり、今度は岐阜が冷や汗をかいた場面となりました。

以降は鹿児島がボールを握り、岐阜はブロックを形成して耐えるという前半の様相に。
44分には、中原秀のミドルシュートが右ゴールポストを直撃するなど、枠に嫌われる場面が目立っていました。
他にも水本・ニウドがミドルを狙うなど、岐阜の堅い守りを遠目から崩そうとする姿勢が表れましたが、結局前半はスコアレス。

下位同士の戦い故、「ゴール前に迫る機会が少ない凡戦」「守備の穴が目立つもお互い決定力不足に泣く」といった内容になるかと思っていましたが、意外と言っては失礼ですが充実した内容に映ったこの試合。
両チームとも基調となるサッカーが根底にあったというのがその一因でしょう。

堅守のスタイルである岐阜ですが、前への推進力は結構高かったと思います。
中盤の柱となっている川西を中心に何度も決定機を作っていましたし、後方からのロングボールも右サイドハーフ・塚川の頭狙いというのが解り易く、良い意思統一になっていた印象です。
逆に守備では、エリアのすぐ外で鹿児島のパス回しに喰い付きすぎて翻弄される場面が目立っていました。
そのため前半最後の鹿児島のシュートの連発も、ブロックした位置がエリア内と低く、一歩間違えれば危ないと思わされました。

後半が始まると、鹿児島はボールキープ率を高め攻勢に出ます。
後半4分、酒本のクロスが流れた後左サイドで韓が拾い、枝本・牛之濱とともに左→中央→右というボールの流れを作り酒本がミドルシュート。(DFがブロック)

岐阜も6分に反撃。
馬場が右サイドからエリアにに進入する動きを見せ、DFに阻まれたものの、こぼれ球を塚川がシュート。
しかしGKアンジュンスがセーブと、この日当たっている所を魅せます。
その直後の7分、鹿児島は酒本のロングパスが牛之濱に渡り、エリア手前中央からシュートを放った牛之濱。
しかしゴール左に外れてしまい得点ならず。

18分、岐阜はフレデリック→村田に交代し、村田がFWに回って馬場が左SHに。
以降はフレッシュな村田のプレスが効いたか、岐阜がペースを掴みます。
(28分に馬場も北谷と交代)
24分、右からのスローインでの攻め、塚川のパスを受けた川西が絶好のミドルレンジからシュート。
しかし当たりが悪かったか枠外に。
31分には藤谷の縦パスを受け取った前田、そのままドリブルでエリア内に入りシュート。
これもGKアンジュンスがセーブし、牙城を崩せず。

岐阜の時間が続いていたものの、32分に鹿児島は一瞬の隙を突いて決定機。(30分に韓→ルカオに交代)
ニウドが中盤でパスを裁き、牛之濱左へ展開→枝本クロスに頭で合わせたのは、上がってきたニウド。
完全に入ったと思わされた場面でしたが、当たりが悪くシュートはゴール左へと逸れてしまいました。

その後もチャンスを作った岐阜ですが、立ちはだかったのは前半と同じゴールの側のバー(ポスト)。
34分、左コーナーキックから阿部がヘディングシュート、競り合った鹿児島・堤に当たってコースが変わりバーを直撃しノーゴール。
38分には、阿部が左サイド遠目からシュートを狙い、あわやという軌道を描いたもののこれもバーに当たってしまいます。
まさに(画面から見て)右のゴールの枠が大活躍という試合になりました。

終盤はオープンな展開になり激しく攻守が入れ替わり。
鹿児島は砂森のクロスが岐阜ゴールを襲い、辛うじてGKジーバースが弾くというシーンも(44分)。
そして運命のアディショナルタイムに突入。

勝ちを狙いにいった姿勢が見られた岐阜のラストプレー。
鹿児島の攻撃を断ち切りパスを繋ごうとしたもののその矢先に枝本にカットされ、こぼれ球を五領(萱沼と交代で出場)にスライディングで繋がれるとルカオに渡り、ラストチャンスを得たのは鹿児島。
ルカオは迫力あるドリブルでエリア内に入り、そのまま強烈なシュートを放つと、ブロックに入った當間に当たってゴールはニアのポストを叩きつつゴールイン。
そしてそのまま試合終了と、劇的すぎる幕切れで鹿児島が勝ち点3を得る結果となりました。

勝ち点的に、引き分けOKの思いが強いと思われたのは鹿児島。
しかし岐阜側も、残り4試合で勝ち点3差をキープしておくのも悪くない選択肢。
それが為されなかったのは、やはり好ゲームを演じていた故の熱があったからでしょう。
J2下位という立場同士ながら、こうした戦いを観れるならJリーグは安泰だ、なんて事を思わされました。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第38節 V・ファーレン長崎vsツエーゲン金沢

2019-10-30 17:14:59 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の長崎の記事はこちら(36節・千葉戦)
※前回の金沢の記事はこちら(35節・甲府戦)
※前回の両クラブの対戦はこちら(14節)

終盤を迎え、勝ち点53で並んでいるチーム同士の対決。

この所「ポゼッションスタイルに移行している」との噂がある長崎。
確かに32節・徳島戦(1-1)では、元来ポゼッションスタイルの徳島に対し支配率でもさして負けておらず(48対52)。
しかし前回取り上げた千葉戦は結果も内容も伴わない敗戦(0-2)だったので、まだモノに出来ていないのか、それともその日その日でスタイルが変わっているのか。
未だ不明な所があります。

その一方で天皇杯では勝ち続け、ベスト4まで残っています。
先週行われた4回戦、同じJ2の甲府と戦い、2-1で勝利。
J1と違い中断期間も無いので、完全ターンオーバーを敷いた両クラブであり内容的には平凡(同時刻に行われた鹿島vsHondaなどと比べると)なものでしたが、勝利こそ大事というのがトーナメント戦。

その中で甲府戦でスタメンだった米田が、唯一この日もスタメンに顔を出しました。
前節(岡山戦)途中出場→天皇杯を経て、晴れて昇格(?)した大卒2年目の選手であり、右サイドバックでの出場。

試合が始まり、いつも通りの縦に速い攻撃と球際の強さを前面に押し出すサッカーを魅せたのは金沢。
立ち上がりは金沢ペースも、前半3分その隙を突いたカウンターで押し返したのは長崎。
大竹のロングパスを収めた呉屋が、そのままドリブルで単騎突撃を仕掛け、エリア手前からシュートを放ちます。(金沢・山本がブロック)

これが切欠となり、以降は長崎ペースに。
それも噂になっていた、ボールポゼッションを重視しつつの攻撃を展開します。
基本フォーメーションは4-4-2ですが、2トップの片割れである玉田が頻繁に中盤に降りてきたり、サイドハーフの大竹・澤田がボールサイドに寄って来たりというシーンが多々見られます。
当然それらはボールサイドに人数を掛けるという、パスを繋ぐ意識が根底にあっての行動だったでしょう。
ただそれらは攻撃型SBの亀川がいる左サイドが主で、レギュラー組に入って間も無い米田のサイドでは苦しかったか。
金沢側を押し込み続けたものの、前半17分までに5本のコーナーキックを得たのは全て左からのものだったのも頷けるデータでした。

しかし先制したのは金沢。
13分、右サイド奥に進入した金子が一旦藤村に戻し、その藤村はダイレクトでエリア内右へ浮き球を送ります。
これを長崎・亀川と競り合ってマイボールにした小島から金子へと渡り、クロスが上がるとファーサイドで垣田が落とし、中央で杉浦がボレーシュート。
豪快にゴール上部に蹴り込み、ファーストシュートが得点に結びつきます。

その後長崎の勢いは止まり、ボールを繋げずに攻撃機会も減っていきます。
この辺がスタイルがまだ確立出来ていない故の悲しさか。

時間が進み、金沢は30分辺りから左サイドでの攻撃を何度か見せ始めます。
長崎から見て右サイド、つまりは米田の方のサイドであり、新米選手の弱点を突こうという意図を感じました。
左SB沼田が躍動して何度もアーリークロスを上げたかと思えば、31分には自らミドルシュートを放つなど脅かしていきます。
金沢側も、レギュラー定着して日が浅い新人・石尾(セレッソユースから入団)の存在があり、そういった新米の空気に敏感になれていたのでしょうか。

それでも38分、長崎は米田が攻撃参加。
中央からやや左でのパス回しから、カイオ・セザールのサイドチェンジのパスを受け取った米田、そのままカットインしてシュートを放ちます。(金沢・山本がブロック)
しかし金沢左サイドの跳梁は止まらず、42分には沼田と加藤がワンツーで前進してからクロス。
続く43分、大橋の縦パスを受けたFW垣田が左へ流れ、沼田とスイッチを敢行してクロス。
何度も左サイドを脅かし続け、そして次の攻撃(同じく43分)。
藤村の左への展開から沼田が低いクロスを上げると、これがバウンドする対応が難しいボールとなり、垣田が右足で合わせてゴールイン。
執拗に弱点を突く姿勢をついに結果に結び付けました。

この日から、FWクルーニーが累積警告2度目(8枚)で2試合出場停止。
点取り屋の助っ人が出場出来ないという苦しい状況に見えた金沢ですが、優勢に試合を推し進める事に成功しました。

それもそのはずで、クルーニー以外にも得点を挙げられるのが金沢というチーム。
3得点以上をマークしている選手は10人(クルーニー含む)とやたら多く、誰をマークしておけば……というチームではありません。
それでもFW(垣田・小松・杉浦・山根)・サイドハーフ(加藤・金子・大石)が主な得点源なのは変わりませんが、「誰が出ても戦力ダウンしない」という点では大きな要素の一つです。

2点リードした金沢ですが、そのまま折り返そうという所に落とし穴が。
45分、センターバックの角田がドリブルで攻め上がると、澤田から左に展開されて亀川がクロス。
これを呉屋がマークを外してヘディングシュート、流石は得点王を争う男というような動きのゴールで、反撃の糸口を掴んだ長崎。

しかし後半立ち上がり、金沢の攻勢で幕を開けます。
今度は左からの攻めに拘らず、両サイドでチャンスを作りセットプレーも多く得ます。

反撃したい長崎でしたが出鼻を挫かれた格好で、早くも交代カードに活路を見出します。
後半9分という早めの時間帯で、大竹に代えて吉岡を投入。
ただしこれは定番化しつつある交代で、続いての交代である玉田(ビクトル・イバルボを投入・16分)も同じ。
いずれもベテラン選手の体力面を考慮しての交代で、プレースキッカーも務める大竹をこうして早めに代えざるを得ないのが辛い所であります。

こうして停滞感を振り払わんとした長崎は、17~18分に長きに渡る攻撃。
相手のクリアミスを呉屋が拾ったもののイバルボへのパスが遮断されたのが始まりで、そのボールを吉岡が拾って二次攻撃。
秋野・亀川・カイオのパス回しで中央~左サイドを往々とした後、亀川がクロス。
これは跳ね返されたものの秋野が拾ってカイオ→澤田→亀川と渡り、亀川がエリア内へスルーパスを供給し、受けたカイオがシュート。
GK白井にセーブされますが尚も攻撃、亀川がヘッドで中に入れるもクリアされ、そのこぼれ球を米田が拾って吉岡にパス。
エリア内に入った吉岡は一旦外に出た後、中央やや右寄りからシュートを放ったもののこれもGK白井がセーブ。
波状攻撃を見せたものの得点には至らず。

その後も攻勢をかける長崎、23分にはイバルボが左サイドで澤田とワンツーした後中央へパス。
受けたカイオがエリア手前からシュート、ボールは良くコントロールされたものの右ゴールポストを直撃しノーゴール。
26分、再びイバルボが左サイドから攻撃、カットインでエリア内に入った後シュートしますが、呉屋に当たってしまう不運。(その後カイオがシュートもブロック→こぼれ球を亀川ボレーシュートもミスキック)
33分にもイバルボが、今度は右からカットインで好機を作り、グラウンダーでクロス。
これに澤田が走り込んでシュートしますが枠を捉えられず。
イバルボがエリア近辺で決定的な仕事をするものの、得点に結び付く事は無く終わります。

いつしかシュート数も19対5という、圧倒的な差が付いてきた試合終盤。
36分には秋野のミドルシュートが炸裂もゴール右に外れ、試合を支配しての攻撃が焦りに変わりつつあった所で、直後に金沢が反撃。
大橋縦パス→山根(杉浦と交代で出場)収めて左へ展開→垣田低いクロスという攻撃、一旦はGK徳重が抑えたものの、あろう事か戻って来た澤田と交錯しボールをこぼしてしまいます。
これを大石(金子と交代で出場)に詰められ、澤田のクリアが間に合うもブロックされてボールはゴールに吸い込まれ、痛い追加点を献上する事態に。

これで長崎側も意気消沈したのか、金沢は遅まきながらシュートシーンを増やしていくその後。
そしてアディショナルタイム、沼田・山根・大橋でパス交換してから、山根が前へ走り込んだ所に大橋がスルーパス。
受けてエリア内に持ち込んだ山根、冷静に横の小松にパスを出し、小松(垣田と交代で出場)がゴールに蹴り込んで決定的な4点目。
その直後、金沢のクリアミスから畑(亀川と交代で出場)が1点を返しますが、大勢に影響無く金沢の勝利で試合終了となりました。

長い一年のシーズン、前半と後半で別の内容のチームになるのはよくある事です。
今の長崎にもそれは起こりつつあるのでしょうが、新しい事を始めるには時期が遅すぎた感が否めませんでした。
穿った見方をすれば、得点源の呉屋の去就(ガンバからレンタル中)を考慮しての新スタイルなのかも知れません。
金沢のような「誰が出ても得点できる」チームを作り上げる事は出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第38節 レノファ山口FCvsジェフユナイテッド千葉

2019-10-29 16:59:52 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山口の記事はこちら(31節・ヴェルディ戦)
※前回の千葉の記事はこちら(36節・長崎戦)

長かったリーグ戦も残り5試合。
目標を失いつつあるクラブは、既にストーブリーグモード一直線な時期でもあり。

昇格争いどころか、J3降格の危機にも脅かされてきた今シーズンの千葉。
早くも来季の監督について、過去に鳥栖・セレッソで監督を務めた尹晶煥(ユンジョンファン)氏が就任するという、真偽不明のニュースが流れています。

ここでも述べましたが、尹氏は徹底した厳しいトレーニングを下地とする指導者。
現在の平均年齢が高い千葉は、果たしてその厳しさに耐えうる事が出来るのかなどという危惧も考えられます。
まあそれは過去にオシム氏就任の際にも言われた事でしょうが、当時からクラブ力の低下が著しい現状で、再び乗り越える事が出来るのか。

千葉の監督といえば、今季は開幕から4試合消化した所でフアン・エスナイデル氏を解任。
その決断に踏み切った切欠が3節での大敗(2-5)なのでしょうが、その相手だった山口がこの日の対戦相手。
最近の選手起用を見ると、アラン・ピニェイロやエベルトの助っ人組がスタメンに返り咲いていたりと、今一つ狙いが解らないものになっています。
その中で千葉ユース出身である鳥海のボランチ起用が目立っており、先日引退発表した佐藤勇人の後釜を育てたいという意図は見えています。
それでも鳥海はユース→大学という経歴なので、既に若手とはいえない年齢(24歳)なのですが。

試合は、前半はシーソーゲームの様相に。
前半7分、千葉がクリアしたボールを佐藤健太郎が拾って川井→高井と渡り、左サイドから高井がゴールに向かったクロスボールを入れます。
これにスライディングで三幸が合わせにいき、触れなかったもののGK佐藤優也もセーブ出来ず、そのままゴールイン。(高井の得点)
半ばラッキーな形で山口が先制します。

しかしリードも束の間の11分でした。
千葉の右サイドからの攻撃、米倉スルーパス→アランクロスという素早い攻撃で、中央の守備が薄い状況を作ったうえでFWクレーベがヘディングシュート。
ボールはワンバウンドでネットを突き刺し、同点に追い付いた千葉。

その後は千葉が、クレーベのポストプレイも交えつつサイド攻撃を展開、ペースを掴みかけます。
15分にはコーナーキックから二次攻撃、下平の左からのクロスを工藤がヘディングシュートしますが、GK吉満がキャッチ。

しかし千葉のターンはすぐに終わり、以降はどちらともつかない試合展開。
両チームともハッキリしたスタイルとは無縁で、ポゼッションサッカーでも堅守速攻スタイルでも無く。
それがバタバタとした内容になっていた一因だったと思います。
23分、山口は左サイドで川井がロングパス、走り込んで受けた高井がグラウンダーでクロスを供給します。
これを三幸がスルーし、受けた宮代がポストプレイで落とすと、高がミドルシュートを放ちますがGK佐藤優がセーブ。
流れるような攻めでしたが、ゴールまでは結び付きませんでした。

攻防が入れ替わる中、再び得点に近いシュートを放ったのは山口。
38分、スローインからの攻めで、左サイドから中央の池上が受けるとエリア手前からシュート。
これもGK佐藤優のセーブに阻まれ、こぼれ球を右サイドで石田が拾い、高がクロスを上げますが高井のヘディングは上に上がっただけとなりGK佐藤優がキャッチ。

逆に千葉は41分、右サイドから攻めると見せかけて中央へパス、為田のパスをクレーベがポストプレイで左サイドへ送ってから攻撃。
為田・下平・工藤でパスを回し、最後は為田のクロスに走り込んだ下平がニアサイドでヘディングシュート。(枠外)
お互い良い形はそこそこ作るものの、決定打に欠けて前半は1-1のまま終えました。

千葉程のクラブとしての混乱は見せていないものの、中々スタイルを確立できずに日程を消化している今季の山口。
それもクラブの規模の小ささ故か選手の入れ替えが激しい事に起因しており、夏の移籍でも常にJ1クラブの標的にされているとあっては仕方の無い事なのでしょう。

ウイングバック・瀬川(現栃木)の移籍を機に、以降4バックのスタメンが基本線となります。
それでも不安定な戦いぶりは変わらず、25節(横浜FC戦)・27節(大宮戦)・29節(長崎戦)・31節(ヴェルディ戦)と、1戦おきに4失点で敗戦。
以降は守備に比重を置いての戦いを進め、勝ち点を稼ぐ事には成功しています。
その際に3トップは封印され、4-2-3-1というフォーメーションが基調に。

起用法としては、ヴェルディ戦を境にスタメン定着しているのは池上・高・宮代辺り。
田中パウロ淳一・工藤・佐々木は完全にサブ要員となり、チームにフィットしきれない新戦力は脇に置き、チームの地盤を固めるような起用にシフトしていっていると思われます。
途中加入の宮代・石田・高がフィットしつつあるのに何故あの3人は……という思いは拭えませんが。
後は大卒の菊池(新人)・山下(2年目)・池上(3年目)がどれだけ成長するのか、というのが楽しみな要素でもあり、ないしはまた引き抜かれないかという心配要素でもあり。

後半が始まると、その山口が攻め上がりを見せます。
それも前半とは異なるややポゼッション気味の攻撃を展開したのが後半3分で、自陣左サイドでのパス回しから、センターバック・菊池が左へロングフィード。
これを受け取った高井がドリブルを仕掛けた後中央へパスを送り、佐藤健が右へサイドチェンジ。
受けた石田が中央の三幸にパスを送りシュートレンジに迫ったものの、三幸はリターンパスを選択し、これが繋がらず攻撃終了。

しかしその直後に敵陣でボールを奪っての攻撃、右サイドで石田スルーパス→三幸クロス。
このクリアが小さくエリア内で高井が拾いチャンスが到来しますが、戻ってきた千葉・アランのディフェンスで奪われ、倒されるも笛は鳴らず。
長短使い分けた攻撃で、本来の山口・霜田正浩監督の理想だと思われる攻撃サッカーが顔を見せ始めました。

10分にも三幸の右への展開から好機、石田が池上とワンツーの後中央へパスを送ります。
受けた三幸が突破を図りエリア内に進入しかけますが、鳥海のチャージを受けて止められ、倒れますが反則は無し。
山口の絶好機を反則PKスレスレで止める千葉、という図式だった後半立ち上がり。

千葉を押し込んでいく山口、その流れに乗るべくベンチもアタッカー・山下を準備させます。
しかしその途中に落とし穴。
20分の千葉の攻撃、右サイドから米倉がクロス、これをファーでクレーベが落とします。
これに走り込んだアランがゴールに叩き込み、劣勢だった千葉が勝ち越しに成功しました。

直後に山下が出場。(佐藤と交代、右サイドハーフへ・三幸がボランチに下がり池上がトップ下へ)
しかし良い流れは生まれずに時間が進みます。
その間に千葉はクレーベ→佐藤寿人に交代。(24分)
27分には千葉の攻撃、アランのクロスに鳥海がヘディングで合わせますが、威力無くGK吉満がキャッチ。

そして山口は2枚目のカードを切り、アタッカーのパウロが登場。(高井と交代)
これでようやく山口はペースを取り戻し、反対にクレーベという攻撃の橋頭堡を下げた千葉は全く形を作れず。
30分、三幸の縦パスを池上がワンタッチでエリア内へ送り、山下のポストプレイで落とされたボールを石田がダイレクトで巻くシュートに持っていきましたが惜しくもゴール左に外れます。
33分にも左から中→右へと展開する重厚な攻撃(左サイドで川井ドリブル→宮代中へパス→池上右へパス)から、石田のグラウンダーのクロスを山下が合わせますが枠に行かず。

何が何でも追い付きたい山口、34分には工藤も投入し(石田と交代)、システムも3バックへとシフト(3-4-2-1)。
すると直後にその姿勢が吉と出ます。
35分、左サイドからの攻めで高→パウロ→川井→三幸とボールが繋がり、三幸がエリア内へ浮き球を供給。
高がヘディングで落としたボールが山下に渡り、ワントラップから山下がシュート、ゴール右隅へと突き刺す同点弾。
流れがようやく得点に結び付き、安堵とともにさらに攻め立てる山口。

全く攻撃の流れを掴めない千葉を尻目に、ついに勝ち越しに辿り着いたのが43分でした。
ここでも山下のワントラップからのシュート(千葉・エベルトがブロック)で得たコーナーキック、キッカー池上のクロスを、中央で落下点に入った宮代がヘディングシュート。
これをコース上に居たパウロがフリックして軌道を変え、ボールはバーに当たったのちGK佐藤優の体に当たってゴールイン。(パウロの得点)
攻めの執念がついに大団円となりました。

その後も、DFエベルトを前線に上げてのパワープレー体制に入る千葉に対し、逆にボールキープし形を作らせない山口。
何度も左コーナーでボールキープし時間を稼ぐパウロ、ボールを奪う事すらままならない千葉。
結局攻め込めたのは最後のワンプレーだけで、3-2のまま試合終了、山口が逆転勝ち。

新監督の真偽不明の情報が頼み(?)の千葉に対し、おぼろげながらも将来への期待感が窺えるメンバー構成で挑んだ山口。
最後はその差が結果に表れたという印象を残した試合でした。

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TV観戦 2019YBCルヴァンカップ ノックアウトステージ決勝 北海道コンサドーレ札幌vs川崎フロンターレ

2019-10-28 11:22:57 | サッカー視聴記(2020年以前)

文字通りの死闘。

それも120分+PK戦(サドンデス)を戦い抜いて長かった、というだけでは無く。
「勝利に近づいた」瞬間が二転三転するという慌ただしい内容だったのが、一層死闘ぶりを強くしていました。

後半43分の川崎・小林の勝ち越しゴールで、そのままアディショナルタイムに突入した際は、9割方川崎勝利という決着になると思わされました。
しかし最後のワンプレーで札幌が同点に追い付き、延長戦で勝ち越し。
しかも川崎・谷口が退場で数的優位にもなり、札幌勝利の針にググッと振れた延長前半。
それでも決着はならず、延長後半に同点に追い付いた川崎。

そしてPK戦。
5人目を迎える段階で札幌リード、再び、いや最も勝利に接近した札幌。
しかし5人目・石川のシュートはGK新井に止められ、サドンデス突入。
そして6人目、川崎・長谷川が決めたのに対し、札幌・進藤のキックをGK新井が再び止めて決着。

まあ川崎側が「勝利に近づいた」であろう時は厳密には一度だけだったのですが。

話を試合開始時に戻すと、この日自分はTV観戦。
いつも記事にするときはDAZNで、映像を巻き戻しながら観戦するのですが、TVのLIVE中継ではそういう訳にもいかず。

立ち上がりは札幌ペース。
いきなりFWジェイがスルーパスに反応し抜け出すという開幕で、川崎側はたまらず反則(山村)。
これでフリーキック(福森直接シュートも壁に当たる)→コーナーキック(福森クロスもクリア)と立て続けに押し込み、川崎に冷や汗をかかせる事に成功。
しかし川崎側も、前半5分に脇坂がシュート(DFに当たりGKクソンユンキャッチ)、7分に右サイドから脇坂の中へのパスを受けた登里がシュート(GKクソンユンセーブ)と応戦体制を見せます。

好ゲームの予感を漂わせつつあった前半10分、試合が動きます。
後方から右サイドへロングパス(出したのは福森?)が送られ、白井が受けて奥に進入してクロス。
川崎DFに当たり流れた所に、フリーで菅がボレーシュート。
思い切り良く放たれたシュートはゴールバー内側を叩き、GK新井に当たりながらゴールインとなり、先制点は札幌が叩き出しました。

以降、暫くは札幌ペース→徐々に川崎ペースも札幌がカウンター狙いという絵を描いていった前半戦。
先制点を挙げた菅が、14分にもジェイクロス→チャナティップ落としを受けてシュートを放つ(DFがブロック)という具合に、勢いを感じさせる場面を作った札幌。
ビハインドの川崎は反撃に出たい所でしたが、18分には札幌のカウンターが炸裂。
チャナティップのスルーパスで鈴木が抜け出し、ドリブルでエリア内に進入してシュート。
絶好機でしたが、シュートはゴール右に外れてしまいました。
これを境に、ポゼッションの川崎・カウンターの札幌という流れになっていきます。

リーグ戦でこそ、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(以下ミシャ)による「攻撃的・ポゼッションサッカー」をベースに上位争いを繰り広げている札幌。
その一方で、ルヴァンカップでは最高と言っても良い結果こそ挙げているものの、「ロングパス一本によるカウンター」で相手を仕留める試合も目立ちました。
自分が観に行った試合では予選第3節・湘南戦が顕著で、何度も湘南DFの裏を突くパスで好機を演出し、FW鈴木が止めを刺すというパターンを炸裂させ大勝。
準決勝・ガンバ戦でも、決勝ゴールを生み出したのはカウンターからでした。

これはターンオーバーを敷いている事に起因しており、サブメンバーないしはサブにも入れないメンバーのみでスタメンを組む事が茶飯事となっているのがカップ戦予選での戦い。
札幌は1・2節こそ完全ターンオーバーで挑みましたが、そこでの内容は芳しくないものであり、相手にペースを握られ続けながらも2戦とも引き分け(1節マリノス戦1-1・2節長崎戦0-0)。
それと並行して、リーグ戦も出足が悪かったのもあったのか、3節・湘南戦では半数近くレギュラー陣を起用して4-1の勝利。
4節でも同様の起用法で長崎に大勝(6-3)、この時点で予選突破は濃厚になりました。(しかしそれでも最終6節で辛うじて通過という結果でしたが)

レギュラー組が皆無、つまり「スタメン全とっかえ」の状況では、「ミシャ式」と呼ばれるサッカーが全く機能しない。
それを露呈させた1・2節であり、それは前年からJ2・甲府に完敗するなど既に露わになっていた現象でありましたが、それを改めたのが3節以降の戦いぶり。
レギュラー組と一緒にプレーさせる事でサブ組の能力を発揮させるとともに、普段のリーグ戦のような別段難しいプレーはあまり要求しない。(具体的には「ミシャ式」のビルドアップに余り拘らず、縦パス・ロングボールでの繋ぎを許容)
もちろんそんな起用法ではリーグ戦で使い物になるかどうかは不明ですが、まずは結果・勝利の味を覚えさせる事も一つの成長法。
そこからこの日スタメンの白井も、新人の檀崎も、特別指定の金子も活躍を魅せる様になり一定の成長を果たしたといえるでしょう。

「リーグ戦では出番が無い選手が活躍するチャンス」といっても、機能不全に陥っているチーム内に放り込まれるという起用法では、起用される側もそこに成長を見出すのは難しい。
そんな事を考えさせられる今季の札幌の予選からの戦いぶり。

さて試合の方は、川崎が攻撃のイニシアティブを握るものの、最後の段階で運気に欠けるシーンが多々。
20分、ショートパスの連続で中央突破し、阿部のエリア内左からのクロスをレアンドロ・ダミアンが仕上げ。
しかし決まったかと思われたシュートは右ゴールポストを叩き、同点とはならず。
44分にも家長のクロスからの、脇坂のヘディングシュートがポストを叩き、こぼれ球を繋いで阿部がシュートするも枠外に。

唯でさえ過去の決勝での敗退ぶり(4度とも無得点)がトラウマになってしまっている(であろう)川崎。
この日もその「運の無さ」で、二の足(二どころでは無いけど)を踏んでしまう危惧が苛まれつつあった前半アディショナルタイム。
苦しい時のセットプレーとはよく言ったもので、キッカー脇坂のクロスを、中央でダミアンが頭で合わせにいきます。
落としだったのか単にミートしなかったかは不明ですが、ボールはダミアンの頭を触ってファーに流れ、そこでフリーになっていた阿部が受けてシュート。
前半ながら起死回生ともいえる同点弾が生まれ、1-1で前半終了。
このゴールが無かったら、多分川崎側はズルズル負けのパターンに入ってしまっていたと思います。

後半も川崎がボールを握り、札幌はカウンター狙いという図式は変わらず。
特に札幌はビルドアップをしようとしても、川崎のプレスに苦しみ奪われてヒヤリとするシーンも作ってしまいます。
しかし決定機を作っても、後半13分・14分と立て続けに脇坂がシュートを外してしまうなど、再びゴールを破れない状況に陥る川崎。

ACL参戦組であり、ルヴァン杯はノックアウトステージからの登場となった川崎。
縁があって(?)その試合を観れた自分ですが、その時の試合内容はこの日とは違う様相でした。
相手がハイライン・ポゼッションスタイルの名古屋(現在は監督交代もあり異なりますが)だったため、意外にも裏狙いの縦に速い攻撃を連発していたあの時の川崎。

そして準決勝・鹿島戦では対照的に、圧倒的にシュート数・ボール支配率を高め、ゲームを支配するという言葉が相応しい内容で突破。
相手に合わせてのサッカーを敢行したうえで勝ち抜くという、目下Jリーグ2連覇のクラブの名に恥じぬ戦いで決勝にコマを進めました。
1戦目はシュート数16対4(3-1)、2戦目は18対3(0-0)と、1失点以外は文字通り何もさせていないかの如き試合運び。
その1戦目で馬渡和彰の負傷退場→長期離脱というアクシデントはあったものの、決勝で大島が復帰・売り出し中の田中もチームに合流と、層を厚くして挑む事にも成功しています。

後半も半ばになり、その層の厚さを見せつける展開に。
決定機逸が目立ってきた脇坂に代えて、長らくチームの支柱となってきた中村を投入(19分)。
28分にはダミアンに代えて小林を投入と、勝負所で2人のベテランの力を加える采配。

しかし中村投入からややペースダウンしたのか、札幌もこの日の持ち味であるカウンターで好機を演出。
22分、自陣でのインターセプトからチャナティップ→鈴木と渡り、アンデルソン・ロペス(ジェイと交代で出場)へとスルーパス。
受けたロペスはエリア内右からシュートを放ちますが、枠の右へと外してしまいます。

交代出場のロペスにシュートを狙わせる展開を何度か作り、27分にはルーカス・フェルナンデスも投入する(白井と交代)など、こちらも勝負手を打った札幌。
しかしロペスの精度も今一つで、逆にロペスが鈴木に縦パスを送るも、強すぎて繋がらないという場面も。
そんな隙を突かんと、川崎は38分にコーナーキックから決定機。
キッカー中村のクロスが跳ね返された後、拾った大島のロビングをファーで阿部が折り返し、谷口がヘディングシュート。
しかしGKクソンユンのセーブに阻まれ勝ち越しはならず、試合は佳境へと移っていく事に。

その後の両チームの激闘ぶりは、自分が語るまでも無い事だと思うので割愛します。
強いて言うならば、札幌3点目の福森の直接フリーキックは、蹴る前から入る気しかしなかったですね。
距離が近いのもありましたが。

そして優勝の座に辿り着いた川崎。
3度目ならぬ、5度目の正直。

2000年では、準決勝での京都戦で「お前らそんな事やっている場合か対決」(共に後にリーグ戦で降格決定したため)と揶揄されていたのが印象的でした。
J2降格→再昇格(2005年)を経て決勝に挑んだ2007年、初のACL参加とも相成って、Jの強豪としての地位を歩み始めた年でした。(決勝はガンバに敗戦)
その2年後の2009年は多摩川クラシコのライバル・FC東京との対決で、敗戦の悔しさが表彰式での蛮行となってしまいニュースにもなりました。
2017年もセレッソに敗退したものの、その悔しさは今度は初のリーグ優勝という形に繋がり、ようやく無冠の座を脱した歴史的な年になりました。

そうした苦労が報われた……とは、既にリーグ戦で2連覇を達成し「王者」と呼ばれているクラブには似つかわしくないと思いますが、ともかくおめでとうと言いたいです。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第37節 栃木SCvsFC琉球

2019-10-24 16:52:34 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の栃木の記事はこちら(33節・鹿児島戦)
※前回の琉球の記事はこちら(28節・横浜FC戦)

不利な状況での忍耐。

33節・鹿児島戦で「ヘニキFWシステム」を採用したのが成功したものの、跳び抜けた効果は表れず降格圏から抜け出せていない栃木。
正GKのユヒョンが故障で長期離脱という激震も走る危機的状況。
代役に川田修平がGKを務めた過去2試合は、いずれも1-1の引き分け。
35節・徳島戦では、ボール支配率23対77という圧倒的な差を付けられながらもリードを保っていましたが、試合終盤で同点に追い付かれてしまいました。
そして前節・甲府戦でも、ポゼッションに拘らない甲府にまで支配率30対70と差を付けられ、しかも終了間際に同点弾を浴びるという焼き直しのような試合を展開してしまいます。
いずれも上位相手に引き分け、という点は評価できるものの、残留への勝ち点3を得る絶好機を失ったという印象は払拭できず。

この日も前節と同じスタメンで挑んだ栃木。
鹿児島戦を境に、枝村・大﨑・榊・久富が5試合連続でスタメンで名を連ねている辺り、既に今季はこの形で残留を目指す腹積もりなのでしょう。
相手は徳島同様、ボールポゼッションに定評のある琉球。

どんなに不格好でも結果が出れば良し。
そんな開き直りぶりは、前半2分瀬川のセンターサークル付近からのシュート(味方選手が倒れていたという要素もありましたが)で垣間見えます。(GKカルバハルキャッチ)
その後も、ロングボール主体で陣地を回復、という姿勢を貫く栃木。

そんな姿勢に、パスを繋ぐ事が基本路線である琉球は苦戦気味。
守備ではヘニキやユウリのフィジカルに手を焼き、攻撃では芝の状況の悪さ故か、思うように繋がらないパスワーク。
ボール支配率では上回るものの押されているのは明らかで、クリアで逃げる場面が多々。
まるで町田の試合を見ているかのような、スローイン数の増大。

そのスローインも、とにかく距離を稼ぐ事を念頭に置いた栃木。
ライン際へ長いボールを投げ入れてはセカンドボール狙いという戦術で、再びスローインとなる事多し。
そして敵陣深くでのスローインは全て両サイドバック(瀬川・久富)によるロングスローと、そこまでするか?という徹底ぶり。

不格好な漸進戦術ともいえる栃木でしたが、前半8分。
瀬川のロングスローの跳ね返しを大﨑がヘッドで繋ぎ、そのボールを榊がオーバーヘッドでシュートにいきます。(DFがブロック)
21分にも、久富のロングスローの跳ね返しをユウリがオーバーヘッドで狙う(ジャストミートせず)など、シュートシーンでは難しい事をする様が印象に残りました。

一方、琉球はアクシデントに襲われます。
ヘニキとの接触プレーで痛んだ右SB鳥養、一旦は復帰するものの、その後プレー不能となり前半15分でまさかの交代。
そしてこの日琉球はDFの選手をベンチに入れておらず、ベンチワークが注目されます。
果たして採った選択は、FWでジョーカー役であった上原を投入し、フォーメーションは弄らず彼をSBとして起用するというものでした。

大選手・小野を獲得したのは周知の通りですが、その小野加入と同時に、ジョーカーとして存在感を発揮し始めている上原。
それまで僅か3試合出場(1得点)に留まっていたのが、28節・横浜FC戦から10試合連続で途中出場(3得点)を果たし、しかも劇的なゴールでチームに勝ち点を齎す事数多の大活躍。

この上原、新戦力の小野・既に大黒柱の上里と同じく、元札幌という共通点を持っています。
「北と南の果てから……」というフレーズが頭をよぎるような編成となりました(上里・上原は沖縄県出身)が、これにより再び勝ち点を拾えるようになり、一時期の底から脱却しつつある琉球。

札幌時代にSB経験がある上原ですが、突然の出場・それも普段とは違う役割は厳しかったか。
栃木相手に機能不全に陥りかけていた琉球のサッカー、その歯車を正常に戻す事はままならず。
前半の後半、30分台には自陣でボールロストする事2度と、隙にも付け込まれてしまう上原。
結局、琉球の見せ場はアディショナルタイムの直接フリーキックぐらい(風間宏希が直接シュートも壁直撃)で、スコアレスで前半を終えます。

後半の立ち上がりも、残留への執念を強く前面に出すかの如く栃木がチャンスを作ります。
しかしそれでも、セットプレーでの放り込みがメイン。
後半2分、右サイドからのフリーキック、かなり手前の位置ながら瀬川はエリア内へ上げます。
跳ね返ったボールを久富がミドルシュートにいきますが、シュートは枠外に。
11分には右からのコーナーキック、クリアボールは枝村が拾って再びエリア内に入れますが、これもクリア。
そのボールを大﨑が拾ってミドルシュートを放ちますが、これも枠に飛ばせず。

そんな展開でしたが、流れの中から栃木のチャンスがやって来たのが22分。
敵陣左サイドで枝村がルーズボールを拾い、大﨑とパス交換。
そして大﨑が川田拳登とのワンツーでエリア内に進入し、シュートを放つもののGKカルバハルに阻まれゴールとはなりません。

対する琉球、後半も苦戦気味なのは変わらず。
それもボールを繋ぐという長所を放棄する場面もあり、唯の蹴り合いと揶揄されるようなボール支配の移り変わりの絵図も見られました(特に28分~32分頃の辺りか)。
それでも守備を崩す事無く、アタッキングサードでの栃木の精度の低さにも助けられつつ、スコアは終盤まで動きません。
その忍耐強さはベンチワークにも表れ、良く無い流れにも拘わらず、前半のアクシデント以降は配置交換・選手交代を行わず(アディショナルタイムに風間宏矢→田中)。

攻撃は右サイドでアクシデントが起こった事もあり、左サイド中心。
後半はサイドハーフの河合がライン際に張り出しつつ、反対にSBの徳元が中央寄りへと位置を取るという場面も目立ち、相手を崩す工夫を怠る事はありません。
ここでも「苦しい状況でも、普段通りのサッカーをする努力」という忍耐が垣間見えます。

そして結果に繋がったのが34分。
左サイドでのスローインから、風間宏希・徳元・上里がボールを動かした後、エリア内へスルーパスを送ったのは風間宏希。
そこに走り込んだのは上門で、栃木・久富のアタックを振り切りシュート、角度の小さな所から見事サイドネットに突き刺し先制ゴールを挙げました。

前2試合から一転して終盤追う展開になった栃木。
既に2枚カードを切っており(25分榊→平岡・34分川田拳→浜下)、3枚目の交代はヘニキ→三宅というもので38分。
前半から前線で、ハードワークという表現すら生温いぐらいの奮闘を見せてきたヘニキ。
「ヘニキFWシステム」になってからというもの、5試合いずれも途中交代となっており、スタミナ消費の激しさが伺い知れます。

交代で入った三宅、41分に久富のロングスローからの攻撃でシュートチャンスが。
ここでもクリアされての二次攻撃、枝村→久富と繋いで右からクロスが上がり、ニアサイドに飛び込んでヘディングシュート。
しかしこれも枠を捉えられずに終わります。
一方ヘニキの代役は、アディショナルタイムも間近になりCB田代が前線に上がり務め、パワープレイ体制へ。

そのアディショナルタイム、カウンターで止めを刺したのは琉球。
徳元がクリアしたボールを山田がポストプレイで繋ぎ、河合がドリブルで一気に持ち込む絶好機。
エリア手前からのパスを受けた上門、落ち着いてシュートを放ってGK川田修平を抜き、本日2点目を挙げると同時に試合終了。
アウェイの洗礼を跳ね除ける勝利を挙げました。

この時期、死に物狂いで来る残留争い組のクラブとの対決は、その勢いにどこか萎縮してしまう内容・結果になる事も少なくありません。
前2試合で栃木と相対した上位組の徳島・甲府も、そんな図式に巻き込まれて勝ちを逃したという印象でした。
この日の琉球にも(決して上位組ではありませんが)それが襲い掛かりましたが、何とかいなす事に成功。
同時に降格の危機はほぼ去ったと言っても良く(この日で勝ち点43、残り5試合で13差)、また一歩クラブとして成長を果たせた事でしょう。

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