ぶらりドリブルの旅

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第24節 栃木SCvs柏レイソル

2019-07-30 17:14:07 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の柏の記事はこちら(19節・千葉戦)

今年も夏を迎え移籍市場が解禁。
上位を目指すクラブだけで無く、降格危機に陥っているクラブも急場を凌ぐため積極的に補強に動く時期です。
前節終了時点で最下位(22位)の岐阜は、甲府で浮いた存在になっていたジュニオール・バホスはじめ松本から塚川・大分から馬場をレンタルで獲得。
一つ上の21位の福岡も、柏から村田・新潟から加藤・町田から山田と、戦力を集めるのに躍起になっています。(必死になりすぎてペドロ・ジュニオールと仮契約も問題発覚で契約解除という笑いの種を提供してしまったのですが)

そして20位の栃木、同じJ2のクラブから乾(横浜FCからレンタル)・瀬川和樹(前山口)を獲得しただけに留まらず、ドイツ下部リーグ(4部)で修行中の身であった三宅の完全移籍での獲得に成功しました。
この日早速3人ともスタメンに並べ、また韓国リーグからキムヒョンも獲得しベンチ入りさせるなど、劇薬ともいえる起用法を見せた田坂和昭監督。(三宅とキムヒョンは前節スタメン出場)

相手は首位グループという、はるか上の順位に居る柏。
それでも相手が強豪だろうと何だろうと、残留のためには1でも勝ち点を積み上げなければならない立場の栃木。
その思いが早速実り、前半2分に早くも先制します。
三宅のクロスで早々にコーナーキックを奪うと、そのこぼれ球で枝村が柏・瀬川祐輔に倒され反則、次はゴール正面からの距離のあるフリーキックに。
キッカーの西谷和希がエリア内に入れ、FWの大ベテラン・大黒がスライディングシュート。GK中村にセーブされ、右側に弾かれたボールを森下が折り返し。
大黒が倒れたままボールを左へ流し、そこに走り込んでいた乾が蹴り込んでゴール。
何が何でも先制するという泥臭さ溢れる先制点でした。

2009年にJ2参入を果たしたものの、2015年にJ2最下位となってしまいJ3降格が決定。その2年後ギリギリながら昇格を決め、再びJ2の舞台に立っているのが栃木。
現在J1に居る大分(栃木と一緒に降格・21位で入れ替え戦敗北)と共に、J3から戻る事に成功した数少ないクラブです。
前年は常に二桁順位ながら、残留争いからは一段上の位置で高みの見物をしていたという印象で17位でシーズンを終えました。

大ベテランのストライカー・大黒が加入したのがこの年で、3年ぶりに故障の無いシーズンを送り40試合12得点でチームに貢献しました。
今季もワントップで開幕から起用されており老いてなお盛ん、という言葉が真っ先に浮かび上がりますが、故障で15節~19節と欠場してしまい得点も5と伸びず。

栃木の戦術は一貫してカウンターに徹しているという印象で、ボール支配率・パス数では相手に大差を着けられるのは日常茶飯事。
前半の柏との対戦(9節)ではまさにそんな試合運びで、シュート数も7対20と圧倒されながらゴールを割らせず、スコアレスドローに持ち込みました。
そしてこの日は開始早々に得点を挙げ、後は柏の攻撃を凌ぎつつロングボール主体のカウンター攻撃に徹すれば勝利は見えてくる……そんなプランが感じ取れる序盤の試合内容。

ただ誤算だったのは、柏はそんな栃木の戦いに嵌り込むでも無く、とことん付き合ってやるという気概が見えていた事でしょう。
こうした栃木の狙いに対し、ボールを繋ぐ事で反撃するのでは無く、割り切ってFWのオルンガ目掛けたロングボール攻撃を多用します。
柏が仕掛けるであろうパスワークに対応すべくコンパクトな守備ブロックを採っていた栃木、虚を突かれた感を露呈してしまったのが前半17分でした。
センターバック染谷からの何度目かになるロングフィード、これに栃木のセンターバック藤原が先んじて対処しますが、後ろを追尾して迫ってきたオルンガを目の前にまさかの対応ミス。
オルンガに奪われたボールはGKユヒョンの目前でシュートされ、痛すぎる同点ゴールを奪われてしまいました。

その後の栃木の攻撃は、一辺倒では無いもののやはりロングボールが多く。
サイド攻撃を仕掛けても、エリア手前の位置での早めのクロスが目立ち、アバウトな印象が強かったです。
その副産物としてコーナーキックを多く得たものの、チャンスをものにする事は無く。
キッカーに西谷和・三宅の2人を置くという工夫はあっても、クロスの質の工夫は無かったという感想を抱いてしまいました。
一方の柏も、パス回しはするものの過度のポゼッションは見せず、ロングボールやDFの裏狙いを続けていきます。
そんな感じで1-1のまま前半終了。

そして後半開始直後(2分)でした。
柏の左サイドバック・古賀がドリブルで持ち上がり江坂にパス。
栃木・乾に阻まれたボールがクリスティアーノの下に転がり、拾ったクリスティアーノはエリア手前左からミドルシュート。
これがリフレクションとなったのかGKユヒョンは反応する事が出来ず、ゴール左に綺麗に突き刺さりました。

その1分後にも、似たような位置でクリスティアーノが再びミドルシュートを放つ(GKユヒョンが抑える)などエンジンがかかってきた柏。
前半と違ってオルンガ狙い一辺倒では無く、彼と江坂を主としたポストプレイを交えつつ攻めを展開します。
リードを奪えたのもあるでしょうが、最初にロングボールを相手に意識させ、そこからの勝負というプランを立てていた節が窺えました。
それとは別に栃木県グリーンスタジアムの芝のコンディションの悪さという要素を考慮したのかもしれませんが

実力的には完全に上回りながら、自分たちのサッカーを貫くのでも無く、相手・状況に合わせた戦略・戦術で最終的に勝利する。
そんな奥行きの深い戦いが傍らから見て感じ取れ、ここら辺は今季監督に復帰したネルシーニョ氏の本領発揮といえるでしょう。
チームに一本芯を通すのとは逆をいく方法ながら、(J2内で)戦力的に最上位のクラブではそんなやり方が合っているのだと思われます。
かつて自身が指揮を執った、J最強と言われたヴェルディのように。

さて試合の方は、後半18分に栃木が枝村→キムヒョンへの交代を敢行。
キムヒョンには大黒とツートップを組ませ、全体も3-4-2-1から4-4-2にチェンジ。そこから攻撃のペースを掴み始めます。
21分、GKユヒョンからのロングフィードをキムヒョンが頭で落とし、拾った西谷和がエリア内左にドリブルで進入。
そこからクロスが上がり、逆サイドに流れたボールを浜下が拾って再びクロス、これを大黒がヘディングシュートを枠に飛ばしますがGK・中村が片手でファインセーブ。
26分には三宅が右へのサイドチェンジを受けた浜下がクロス、大黒がボレーで合わせにいくも直前で柏・鎌田のパスカットに遭いシュートならず。
30分には大黒が中盤でポストプレイ、受けた瀬川和が左サイドをドリブルで敵陣に進入、そこから右サイドへと順にパス回し。
ボールは右の浜下に回り、ヘニキとのパス交換からクロスを上げると、中でキムヒョンがヘディングシュート。(左に外れる)
良い形を作っていきますがゴールは奪えず。

柏側も何度か良い形を作るものの、最後のフィニッシュの所でシュートが当たり損ねという場面が目立ち追加点は取れず。(特に24分のオルンガのボレー、28分の裏に抜けた江坂のボレーのどちらかは決めたかったはず)
試合も終盤に差し掛かり、柏は田中→田上に交代するとともに5バック(表向きは3-4-2-1)にシフト。
上記のシュートミスもあり、もはや追加点は取りづらいと悟ったかのような開き直ったベンチワークで守りを固めます。

最後の栃木の放り込み戦術も守り切り、逃げ切って勝利した柏。
首位・京都と勝ち点で並ぶ状態を今節も維持、以降もプレッシャーをかけ続けいずれは首位の座を奪いたい所でしょう。

一方の栃木は、福岡が引き分けで勝ち点1を取ったため21位に転落。
途中から2トップにシフトしたように補強によって選択肢は増えてきましたが、今週は水曜にも試合が待っている過密日程。
新戦力を含めた戦術を落とし込む時間はあるのか、大黒に無理をさせられない時はどうするのかと、厳しい戦いは続きそうです。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第24節 ヴァンフォーレ甲府vsファジアーノ岡山

2019-07-29 19:35:21 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の甲府の記事はこちら(19節・琉球戦)
※前回の岡山の記事はこちら(10節・徳島戦)

いつの間にか順位が入れ替わっている両クラブ。(岡山6位・甲府7位)

開幕から上位争いを続けて来ていた甲府、その原動力はカウンター戦術による、守備の固さと前線の能力の高さでしょう。
しかし前線の決定力に陰りが見え始めてきた最近の試合、5得点で大勝した琉球戦以降は5試合で4得点、無得点試合も2度ありいずれも敗戦。
先制点を奪った試合を見ると22節・愛媛戦の前は、16節・新潟戦まで遡るという、守備型チームの理想である先行逃げ切りの形には持っていけていないのが一目瞭然です。

最前線を張るピーター・ウタカは能力・実績とも申し分無いのですが、既に晩年といっていい年齢(35歳)であり、琉球戦以降無得点が続いています。
この日は相方のドゥドゥが欠場と、水曜にも試合がある今週の過密日程を睨んでの措置だと思われましたが、どうやら故障が再発してしまったとの事。
こうなるとウタカを休ませるという選択肢も採りづらく、何とか理想の形で悪い流れを断ち切り順位を再び入れ替えたい一戦。

一方の岡山、折り返しまでは8~12位の間を行ったり来たりしていましたが、ここに来て3連勝でプレーオフ圏内に浮上。
21節・鹿児島戦で上田が故障から待望の復帰、そして自ら得意の直接フリーキックで祝砲のゴールを決めたのが契機となり、連勝を続けております。
この間に開幕からレギュラーだった武田将平や久保田がサブに回り、新たに喜山が上田とボランチを組む役に抜擢されるなど微調整も行われ、迎えたこの試合。
ストライカーにイヨンジェという絶対的な存在が居る(目下J2得点王タイ)だけに、いかに彼に良い形でシュートを撃たせるかの組み立てが問われるでしょう。

キックオフ前、岡山側は陣地を交代する策を採りました。
これが遠因となったのか、スローインやファウルの判定に不満を漏らす選手が多発するなど、試合はやや甲府側がフラストレーションが溜まりそうな展開で推移していきます。
また両チームとも自陣でのボディコンタクトで簡単に反則を取られ、フリーキックを与える場面も散見。傍らから見ていてやや簡単に笛を吹きすぎな印象だった前半。

判定の件は一旦置き、試合は序盤から岡山ペース。
カウンター狙いが明白な甲府なので当然といえば当然ですが、それ故ボールを回す展開となった岡山。
左サイドの仲間・椋原の攻撃を軸にしつつ、赤嶺のポストプレイを織り交ぜながら形を作っていきます。
オーソドックスな4-4-2というフォーメーションで、上田・喜山のドイスボランチが低い位置でゲームメイクする役目なので、両サイドバック(特に左の椋原)の位置は高目。
2トップはイヨンジェと赤嶺ですが、赤嶺がよく降りてくるのでイヨンジェは前線で左右どちらにも顔を出すという、守備からするとマークがやりづらい印象。

甲府の攻撃はというと、2シャドーの横谷・曽根田が頻繁にポジションを移動し、単調になりがちなカウンター主体の攻撃にアクセントを加えます。一方ウタカは勤続疲労が隠せないのか、ポストプレイのため降りてくる一方で中々シュートは撃てず。
前半の中盤からは左センターバックのエデル・リマも攻撃に加わるようになり、岡山ペースの序盤から、徐々に流れを押し戻しつつ……という展開。

すると前半32分、甲府に欲しかった先制点が入ります。
小椋のロングパスが左サイドのスペースに入り、これをウタカと岡山・チェジョンウォンが追い掛け、競り勝ったウタカがキープに成功。エリア内へとドリブルで向かい、シャドーの横谷・曽根田が走り込む中央にグラウンダーで入れます。
これを横谷ポストプレイ→曽根田ダイレクトでシュートという流れるような動きでゴールネットに突き刺す、文句無しの攻撃でした。

その直後、双方に決定機。
34分の岡山の攻撃、CB田中の縦パスをエリア手前中央で赤嶺がポストプレイで右にはたき、エリア内でイヨンジェに渡る絶好機。
イヨンジェはフェイントでブロックをかわし丁寧にシュートを放つも、ゴール左に惜しくも外れてしまいます。
36分は甲府の攻撃、ドリブルで持ち込んだ佐藤和弘のパスを受けた曽根田がエリア内左からシュート。GK一森に阻まれますが、こぼれ球が佐藤和の前に転がるという大チャンス。
しかし走りながらのシュートになってしまった佐藤和、枠の上に大きく外してしまいました。
結局そのまま前半は1-0で終了。

後半も立ち上がりは前半と同じ、いやそれを上回る岡山ペースに。
岡山の攻撃を必死で跳ね返す甲府ですが、前半とは打って変わってカウンターに繋げなくなり、防戦一方の展開になります。

岡山は前半見せていた左サイドの攻撃だけでなく右サイドを使う頻度も増やしますが、右SBの廣木は深く切り込む事無く手前からクロスを上げるだけに終始。
有効なのが左サイドからなのは変わらずで、後半25分には左サイドでスローインからボールを繋ぎ、上田がニアに入れた所を仲間が受けにいくも甲府・小出がクリア。
その後のコーナーキック、上田がクロスも一度跳ね返され、もう一度上がった上田のクロスに仲間が頭で合わせるも惜しくもゴール右に逸れてしまう決定機。

時間が過ぎていくとともに、前半同様審判の判定が色々おかしな場面を作っていきます。
スローインの判定に納得できない甲府・ウタカの姿が印象的で、23分には交代で退く事となった横谷(森と交代)が、戻るのが遅いと判断されイエローカードを受けます。
甲府側が割を食う場面が多かったと思いますが、29分にはフリーキックからの二次攻撃で甲府陣内左サイドでボールを受けた仲間に対し、ウタカがディフェンスに入ります。(相手の直接フリーキックのため守備に回っていた)
突破を図る仲間を倒して止めたのですが、ここは意外にもノーファール。
ウタカの献身性が光った場面でしたが、結果的にここが試合の行方の伏線になってしまった感がありました。

その後岡山の勢いは止まり、31分にはウタカの下に決定機が。
自陣から佐藤和がダイレクトで前線に送ると、これがウタカへの良質なスルーパスとなりエリア内でシュートチャンス。
しかしウタカの放ったシュートはGK一森の足に阻まれ、追加点とはならなかった甲府。
そして36分にウタカは交代で退きます(金園と交代)が、本人は納得いかない様子で、テクニカルエリアで伊藤彰監督と(with通訳)話し合いがなされていました。
これがこの後の展開を暗示しようとは。

岡山もその2分前に喜山→三村と交代、左SB椋原が右SBに回るという勝負手を打っており、それが功を奏す形となったのが37分。
椋原が回った右サイドから(関戸の)クロスが上がり、クリアボールを喜山が拾い三村→仲間とボールが回ると、仲間はドリブルで甲府ディフェンスを突破。
そしてエリア内に進入すると、甲府・小椋がカバーするべくスライディングタックル、これで仲間が倒され今度は笛が鳴りました。
PKの絶好機をゲットした岡山、キッカー・イヨンジェが巧い助走でGK河田を釣り出してのゴールでようやく同点に。

追い付かれた甲府は、その後短い時間ながら内田・佐藤和がミドルシュートを狙っていくなど見せ場を作りますが、やはり交代枠を使い切ったうえウタカ→金園の交代が「リードを守り切る」という明確なメッセージとなってしまった感が強く。(金園はポストプレイと守備は上手いFWだが決定力不足というタイプ)
それを遂行できなかったとあってはダメージも半端では無かったでしょう。

必死ともいえた甲府の攻撃を耐えた岡山、迎えた後半アディショナルタイムに歓喜の瞬間が。
上田のインターセプトから関戸→中野(赤嶺と交代)と渡り、中野がエリア内右からシュート。
GK河田がセーブしたもののボールはゴール方向へと浮き上がり、走り込んだイヨンジェがヘディングで押し込む執念の勝ち越しゴール。
「イヨンジェに良い形でシュートを撃たせる」という目的は、PKとがら空きのゴールという出来過ぎといえるシチュエーションで達成されての2得点でした。

これで4連勝となった岡山、9位まで転落した甲府を尻目に、自動昇格圏内を奪わんとする戦いに足を踏み入れる事となるでしょう。
この日の2得点でついに琉球・鈴木をかわして得点ランキング単独トップとなったイヨンジェを原動力に、尚上位のチームにどこまで食い下がれるかが見物です。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第23節 水戸ホーリーホックvsFC琉球

2019-07-25 12:29:04 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の水戸の記事はこちら(17節・福岡戦)
※前回の琉球の記事はこちら(19節・甲府戦)

沖縄のクラブチームといえば、Jリーグ入りを目指しながら、経営難により2010年に解散を余儀なくされた沖縄かりゆしFC。
それと2015年に入れ替わるように(といっても5年も経っていますが)創立され、元日本代表の高原直泰氏が監督・オーナー・選手を兼任する沖縄SV(現在九州サッカーリーグ所属)辺りが有名どころでしょう。

琉球はというと、かりゆしより4年遅れてのチーム創立(2003年)ながら、かりゆし選手の大量解雇における受け皿として一定の機能を果たしつつチーム力を強化。
2006年にJFL昇格、2014年にJ3入りを果たし、そして今年からJ2の戦いの場に足を踏み入れております。
その足取りは盤石では無いながら、急がず着実にステップアップを果たしているのが伺い知れます。(スピードでいうならば山口のJ2までの昇格の速さは凄まじいものがある)

今季から監督の座に就いているのが樋口靖洋氏で、過去には横浜所属の3クラブいずれも監督経験を持つ(マリノス・横浜FC・YSCC横浜)という人物。それだけに今季端も端といえる沖縄を監督業に選ぶとは意外でした。(過去には山形・甲府で監督経験あり)
J1~J3全てのJカテゴリで監督をした人物でもあります。

J3で威力を発揮した攻撃サッカーは今季J2に昇格しても健在で、開幕4連勝を果たしたのは決して偶然では無く。
しかし徐々に緩やかな下降線を描き、拠り所にしてきたホームでの無敵ぶりも甲府に止められると、現状順位も14位まで落ちてきました。
特に痛手だったのがコスタリカ代表でもあるGKカルバハルの負傷(16節・横浜FC戦)で、それを境に以降1勝2分6敗と一気に負けが込む結果に。

この日は高校卒の新人である猪瀬をGKに立てるなど苦しい台所、ちなみに彼はこれがプロ初出場だそうです。
それがドタバタした雰囲気を作ってしまったのか、立ち上がりは水戸ペース。
猪瀬自身も前半2分、抜け出した水戸・清水のシュートを浴びる事に。(セーブしさらに白井に詰められるも枠外)
4分には水戸・志知の直接フリーキックを受ける(パンチングで防ぐ)など早速プロの攻撃力を対眼させられます。

それでもこの時間帯を耐えると、その後は自身の攻撃力を発揮。
いかに1トップで目下J2得点王の鈴木にシュートさせるか、ないしはポストプレイをさせて富所・越智・河合・風間らに飛び出させるかというのが主な攻撃法。
17分に増谷の頭でのパスを受けた富所が必死に後向きでボールキープ、そこから越智→鈴木ポストプレイと繋ぎ、上がってきた富所がシュート(ゴール右に外れる)といったシーンはその一端でしょう。

しかしこの時間帯で点を奪えずにいると、水戸のセットプレーの流れに。
19分、右からの直接フリーキックを平野が直接狙うも壁に当たります。
20分は琉球陣内でボールを奪い黒川→前→清水と繋がり、清水のクロスがブロックされてコーナーキックに。(蹴るのは平野)
このクロスこそニアでクリアしましたが再びコーナーになり、2本目はファーサイドへのクロス。
今度は志知の頭に合いシュート、これをゴール前に居た黒川が胸に当ててコースを変えるという、GK猪瀬もどうしようも無かったゴール。

その後は琉球もセットプレーを多く得、27分には上里がエリアすぐ手前からの直接フリーキックを狙いにいくも、壁に当たりゴールならず。
ポゼッションを握る琉球とそれに対抗する水戸という構図になり、水戸は激しく動き回るFW・黒川を中心にプレスを掛けにいきます。
その甲斐もあり以降琉球は中々流れの中からシュートまで持って行けず、34分の越智のヘディングシュートぐらい。(これは越智が中盤でボールに絡んだのちの良い上がりからのシュートでした)
また前半も中頃に、サイドハーフの木村・白井の位置を入れ替えるという策も採られましたがこれはあまり効果無く。(前半のうちに再度入れ替えで元に戻る)

水戸のプレスが着実に琉球ディフェンスラインにダメージを与えつつあり、その実は前半42分に。
中盤でボールを奪った前が中央をドリブル、そしてパスを受けた白井がシュート。これがブロックされた後、外山のクロスがクリアされコーナーキックに。
このコーナーを平野は中央へクロス、巧くマークを外した志知がこれに合わせ、強烈なヘディングシュートで2点目をゲット。
2点差となり前半を終えます。

J2も日程の半分を過ぎると同時に、今季も彼らを襲うのが夏の移籍市場。
早速J1の毒手にかけられたのが水戸であり、センターバックで不動のレギュラーであった伊藤がマリノスに移籍してしまいます。
抜けた穴は幸いンドカ・ボニフェイスが埋め、それ程破綻してはいないのが救いでしょうか。

それでも今季は昇格圏内の争いを繰り広げている水戸。
やられっぱなしでは無く、レンタルながらJ1から小川(磐田)・福満(セレッソ)・レレウ(湘南)を獲得し、シーズン後半の戦いに向け陣容を整えつつあります。

予算に限界があるJ2クラブはレンタル移籍を利用しての補強で急場を凌ぐという手法が多く見られ、そこから完全移籍に移行させる・レンタル期間を延長させる・レンタル先に戻すの3択に。(といっても選択権は相手クラブ次第という所があるのですが)
現在水戸所属の前・茂木もレンタルを経てからの完全移籍で獲得した選手であり、黒川・清水の主力組は現在レンタル中の身(2人とも大宮)。
それを踏まえた上での未来設計も建てなければいけず、つくづく編成は大変な職業であるのだと痛感させられます。

この日早速、補強した小川・福満をベンチ入りさせてきた水戸。
2人とも中盤から前目でプレーする選手であり、2-0とリードした展開になった事で彼らの出番は無さそうな雰囲気が漂います。

しかし後半開始から琉球がチャンスを多く作り、水戸は押し込まれる展開に。
琉球は頭から越智に代えて上門を投入した事で、後方からのパスの出し所が増えて有利に進められます。
そして後半11分に1点差に詰め寄るゴールが生まれ、これもコーナーキックから。
キッカー風間のクロスをDF・増谷がヘディングシュート、GK松井の手を弾いてバーに当たるもそのままゴール内側に入りました。

水戸が小川を投入したのはその直後でした。(黒川と交代)
それでも琉球ペースは変わらず、逆に黒川が下がった事で支配力は落ち、カウンター狙いの我慢の時間帯が続いた水戸。
後半16分、相手コーナーキックのカウンターから志知が抜け出すも倒され、そのこぼれ球をエリア左で拾った小川。彼も増谷のスライディングで倒されここで反則。
このフリーキックは角度が狭いながらも平野が直接狙い、壁をすり抜けましたがGK猪瀬の正面。
琉球側は押し込むもののシュートを放つ事は無く推移し、続いて福満が投入されたのが後半19分。(平野と交代)
平野が退いたボランチには白井が入り、この交代後ようやく水戸が攻勢に。

22分、代わった福満が早速シュート。(左サイドで清水がカットインしてからのパスを受けた後)
これを号砲に幾度も琉球ゴール前に迫ります。
26分にはンドカのロングフィードに福満と小川が走り、福満が琉球・岡崎と縺れ倒れるのを尻目に小川が抜け出す絶好のチャンス。
当然小川はシュートを選択しますが、GK猪瀬にセーブされ逃してしまいます。

新加入2人がシュートを放った事で水戸を覆う嫌な雰囲気は去ったか、ついにゴールをこじ開けたのが後半29分。
右サイドで福満→外山→前と渡り、前のクロスが綺麗に小川に渡ると、ワントラップからのボレーシュートでネットに突き刺しました。
この場面は小川に付いていた琉球・増谷が、前のクロスに対し自身の後方(小川の前方)に来ると思って一瞬ゴール方向へ下がったのですが、クロスは予想とは逆に小川が立つそのままの場所へ。
小川は「前方にくれ」というようなジェスチャーをしていたので、予め両者打ち合わせがあっての意図的だったのでしょうか、見事に増谷を釣るのに成功してシュートを放った小川。J1のレベルを見せ付けての貴重なゴールとなりました。(試合後のインタビューで小川はボディーフェイクと語ったとの事、増谷は前の方を向いていたので視界に映っていたのかは判らないが、増谷が下がる直前に右に姿が映るような位置取りはしていた)

再び2点差となり後半も後半に差し掛かった35分の琉球直接フリーキック、かなり遠い位置でしたが富所が直接狙い、GK松井がセーブ。
惜しいシーンでしたが、ポゼッション指向のクラブがかなり無理矢理なシュートを放つという、無理にでも攻めなければならない琉球を象徴するシーンでもありました。
アディショナルタイム直前からCB岡崎を最前線に上げるも、パワープレイを展開する訳でもなく。
ボールを放り込まずにパス回しをするシーンが続き、結局ゴールする事無く試合終了の笛が鳴りました。

J参入以来20年間ずっとJ2に居る水戸だけに、J1クラブからの移籍選手は貴重な存在です。(水戸の選手構成は全体的にJ1在籍はあってもJ1出場数は少ない選手が多い)
早くも小川・福満という新戦力を確立できたこの試合、彼らが優勝争いを勝ち抜くブーストと成り得るかが注目されます。

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DAZN観戦 2019年J1リーグ第20節 鹿島アントラーズvsサガン鳥栖

2019-07-24 16:33:55 | サッカー視聴記(2020年以前)

鳥栖・金崎の古巣対決となったこの試合。
カシマスタジアムは序盤から異様な雰囲気に包まれましたがそれはとりあえず置いといて。

2011年にJ1昇格を決めて以降、ずっとJ1の地位を守ってきた鳥栖。
とはいっても毎年際どい残留争いを勝ち抜いてきた……という訳でも無く、J1初年度(2012年)で5位という好成績を挙げると、2年後の2014年にも5位に入るなどかなりの高水準。

しかし同時に、現在の鳥栖を象徴する迷走ぶりが垣間見られたのもこのシーズンの途中。
2014年の前半戦は首位争いを繰り広げ、折り返し直後の18節で単独首位に躍り出る程絶好調でした。
にも拘らず、直後に監督の尹晶煥(ユンジョンファン)氏が、フロントとのビジョンの違いから退任するという事態に。その後成績後退→終盤に持ち直したものの、現実味を帯びていた優勝を逃す結果になったというシーズンでした。

その後現社長・竹原稔氏が就任したのが2015年のオフシーズン間際で、この頃から、楽天・神戸並とはいかないものの積極的な補強策に片足を踏み入れる事に。
欧州で監督経験豊富なフェリックス・マガト氏に監督就任を要請するも断られる、海外所属の日本人プレイヤー小野・権田(現ポルトガル・ポルティモネンセSC)を獲得するなど、欧州かぶれとも言われかねないチーム強化策を示していきます。
その総決算が前年途中におけるフェルナンド・トーレスの獲得であり、得点力不足の解消を期待したものの結果的に奮わず。
チームも初といえる残留争いの渦中に巻き込まれる事となり、その負のスパイラルを今季も継承してしまっている現状です。

オフシーズンに招聘したルイス・カレーラス監督が10試合で解任されるという風に、今季も「欧州かぶれ」は玉砕し、前年終盤に監督代行を務めた金明輝(キムミョンヒ)氏が正式監督としてこの苦境に挑んでおります。

そんな鳥栖を尻目に、長らく安定期を作り上げているのが鹿島です。
それでも前年の滑り出しは鳥栖と大差なく、スタートダッシュに失敗し低迷。
現監督・大岩剛氏への風当りも強まっていき、シーズン途中でジーコ氏が指導者・フロントに復帰する(コーチ兼テクニカルディレクター)という措置も採られましたが、そこからは落ち着きをみせ上昇機運に。
ACLを制覇しクラブ20冠達成という大団円を迎え、今季も開幕節・大分戦で敗れた以外は大きな崩れは見られず、リーグ優勝も視野に入る位置に
着けています。

そんな状況の中夏の移籍市場オープンに伴い、鹿島は3選手もの海外移籍が発表される事に。
FWの鈴木、サイドバックの安西に、今季から背番号10を背負っていた安部。
前年もセンターバックコンビの昌子・植田が2人とも海外移籍しており(昌子はシーズンを終えての移籍)、戦力的に明らかな苦境に陥っていてもおかしくないクラブの状況ですが、それでも大きな転落は見られず。
欧州リーグで活躍する人材を導入しても浮上の兆しが見えない鳥栖とはまさに対照的です。
確固たる基盤を現在も維持しているクラブと、基盤をかなぐり捨てて現在に至るクラブの対決、前半戦(13節)では後者がまさか(?)の勝利を挙げている事もあり、鹿島にとっては負けられない一戦。

ここで冒頭に戻りますが、金崎は前年のトーレス獲得で一際賑わいを見せていたのと同時期に、鹿島から鳥栖へ完全移籍した経歴の持ち主。
それまでは不調の鹿島のFWとして孤軍奮闘していた存在であり、さらに鳥栖側もFW補強の被りという要素(トーレスの他にも豊田が韓国クラブからレンタル復帰)もあり、誰しもが納得する移籍では無い典型例となりました。
その後鈴木の活躍・セルジーニョの加入もあり持ち直し、金崎の存在が軽くなってしまったのが鹿島というクラブの凄さでもありますが、金崎本人にとっては移籍後不本意な成績になっている事もあり納得しがたい状況に。

この日は豊田と2トップを組んだ金崎。ストロングヘッダーの豊田に、その周囲をサポートしつつ得点を狙う金崎という、古典的な2トップの組み合わせで鹿島に挑んだ鳥栖。その金崎に対し、序盤からバチバチと激しいディフェンスを披露し思うようなプレーをさせない鹿島選手。
逆に金崎自身も、前半14分には中盤でキープする三竿に対しチャージして反則を取られるなど、最初から臨戦態勢全開という雰囲気が感じられました。

場内のそのムードをさらに増長させたのが鳥栖の得点シーン。
先制された鳥栖でしたが、前半23分に金崎が左サイドに流れてボールを受け、カットインからグラウンダーで中に入れるとこれがシュートかクロスか区別がつかないコースに。
中に居た松岡が合わせにいって触れられず(?)も、これが直接ゴールに入ります。
松岡がオフサイドポジションに居た事で一旦はオフサイドという雰囲気になりかけましたが、結局はゴールの判定に。当然鹿島サイドは納得せず試合は5分程止まる事になりました。
記録上は金崎の得点になったため、松岡は触れていないからセーフという事なのでしょうが、ボールに触れていなくてもプレイに関与すればオフサイドになるというのが一般的。
このプレイで松岡は合わせにいって触れられなかった・ないしは故意にスルーしたかのどちらかであり、それでいてセーフならオフサイドポジションに居なかったの一択なはずですが、副審の旗は上がっていたので何とも釈然としない判定になりました。

しかしそんな泥仕合のような展開は鹿島のお手の物。
主力の海外移籍が何だ、レオ・シルバ、クォンスンテの欠場が何だと言わんばかりに試合巧者ぶりを発揮し、前半35分には勝ち越しゴール。(レアンドロのクロスを白崎が合わせる)
鳥栖のカウンターにはイエロー覚悟で止めるプレイも厭わずで、実際白崎・永木はそれでイエローを貰ったものの、結果的に鳥栖の中央突破は試合を通じて殆ど見られず仕舞い。
決して手放しで評価できるプレイでは無いですが、勝利至上主義の鹿島の思想が色濃く表れていて趣深かったです。
結果この日も勝利し3連勝となり、鹿島の遺伝子は主力が抜けても健在のようで、フロントもとりあえず一安心でしょう。
ただ磐田→仙台→鳥栖といずれも下位クラブが相手だったので、これからが真価を問われる事になりそうです。

一方、もう一つ釈然としなかったのが鳥栖のサッカー。
やりたい事は理解出来たし実際運が良かったとはいえ得点も生まれましたが、あまりにも単調な攻撃に終始していた印象です。
上記の鹿島の反則を含めた守備の固さという要素もありますが、サイドからの攻撃に偏り過ぎており中央突破のシーンは殆ど無く。
バイタルエリアに入れても、そこから結局サイドにはたくので怖さを感じませんでした。
前半アディショナルタイム、福田がシュートフェイントから左にはたいたシーンには可能性を感じましたが……(その後三丸の低いクロスに松岡が合わせにいくもGK曽ヶ端が抑える)

FWにボールを入れようにもすかさず鹿島のディフェンスラインとボランチに挟まれるだけで、結局サイドからのクロスorエリア内へのカットインだけが主たる攻撃になってしまう。
2トップも金崎・豊田が前線で張り付きがちで、この局面を打破するにはポストプレイのため降りてくる等工夫が欲しかった。(途中出場のトーレスは何度かそんなプレイを見せていましたね)
金崎がサイドに流れる場面は多々あったものの、それもサイド攻撃に偏っていたから起こっていたのだと思われます。
金崎には鹿島時代の前年前半にあれだけボール欲しさに中盤に降りてきては自身で突破を図っていたのは何だったのか、という野暮な事を言いたくなりましたが、ともかくこの日のような上位クラブとの対決ではこの攻撃では物足りなさを感じるだけに終わりました。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第23節 東京ヴェルディvs愛媛FC

2019-07-22 19:32:42 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回のヴェルディの記事はこちら(20節・岐阜戦)
※前回の愛媛の記事はこちら(14節・新潟戦)

水曜日に、ギャリー・ジョン・ホワイト監督の退任(解任?)が発表されたヴェルディ。
昇格へ向けて勝ち点の取りこぼしが目立った前半戦に加え、天皇杯で大学のクラブ(法政大)に敗れた事が彼の評価を決定づけたのかもしれません。
ロティーナ氏(現セレッソ大阪監督)が一定の成果を上げた故の外国人監督路線は失敗という結果に終わり、代わりに監督の座に就いたのは永井秀樹氏。
Jリーグ創成期のヴェルディ生え抜きの永井氏という立ち位置ですが、ヴェルディ全盛期ではレギュラーを獲れず他チームに流れた(福岡→清水→ヴェルディ復帰→横浜F→横浜FM)経歴であり、おまけに晩年は琉球に6年在籍していた事もあり生え抜きという取り方がしづらくもあります(引退前の3年間はヴェルディに在籍)。

一方の愛媛・川井健太監督も、愛媛生え抜きでありシーズン途中からの就任の経験の持ち主。(前年途中で間瀬秀一氏(現秋田監督)の解任により就任)
愛媛のレジェンドといえば「ズーパー」こと友近聡朗氏が真っ先に思い浮かびますが、彼が引退後別の道を歩んだ(政治家)事もあり、OB監督として川井氏に白羽の矢が立ったのでしょう。
OB監督としては過去に石丸清隆氏が監督を務めた事がありますが彼は福岡・京都のイメージが強いのでここでは触れません
兄・光一氏とともに兄弟揃って愛媛一筋だった選手時代ですが、僅か3年の在籍で引退してから早くも指導者の道を歩むという、監督になるべくしてなった人材ともいえます。
おかげでまだ38歳と若く一選手に見えなくも無い風貌で、良い兄貴分的な存在……かどうかは傍らからでは判りませんが、ここから名将への道を駆け上がる事は出来るでしょうか。

下位グループから抜け出せない愛媛ですが、要所でインパクトある勝利をしてきた前半戦。
アウェイ・新潟戦での2点差からの逆転勝利や、ホーム・柏戦での終盤立て続けの得点で勝利といった試合はその最もたるものでした。
しかしこの日は、全く逆の展開を演じてしまう事になります。

監督交代した事もあり、ヴェルディは最近の3バック(3-4-2-1)から、初期の4バック(4-1-2-3)へとフォーメーションをシフト。
しかし展開したサッカーはホワイト監督時代とそれほど変わらず、パスワークでボールを支配し相手を敵陣に釘付けにする、所謂ポゼッションサッカー。
にも拘わらず、フォーメーションを動かした事により選手間でズレが生まれてしまったのか、前半はパスミスが目立ち愛媛に攻撃権を渡すシーンが多々。
前半5分のヴェルディの攻撃、ゴールキックから速い攻撃を見せた(レアンドロポストプレイ→渡辺ドリブル→梶川シュート)のは、悪い流れを払拭するため早くシュートを撃ってしまおうという意思が感じられました。

一方の愛媛、川井氏が目指しているサッカーもポゼッションスタイルですが、U-22代表への選手輩出(神谷とか長沼とか)という要素もありここまで苦労している印象。
守勢に回る試合も珍しくなく、この日もヴェルディのボール支配に対し、特徴を隠さざるをえない試合展開。

双方中々シュートまで持っていけない場面が続いた前半。
この均衡が傾いたのは前半25分ごろからで、ここでも中盤でヴェルディのパスワークを愛媛が遮断するのが主な契機。
25分は愛媛が奪った後野澤が中央をドリブルで上がり近藤にパス、近藤はエリア内左で溜めてから野澤に戻し、受けた野澤がフェイントからシュート。(DFがブロック)
30分にはインターセプトから野澤→吉田と渡り、吉田がドリブルでエリア手前左まで持っていきそのままシュート。(枠外)

そしてその2分後の32分でした。
右サイドでのスローインからパス回し、一旦奪われたものの長沼が取り返してそのままクロス。
これに1トップの藤本佳希が頭で合わせ、綺麗にゴールゲット。愛媛が先制しました。

これを受けたヴェルディ、永井氏は早くも選手交代を決断します。
37分、梶川の直接フリーキックが外れた後に、ボランチの井上と森田を交代。渡辺がボランチの位置に回ります。

しかし流れはそのまま推移するどころか、その2分後には追加点を献上する破目に。
その渡辺が愛媛・吉田に対しスライディングで反則をしてしまい、エリアすぐ右脇でのフリーキックに。
前野のキックはファーサイドに上がり山崎がヘディングシュート、一旦はGK上福元が止めますが、こぼれ球をユトリッチに押し込まれてゴール。
痛い追加点となり、その後もアディショナルタイムに愛媛・藤本にボレーシュートを撃たれる(枠外)などがあり0-2で前半を終える事に。

後半を迎えるに辺り、ヴェルディベンチは決断を下します。
それは永井氏就任前の基本であった3バックへの再移行でした。
この日はスタメンの両サイドバックに永田・小池を起用していましたが、彼らは3バックのウイングバックとして出場を重ねていた選手。
4バックのSBとしては高めに位置しすぎ、そのため1ボランチの機能も今一つで、それが井上の交代に繋がってしまったと推測します。

永田・小池を従来の起用に戻し、3-4-2-1に合わせるためウイングの河野を山本と交代。
2シャドーには梶川と藤本寛也、ドイスボランチには渡辺・森田。
交代出場の山本は右センターバックに入り、後半が開始。

ミラーマッチとなった事で相手に容易に主導権を渡さず、しかし攻撃でも中々好機を作れず。
そんな立ち上がりの睨み合いを崩したのはセットプレーからでした。
後半5分のヴェルディの右コーナーキック、ショートコーナーから最終ラインまで下げ、ボールを受けた渡辺がファーサイドへクロス。
競り合いの中ボールは愛媛・ユトリッチに当たりゴールに向かい、ゴール直前で愛媛にかき出されますが、これをエリア内で永田が拾いボールキープ、近くにいた小池がシュートしてネットに突き刺しました。

1点差に迫り尚も攻めたいヴェルディですが、ここから一進一退。
7分には逆に愛媛がコーナーキック、前野のクロスを山崎が落とすと混戦が生まれますが、最後はGK上福元が抑えて難を逃れます。
14分はヴェルディがパス回し、右サイドから藤本が中央にパスしレアンドロがポストプレイ。
この後森田→レアンドロ→梶川とボールが回り、梶川が浮き球でスルーパスを出し森田が一気に抜け出しますが、GK岡本が抑えてシュートは撃てず。

次のゴールが生まれたのは後半18分でした。
左CBの平が左サイドでボールを持ち、エリア手前からクロス。
するとそこに待っていたのは、巧くマークを外してフリーになっていた1トップのレアンドロでした。
難なくヘディングシュートを放ち、ボールは美しい弧を描いてゴール右隅へ。

試合開始時からレアンドロに付いていた愛媛DFはユトリッチなのですが、この場面はエリア内左に位置していた永田に付いておりクロスの落下地点にはおらず。
野澤にマークが受け渡っていましたが、見事にレアンドロに外される形となってしまいました。

これで勢いづいたヴェルディ、20分には小池・渡辺が立て続けにシュートを放つなど尚も意識が前に向きます。
愛媛は21分に大ベテラン・山瀬を野澤と交代出場させ事態の収拾を図りますが、その成果が出る前に再びヴェルディに決定機が。
小池が梶川とのワンツーから渡辺にパスを送り、受けた渡辺はエリア外から思い切ってシュート。
GK岡本がセーブするものの、ゴール左に転がったボールは永田が拾い、再度シュート。
起き上がってセーブしにいった岡本の動きを見ての、逆を突く見事なシュートで逆転ゴール。

逆転された愛媛はその後攻勢に出、ボール支配はするもののフィニッシュまで持っていけない場面が多々。
ヴェルディの悪い時である症状が愛媛側に降りかかったような展開で、シュートは34分の山瀬のミドルシュート(DFがブロック)ぐらいでしたか。

最終盤には双方オープンな展開となり、45分はヴェルディがカウンター、森田がエリア内まで進入してシュートを放つもポストに嫌われ枠外。
アディショナルタイムに入り、愛媛は神谷(藤本と交代)が近藤とのワンツーでエリア内に入ってシュート。(枠外)
フリーキックから藤本のヘディングシュート(枠外)もありましたが、同点ゴールとはならず3-2で試合終了。

これで永井氏は監督就任後最初の試合で記念すべき初勝利。
去年の愛媛・川井氏(4試合目)と比べても早いですが、この日は結果的に柔軟性を発揮しての見事な逆転勝利となりました。
しかし月並みですが、本領が試されるのはこれからとなるでしょう。

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