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DAZN観戦 2024年J3リーグ第1節 FC岐阜vs福島ユナイテッドFC

2024-02-28 16:03:03 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

全カテゴリが一斉開幕の今季。
J1とJ2でクラブ数の調整が為され、3つのリーグ全てが20クラブになった結果、ある意味当然の終着に。

今季から昇格プレーオフが取り入れられるという具合に、リーグの価値は発足当時(2014年)とは比べ物にならないぐらい上がっている感のあるJ3。
それでも降格クラブへの救済金制度が無くなるなど、一度落ちたら脱出できない「沼化」への恐怖は依然として高く。

さて、その沼から4年間抜け出せないでいる岐阜の開幕戦。
上位カテゴリの選手を搔き集めたにも関わらず、昇格争いにも加われずにいた一昔前とは打って変わった今季の編成。
柏木・田中順也の引退(→即フロント入り)に象徴されるように、既に峠を越した名選手というのはほぼ居なくなり。
30歳越えの選手はこの日スタメンの庄司・荒木のみに留まり、若返りによるフレッシュ効果が期待されてのシーズンインとなりました。

岐阜のキックオフで前半が始まったその刹那、いきなりハイボールの競り合いで山田が頭部から出血する事態が発生。
後方からのロングパスに合わせにいった山内に対し、抱え込み含みでのチェックにいった山田ですが、反対に山内の腕が顔に入ってしまうという因果応報的な負傷であり。
その場での治療を経てピッチ外に出たものの、前半5分に何とか復帰します。

早速のトラブルに見舞われた福島ですが、落ち着きを取り戻すと積極的なサッカーでペースを握ります。
今季は寺田周平氏が新監督になった事で、4-1-2-3へと布陣をシフト。
それも、現代のトレンドである「守備時に4-4-2へと可変」を行わず、3トップのままプレッシングを掛けるという体勢であり。

この福島の前線に対し、岐阜の最終ラインでのビルドアップの体勢は相性が悪く映り。
それは右サイドバックの石田がボランチのような位置取りをするという、所謂「偽SB」的な立ち回り。
4-3-3のまま、FWが最終ラインにプレッシャーを掛ける福島。
それだけにサイドに展開されると、インサイドハーフがサイドに寄ったり、SBが詰めにいかなければ止めにくいという懸念が常に付きまとう布陣でもあり。
よってシンプルなサイド攻撃が最も効果的と言え、可変システムを採るメリットは(あくまでこの試合では)見出せず。

一方の福島の攻撃は、MF3人が中心となるショートパス攻勢。
アンカー加藤を軸に、針谷・小関に加えて森がその輪の中に入りローテーションをしながら繋いでいき。
そうして敵味方ともに中央密集させたうえで、空いたサイドをSBが突くという至極判り易い攻撃。
特にIHの針谷・小関を中々掴まえられず、守備でも岐阜は後手に回りがちとなり。
好守ともに苦境感が表れた結果、山田復帰以降は福島が攻撃権を独占する展開となります。

そして13分、岐阜は石田がGKへのバックパスをミスした結果、ゴールラインを割り福島の左コーナーキックに。
キッカー針谷のクロスがニアサイドを突くと、駆け込んだ堂鼻がヘディングシュートをゴールに叩き込みます。
CKでのゾーン守備を崩すお手本のようなフィニッシュで、流れに従い先制点を挙げた福島。

早期に追う立場となった岐阜。
しかし16分シンプルに左サイドから前進し、北を経由し中央→右へと展開。
そして河波がカットインから綺麗に巻くミドルシュートを放つも、左ゴールポストを直撃し同点ならず。
福島の弱点攻略かと思った直後、ロングパスの跳ね返りを拾った森のドリブルから福島の攻撃。
彼からのパスを受けた塩浜が引き続きドリブルし、右ポケットからシュート。(GK茂木がセーブ)
19分にも左ワイドからの前進を経て、森がポケットを突いてシュート(GK茂木キャッチ)という具合に、その勢いは衰えません。

どちらがポケットを多く突くかという流れになって来ると、迎えた21分。
岐阜は再び左サイドから攻める姿勢で、荒木がアタッキングサードで横パスを送ると、藤岡がディフェンスに遭うも中央に寄っていた石田が拾い継続。
すかさず右ポケットへスルーパスを送った石田、そこに河波が走り込んでダイレクトでグラウンダーのクロスを入れると、藤岡が合わせシュート。
GK吉丸がセーブするも、跳ね返りを藤岡が自ら詰めてゴールネットを揺らします。
やはりポケットを突けば何かが起こる、という事を証明する同点弾となり。

このゴールで勢いを付けたい岐阜ですが、直後に激しくプレッシャーにいった藤岡が鈴をスライディングで削って反則・警告と、どうやら付け過ぎてしまったようで。
その後福島が右サイドから攻勢を掛けるも、やはりショートパスを主体にした前進。
その際も森が逆サイドから加わってくるなど、攻めの姿勢は一貫しており。

岐阜は右サイドのみならず、左サイドもSBの文が「偽SB」のような動きを取り始め。
ただし石田が自陣で中央に絞るのに対し、文はワイドに位置する後方から、斜めにオーバーラップしてくるのが特徴でありその動きは対称的。
それでも両名がボールに絡む事はあまり無く、まだ発展途上という感じに映りました。

30分台には、再び福島が攻撃権を支配する時間帯に。
先程の分厚い右サイド攻撃が効いたか、中央からの突破あり、サイドチェンジありと多彩な攻めで岐阜を翻弄しに掛かります。
34分には敵陣右サイドで柴田がボールカットし、素早く中央へ運んだ末に矢島がシュート。
ブロックされて左スローインになると、大関・森のボールキープを経てクロスが上がり、ニアで塩浜がヘディングシュート(ゴール上へ外れる)とあの手この手でゴールを襲い。

しかしその多彩さでゴールを奪えなかった影響か、終盤は一転して矢島狙いのロングボールを多用する姿勢へシフト。
また中盤でのパスワークも中央を素早く前進する事が多くなり、一言で言えば攻め急ぎの感が強まった印象。
そのため攻守交替する事が増え、岐阜にも何度かチャンスが訪れますがこちらも決め手に欠き。

そのままアディショナルタイムに突入し、最後の攻撃は福島で、加藤のロングパスをエリア内中央で塩浜が収める絶好機に。
切り返しを経て放ったシュートは文がブロックし、こぼれ球を柴田が追撃するもシュートはふかしてしまい決められず。
結局1-1のまま前半を終え、絵的に好循環の福島も、それを逃し続けた影響が懸念されるブレイクとなりました。

そして迎えた後半、キックオフの福島は後方から矢島へロングパスと、終盤の姿勢を変えなかったようであり。(その後矢島の収めから繋いで右の柴田へ展開、塩浜からクロスが入る)
それでも勢いは依然として得たままの福島、直後(後半1分)には大関の縦パスを受けた矢島、エリア内へ進入してさらに短いスルーパス。
これに塩浜が走り込むも、文の対応で蓋をされて撃てず。
4分には再び矢島のスルーパス(ダイレクト)で抜け出した塩浜、今度はエリア内からシュートを放ちましたがブロックに阻まれ。

直後に岐阜もやり返し、こちらは最後方の甲斐から左へとミドルパス、受けたのは北。
ここからパスを受けた荒木がワイドからカットイン、そしてハーフレーンからミドルシュートを放ち。
これを山田が頭でブロックして防ぎますが、これにより傷口を痛めたという仕草をするなど、前後半ともに立ち上がりに負傷交代の危機に襲われた山田。(結局無事に最後までプレー)

福島はやはり前半より一層攻め急ぎの思考が強まったようで、中央をパスワークで抜けようとする攻めが目立ち。
そのヒントは上記の岐阜の攻撃で、北の動きにあり。
前線の守備の際は、降りてパスを受けにいく針谷をチェックする体勢へとシフトした北。
それにより(針谷が右IHなため)常時やや左寄りという意識となった結果、先程ワイドでパスを受ける事にも繋がっていたようでした。
あくまで守備時で福島のパスワークを阻むのが目的とはいえ、攻守一体であるサッカー故の現象が窺えました。(とはいえ、前年の生地のイメージがあるので違和感はあまり無く)

この岐阜の対策により、素早く繋がなければならない状況に陥っていた福島。
徐々に流れは逆転し、岐阜の攻撃機会が膨らんでいく試合展開。
福島は11分に森が、12分には針谷がミドルシュートを放つも、いずれも崩しきれていないものでゴールは奪えません。(前者はGK茂木が正面でキャッチ、後者はブロック)

そして16分、岐阜は右サイドで石田が鈴に反則を受けたというタイミングで、ベンチが動き。
河波・山内→粟飯原・田口へ2枚替えを敢行すると、得たFKでは早速入った粟飯原がキッカーとなり。

ここからの攻めは実らずも、直後の17分でした。
敵陣で文がパスカットし、持ち運びからのスルーパスを荒木に通すと、ワイドからカットインでポケットを突き。
そして果敢にシュートを放つと、外から巻いてサイドネットに突き刺し鮮やかにゴールゲット。
前半同様ポケットを突いての得点で、逆転に成功した岐阜。

これで追う立場となった福島、その後も岐阜の厳しくなったチェックを掻い潜るのに一苦労するパスワーク。
22分に2枚替えを敢行(矢島・塩浜→樋口・清水)したものの、流れを変えるどころか岐阜の攻勢を受けてしまいます。

追加点を狙う岐阜は、右サイドハーフに入った粟飯原を起点とした攻め。
23分石田のドリブル→パスを受けた粟飯原、クロスでは無くサイドチェンジを選択し、左奥で受けた荒木。
戻しを経て文がエリア内へ縦パス、受けたのは上がっていた北で、ボールキープからシュート。
これはGK吉丸にキャッチされて終了も、その後26分でした。
最終ラインから受けた粟飯原が右サイドをドリブル、追い越す石田を囮としてカットインから左へパスしてサイドを移し。
そして荒木の戻しと先程と同じパターンを経て、入れられた北のクロスがファーでフリーとなっていた石田の下へ。
折り返しの末に田口がゴールネットを揺らし、待望の追加点を獲得します。

2点差とされた福島、キックオフの前に針谷→上畑へと交代。
目の色を変えて攻め上がるも、フィニッシュには辿り着けずと厳しい状況を変えられません。

大関が左ポケット奥でカットインする場面を作る(29分)も、庄司が蓋をして防ぎ冷静にいなす岐阜。
すると再びの33分、右サイドでボールを持った粟飯原が今度は素直に石田へスルーパス。
そしてダイレクトでクロスが上がると、藤岡のヘディングシュートが炸裂。
ゴールに突き刺さり、これで4点目とダメを押します。

これで大勢が付いた感のこの試合。
35分には両チーム交代を敢行し、岐阜は北・藤岡→西谷・新垣。
一方の福島は加藤・大関→宮崎・粟野に代えるとともに、配置も大幅に弄り。
清水が左サイド・粟野が右サイドとなったのに加え、上畑と宮崎がドイスボランチ気味に並び。
よって森・樋口の2トップ(4-4-2)or1トップ+森がトップ下(4-2-3-1)、という布陣にシフトします。

その後37分、今度は福島・堂鼻がバックパスをミスしてしまいCK献上と、完全に立場が入れ替わったという絵図を描き。
それでもカウンターの意識を強めた岐阜に対し、攻め込む福島という展開が出来上がるも、フィニッシュが遠い状況は変えられません。

43分に岐阜は最後の交代、文→遠藤へと代えて5バックシステム(3-4-2-1)へとシフト。
しかしここからまたも岐阜が攻勢に入り、その要因は西谷の推進力で、薄い福島ディフェンスを突きまくり。
何度も左ポケットに進入し、田口にラストパスを送ったり(45分・カットされる)自らシュートしたり(AT・堂鼻がブロック)と、突如として目立ちます。

結局5点目は奪えずも、最後はCKから遠藤がヘディングシュート(枠外)と、攻撃の流れを貫いて試合終了の時を迎えた岐阜。
過去4年の失敗を糧とし今度こそ……という入りとなり得たでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第1節 サガン鳥栖vsアルビレックス新潟

2024-02-27 16:00:39 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

カテゴリが上がっても、身に付けたポゼッションスタイルを貫く事で名を上げている新潟。
「金の切れ目が……」という訳では無いものの、そのスタイルが維持されている間は、定点観測的に注目していこうと思います。

迎えた新シーズン。
既に本間・伊藤といった中心選手の海外移籍に晒されている中、集めた新戦力がどれだけスタイルに適応できるかがそのカギとなり得ると言っても過言では無く。
早速、いわきから加入した宮本がスタメンに名を連ねる事となりました。
「筋肉系クラブ」として有名ないわきで、数少ない柔軟さを醸し出す選手として中心軸になり得ていた存在。
早期にフィット出来れば、J1でも活躍は決して不可能ではありません。
高の移籍したボランチの穴に収まり、その相方には秋山。

入りの流れを落ち着かせ、早速持ち味の最終ライン・ドイスボランチからパスを繋ぐ土台を築かんとする新潟。
前半3分、ボールを持った秋山は左サイドを選択し、パスを受けた新井がスルーパス。
その先で小見が原田に反則を受け、早速フリーキックを得るとキッカーの位置には小見。
高木・島田・堀米悠斗が未出場の際のプレースキッカーが誰か、という点も重要だと思わされるシーンとなりました。
このキックは、中央のクロスに舞行龍が合わせにいくも、オフサイドで終了に。

しかし直後の5分、再び最後方から繋がんとした所で乱れを見せ。
バックパスを受けたGK小島から再度作り直すという所で、あろう事かミスキックでタッチラインを割ってしまい。
すかさず右スローインに入る鳥栖、右奥に投げ込まれたボールに堀米勇が走り込んで素早く低いクロス。
慌てて防ぎにいく新潟ですが、クリアも小さくなった所に、ダイレクトで福田がミドルシュートで打ち抜きます。
舞行龍のブロックに当たった末にゴール左へと突き刺さり、相手の隙を突く形で立ち上がりの先制点に辿り着いた鳥栖。
この日のピッチ(鳥栖のホーム=駅前不動産スタジアム)は強風に晒されていたため、必要以上にナイーブとなっていた感のあったGK小島。
それが綺麗にスコアに直結してしまいました。

優位に立った鳥栖、その後は新潟のパスワークを遮断してからの鋭利なカウンターに活路を見出し。
7分、自陣でマルセロがプレスバックして奪うと、樺山から受け直してそのままドリブルで単騎突撃の体勢に。
そして一気に左ポケットに進入、切り返しで舞行龍を剥がした末にシュートを放ちましたが惜しくも左ゴールポストに嫌われます。
直後の8分にもプレッシングから、デンの苦し紛れの縦パスを原田がカットしてカウンター、スルーパスを受けたマルセロがエリア内を突いてGKと一対一に。
そしてループシュートで小島を抜いたものの、ゴール右へと外れて惜しくも追加点ならず。

後者のシーンに見られるように、最後方の乱れが波及した感のあった新潟。
2センターバック+ボランチでの繋ぎが対処されており、1年経った事で良く研究されていたでしょうか。
鳥栖の守備時は、堀米勇がFWに位置取っての4-4-2へと変形。
そしてマルセロがボランチをマークし、堀米勇が舞行龍を、右サイドハーフに位置する長沼が前に出てデンを見るという前線の守備隊形。
これにより新潟は思うように中央で繋ぐ事が出来なくなり。
まだ試運転の段階と思われる宮本はそれに対処できず、彼がアンカー(例によって攻撃時は縦関係になるドイスボランチ)に位置した時が危険といった感じに。

そのため対処法をピッチ内で考える必要性が生まれ。
17分、ボランチを経由せずにデンは直接左へ渡すと、新井はボールコントロールで原田を剥がしたのちに前進。
前年最終節(セレッソ戦、1-0)での先制点のシーンが思い起こされるプレーぶり(あの時ボールキープしたのは渡邊でしたが)から、サイドで敵陣に運ぶ事で、中央重視・前掛かりの鳥栖を突かんとします。
中央も微調整がなされ、ひとまずはボランチの片割れが最終ラインに入る姿勢、つまり3枚でのビルドアップの形を見せる事で急場凌ぎ。
その間に意思統一したようで、アンカーの位置に入るのは秋山でほぼ固定。
一方その一列前に位置する宮本は、主に最前線へスプリントし、後方からのミドルパスを受ける役回りへと比重が置かれました。

それでも流れを変えるには時間がかかり、20分台は鳥栖が攻撃権を掴み。
それも中盤~敵陣でのボールカットからの好機が目立つという、新潟にとって厳しい状態は続き。

すると31分、新潟は再び左サイドからの運び。
新井がマークに遭いながらも剥がした末に縦パスを送ると、鈴木ポストプレイ→宮本ダイレクトで裏へミドルパスという流れで、抜け出す新井。
一気にエリア内に運ばれたそのボールは、GK朴に抑えられた末に、勢い余った新井がキーパーチャージを犯してしまい反則・警告。
残念な結果に終わったものの、苦しい時は基本に立ち返るという格言のように、「縦パス→ポストプレイ→スルーパス」の定番の流れで崩しかけた事で光明が見えたでしょうか。

それでも34分、再び新井縦パス→鈴木ポストプレイ→宮本ミドルパスという流れで攻めるも、藤原のクロスが跳ね返されると鳥栖のカウンター。
長沼→マルセロへのスルーパスを何とか防ぐも、その後のコーナーキックから、ショートコーナーを経て長沼がミドルシュート(枠外)と脅かされ。

鳥栖は自らのビルドアップからの攻めは今一つなので、カウンターの脅威に負けずに何とか同点にしたいという新潟の状況。
次第に左の新井のみならず、右の藤原もポケットまで進入できる流れが生まれ、分厚い攻めの姿勢を見せます。

しかし0-1のまま時間はアディショナルタイムへ。
宮本が何度か足を痛めるシーンも作られ、このまま終わるかという流れの中で最後の攻撃に入る新潟。
こぼれ球を拾った藤原から、鈴木ポストプレイ→宮本ダイレクトで裏へミドルパスという、やはり不変の流れを経て裏を突いて抜け出した谷口。
遠目ながらも果敢にダイレクトで撃ちにいった結果、GK朴の左を破り、左ポスト内側を叩いてゴールに吸い込まれるボール。
鮮やかなスーパーゴールとともに、前半終了の笛が鳴って同点で締められる事となりました。

結果論になりますが、最後の最後に即時奪回を狙った前掛かりの隙を突かれて追い付かれた鳥栖。
そのショックを振り払えないまま、後半に臨む事を強いられます。(ともにハーフタイムでの交代は無し)

鳥栖のキックオフで始まるも、ロングパスを藤原が遮断してあっさり攻守交替になると、パスワークを経て松田が右奥を突いてCKに持ち込む新潟。
ここでのキッカーは秋山で、ファーへのクロスから舞行龍が折り返し、クリアされるも小さくなった所を松田がダイレクトでシュート。
GK朴にセーブされると今度は左スローイン、直接エリア内へ投げられたボールを谷口がフリック。
これもクリアが小さくなった所を小見がボレーシュートを放ち、再びGK朴のセーブに阻まれるも、フィニッシュの矢を浴びせます。

そして後半4分、鈴木のシュートが山﨑にブロックされて左CKになると、今度はキッカーは小見。
中央へクロスが上がると、跳んだ谷口は触れられずもその奥で山﨑が腕に当ててしまい。
完全に開いた左腕に当たる格好で、クリアボールがタッチラインを割った所でVARが介入。
その結果、OFRを経てハンドの反則となり、新潟は押し込み続けた末のPK獲得という絶好の勝ち越し機を得ます。

キッカーは鈴木、小さく変化を付けた助走を経てゴール右へシュート。
しかしGK朴はこれを読みきり、左へ飛んだ末のファインセーブでエリア外へと跳ね返します。(その後藤原が拾い継続もシュートは撃てず)
後半開始からセービングを続けている朴、ここでもチームの窮地を救い。

しかしこの流れを反撃体制に繋げられない鳥栖。
8分に最終ラインから組み立てるも、縦パスを秋山にカットされて再び新潟の攻撃。
そして再びの右CKとなり、キッカーは小見。
先程の秋山とは逆にニアへのクロスを選択すると、鈴木フリック→中央で新井ヘディングシュートという完璧な流れでゴールネットを揺らします。
専守の姿勢を跳ね返せなかった鳥栖、新井のみならずその奥のデンもフリーになっており、集中力が切れた感もあり。

ともかく勝ち越した新潟、11分に再び右CKと、攻撃の流れは尚も続き。
後半一度も攻撃機会を得られない鳥栖は、このCKの前に2枚替えを選択し、福田・樺山→手塚・富樫へと2枚替え。
このCKからの攻めは防がれるも、好循環が止まらない新潟は、続く13分GK小島から右サイドでの前進を経て松田が中央へ縦パス。
これを谷口がダイレクトで裏へ送ると、抜け出して受けた鈴木がそのままエリア内を突いた末にシュート。
ゴール右上へ突き刺し追加点、という流れでひとしきり歓喜に沸いた新潟サイドでしたが、VARチェックを経てオフサイドを取られたためぬか喜びとなります。
これによりようやく新潟の流れも落ち着きを見せ。

先程の交代により4-2-3-1へと変更した布陣(富樫は右サイドハーフに入り、長沼が左SHに回る)から反撃したい鳥栖ですが、ビハインド故に前半のようなカウンターに持ち込める場面はほぼ無くなり。
マルセロをサイドに開かせながら、人数を掛けての前進の末に何とか深めに運び。
そこから2度得たCKで、河原のミドルシュート(18分・ブロック)・長沼のヘディングシュート(20分・枠外)と、新潟同様セットプレーでゴールを狙いにいきます。

それでも主体的な攻撃に活路を見出さなければならない鳥栖、その苦しさは明らかであり。
その状況に陥った相手の心理は良く解っているという具合に、要所でボール奪取を見せる秋山を軸に反撃を仕掛ける新潟。
21分敵陣でボール奪取し、拾った松田が右ポケットを突くというショートカウンターは防がれるも、その後長らく敵陣でパスワーク。
そして再び松田がカットインを仕掛けてエリア内へラストパス、谷口が切り込むチャンスシーンとなるも、GK朴が前に出て防ぎ。
直後に再び自陣で秋山がパスカットすると、今度はスルーパスで速攻に入り、走り込んだ谷口が遠目からループシュートを狙い。(ゴール左へ外れる)

鳥栖のプレッシングも効かなくなり、良い所が無くなった相手に対し、散々ボール保持中心に掻き回す新潟。
そして27分に交代カードを切り、一挙に3枚替えを選択(松田・小見・鈴木→ダニーロ・高木・長谷川元希)したその姿はまさにお役御免というベンチワークに映りました。

そんな相手の盤石な体制を上回りたい鳥栖、ゴールキックから短く繋ぐ組み立ても駆使し、好機を作らんとします。
28分に丸橋・マルセロ→上夷・横山へと2枚替えし、これで富樫の1トップとなり2列目は右から長沼・堀米勇・横山の並びに。

そして31分、ここもゴールキックからの繋ぎで新潟のプレッシングを剥がすと、左からの運びで代わった横山・上夷の2人で崩す体勢に。
上夷がカットインから中央へパスを送ると、河原がダイレクトでエリア内へ叩き、待ち構える堀米勇がさらにヒールパス。
ポケットで受けた横山がカットインからシュート、新潟のブロックを掻い潜る強烈なフィニッシュを放ったものの、GK小島のファインセーブに阻まれ同点はなりません。
(鳥栖は34分に最後の交代、堀米勇→ヴィニシウス・アラウージョ)

前線ではボールキープを重視するなど、スローペースになってきた新潟に対し焦りを拭えない鳥栖。
36分に藤原のボールキープに対し横山が反則を犯してしまい、このFKからセットプレー攻勢に入られた事で、さらに時間を浪費する破目に。
FK→左スローイン→左CKという流れを経て、キッカー高木ニアにクロス→宮本フリック→谷口ヘディングシュートと、2点目の再現を果たさんとするもサイドネット外に終わり。

盤石な流れを保つ新潟ですが、直後の39分に再び最終ラインから繋ぐ流れになるも、舞行龍が横山のプレッシャーを受けた結果右奥で奪われてしまい。
そして横山を反則で止めてしまった舞行龍により、一矢というべき鳥栖の左奥からのFKに。
キッカー手塚ニアにクロス→上夷ヘディングシュート(威力に欠けGK小島がキャッチ)という具合に、どんなに巧いゲームコントロールを見せていても、一瞬の隙から点を失っては全てが台無しになるのがサッカーであり。

その後再び新潟のボール支配は続き。
42分にFKから長谷川元のヘディングシュートがゴールを脅かす(GK朴セーブ)など、リスクを掛けずの好機が訪れたものの最後まで追加点は生まれず。

そのままATへと突入。
何とか流れを生み出したい鳥栖、左サイドからパスワークで前進を図り、遮断されるも手塚が奪い返して継続という具合に強引ながらも運び。
そしてクロスが上がり、こぼれ球を拾った原田がシュート、ブロック→クリアされるも尚も手塚が繋いで継続。
粘り強さを見せた末に、これを拾った横山が再び左ポケットからカットインを経て強烈なシュート。
しかし舞行龍のヘッドでのブロックに阻まれ、どうしても同点にする事が出来ません。
一方新潟も、これにより舞行龍が脳震盪の疑いで倒れ込んで交代に陥る(早川が出場)など、決死の守備。

そして最後の攻勢を掛ける鳥栖、キムテヒョンの長いスローインも使って形振り構わない押し込み。
これを受けた長沼に対し新潟は即時奪回を狙うも、それを剥がした長沼がアーリークロス。
最後の最後に前掛かりとなった相手の隙を突けたものの、走り込む富樫の奥でGK小島がキャッチと、実らずに終わります。

試合終了の時を迎え、1-2で新潟が勝利。
大きくない規模をピッチ上の組織力でカバーするクラブ同士の戦いで、新潟は幸先良いスタートとなったでしょうか。

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DAZN観戦 2024年J1リーグ第1節 名古屋グランパスvs鹿島アントラーズ

2024-02-26 16:00:40 | サッカー視聴記(J1)

<両軍スタメン>

待ちに待ったシーズンイン。
一ファンである自分とは違い、当事者の思い入れの方が遥かに強いのは言うに及ばず。
それはホーム開幕戦という立場である名古屋の、試合前の演出を目の当たりにして痛感する事となりました。

とはいえ、それはテンションを上げる要因にはなっても、今後の見通しを明るくするのはやはりピッチ内での事象。
つまりはサッカーの内容であり、現状を把握しながら、勝ち点の積み上げを果たさなければならない長い長い作業が今年も始まる事となり。

前置きはこのぐらいにして、この試合のホームチームである名古屋。
大補強を敢行したうえ、下位カテゴリの選手を数多引っ張って来る豪腕ぶりを発揮し、今季こそ優勝をという意気込みは存分に感じられる編成となり。
しかし補強の目玉とされた、FW山岸やDFハチャンレといった選手が故障離脱を余儀なくされ。
特に後者の影響が、藤井・中谷・丸山らDFが一斉に退団したのと噛み合わさり深刻なようで。
最終ラインはJ1経験の薄い選手が過半数を占める状況で開幕を迎えました。

その名古屋の見所は、今季から落とし込まれたという可変式のビルドアップ。
攻撃時は4バックへと変形し、右センターバックの野上が、右サイドバックの位置へと張り出すのが特徴であり。
早速の前半3分中央の三國からパスを受けたその野上、ワイドからのロングパスをユンカーに届け、そこから逆サイドへの展開。
そして上がってきた山中がダイレクトでミドルシュート(ブロック)とファーストシュートに辿り着き。
その後もJ1特有の素早いトランジション・力強いデュエルを制しつつ、立ち上がりの時間を優勢に持っていかんとします。

まずは上々といった新生・名古屋でしたが、8分には鹿島の攻撃。
何とか断ち切った名古屋ですが、自陣深めからの繋ぎを余儀なくされた結果、安西がミドルパスをカットしてさらに攻撃継続。(その後右サイドに展開した末に知念がクロス)
これが文字通りに名古屋の流れごと遮断するシーンとなります。

以降は鹿島が、地上・空中を使い分けてポゼッションを高めつつ、隙を窺う状況に。
16分、その通りにボールを保持しながら、センターバックへ戻して作り直し。
すると知念が最前線へと動き出し、そこに植田が縦パスを送る事で入れられるスイッチ。
これは遮断されるも同じく上がって来た濃野が繋ぎ、土居が右奥を抉ってのポケットへのパスに走り込む濃野。
稲垣のディフェンスに遭い倒される(反則無し)も、名古屋とは違い局面で一気に仕掛ける可変で崩さんとする姿勢を見せ付け。

その流れを維持したまま、迎えた19分の右コーナーキック。
キッカー樋口のニアへのクロスは跳ね返されるも、植田の落としに素早く反応した仲間。
名古屋ディフェンスが明けたスペースを綺麗に突いてのボレーシュートでゴールネットを揺らし、先制点に辿り着きます。

ペースを失って以降、一度も好機を作れずにリードを奪われた格好の名古屋。
動揺を隠せないまま、その後も鹿島のセットプレー攻勢に晒され。
22分には左からのフリーキック、キッカー樋口はクロスでは無く中央へ縦パスを打ち込む事を選択。
ここから土居のポストプレイを経て知念がミドルシュートというサインプレーを見せ、野上ブロック→GKランゲラックがセーブと辛うじて防ぎCKへ。
このCKからもグラウンダーでの戻し→土居ミドルシュート(森島がブロック)と変化を付ける鹿島。
この徹底ぶりは、流石は新監督ランコ・ポポヴィッチ氏のチームらしい拘りを感じる絵図となりました。

追加点の危機を何とか凌いだ名古屋、反撃体制に。
しかし、こちらの拘りである可変式システムによるビルドアップの成果は今一つ。
左サイドからの仕掛けは、山中の所に鹿島・濃野が高く上がってチェックに来るのに面食らい前進出来ず。
勿論スペースを突く隙が出来る表裏一体の鹿島の守備姿勢ですが、それを下がって埋める知念の動きも良く、活路を見出せません。
一方の右サイドも、武器となる久保の突破力も、前年同様J1のカテゴリが壁といった感じ。
何度か良いドリブルは見せるものの、藤枝時代における「得点源の一つ」のような働きはとてもじゃないが果たせずに時間を浪費していき。
そんな訳で、中盤でのデュエル合戦を制した時が主な好機となります。

名古屋は27分に得た右CKで、キッカー山中のクロスが直接ゴールに向かい、パトリックとの競り合いを余儀なくされたGK早川が触れず。
ボールは直接左サイドネットを揺らし、同点かと思われましたがパトリックの動きが早川への反則を取られてノーゴールと、運も敵に回る苦しい状況。

何とか好循環を築きたい名古屋。
最終ラインから繋ぎつつ、浮き球パスで山中に預ける事で鹿島のチェックをいなす姿勢を取り始め。
33分井上が左へミドルパスを送ると、受けた山中がワントラップから中央へさらにミドルパスを送り。
そしてユンカーがワントラップでエリア内を突いてシュートしますが、ゴール左上へと外れ。

以降、単独突破は厳しいが、左足でのクロスという絶対的な武器がある山中にいかにボールを託すかがテーマとなり。
終盤になり鹿島の攻勢が止み、その課題に取り組み始める名古屋。
井上縦パス→ユンカーポストプレイで左の山中に出したり(40分、カットされる)、下がって受けた森島がサイドチェンジ気味に直接山中に送ったり(41分、その後クロスに辿り着きパトリックがファーで折り返すもシュートは撃てず)と、工夫を凝らして攻め込みます。

こうして左からの攻めを作ったうえで、44分には逆の右から好機。
今度は久保は突破では無くダイレクトパスを選択し、更にパトリックのダイレクトでのスルーパスで奥を突き、走り込んだユンカーがさらにヒールパスとワンタッチでの繋ぎ。
受け直した久保がポケットへのパス、そして追い越したユンカーがシュート(ブロック)、跳ね返りをさらに稲垣がミドルシュート。(ブロック)
さらにその後左ポケットを突いてクロス(ブロックされCKに)と、この試合初めてといってもいい波状攻撃を掛けましたが同点弾は生まれず。
結局0-1のまま、前半終了の運びとなりました。

後半開始の前に、リードしている鹿島の方が動き。
土居→藤井に交代し、右サイドに入る藤井により樋口がトップ下へ移動と、微調整を経て迎えました。

ボールが右往左往する入りを経て、後半2分の鹿島。
中盤でこぼれ球となった所を濃野ダイレクトで縦パス→樋口ポストプレイ→藤井右奥へ切り込みと、トランジションを制して作られる好機。
藤井からのマイナスのクロスは繋がらずも、拾った久保がキープできずに仲間が左ポケットで奪って尚も継続。
戻しを経ての安西のクロスが中央を突くと、ディフェンスとの競り合いを制してヘディングシュートを放ったのはチャヴリッチ。
ゴール右へと突き刺し、後半開始早々の追加点を齎しました。

一方久保の球際の軽さと、CB2人(三國・井上)掛かりでもチャヴリッチに競り負けるという、スタメンの時点での懸念が噴出してしまった名古屋。
その後も良い所無く、鹿島の強度の高さに苦しみ、中々自陣から脱出できない状態を強いられます。

よって、再び攻めの形を作る作業から始めなければならず。
10分の鹿島の左CKからも、クリアしきれず散々に繋がれた末に、最後はチャヴリッチのボレーシュートがジャストミートせず命拾いに終わり。
すると直後のゴールキック、短く繋いで組み立てる体勢を取り。
鹿島が前に出て来るや、戻し→GKランゲラックのロングフィードで前へ送り、和泉フリック→ユンカー→山中と繋ぎ。
奏功すると思われましたが、山中が藤井に奪われて好機は生まれず。

このショートパスからのビルドアップに活路を見出す思惑が見られた名古屋。
しかし直後の12分、井上がパスミスを犯し奪われる失態を演じてしまった(その後鹿島は作り直しを選択)事で、好循環を齎せずとなります。

何とか流れを変えたい名古屋ベンチ、15分に久保・パトリック→中山・永井へと2枚替え。
前年までの主力の永井、早速そのスピードで中山のアーリークロスに猛然と走り込むという具合に、重苦しい雰囲気を変えようという姿勢を見せ。

しかしその効果が表れる前に、17分に鹿島の自陣深めからの右スローインでの攻撃。
名古屋の前掛かりな姿勢を濃野ミドルパス→チャヴリッチ収めでひっくり返すと、樋口とのワンツーを経てドリブル突破の体勢に入るチャヴリッチ。
ポケットまで一気に切り込む彼に対し名古屋は三國が必死に追走するも、最後は転倒してしまった事で、他選手まで引き付けられてのクロスという決定打を許し。
そしてフリーで仲間がヘディングで合わせ、ゴールネットを揺らします。

ホームの場で3点ビハインドと、屈辱感満載で残り時間を過ごす羽目となった名古屋。
20分にさらにベンチが動き、山中・和泉→小野・倍井へと2枚替え。

これにより倍井が左ワイドに張るのが常態となる名古屋の攻撃。
彼の突破力を盾として他選手が動くという、泉澤(大宮)システムのような形に活路を見出す事となります。
一方の鹿島も交代カードを切り、24分に濃野・チャヴリッチ→須貝・鈴木優磨へと2枚替え。

26分、最終ラインが持つなかで倍井が左ワイドでパスを受ける体勢に。
すると三國は一気にロングパスで飛ばすのを選択し、倍井の前に走り込んでいた小野がこれを受け。
そして永井がクロスに辿り着くという具合に、新たなシステムによる崩しを図ります。
これで流れが来るかと思いきや、直後の27分に再び三國のパスミスで自陣で奪われるという失態。
カットした鈴木優がそのままミドルシュートを放つも、ふかしてしまい4点目はならず。

良い形が出来るかと思われた矢先に、最終ラインのパスミスで雲散霧消という流れを繰り返す名古屋。
余程2失点目の、競り負けのショックが大きかったと思われる三國・井上の2名。(シーズン前の練習試合では井上が中央・三國が左CBだったらしく、この試合ではあえて逆にしたのが悪かったという説があり)
35分に最後の交代を敢行、井上が退き吉田を投入する事となり。

その後も鹿島の強度に難儀する時間が続き。
37分には自陣から左スローイン→ユンカー落としを経て、永井→森島→野上→中山と繋いで逆サイドへ展開。
こうしたターゲットの利用で何とか好機を生み出す事が、逆に苦しさを醸し出している風であり。
ここから中山が奥へ切り込んでクロス、跳ね返りを稲垣落とし→野上ミドルシュート(枠外)と、久々のフィニッシュに繋げましたが実る事は無く。

一方、悠々と逃げ切り体制に入る事となった鹿島。
40分に仲間→ギリェルメ・パレジへ、43分に知念→名古へ交代と、着実に(相手の)投了の体勢を築き上げ。

終盤名古屋は何度か倍井が左奥を突く場面が見られ、今後の光明となりましたが、それだけといった感じ。
結局フィニッシュが生まれる事は無く、最後まで閉塞感を振り払えないまま試合終了の時を迎える事となりました。

尚この試合は、奇しくもJリーグ初年度と同じカード。
今季ヴェルディがJ1に上がって来た事で、開幕節でヴェルディvsマリノスのカードを作りたかったという節が感じられる、リバイバルの流れに乗っかった組み合わせであり。
当時(1993年)のこのカードは5-0で鹿島の大勝となり、以降両クラブのその後の歩み(鹿島=1st優勝→黄金期へ・名古屋=低迷期へ)を決定付けるものとなりました。
この試合も内容・スコアともに鹿島が圧倒したと言っても良く、今後あの時のような明暗を分ける一戦となり得るかどうか。

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DAZN観戦 2023~24AFCチャンピオンズリーグ ラウンド16第2戦 ヴァンフォーレ甲府vs蔚山現代FC

2024-02-22 16:01:57 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

・↓のピンク色の選手は、ACL用の背番号となっている選手。通常は今津=5・鳥海=10・ゴンザレス=11。
・甲府はウタカ、蔚山はイドンギョンがトップ下のようにも見える。つまりどちらも4-2-3-1の節がある布陣。

甲府ベンチメンバー=GK渋谷 孫大河 山本 荒木 井上 飯田 武富 林田 水野 三平 アダイウトン

前回のACLの記事 =ラウンド16第1戦・蔚山vs甲府(3-0)


アウェイでの第1戦を、0-3という結果で終えてしまった甲府。
勝ち抜けは現実的に言って厳しい状況となりましたが、泣き言を漏らす訳にはいかず。

「未来に繋げる」、そんな言葉の意味が2通り、というのはまさにこういう状態でしょうか。
奇跡的に逆転して勝ち抜けたのならば文句無し。
そうならなかった場合にも、内容で周囲を唸らせる事で、これから始まるリーグ戦に良い形で繋がる事にもなる。
「ゼロか1か」というデジタル思考に陥り易い人間の性ですが、こうした選択肢は常に持っておきたい所。
それでもホーム(といっても新国立競技場)に集まった5ケタの観衆(15,932人)を観て、「舞台は整った」と思ってしまうのはサッカーファンの性か。

一方余裕が出来た蔚山は、前試合から半数を入れ替えたスタメンで、キムジヒョン以外の4人はいずれもが途中出場した選手。
特に江坂をボランチで起用した辺り、開幕までまだ余裕がある状況(Kリーグは3/1に開幕との事)で試運転を兼ねたものだったでしょうか。

試合が始まると、早速蔚山は3点のリードを活かさんと、ボール保持を重視するサッカーを展開。
つまりは最後方からのビルドアップですが、ここで前試合のドイスボランチのコンビを崩した影響が表れたか、その内容は今一つ。
背水の陣の甲府のプレッシャーを受けて、ロングボールを蹴らされる場面が膨らみます。
試合前に注目の1人として名前が挙げられていた(解説=坪井慶介氏)コサンボムも、相方(イギュソン)の存在あってこその巧みなプレーといった感じで、江坂との息が合っていない風に映り。

そうした隙を突かんとする甲府。
立ち上がりから攻撃権を支配し、前半8分に敵陣でのカットからファーストシュート(宮崎がミドルシュート・枠外)に辿り着き。

アップセットを起こす雰囲気は十分でしたが、同時に知らず知らずのうちに前掛かりになってしまっていたでしょうか。
11分ソルヨンウのミドルパスがイドンギョンに合わずに流れるも、その奥でアーダームが落とすと、ひたすら喰い付くディフェンスが格好の餌食になるという絵図を描くのみとなり。
裏抜けを許し、イドンギョンのポケットへのスルーパスに走り込んだオムウォンサンのシュート。
これは左ポストを直撃するも、跳ね返りをしっかり詰めていたキムジヒョンがシュートしてゴールネットを揺らします。
早々に先制、もとい点差を広げられてしまった甲府。

しかし蔚山もビルドアップを阻まれる事が目立ち、先制したといっても苦し紛れの浮き球のパスのズレが繋がるという偶発性の高い組み立て。
さらに直後の12分、キャプテンのキムギヒに故障が発生してしまうアクシデント。
筋肉系トラブルらしく担架で運ばれる事態となり、すかさずファンソッコを投入します。

これで最終ラインにも不安定さが顔を覗かせる蔚山。
止む無くこの後は、コサンボムが最終ラインに降りて3枚で回す場面が目立つ事となります。
イドンギョンが降りる事で上手く3-2の状態を作りつつ、高く位置取るサイドバックから運ばんとする姿勢を取り。

流れ自体は依然として変わらず、さしたる好機を作れない蔚山ですが、ボール保持は安定性を増し。
甲府のボール奪取を受ける事は激減したため、既に4点差もある状態でこれで良いといったサッカー。

追う甲府にとっては焦りを増幅させかねない展開で、前試合同様サイドからアーリークロスを上げるのが関の山に。
特にこの日起用された小林のいる左サイドが深刻で、奥にまで切り込める突破力は無く、一列前の宮崎も常時カットインを狙うタイプの選手なため早々にその状態に陥っていました。

そんな流れを変えたのが35分で、中盤でのウタカのボール奪取から、ゴンザレスがロング気味のシュートを狙い。
これが枠を捉えGKチョヒョヌが辛うじてセーブというフィニッシュで、文字通りの号砲となり。
直後に鳥海のボールキープが(コサンボムの)反則を生み、中央やや右からのフリーキックで、キッカー佐藤はファーへ放り込みを選択。
今津の落としがウタカに繋がり、近距離でのシュートチャンスとなりましたが、放たれたウタカのシュートは右へ逸れてしまい決められません。

しかしここから決定機を重ねる甲府。
前試合の「少ない決定機をモノに出来ず」という状態の攻撃からは一変した辺り、流石はホームが齎す力と言うべきでしょうか。

38分、木村が中盤から左ハーフレーンを持ち上がると、一気にポケットまで進入してそのままシュート。
GKチョヒョヌが足でセーブとこの決定機も防がれましたが、尚も怒涛の攻撃は続き。
39分にはついに蔚山のビルドアップに対し、ファンソッコから左サイド深めでゴンザレスが奪う状況を作ります。
そしてエリア内中央へパスを送ると、ウタカがワントラップからシュートしたものの、戻ったイドンギョンがスライディングでブロック。
こぼれ球を尚も宮崎が拾いシュートしますがこれもキムヨングォンがブロックと、ゴールまで最接近しながらも後一押しが出来ません。

40分台に突入すると、蔚山が落ち着きを取り戻し敵陣でポゼッションを高める時間帯に。
そして45分、先制点のシーン宜しく、浮き球パスがターゲット(キムジヒョン)を越えてアーダームがポストプレイというパターンから決定機。
受けたキムジヒョンがドリブルからスルーパスを送ると、オムウォンサンがエリア内でGKと一対一という場面が出来上がります。
しかしGK河田は落ち着いて立ちはだかり、放たれたシュートを身体でセーブして絶体絶命の危機を凌ぎ。

これで再び流れを変えた甲府はアディショナルタイム。
左サイドから木村が中央へ縦パス、ゴンザレスのポストプレイがスペースへ出た所に、猛然と走り込んだ佐藤がミドルシュート。
江坂のブロックでコースが変わるも、GKチョヒョヌはこれもファインセーブ。
直後に関口のミドルシュートもセーブしたチョヒョヌ、隙を見せません。

結局0-1のまま前半が終わり。
ハーフタイムで両チーム動きを見せ、甲府は宮崎→アダイウトンに交代。
一方の蔚山はコサンボム→イギュソンへと交代、奇しくも前試合でのドイスボランチのコンビ同士で交代する事となりました。

最初の好機は後半2分で蔚山、これもカウンターによるもの(左ワイドをキムジヒョンがドリブルからクロス)と、甲府の前掛かりを突きに掛かるのは変わらず。
それでも直後の3分、前線でボールを収めにいった所でアーダームとオムウォンサンが激突してしまい、マンシャが拾って甲府が反転攻勢。
木村がアダイウトンとのワンツーで前進、中央のウタカへラストパスが通る好機となりましたが、放たれたシュートはキムヨングォンがブロック。

ここから再び甲府の攻勢が始まり。
しかし守護神の好守に応えたか、蔚山も中央を固め始め。
6分に鳥海がミドルシュート(GKチョヒョヌキャッチ)、7分に関口がミドルシュート(キムヨングォンがブロック)と、遠目からのフィニッシュに比重が置かれてアタッキングサードを攻略できず。

痛烈な甲府のプレッシングを受け、ビルドアップもままならない蔚山。
最終ラインの一列後ろ、つまりGKチョヒョヌから組み立てる事で安定感を得ようとします。
12分チョヒョヌ→ファンソッコから右サイドの持ち運びで、ソルヨンウがキープする所に、パスコースを切りながら立ちはだかる佐藤。
しかしその背中側でイドンギョンが前にズレ、ソルヨンウのパスを受けるという具合に、局面で巧さを発揮するのは流石という他無く。

この蔚山の立ち回りを経て、再びペースダウンを強いられる甲府。
16分に交代カードに手を付け、鳥海・ゴンザレス→武富・三平へと2枚替え。
ウタカ・三平のコンビとなった事で、ハッキリと4-2-3-1の形を取り始めます。

直後のコーナーキックから、小林とアダイウトンが立て続けにミドルシュートを狙いますが実らず。(前者はブロック・後者は枠外)
やはり守備に意識を置いた相手に対し、崩しのクオリティが今一つという甲府の攻撃。
その中で今後武器になりそうなのが、ボランチ起用されている木村の存在でしょうか。
前半の意表を突いた縦突破しかり、セオリーから外れた仕掛けは相手にとって脅威を一つ増やすものとなりそうです。

21分にその木村が、CKからクロスの跳ね返りをダイレクトでミドルシュート、これはゴール右へと惜しくも外れ。
直後の22分には、ヘディングの連続でウタカに渡ると、エリア内へ切り込みシュート。
しかしこれもGKチョヒョヌがセーブと防がれ。
ミドルシュートを繰り返しながら、相手の綻びを突いてウタカに渡すという流れは出来ていましたが、どうしてもモノに出来ません。

23分に木村→林田、29分に佐藤→飯田へ交代し、カードを使いきる篠田善之監督。
この最後の交代で、関口が最終ラインに入って3バックとなり、林田がアンカーの3-3-2-2(3-1-4-2)へとシフトしたでしょうか。(飯田は右ウイングバック)

必死に攻め続ける甲府ですが、その後惜しいシュートシーンは影を潜めるなど攻め疲れの様相が見え始め。
そして甲府の交代が止んだのち、蔚山もカードを使いきり31分にキムジヒョン・イドンギョン→ルドヴィクソン・キムミヌへと2枚替え。(既に19分にアーダーム→チョミンギュへと交代済み)
結果的に、1戦目のスタメンを順次投入という流れになります。

そして終盤も近くなり、1点も奪えていない甲府は焦りも現れます。
37分、GKチョヒョヌがロングフィードを送ると、クリアボールを江坂が拾うもボールはこぼれ。
しかしマンシャがこれをクリアミスして空振り、江坂が拾い直し右ポケットを突く事態となり。
そしてマイナスのクロスにキムミヌが走り込むという所で関口がクリアと、瀬戸際で何とか凌ぎます。
続く38分にはイミョンジェの前進からのミドルシュートを、ウタカがプレスバックして撃たせずと、ここに来て守備に奔走される形にもなり。

何とか蔚山の攻勢を凌いだ甲府、42分に左スローインからの組み立てを経てアダイウトンが左ポケットへスルーパス。
走り込んだ武富はさらに中央へ横パスを送り、待ち構えていたウタカは一旦ディフェンスに遭うも、こぼれ球を自らシュート。
ブロックに当たり左CKとこれも防がれましたが、同時に(イミョンジェの)ハンドか否かのVARチェックが挟まれます。
結果はノーファールも、これで一息ついたのが良かったでしょうか。
キッカー小林の中央へのクロスを、三平がヘディングで合わせてゴールネットを揺らします。
苦労を重ねてようやく奪った1点、既に勝ち抜けは極めて困難となっていましたが、重すぎる1点に違いなく。

それでも蔚山のやる事は変わらず、ボールキープ重視での攻撃を繰り広げながら、甲府が前掛かりとなってきた隙を突くスタイル。
ATに入っても不変であり、カウンターでオムウォンサンがドリブルでエリア内を突く好機を生み出します。
ここはエリア内で今津が反則気味に防いで事なきを得た甲府。
しかし再び薄い後方を突かれる場面が訪れ、クリアボールを拾ったルドヴィクソンがドリブルから右へ展開、キムミヌ→ソルヨンウ→オムウォンサンと繋いでポケットを素早く突き。
そしてダイレクトでグラウンダーのクロスが送られると、キムジヒョンが合わせて仕上げ、ゴールネットを揺らします。
勝ち越しに成功した蔚山、これでこの試合単体での勝利も濃厚となり。

諦めずに攻める甲府でしたが、最後に得たCKで、GK河田が前線に上がるという姿勢を最後まで見せるのみに留まり。
そして試合終了の笛が鳴り、1-2で決着。
同時に、2戦合計1-5という結果で、蔚山のベスト8進出並びに甲府の敗退が決定する事となりました。

一言で言えば、残念な結末に終わった甲府。
それでも内容的には、シュート数25本という圧巻の数字を残したこの試合。
1戦目での完敗の残像は払拭していたと言っても良く。
チームの成長を確かめつつ、開幕戦に繋げる流れは積み上げられたでしょうか。

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TV観戦 FUJIFILMスーパーカップ2024 ヴィッセル神戸vs川崎フロンターレ

2024-02-19 16:13:00 | サッカー視聴記(その他)

<両軍スタメン>

・↓とは逆のコートで前半スタート。

栄光の証である、前年タイトルを手にしたクラブ同士の戦いであるスーパーカップという舞台。
しかしその内情は、様々な犠牲を振り払っての末に掴んだものと言った方が正しいでしょうか。

神戸は長年(といっても5年弱ほどの間)取り組んできた「バルサ化」のテーマをかなぐり捨てたスタイルの末に、初のリーグ優勝。
その開き直ったかのような方針転換は「大迫頼みの○○サッカー」と揶揄される事もありましたが、結果を出せば良いと言わんばかりに熱狂に沸いた前年末。
それでもイニエスタの退団のみならず、シーズン途中で獲得したファン・マタすらロクに起用する事無く終了と、編成レベルではやっている事のチグハグ感が拭えないままとなり。
この日は前年の戦いを象徴する、ベストメンバーを揃えて試合に臨みました。

一方の川崎は、神戸が「バルサ化」に取り組んでいる間、長らくJリーグのトップレベルに君臨していたクラブ。
しかしその反動か、主力選手の高齢化ならびに海外移籍による、世代交代の課題をクリアできず停滞したシーズンとなった一年。
幸いにして天皇杯を制し、並行して戦ってきたACLを勝ち抜き面目を保ったものの、それによりシーズン前から過密日程に苛まれる二重苦となり。
その影響を存分に感じさせる、ACLラウンド16第1戦(山東泰山戦、3-2)から、スタメン11人総とっかえする策を敢行するに至った鬼木達監督。

試合開始から、殆どの選手が場慣れしていない川崎を尻目に得意手で攻め上がる神戸。
アバウトな前進から、ダイレクトパスを中心に素早く運ぶスタイルで押し込んでいきます。
その中でやはり頼りになるのは大迫で、前半1分に早くもロングシュートでゴールを狙った(枠外)のを皮切りに、ターゲットとして奮戦。
7分の直接フリーキックでは、キッカー初瀬の(右ハーフレーンからの)クロスに合わせにいき、GK上福元がパンチングで辛うじてコーナーに逃れるという具合に川崎ディフェンスの苦戦の絵図を描き。
しかしそのCKでは、二次攻撃で井出が焦って(右から)ダイレクトのクロスを上げるも精度を欠くという、アバウトな攻めの弊害も見られましたが。

そんな神戸のスタイルに伴うように、川崎も最前線のゴミスのポストワークで前進を図るサッカーに。
11分に再び神戸が、右スローインからの攻めで山口がダイレクトクロスを送るも跳ね返されると、川崎のカウンターが発動。
ゴミス・山内によるポストプレイの連続で前進していき、山田がディフェンスに遭いこぼれるも拾った際から好機が生まれ。
彼のパスを受けたゴミスが右サイド奥で溜めを作って戻し、瀬古のダイレクトクロスを合わせヘディングシュートを放った際。
ループの軌道でゴール上部を襲ったこのシュートはGK前川にセーブされるも、この日彼をスターダムに導く切欠となったでしょうか。

次第に神戸のアバウトさによるボールロストが増え始めると、川崎は最終ラインからのビルドアップでゲームを作らんとし。
16分に神戸のプレッシングに遭いつつもGK上福元のパスで前進開始、ヒカルドの展開から再び際が起点に。
山内のスルーパスを受けた山田がポケットへ切り込みシュート気味にクロス(GK前川キャッチ)と、フレッシュな選手達による小気味良い攻撃。
直後の17分に再び山田がポケットへ切り込む好機が生まれ、ディフェンスに遭いこぼれた所をゴミスがシュート。(GK前川キャッチ)

神戸はその直後にアクシデントに苛まれ、井出が瀬古とのデュエルの際に足を痛めてしまい、続行不可能に。
スタッフの補助を受けて退場するなか、宮代が準備を初めた末に21分に交代となりました。
これにより、大迫・宮代を2トップとする4-4-2気味にシフトチェンジ。

22分に神戸が、パトリッキのグラウンダーのクロスに大迫が合わせシュート。(GK上福元セーブ)
続く23分に川崎が、ヴェロンのマイナスのクロスにゴミスが合わせシュート(ブロックに当たり左へ外れる)と、両チームのCFがほぼ同じ絵図でフィニッシュの応酬を演じ。
互角の好ゲームとなる予感を孕ませたものの、これ以降ペースを掴んだのは神戸。

ロングボール主体のサッカーは変わらずも、宮代が投入された影響か、大迫がサイドに流れてターゲットになる場面が膨らみ始め。
特に右に流れる事により右サイドのターゲットの佐々木大と、高めに位置取る酒井により生まれる密集で、ボールを収めたのちの狭い局面でパスワークが効き始めた感がありました。
川崎ディフェンスのパスカットを受けても、密集によりその後のゲーゲンプレスも効き易く、反撃の隙を与えません。
一時期の町田の「ワンサイドアタック」を彷彿とさせる手法で攻撃機会を増やしましたが、最後のパスの精度を欠いてフィニッシュは膨らまず。

川崎にとっては常に相手の攻撃に晒される、一時の緩みも許されない状態に。
タッチラインを割っても、神戸のスローインは素早く裏を突く意識を第一とするためスペースを開けるのはご法度であり。
33分には右スローインとなると、ボールを受け取って素早く裏へ投げ入れたのは大迫という具合に徹底しており、ひたすら相手にプレッシャーを与え続けます。

それでも得点は生まれずに時間が経過。
37分に右から山口が低いクロス、ニアサイドで大迫が脚で合わせましたがジャストミート出来ず。
アディショナルタイムには左から初瀬がクロス、中央で佐々木大が頭で合わせましたがGK上福元がキャッチ。
いずれもスローインからの繋ぎによるフィニッシュと狙い通りの攻めは果たせていたものの、川崎センターバック(高井・丸山)の強度の高さもあり、フィニッシャーは万全の態勢で撃てずに終わり。
結局スコアレスのまま前半終了の運びとなりました。

かなり押し込まれていた感があった川崎。
ハーフタイムでベンチが動き、あまりいい所を見せられなかった田邉に代えて三浦を投入します。
前年のスーパーカップでも甲府期待の新星と評される活躍をした三浦、1年での個人昇格を経て同様の期待を受けての出番となったでしょうか。

神戸は後半開始1分に早くも、右スローインを直接裏に投げ込むという前半同様の意識から好機。
受けた佐々木大が右奥からクロスを上げ、宮代がボレーシュートに繋げるも際のブロックに阻まれ先制ならず。

試合絵図はそう簡単に変わらないか、と思わされた所で、続く2分に川崎はパスを繋いで前線に運び。
すると右サイドで山内が初瀬に倒されて反則となり、ワイドからのFK。
これをキッカー瀬古が中央へクロスを送ると、丸山が走り込むその先でバウンドする形となり、意表を突かれたGK前川は辛うじてパンチング。
これを山口がクリアにいくもそれを阻んだのは際で、ブロックの形となって跳ね返ったボールが枠内に向かい。
トゥーレルのブロックも及ばずにゴールに吸い込まれ、待望の先制点を挙げたのは川崎。
名前の通り、球際を制して初ゴールを齎しました。(読みは「きわ」では無く「さい」なのですが)

先制されてもブレない神戸、直後のキックオフから初瀬の右へのロングパスで組み立て。
大迫が飛んだその頭上を越えて佐々木大が収めた事で再び右に密集が生まれ、パスワークの末に受けた大迫がミドルシュート(GK上福元キャッチ)と、ストロングポイントを変えずに応戦の姿勢。

しかし川崎は、GK上福元がロングフィードを送るスタイルへシフトと若干の微調整が図られ。
まずは神戸のプレッシングをいなす事を第一としてから、パスを繋ぐスタイルに入る体制へと変わったでしょうか。
それにより前線の守備が機能し辛くなった神戸。
13分には川崎が攻めに人数を掛けた隙を突いてのロングカウンターに入るも、左サイドをドリブルで持ち運んだパトリッキが、ヒカルドを剥がして奥に切り込むという所でタッチが大きくなりゴールラインを割ってしまい。
前線の選手は燃料のロスが大きくなり、肝心のアタッキングサードで力を発揮できずという状況に陥った感があり。

良い流れが途絶えた神戸は、次第に大迫が中央に張り気味となり、宮代がサイドに流れる事が多くなり。
前半から役割が交換するような格好でしたが、すると今度はサイドで収められずに、攻めの形自体が途絶えてしまう状態に。
それを尻目にペースを掴む川崎。
SBも高めの位置を取れるようになり、投入された三浦が前線でパスカットするなど冴え渡ります。
22分にはその三浦がロングパスを遮断し、拾ったマルシーニョ(ヴェロンと交代で出場、20分)がカットインで中央へ流れる所を扇原に引っ掛けられて反則。(扇原に警告)
これでエリアからすぐ手前の直接FKを得た川崎、キッカーの位置には瀬古と丸山。
ターゲットとなるべき丸山が蹴るという陽動を見せた末に、放たれた瀬古の直接シュートはゴール右上を襲いましたが、バーを叩いて惜しくもゴールはなりませんでした。

反撃機運が高まらない神戸は、25分にベンチが動き。
扇原・パトリッキ→広瀬・井手口へと2枚替えし、広瀬が右サイドハーフ(ウイング)に入った事により佐々木大が左へと回ります。

以降山口がアンカー気味に位置取り、井手口がやや高目の位置でパスを引き出す役回りとなった神戸の中盤の底。
川崎ディフェンスがその変更への対応を図る間に崩したい所で、28分に好機。
右サイドでアバウトな広瀬のスルーパスに宮代が走り込み、瀬古が蓋をして対応するも奪い返す宮代、そのまま奥からクロス。
ニアで大迫が合わせるも枠外と、ようやく主砲の大迫にフィニッシュが生まれ、何とか悪循環を断ち切らんとします。

すると今度は川崎が、神戸っぽいスタイルで押し返しを図り。
30分に左スローインから、ゴミスフリック→マルシーニョで奥を突くという流れで溜めを作り。(その後戻しからマルシーニョがクロスも繋がらず)
32分には瀬古が後方からラフに左スペースへロングパスを送り、マルシーニョが激走してて受けるという強引なやり口。
そして左奥へ切り込んでカットイン、ポケットの角度の無い所からシュートを狙いましたが、GK前川の足でのセーブに阻まれます。

35分に川崎は2枚替え、際・山内→瀬川・橘田へと2枚替え。
神戸も38分に初瀬・飯野へ交代。(飯野は右SHに入り、広瀬が左SBに回る)
40分に川崎も瀬古→山本に交代して両チームカードを使いきった事で、終盤戦に突入という事を実感させます。

川崎は前述の通り、アバウトな手法も使いながら前線で溜めを作り、あわよくば時間稼ぎも兼ねての立ち回り。
ゴミスもサイドでボールキープに徹する場面を増やし、それに貢献していきます。
焦る神戸ディフェンスの反則によるセットプレー攻勢も加わり、無情にも経過していく時間。

前半とは打って変わって、神戸の圧力に晒される時間は大きく減少した川崎。
しかし今度は逃げ切りというミッションの中でのプレッシャーか、最終盤に来てGK上福元のフィードが乱れがちに。
元々ビルドアップの技術に特化したGKなだけに、フィードを連発するという後半の立ち回りは「慣れない事をする」状態だったでしょうか。
ATではとうとうバックパスからのフィードをミスキックしてしまう上福元、右サイド深めに浮かんだボールを瀬川がコーナーに逃れるという結末も描いてしまい。

ここからセットプレー攻勢に賭けるという展開になった神戸。
このCKの後の右スローインから、クロスの跳ね返りを広瀬がミドルシュートにいくもジャストミートせず。(GK上福元キャッチ)
その後井手口が橘田に倒されて反則(橘田に警告)となり、左ワイドからのFKが最後の攻撃に。
上げられたクロスに佐々木大が合わせにいき、クリアが尚もエリア内に浮かぶも、ゴミスがクリア。
そのこぼれ球を佐々木大が拾い、左奥に切り込まんとした所をゴミスに倒されましたが、反則は取られずにそのまま試合終了の時を迎えました。

0-1という僅差で勝利した川崎。
内容はともかく、完全ターンオーバーを敷いた中での戴冠は、総合力をアピールした一日となったでしょうか。

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