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DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 ツエーゲン金沢vs大宮アルディージャ

2019-11-29 19:35:50 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の金沢の記事はこちら(38節・長崎戦)
※前回の大宮の記事はこちら(39節・柏戦)

既に3位以上を確保している大宮。
ただ目標とする自動昇格に向けては正念場で、勝たなければ果たせず終わってしまうこの試合。

開始直後の前半1分、河面のロビングをエリア内で受けた茨田、シュートを放つもブロック。
いきなりシュートを放った大宮。
金沢サイドも負けじと4分、中盤で垣田の落としを右サイドで受けた大橋が中央へパスを出し、受けた山根がドリブル開始。
そしてそのままミドルシュートを炸裂させますが、GK笠原のセーブに阻まれます。

どちらも特にポゼッションのこだわりは見せないクラブですが、金沢は特にその姿勢が顕著。
出足の速いディフェンスと縦に速い攻撃で、支配率の低さの割にはシュートを量産するチームであり、それが「誰が出場しても得点できるチーム」に繋がっていると思います。

そしてこの日昇格が掛かった相手の大宮、そんな金沢に対抗しようと序盤からハイペースで攻撃していきます。
7分にはコーナーキックのチャンス、キッカーのイッペイ・シノヅカがクロスを上げると、ニアサイドでCB河本がヘディングシュートを放つも枠を捉えられず。
9分にも同様に、コーナーキックから河本がヘディングを見せます(これはミートせず)

14分にオウンゴールという形で先制(石川エリア内左へロビング→渡部折り返しが金沢・小島に当たってゴールイン)してからも、両者譲らぬ攻め合いの展開は変わらず。
16分の金沢、山根・藤村のポストプレイから、後方で大橋がミドルシュート。(枠外)
23分には中盤で大橋のパスカットから、再び山根のポストプレイで加藤が遠目からシュート。(GK笠原がセーブ)
このミドルシュート攻勢と言わんばかりの序盤の金沢の攻めが、撃ち合いを印象付けるのに一役買った気もします。

両GKも奮闘。
25分の大宮、スローインをエリア内で受けたロビン・シモヴィッチ、ヒールパスをミスしたりするも何とか繋ぎます。
そして茨田→三門と渡り、三門がシュートしますがGK白井がセーブ。
29分は大宮の直接フリーキック、右サイドからキッカー・シノヅカはシュートかクロスか判りづらいボールを入れましたが、ここもGK白井は判断良くパンチングでクリア。
34分は再び金沢のミドルシュートが火を吹き、クリアボールを藤村が放ったもの。
しかしこれもGK笠原が防ぎます。
38分の金沢、これまでのミドルシュート攻勢が功を奏したか対の選択肢のパスがどんどん繋がり前進、そして垣田が2タッチでエリア内へスルーパス。
ここに金子が走り込み、クリアされたものの加藤が拾ってエリア内に持ち込んでシュートしましたが、GK笠原の壁は厚くここでもキャッチ。

ここまでは一進一退という流れでしたが、前半終わり際には大宮に流れの針が傾きます。
40分、セントラルMF4人(2ボランチ・2シャドー)がパス回しに関与し中央を前進し、シモヴィッチにボールが渡る絶好機。
エリア内からシュートを放ったシモヴィッチでしたが、ブロックに当たってGK白井の足が辛うじて防ぎ、モノに出来ず。
43分には三門のミドルシュートがあり(金沢・金子がブロック)、迎えた45分。
金沢のパスミスから右サイドで攻撃、シノヅカのクロスがエリア内にこぼれると、石川が拾ってシュート。
1点目と同様に金沢・小島に当たってゴールに向かったものの、今度はゴールバーを直撃してノーゴール。
大宮有利な時間帯だったものの、追加点を生む事無く前半終了。

既にこの時点で2位・横浜FCは、愛媛相手に1-0とリード。
他力本願も得なければ自動昇格を果たせず終わる大宮の状況ですが、仮に横浜FCが引き分けると、大宮勝利で勝ち点は同着に。
そうなると得失点差勝負ですが、そこでも大宮は3点差を付けなければ上回れないという厳しい状況でした。

そのためハイペースにならざるを得ない前半でしたが、決して楽では無い金沢が相手という事で、ペースは中々握れず。
そして日程的にも厳しかった11月の戦い、11/6に順延分の試合を消化するなどの過密日程。
しかも丁度シモヴィッチの欠場(故障だったのか?)が重なり、その間にフアンマ・デルガドはフル出場せざるを得なかったのも、「2人で1トップ」的な起用をしている高木琢也監督にとっては痛かった。
このシモヴィッチと河本・渡部以外は柏戦から不動のスタメンであり、疲労面の問題は隠しきれず、この日も後半厳しい戦いを余儀なくされます。

後半開始の前に、金沢は小島→高安へと交代。
既に来季も見据えた戦いに入っているのか、ここに来て特別指定の高安を起用してきました。
その高安は後半1分早くもチャンスに絡み、中央の金子からのパスを受けてエリア内右に入ると、そこからグラウンダーでクロスを入れますが垣田の足には僅かに合わず。(DFがクリアでコーナーに)

一方の大宮は、ウイングバックのシノヅカと渡部の位置を入れ替え、シノヅカが左・渡部が右にシフト。
前半は金沢の人に付く守備に苦戦気味だったシノヅカ、金沢・加藤とのマッチアップを避ける意味合いだったでしょうか。
そのシノヅカ、9分にシモヴィッチのパスを受け、エリア手前からミドルシュートにいくも枠外に。
13分には左サイドから河面がクロス、ニアサイドでシモヴィッチが合わせにいくもこぼれ、クリアボールを拾ったシノヅカ。
そして中央から強烈なミドルシュートを放ち、GK白井がセーブするも、こぼれた先には渡部が詰めに行く姿が。
しかし渡部、このボールをミートできずゴール右に外してしまい2点目はならず。

その間にも散々金沢サイドにゴールを脅かされます。
9分(上記のシノヅカのシュートの少し前)、左サイドで沼田のスルーパスに加藤が走り込み、グラウンダーでクロス。
クリアが小さくなったボールを山根が直接シュート、これを垣田がヒールでコースを変えたものの、河本のブロックを経てGK笠原がキャッチ。
14分、再び高安が右からクロス、今度は低い浮き球のボール。
これをニアサイドで山根が飛び込みヘディング、しかしGK笠原に防がれゴールならず。

中頃が見えて来た所で、大宮は切り札といえる大前を投入(奥抜と交代)し、布陣も3-4-2-1から4-4-2へとシフト。
勝負を賭けに来たのは一目瞭然でしたが、ここから大宮はペースダウン。
疲労面が色濃くなってきたのもあるでしょうが、その他に原因を求めると人に付く守備が特徴の金沢なので、ミラーゲームになった事でそれが長所として発揮しやすくなったという要素でしょうか。
19分(沼田ミドルシュート)、21分(金子エリア手前左からシュート)と際どいシュートを撃たれるなど、徐々に金沢サイドに針が振れ始めます。

そして22分、大宮がシノヅカ→ダヴィド・バブンスキーに交代すると、金沢も同時に金子→清原へと交代します。
既に契約満了に伴う退団が決まっている清原、過去に金沢のJリーグ参入・J2昇格に貢献した実績があり、大歓声で迎えられます。

切り札として起用された大前、2トップというよりは、自身はもっぱら中盤に降りてボールを受けに来る役割。
しかしそれがあまり効果的とはならず。
逆に金沢、清原に最高の見せ場が訪れます。
26分山本の縦パスを期に、山根フリック→垣田ポストプレイ→山根ドリブルという流れるような攻撃から、山根は右の清原へとパス。
そして清原はエリア内右で思い切り良くシュートを放つと、ボールは左サイドネット内側を揺らしました。
この清原の「送別ゴール」に沸き上がるスタンド。

そんなムードも影響し、以降は完全に金沢ペースの展開に。
それは10分程続き、その間に30分に大橋がミドルシュート(枠外)、36分には清原がシュート(右に外れる)。
大宮のガス欠を痛感せずにはいられない内容が続きます。

何とか勝ち越したい大宮は38分。
バブンスキーが左サイドをドリブルし、カットインを仕掛けて中央へパス。
これを三門がスルーで託すと、大前がミドルシュートを炸裂させますが、GK白井のセーブに阻まれます。

これで流れを幾ばくか引き戻した大宮ですが、以降は双方シュートを浴びせまくる展開に。
俗に言う「オープンな展開」なのですが、そんな表現すら生温く感じてしまう程の激しさを魅せます。
これ以降1分につき2度の攻撃機会は当たり前となり、金沢は7本、大宮は4本シュートを放ちます。(いずれも自分での集計です)
幾度となくゴールに迫る場面を演出したものの、結局勝ち越し点は生まれず試合終了する事に。

残念ながら自動昇格とはならなかった大宮。
2年連続でプレーオフに挑む事となりましたが、前年は6位だったヴェルディに、相手の退場で数的優位になりながらも先制点を奪われ敗戦という悔いの残る敗退でした。
2戦ともホーム開催となる今回、優位性を生かす戦いは出来るでしょうか。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 徳島ヴォルティスvsレノファ山口FC

2019-11-28 17:07:00 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の徳島の記事はこちら(40節・横浜FC戦)
※前回の山口の記事はこちら(40節・町田戦)

壁を超えた者の強さ。

40節で横浜FCとの直接対決で敗れ、残念ながら自動昇格とはならなかった徳島。
そして前節は、過去2年に渡る因縁の相手であるヴェルディとの戦い。

一昨年は、お互いプレーオフ圏内同士で最終節に直接対決。
引き分けならば両者進出が決まる、という試合で、後半終了間際に失点して敗戦した徳島(1-2)。
さらに8位に着けていた千葉がアディショナルタイムに勝ち越し・勝利したため、順位が入れ替わり無念の7位フィニッシュに。
前年はプレーオフに首の皮一枚、という所で38節で当たり、ここでも前年と同じスコアで敗戦(1-2)。
これでプレーオフ圏入りが完全消滅と、2度に渡って望みを絶たれた相手がヴェルディ。

結果は2-1で勝利と、見事にトラウマを克服。
この日を4位という好位置で迎える事が出来た今年の徳島、最終節の相手は山口。

既に昇格・降格共に可能性は無く、監督の霜田正浩氏も続投が決定している山口。
そんな熱量の少ない状態が災いしたか、前節は昇格を目指す山形相手に、2-0とリードしながら後半に3失点しての逆転負け。
前が2試合出場停止となったため、久々に楠本がセンターバックに起用されたものの、裏目に出たような結果となりました。
それを踏まえて……では無く、前々から引退を表明していた大ベテラン・坪井がスタメン出場、つまり引退試合という要素を考慮してこの日は3バックに。
おまけにドストンも15試合ぶりのスタメン、さらに新人・清永が左ウイングバックで今季初出場と、イレギュラーな布陣で挑む事に。

ポゼッションスタイルを洗練させつつある徳島に対し、同様にポゼッションスタイルと周囲に見られがちながら(この日の放送席もそう言っていました)、そのスタイルが今一つ定着されていない印象の山口。
それでも山口の前線からのプレスの意思は強く、徳島はいつもよりはビルドアップに難儀します。
ファーストシュートは山口で前半5分、GK吉満のロングフィードから右サイドで組み立て、石田のパスを受けた宮代がエリア手前からシュート。(GK梶川がキャッチ)

徳島も8分、最後列からボールを前進させて左サイドから攻撃、左ウイングバック・杉本のパスを河田がエリア内左で受ける絶好機。
切り返しから強襲のようにシュートを放った河田ですが、GK吉満が辛うじて弾きボールはゴール上へ。
早々に両チームの1トップがシュートを放った立ち上がり。

徳島はいつものように攻撃時はポジションを可変させ、左CBの内田裕斗を前に出したうえで、残りのCB2枚(ヨルディ・バイスと石井)+1で底を形成。
その+1に当たるのが岩尾でありGK梶川だったりするのですが、この日は前述のように山口のプレスにやや苦戦。
17分には珍しくパスミスも見られました。

それでも徐々に慣れてきたか、前半も半分を過ぎた辺りからはペースを支配。
内田裕が前線に上がる事で、主に左サイドがビルドアップの出口になり、そして内田裕自身のドリブル突破も脅威になっていました。
しかし34分の決定機はロングボールからで、その跳ね返しを河田が直接ミドルシュート。
距離があったもののボールはゴールバーを直撃し、惜しくも得点はなりません。

そして38分の徳島。
右サイドでのスローインからの攻撃で、岩尾が左にサイドチェンジし、そこから内田裕がドリブル。
彼のパスを受けた杉本のクロスは跳ね返されますが、拾った岩尾が縦パスを入れ、河田が収める好機。
そして河田は反転し、その反動でエリア内右に進入しつつシュート。
動きながらというシュートでしたがしっかりとインパクトされ、強烈にゴール上部に突き刺さり先制ゴール。

その後も主導権を握る徳島でしたが、44分の乱闘寸前のシーンを境に状況は一変。
山口・菊池のフィジカルの強さはどのチームの攻撃陣も手を焼いてきたと思われますが、野村とのゴールライン際での競り合いで逆に菊池が倒されると、あろう事か菊池は野村を突き飛ばす事態に。
身体だけでは無く、この気の強さで新人というのだから恐れ入ります。
これで冷静さを失ったのか、前半の残り時間は山口ペースになったうえ、野村・河田の2名が警告を受ける破目にもなりました。(上記のシーンとは別の場面、野村のは合わせ技だったのかもしれませんが)
アディショナルタイム、宮代シュートもブロックでコーナーキックに→コーナーからのクロスがクリア→こぼれ球を高がミドルシュートという山口攻勢の絵が描かれ、前半は終わります。

横浜FC戦で岸本が故障するという、最終盤に来てアクシデントに見舞われた徳島。
代役の右WBには恐らく藤田が入ると思われましたが、スタメンに選ばれたのは田向。
そしてボランチは小西に代えて鈴木徳真と、やや思い切った起用で残り2試合に挑んだリカルド・ロドリゲス監督。
それでも目に見えてパフォーマンスが落ちる、なんて事は無く。

終盤の戦いこそメンバー固定傾向な徳島ですが、開幕当初は試行錯誤の連続でした。
田向・鈴木徳は序盤こそスタメンが多かったものの後にレギュラー陥落、その他にも表原・清武・内田航平といったメンバーが、開幕スタメンに名を連ねたもののその後陥落しています。
終始スタメンだったのは岩尾とGK梶川ぐらいで、DFのリーダー格であるバイスも前半は故障離脱がありました。

そんな経験を経て迎えた終盤、いつの間にやら強固な軍団が築かれていたのでしょう。
度重なるレギュラー争いによる層の厚さで、少々メンバーが変わっても同じサッカーが出来る。
以前は岩尾が出場停止になった試合で大敗(26節・新潟戦)という失態を演じていましたが、今はそんな事態が起こっても、二の徹は踏まないであろう。
そんな事を予感させられます。

迎えた後半、いきなり試合が激しく動く事に。
スコア上でももちろんそうですが、それが山口の攻撃→徳島のカウンター(しかもGKとの一対一の完成)による展開の激しさという点でも衝撃的でした。
後半2分、山口は三幸が左サイドへロングパスを出し、走り込んでそれを収めた清永がエリア左脇からシュート。
これをGK梶川がキャッチし攻守交替、梶川のスローから杉本→野村と渡り、野村が裏へスルーパス。
抜け出した河田がGK吉満と一対一になり、河田は冷静にエリア内に入ってから、見事に吉濱の股を抜いてゴールゲット。

早々にカウンターパンチを浴びせた格好の徳島。
これを機に山口は佐藤健太郎をスタンバイさせ、さらに布陣変更も用意。
しかし落ち着かない山口サイド、5分には再びスルーパス(鈴木徳)に抜け出した河田に対し、菊池が反則気味にボール奪取する危うい場面が。
そしてドストン→佐藤健への交代直前の7分、内田裕がパスカットしてからドリブルで突き進み、カットインしたのち左にスルーパス。
抜け出した渡井が低いクロスを上げると、ファーサイドで田向がスライディングで合わせてゴール。
時間も早ければ攻撃も速いという追加点で、プレーオフ進出を盤石なものにします。

失点直後に佐藤健が入り、4バックへとシフトした山口。
さらに10分に宮代→高井に交代(山下がセンターフォワード(1トップ?)にシフト)と、矢継ぎ早にカードを使います。
その甲斐あってしばらくはペースを握りますが、シュートは2本のみ、しかも両方とも可能性が感じられないミドルシュートに終わります。
そして19分に石田→吉濱へと交代。(左サイドバック、清永は右SBへ)

しかし交代に伴うポジションチェンジが凶と出たか、以降は徳島ペースに。
後方でパスを回しつつ、急所へロングパスという攻撃で執拗に山口ディフェンスの裏を突きます。
惜しかったのは31分、野村が左サイドから中央へとスルーパス、これを渡井が受けてエリア内に進入。
そしてGKと一対一に近い状態でシュートを放ちますが、距離が近かったためかGK吉満が足で止めて4点目はならず。

その直後に野村が退いたためか(狩野が出場)、以降はペースダウンし守備を固めた徳島。
山口サイドを完全に「悪い時のポゼッションサッカー」状態に嵌らせ、殆どシュートを許さず。
アディショナルタイムに三幸がミドルシュートを放ったものの大きく外れ、反撃の糸口を掴ませる事無く試合終了となりました。

これで4位が確定し、プレーオフ第1ステージはホームで挑める事となった徳島。
前回昇格時(2013年)も4位でフィニッシュしているので、縁起の良いジンクスと出来るか。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 ヴァンフォーレ甲府vsFC琉球

2019-11-27 17:00:12 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の甲府の記事はこちら(35節・金沢戦)
※前回の琉球の記事はこちら(41節・愛媛戦)

この最終盤に来て3連勝と勢いに乗り、プレーオフ圏内の6位で最終戦を迎えた甲府。
この日勝てば(京都がとんでもない点差で勝たない限りは実際とんでもない点差で負けたけど)OKという、判り易いミッションでのホームでの戦い。

対する琉球は勝ち点50を目標に掲げ、その数字にあと1と迫っている現状。
それでも明確に勝利を目指すのでは無く、「自分たちのサッカー」を貫いたうえでという、来期以降の継続性も考えての方針。
スタメンは前節と変わらず……では無く、出場停止明けの上門がトップ下で復帰(富所とチェンジ)。

前節は明らかな左サイド偏重の攻撃が見られた琉球(試合後のスタッツでは全体の59%だったそうな)で、これは右サイドバックのポジションが安定しないという事情から。
それでも逆転勝利出来たのは愛媛が緩々な雰囲気を作ってしまったから、というのが自分の結論でした。
目立った所が無かった金成純(キムソンスン)でしたが、この日もスタメンで出場。
しかしこの日は早々の前半1分、琉球最初の攻撃で右からクロスを上げた金。
これはあっさりクリアされ、しかも甲府・アラーノに拾われてのカウンターを受ける破目になってしまいます。(ピーター・ウタカとワンツーで前進→ドリブルで進んでからパス→ウタカエリア手前左からシュート・GK石井セーブ)
いきなりミソが付いてしまった右サイドからの攻撃ですが、その後は前節のような偏りは見られず、金もそこそこ前線でのプレーに絡んでいました。

甲府の第一波を何とか防いだ琉球、その後も前線のクオリティの高さに四苦八苦する場面が見られますが、それらを凌ぐと徐々にペースを握っていきます。
いつものようにセンターバック2枚(岡崎・福井)+ドイスボランチ(上里・風間宏希)を中心としてのビルドアップでボール支配。
ポゼッションを完全に掌握する琉球と、パスカットor跳ね返してのカウンターを狙う甲府という図式へとシフトしていく試合内容。
長くパスを回す琉球ですが、甲府の守りの固さにシュートを撃てず。
15分に再び甲府のカウンターが発動し、アラーノがドリブルで敵陣に切り込みウタカへとスルーパス、受けたウタカがシュートしてゴールに突き刺すもののこれはオフサイドに。

琉球の初シュートは18分、右サイドからの風間宏矢のクロスをニアサイドで上原がヘディングしたもの(ゴール左に外れる)でしたが、そもそもこの発端はカウンターから。
ウタカに対する反則気味のディフェンスで奪った後、河合が左サイドをドリブルで上がってからのチャンスでした。(その後エリア手前中央から戻されてのポゼッション)
ポゼッションサッカーが指標のチームであっても、カウンター攻撃を幾ばくか加えなければチャンスに持ち込む事は難しい。
甲府のような守備の固いチーム相手なら尚更で、この後嫌という程それを味わう事となる琉球。

22分、コーナーキックから福井がヘディングシュートを放った(ポスト直撃し外へ)琉球ですが、その後は甲府の守備を前に「ボールを持たされている」かのような状態に。
40分には福井のロングパスを上原が落とし、風間宏矢が走り込んでミドルシュート(枠外)という、これまた単純極まった攻撃でのシュート。
結局前半の琉球のシュートは4本に留まりましたが、リードを奪われた後半はさらに極端に減る事となります。

その甲府リードが生まれたのが、前半アディショナルタイム。
琉球のクリアを横谷が跳ね返し、曽根田がポストプレイ風にウタカに託すと、ウタカは左へパスを展開。
そして走り込んだアラーノがスルーし、フリーで走り込んだ内田がダイレクトでクロス。
中央でアラーノが走り込む手前で福井がクリアに入るも、飛び出したGK石井と交錯しこぼれ、ボールは曽根田の足元へ。
曽根田は悠々ボールを蹴り込みゴールイン、プレーオフ進出を手繰り寄せる先制点に。

今季最初から最後まで、シャドー2人の人選に悩み通しだったであろう甲府・伊藤彰監督。
最近は故障から復帰して以降、ジョーカーとして起用している金園の大活躍に救われているきらいがありますが、その金園の姿は伊藤氏の現役時代そのもの。
川崎時代、得点力を持ち味にスーパーサブとして起用され続けていた伊藤氏。(その後大宮・鳥栖・徳島でも活躍)
その辺りの経験が現在の起用に繋がっている節が見られます。

そのシャドーは、ここ5試合連続でアラーノ・曽根田のコンビで通し。
2人は守備にも積極的に顔に出し、チームに安定感を与えています。
ベンチには長期離脱から復帰したてのドゥドゥが控えていましたが、現状このコンビが最適解に思えて来ます。

良い形で前半を終えた甲府。
後半立ち上がりもその勢いを継続させ、後半1分に早速アラーノがヘディングシュート。(威力は無くGK石井キャッチ)
しかもDFのエデル・リマがドリブルで攻撃参加してのチャンスメイクでした。

反対に琉球は、反撃どころかビルドアップすらままならず。
甲府のプレスがキツくなり、思うようにパスを回せず時間を浪費していきます。
逆に甲府がボールを握り、琉球陣内でボール回しを行うシーンも目立つなど、1点リードを存分に生かした試合運びを見せます。

13分ようやく琉球が反撃、上里のパスを受けて中央をドリブルする風間宏矢に対し甲府・内田が反則。
これで得た直接フリーキック、距離はかなりあったものの上門が直接シュート。
ドライブ回転のかかったボールがゴール左を襲いますが、落ちるとともに僅かに左に曲がった分ゴールを外れ、甲府は命拾いします。

その後18分に風間宏矢→山田へと交代、4-2-3-1から4-4-2へと近い形にシフトし、上門が右サイドハーフに。
前線のポストプレイヤーを2人にする事で打開を図り、その通りに以降再びボールを握る時間を増やす琉球。
左右両サイドをくまなく使い、サイドチェンジを交えたりするものの、やはり甲府のブロックの外側で回すだけではチャンスは作れません。

逆に甲府は29分。
右サイドで湯澤が縦パスを送り、収めに入ったウタカが入れ替わりで抜け出し、エリア手前へとパス。
受けたアラーノは一旦こぼされますが拾い直し、その後佐藤和弘→曽根田と渡りエリア内で絶好機。
曽根田は切り返しから巧みにシュートを放ち、ゴール左隅へと突き刺します。
プレーオフを決定づけるかの如き追加点を奪いました。

その後も試合展開はほとんど変わらず、ボールは握る琉球が攻めあぐみ、甲府はじっくり守ってカウンターチャンスを得んとします。
そして甲府は36分、アラーノ→田中佑昌に交代。

最終節直前で、この田中佑とスタメンの横谷含め、4選手の契約満了に伴う退団が発表された甲府。(残りは佐藤洸一と小椋)
いずれも30歳代のベテランで、今季も一定以上の戦力になっていた4人なだけに、「チームの新陳代謝を図る」という意図がハッキリ表れています。
そんな4人を一遍に切ってチームは成り立つのかという来年への不安が過るものの(まあ補強はするのでしょうが)、このタイミングでの発表なのは、その要素をプレーオフ進出・勝ち抜きへの力として変える腹積もりか。
ここで勝たなければ……という火事場の馬鹿力を呼び起こそうとしているのか。

さて投入された田中佑、モチベーションを落としている節は全く見られず、シャドーの位置に入りチームに貢献。
43分には巧いボールコントロールで琉球・上里を剥がしてカウンターに繋げ、その後ウタカへスルーパス。(これは通らず)
内容面でも着実にプレーオフへの足固めを行う甲府。

結局後半琉球のシュートシーンは無く(アディショナルタイムに河合の左サイドからのクロスがゴールに向かいGK河田が弾いたシーン、あれがシュートならば1本)、2-0のまま試合終了。
大宮・新潟とともに前年からJ2での戦いを再開させた甲府、2年連続プレーオフ進出という大宮の後を追うようにプレーオフ圏を確定させ、J1復帰を目指します。

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DAZN観戦 2019年J2リーグ第42節 モンテディオ山形vsFC町田ゼルビア

2019-11-26 17:30:31 | サッカー視聴記(2020年以前)

※前回の山形の記事はこちら(39節・水戸戦)
※前回の町田の記事はこちら(40節・山口戦)

追われる身の大変さ。

試合前の段階で4位に居る山形、3クラブに抜かされない限りはプレーオフ進出が決定します。
その可能性があるのが徳島・甲府・京都・水戸の4クラブで、願わくば勝ち点で並ぶ徳島と4位を争い、勝利して第1ステージをホームでの戦いに持ち込みたい。
そんな思惑も抱えつつ挑んだ事でしょう。

一方の町田、残留まであと勝ち点1に迫りながら、前節・柏戦で敗戦(0-3)。
この試合も敗れてしまうと、21位・栃木が勝利した場合に得失点差で上を行かれてしまうという具合に、降格圏に沈む可能性を残しての最終戦。
栃木や20位・鹿児島(町田と勝ち点は同じ40)の経過も気にしながらの戦いが予想されます。

その町田、今季の得点源であったロメロ・フランク(8得点)が、故障から復帰してベンチ入りを果たします。
彼が投入されるまでのスタメンは、前節と同じメンバーで挑んだ相馬直樹監督。
士気の上昇には一定の効果があったようで、序盤は山形を押し込み攻勢を掛けます。
いきなり前半1分、小林のロングパスを相手に囲まれながら中島が収めて繋ぎ、森村がエリア内からシュート。
GK櫛引にキャッチされるも、上々のオープニングを見せ付けます。

前回対戦時(3節・山形が3-0で勝利)は、町田の十八番であるワンサイドアタックが、「通用しなくなった」とも思えるぐらいの内容でした。
しかしこの日は存分に得意手で攻め上がり、山形はその勢いに押され気味。
とにかく町田は安全圏に行くために勝ち点を、それにはまず先制を。
判り易い思想が表れた形ですが、山形はただでさえ徳島・甲府などに追われる状況なうえ、町田のその思いを受けてしまってペースを乱された。
そんな格好に映った試合内容でした。

11分、山形はフリーキックからの攻撃で左サイドで山田が受けてクロス。
これをファーサイドで山岸がヘディングシュート。(枠外)
15分、本田が右に展開して柳→坂元と渡り、坂元はカットインでエリア手前まで入りミドルシュート。(GK増田がセーブ)
この2本のシュートでようやく山形がペースを握り出したか、と思ったものの、前半全体を見れば息継ぎにしか映りませんでした。

その後も町田の攻撃は冴え渡り、いつものように増大するスローインの数も、その後エリア内にボールを送るチャンスに結び付く事多々。
26分、李漢宰(リハンジェ)のグラウンダーのロングパスを左サイドで受けた中島、溜めを作ってからエリア内へスルーパス。
土居が受けてエリア内左の角度の無い所からシュートするも、左に外れてしまいます。
直後の27分は左サイドのスローインから、中島ポストプレイ→平戸クロスがブロックされた後、今度は中島が低いクロスを上げます。
これを森村がフリックし、中央で土居が走り込んでいましたが寸前で防がれ撃てず。

山形サイドはGK櫛引のフィードが伸びずにカットされたり(35分)、センターバック栗山がクリアミスしたり(45分)でピンチを招くなど、町田ペースの波に呑まれているようなシーンも散見。
それでも終盤、最大のチャンスがセットプレーから訪れます(44分)。
左サイド奥からのフリーキックで、キッカー中村が上げたボールに、GK増田が中途半端に弾いた所を栗山が頭でトラップ。
そしてゴールに近い位置でシュートしますが、増田が辛うじて足でセーブ。
ペースを握った町田と、乱されながらも決定機を作った山形、前半は互いにそれらを生かせず仕舞いで終了します。

そして後半開始、早々に試合が動きます。
左サイドからのコーナーキックを得た山形(後半2分)、ボールサイドに2人立ち坂元のフェイクからの中村のクロスがニアサイドを超え、中央に落ちる所を大槻が右足で合わせてシュート。
町田・森村に当たりGK増田も弾いたものの防ぎきれず、先制点を奪った山形。

その後は前半とは打って変わって山形がペースを取り戻してしまい、チャンスに持っていけない町田。
すると後半6分に早くも町田ベンチは動き、李→ドリアン・バブンスキーに交代。
バブンスキーが中島と2トップを形成し、李が抜けたボランチには右サイドハーフの森村が、それにより空く右SHには土居がそれぞれシフト。

それでも流れを引き戻せずにいた町田ですが、一本のカウンターを機にペースが変わります。
10分、山形のコーナーキック(キッカー中村)のクロスをGK増田がキャッチすると、彼のスローからカウンター攻撃。
奥山のロングパスを、最前線のバブンスキーがトラップしますが収まらず。
シュートには繋げませんでしたが、ここから町田が反撃開始。

12分、右サイドでの攻撃から、平戸が中央エリア手前で受けて横パス。
すかさずバブンスキーがシュートを放ち、ボールは山形・加賀が顔面ブロック。
ゴールは防いだ山形ですが、加賀がしばらく倒れ込む事態に。(しばらくして復帰)
その後は両チーム激しいデュエルで攻守が交代する最中、17分には山形・中村のスライディングが反則となると、反則を受けた町田・奥山が激しく応戦。
すると両サイド選手が入り乱れ一触即発となります。(中村と、彼に掴みかかった町田・井上に警告の両成敗)

そんな雰囲気から生まれた(?)、後半20分の町田のフリーキック。(中島のポストプレイに対する栗山の反則)
右サイドからのキックで平戸がクロスを上げると、土居が走り込んで中央でヘディングシュートを放つも枠を捉えられず。
その後町田は、センターバック2人が後方からショートパスを繋ぐというらしくないシーンが散見されるなど、点を奪うには何でもする姿勢が垣間見えます。
「あの町田が緻密なビルドアップをするなんて……」と思わず唸りましたが、結局サイドバックがすぐに前へ送っていました。

他会場では、後半26分に栃木先制という情報が錯誤。(現場に流れたかどうかは不明)
嫌でも点を獲らなければならない降格の危機に瀕した町田、31分ついに切り札・ロメロが投入されます。(森村と交代)
その直前に再び中島のポストプレイが潰されての反則があり、ロメロ投入直後のフリーキック。
キッカー平戸のクロスを今度はCB小林がヘディングにいくと、ボールは山形・加賀に当たりループ気味にゴールへ向かいます。
しかしGK櫛引が辛うじて弾き、惜しくも同点ならず。

一方の山形にも、徳島が3-0とリードという情報が襲い掛かります。(現場に流れ……以下同文)
これにより得失点差で徳島に上回られ、2点目を狙うかどうかの選択を迫られる事に。
交代カードは使わず、無理に得点を狙ってバランスを崩す事を避け、時間を経過させます。

しかし町田・ロメロを止める事が出来なかったのが運命の分かれ道に。
33分、囲まれながらもボールキープを果たすロメロ、土居とのワンツーでエリア内進入を図るも惜しくも繋がらず。
その直後、右奥からのスローインを受けたロメロ、エリア内でキープしコーナーキックを獲ります。
そしてそのコーナーキック、平戸のクロスを中央でで下坂がヘディングシュート。
ゴール右隅を綺麗に捉え、危機からの脱出となる同点弾が生まれました。

その後もロメロの対処に難儀する山形。
36分には右サイドからの攻撃でロメロ→中島→ロメロ→奥山と繋がり、奥山がクロス。
土居がトラップしますがこぼされ、そこにロメロが走り込んでシュート。(DFがブロック)
そしてセットプレー(コーナーキック)からは、小林に2本シュートを許すなど守備網に穴を開けられつつある事を実感するシーンが。

そしてとうとう44分、勝ち越しゴールが。
バブンスキーが拾って中島と大きくワンツーで前進、エリア内左に進入し中へマイナスのパスを送ると、そこにはロメロが。
ロメロは最後を仕上げ、キッチリ合わせてゴールに突き刺しました。
10分前とは逆に、山形サイドを慌てさせる逆転弾。

ここまでで徳島・甲府が複数点リード、京都は敗色濃厚、水戸は1点リードという状況。
このまま負けてしまうと水戸と得失点差勝負となりますが、水戸があと1点取ると並ばれ、総得点の差で逆転を許してしまい7位に落ちる事に。
まさに危機はすぐそこまで迫った状態の山形ですが、救いは既に試合終了間際という時間だった事。

アディショナルタイムの最中、水戸が1-0で試合終了という報がベンチに届き、それにより木山隆之監督が「このまま終わらせろ」という指示をピッチに送ります。
そしてGK櫛引がボールを持ち、そのまま終了の笛までボールを動かさず。
win・winの関係が成り立ったため、町田サイドもそのボールを奪おうとせずに試合終了。
4位どころかギリギリでのプレーオフ進出となり、山形にとってはまさに苦渋の決断で、ほうほうの体で逃げ切りという一日となりました。

この状況で思い出させたのが、2016年の最終節ですね。
優勝が懸かった札幌(現J1)と、降格の可能性に怯える金沢との一戦。
引き分け以上で札幌は優勝が決まり、試合が進み他会場のスコアが動き、金沢は引き分けで自動降格を回避できる状況に。
そのためスコアレスのまま終盤を迎えると、双方消極的となり、0-0ながら双方winという結果に。(札幌は優勝・金沢は入れ替え戦に回りその後勝利)

「申し合わせ」を彷彿とさせる賛否別れる展開ながら、長いシーズンの結果を反映するシーンという事で、趣深くGK櫛引のボールキープの様子を観ていました。

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DAZN観戦 2019年J1リーグ第32節 北海道コンサドーレ札幌vsジュビロ磐田

2019-11-25 19:31:24 | サッカー視聴記(2020年以前)

ルヴァン杯決勝を経験した事で、よりレベルアップした印象のある札幌。
その通りに30節では名古屋を一蹴(3-0)し、31節では優勝争いを繰り広げているマリノス相手に、ノーガードの殴り合いの如き点の取り合いを披露。
敗れはしたものの(2-4)、攻撃力の高い相手に一歩も退かずという今後(翌年以降)に期待を持たせる内容となりました。
そんな状況で迎えた代表ウィークでの中断、札幌は代表選手を5人も輩出(日本以外も含む)するなど、上昇機運は形となって表れている。
そして中断明け、その5人(クソンユン・進藤・菅・チャナティップ・鈴木)を揃ってスタメンに起用する方針で挑んだミハイロ・ペトロヴィッチ監督(以下ミシャ)。

その対戦相手の磐田は、最下位街道をひた走っている今季。
そしてとうとう、この日敗戦すると降格決定という状況にまで追い詰められました。

開幕から指揮を執っていた名波浩氏(クラブOB)は、前半戦最後の試合(17節・川崎戦、1-3)を最後に辞意を表明。
普遍的な低迷クラブの監督交代であり納得できますが、ここからの動きが迷走を極めたのが今季の磐田。
新監督にはヘッドコーチの鈴木秀人氏(クラブOB)が昇格したものの、チーム状況は上向かないばかりか、移籍による選手流出を招いてしまうなど混迷(原因は不明ですが)。
中村(現横浜FC)・小川航基(レンタル・現水戸)・石田(レンタル・現山口)と、J2に活躍の場を移す選手が続発したうえ、ストライカーのロドリゲスもチームを離れる事に。
その穴埋めの補強でも、助っ人3人(ルキアン・ファビオ・エベルシオ)のうちルキアンが辛うじて当たりという程度で、ガンバから獲得した大ベテラン・今野も5試合のみの出場。
八方塞がりという状況のなか、体調不良を理由に鈴木氏は辞任、後任にようやくクラブOB第一という概念を捨てるかのようにフェルナンド・フベロ氏を招聘。
このヘビーな状況に火中の栗を拾うべく挑んだフベロ氏ですが、栗は想像以上に高温だった模様で、就任後も僅か2勝(5敗1分)と低空飛行は変わらず。

この状況で残留出来る方が奇跡、とも言いたくなる現状ですが、それに抗わんとする戦いを続ける事が出来るか。
運命には逆らえないものですが、諦めたら僅かな可能性も無くなってしまう。
そんな崖っぷちの状況の男たちが、昇り調子のクラブに挑みます。

キックオフしてすぐ札幌が攻勢という展開が見え(キックオフ後のロングボールで押し込みに成功、クロスの連続)、それはその後も継続されます。
磐田が必死にブロックを固めるのを余所に、札幌は後方で冷静にパスを繋ぎつつ、隙を探してからのロングボールで仕留めるという攻撃を敢行。
福森・深井とロングパスの出し手に困る事無く、また対の手段として宮澤・荒野の後方から突破できる選手も控えているので、磐田側は対応に難儀します。

磐田の攻撃は前半10分、左サイドバック・宮崎のロングパスをルキアンが落とし、上原がミドルシュートを狙ったのが最初の機会。(枠外)
その後も何度か攻め込みますが、これが札幌サイドの罠と言うべきか。
磐田サイドが前への意識が強まる時を狙っていたのか、立て続けにシュートチャンスが。(意図的かどうかは不明)
20分、深井縦パスの後、鈴木ポストプレイ→チャナティップ→白井と繋ぎ、白井は思い切ってミドルシュートを放つもGK八田がセーブ。
直後の21分にも、福森の右サイドへのロングパスを白井が受け、彼のエリア内右からのクロスを鈴木がヘディングシュート。(枠外)

展開的にここで点を獲りたかったと思われる札幌ですが、奪えずにいると、先制点は磐田に入る事に。
26分にルーズボールを奪った山本がルキアンとパス交換の後右サイドに展開し、松本がクロスを上げると、これが札幌DFに当たり絶妙な位置へ。
走り込んだ藤川がフリックし、流れたファーサイドにはアダイウトンが。
角度が殆ど無い位置でしたが、豪快に蹴り込まれたシュートは鮮やかにネットを揺らしました。
なおこの場面、ルーズボールの要因となった進藤のスライディングが相手に削られ痛むというシーンがあり、キックオフでの再開前に進藤が審判に抗議する一幕が。
代表では出番が無かった進藤、ややフラストレーションを溜め気味という風に映り、これが決着の遠因にもなってしまいます。

良い流れを作っていながらリードを奪われた札幌。
代表参加組のコンディションが良くないのか、その後は攻め込みながらもペースは握れずという展開に。
特に良くなかったのは左WBの菅で、逆サイドの白井が何度もチャンスに絡んでいたのもありますが、殆ど目立てず。
まあ彼には同サイドの福森を生かす使命があるので、何とも難しい立ち位置なのですが。

34分には札幌のコーナーキックから磐田がカウンター。
山本→小川→松本→アダイウトンと渡り、アダイウトンがエリア内からシュートを撃ったもののブロックに遭い枠外に。
そしてそのコーナーキックから逆に札幌がカウンターで反撃、キャッチしたGKクソンユンが、そのまま飛び出してパスを繋ぎます。
それを受けた宮澤が浮き球でパス、白井がトラップして繋ぎ、チャナティップがクロスを上げたもののクリアされます。
相手コーナーキックからのカウンターの応酬というシーンが趣深かったですが、結局0-1のまま前半終了。

後半開始の前に札幌・ミシャ監督も、この日の菅は良くないと感じていたか、ルーカス・フェルナンデスと交代。(白井が左WBにシフト)
一方戦力差の割に良好だったはずの磐田、こちらも大井→大南へと交代。
どうやらベテランDF大井に故障が発生したらしき交代で、未だ若い大南ゆえその後の展開が不安視されましたが、目立った大穴は開かず。

後半も札幌は、現有戦力の全てを生かして攻勢を掛けます。
後半3分にはロペスがダイレクトでシュートするもののGK八田がキャッチ。
以降も札幌は攻め上がるもののシュートまでは持ち込めず。
逆に磐田は10分、札幌の前掛かりな姿勢を見てアダイウトンがロングシュートを狙うなど(ゴール右に外れる)、カウンター気味に札幌ゴールを脅かす姿勢に。

そして後半14分再び札幌が動き、ロペス→ジェイに交代。
ジェイのポストプレイ能力に賭ける采配を魅せたかと思うと、さらに19分に白井→中野に交代と、早め早めに動く札幌ベンチ。
以降暫くは主導権を握った札幌、シャドーにシフトした鈴木がシュートを重ねます。
20分、福森の手前からのクロスに頭で合わせるもGK八田がキャッチ。
24分、右サイドで深井のボール奪取からルーカスがドリブルの後エリア内へパス。
これを受けてエリア内右からシュートを放ちますが惜しくも枠外に。

札幌の交代策を受けた磐田・フベロ監督も、18分に藤川→荒木へ、26分にはルキアン→川又へと交代。
双方早々に3枚のカードを使い切るという試合になりました。
川又投入後の28分、磐田はアダイウトン・川又の力で押し込むもののシュートは撃てずに終わり、逆に札幌のカウンターを受けます。(これも札幌はシュートまでいけず)
以降磐田の攻撃機会は極端に減り、札幌の一方的な時間にシフトという、悪く言えば「引きこもり」状態に。

札幌の得点が生まれるかどうかの展開となり、試合終盤の40分、チャナティップがドリブルで中央を上がってからミドルシュート。
GK八田が辛うじてセーブ、左ゴールポストを直撃という際どい場面を作ると、以降はセットプレー(コーナーキック)攻勢。
そして43分に入るという所での左サイドから、キッカー福森のクロスを深井が頭で合わせる同点ゴール。
ジェイや進藤といった他のターゲットとともに跳んだ密集の中、マークが緩くなっていたのが功を奏した、といった場面でしょうか。

これで同点となった札幌ですが、その意味は磐田の方に重くのしかかります。
同時刻では16位の湘南がFC東京をリードし(その後追い付かれる)、このままでは降格が決定してしまう状況に。
当然攻めなければならないアディショナルタイム、札幌コーナーキックからのカウンターでフリーのアダイウトンにロングパスが送られるものの、収められずシュートに繋げられません。

疲れと焦りがプレーにも滲み出る時間ですが、札幌側も疲労の色を隠せず、何度かあったチャンスを浪費。
するとアディショナルタイムも4分台の中頃、プレスバックして川又がボールを奪った後、荒木・山本とともに左サイドを前進。
中央で受けた松本が縦パス、エリア内で荒木が受けて札幌・進藤をかわす大チャンスに。
ここでかわされた進藤が、あろう事か後方から荒木を抱え込みの形で倒してしまうという、言い訳の効かない反則を犯してしまいPKに。
キッカーは反則を受けた荒木、結果次第で天国と地獄というPKとなりましたが、臆せずに中央へシュート。
GKクソンユンが残した足に当てたものの、ゴールに吸い込まれ値千金の勝ち越し点。

そのまま試合終了まで辿り着いた磐田、崖っぷちで踏み止まる事に成功しました。
思えば27節・大分戦でも、ラストワンプレーでの劇的な勝ち越しゴールで勝利しています。
枯れ際に美しい花を咲かせるかの如く、この日もドラマティックに勝利。

敗れた札幌、これで一桁順位の座も危うくなってきました。(ガンバ・神戸と勝ち点2差)
ミシャ氏は浦和監督時代も、2年目は屈む年のような成績(1年目3位→2年目6位→3年目2位)を描いていますが、3年目の成熟を北の大地で再現させられるか。

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