猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

アレクサンドリア

2015-10-24 16:27:36 | 日記
2009年のスペイン映画「アレクサンドリア」。
ローマ帝国が崩壊寸前の4世紀末。エジプト・アレクサンドリア。人々は古代の神を
あがめていたが、キリスト教とユダヤ教が勢力を広げつつあった。哲学者、数学者、
天文学者のヒュパティア(レイチェル・ワイズ)は、弟子のオレステス(オスカー・
アイザック)や奴隷のダオス(マックス・ミンゲラ)に愛慕を受けるが、学問一筋ゆえ
それを拒み、研究に没頭していく。その一方でキリスト教徒は自らの宗教の絶対性を
民衆に訴え、古代の神々を侮辱する。ヒュパティアの父テオン(マイケル・ロンズデ
ール)はこれに怒り、剣を抜いて応戦するも退けられ、クリスチャンである皇帝は
異教徒の一方的な罪を宣言する。アレクサンドリアの図書館は異教の魔窟として破壊
され、異教徒には改宗か出国しか道は残されなかった。その中で改宗を拒み、青年
たちに学問を教え続けるヒュパティアは、都の人々から魔女と見なされる。

実在した哲学者、数学者、天文学者であるヒュパティアという女性が、当時入って
きたキリスト教により翻弄される不幸を描いた、歴史スペクタクル映画である。
歴史ものの映画はおもしろい。このヒュパティア、美しく優秀な学者だったらしいが、
時代の波に飲み込まれてしまった多くの不遇な人の1人である。私は4世紀にヒュ
パティアが天動説に疑問を感じ、地動説をなんとかして証明しようとしていたことに
驚いた。この時代に、こんな人がいたのだ。いつの時代にも優れた学者はいるもの
だ。ヒュパティアの家の奴隷ダオスは、アレクサンドリアの図書館が破壊されようと
している時、愛するヒュパティアについていこうか、キリスト教に改宗して自由の身
になろうかと迷っていたが、図書館から必死で書物を運び出そうとしていたヒュパ
ティアに叱責され、改宗の道を選んでしまう。そして彼はやがて強硬派のキリスト
教徒となる。ダオスにとって運命の分かれ道だったが、この選択は正しかったの
だろうか。奴隷だった彼の身の上を考えると、私にしてみれば悲しいが、それで良
かったのだろう。
ヒュパティアはダオスだけでなく、奴隷たちに対して優しく接していた。いつもヒュ
パティアの研究の助手をしていた奴隷がいるが、奴隷に対する態度には見えず、
優しい女性だったのだろう、と思った。とはいえこの映画、かなりフィクションが
入っていると思う。実際はヒュパティアの父テオンは長生きしたようだし、ヒュパ
ティアの殺され方も違う。
カトリック教国であるスペインがこの映画を作ったというのが興味深い。レイチェル
・ワイズの美しさが印象的だった。



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コメント
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