猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ベイビー・ブローカー

2022-07-09 22:32:48 | 日記
2022年の韓国映画「ベイビー・ブローカー」を観に行った。

古びたクリーニング店を営みながらも借金に追われるサンヒョン(ソン・ガンホ)
と、赤ちゃんポストのある施設で働く児童養護施設出身のドンス(カン・ドンウ
ォン)には、「ベイビー・ブローカー」という裏稼業があった。ある晩、2人は
若い女ソヨン(イ・ジウン)が赤ちゃんポストに預けた赤ん坊をこっそりと連れ去
る。しかし、翌日思い直して戻ってきたソヨンが、赤ん坊がいないことに気づい
て警察に通報しようとしたため、2人は仕方なく赤ちゃんを連れ出したことを白
状する。「赤ちゃんを育ててくれる家族を見つけようとしていた」という言い訳
に呆れるソヨンだが、成り行きから彼らと共に養父母探しの旅に出ることになる。
一方、サンヒョンとドンスを現行犯逮捕するため刑事のスジン(ぺ・ドゥナ)とイ
(イ・ジュヨン)は尾行を続ける。

是枝裕和監督による韓国映画。第75回カンヌ国際映画祭でソン・ガンホが韓国
人俳優初の男優賞を受賞し、またエキュメニカル審査員賞も受賞した。赤ちゃん
ポストって韓国にもあるんだなあ、というのが最初の印象だ。クリーニング屋の
サンヒョンと、赤ちゃんポストがある教会の施設で働くドンスは、ベイビー・ブ
ローカーを裏稼業としていた。子供を欲しがっている夫婦に違法で赤ちゃんを売
るのだ。ある雨の晩、ソヨンという若い女がポストの前に赤ちゃんを置いていき、
サンヒョンとドンスを追っていた刑事のスジンはあのままでは子供が死んでしま
うと思い、ポストの中に入れた。
その後1晩街をうろついたソヨンは、思い直してポストに戻るが、子供はいなか
った。警察へ電話をかけようとしているところにサンヒョンとドンスが現れ、ブ
ローカーであることを白状せざるを得なくなった。そして養父母を見つけるため
にサンヒョンとドンスとソヨンはオンボロのバンで旅をすることになる。これは
ロードムービーという感じだ。ドンスは自分も母親に捨てられ、児童養護施設で
育ったため、赤ん坊を捨てたソヨンのことを嫌っており、2人は度々口論になる。
彼らを尾行する刑事のスジンは「捨てるなら産むな」とつぶやく。
「産むのをやめること」と「産んで捨てること」はどちらが罪深いのだろう。私
は後者だと思うのだが、堕胎を法律で禁止している国もあるし、難しい問題なの
かもしれない。3人は偽の養父母希望者(転売しようとしている)に引っ掛かりそ
うになったりしながら、旅を続ける。途中でドンスが立ち寄った自分の出身の児
童養護施設から少年が脱走し、バンに忍び込んでおり、話を全部聞かれていたた
め少年も連れていく羽目になってしまう。そして4人での旅になる。赤ん坊も入
れれば5人だが。
ドンスとソヨンは和解するが、ソヨンは手放すつもりのためか赤ん坊の世話をし
ようとしない。大体ソヨンは生活のために売春婦をしていたのに、何故産んだの
だろう。妊娠中は仕事にならなくて困るだろうに。更に子供の父親を殺してもい
るのだ(厳密には傷害致死)。刑事が言った「捨てるなら産むな」という言葉が重
く感じられる。映画自体は割とコミカルなシーンも多く、テーマの割に暗くはな
い。是枝監督の代表作の1つである「誰も知らない」のような痛ましさはなく、
緩い感じ。キャストの演技は皆素晴らしいのだが、そんなにおもしろいとは思わ
なかった。ソヨンがずっと嫌いだった。赤ん坊を捨てたくせに態度が大きいし生
意気だし。それにしても是枝監督はどうして韓国映画として作ったのだろう。日
本映画ではダメだったのかな。私はカン・ドンウォンが見られたのでいいけど。




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コメント (4)
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