猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

フレンジー

2022-12-26 22:34:36 | 日記
1972年のイギリス・アメリカ合作映画「フレンジー」。

ロンドン、テムズ川沿いの街では、ネクタイで女性を絞め殺す殺人事件が続
いていた。その頃、リチャード・ブレイニー(ジョン・フィンチ)は勤め先の
バーをクビになり、友人のロバート・ラスク(バリー・フォスター)のところ
にやって来た。それから2年前に離婚したブレンダ(バーバラ・リー・ハン
ト)の経営する結婚相談所に来て金を貸してくれと言い、口論になる。翌日
ブレンダがネクタイ殺人の犠牲者になったことから、ブレイニーが容疑者と
して追われることになる。

アルフレッド・ヒッチコック監督が久々に故郷のイギリスに戻って作ったサ
スペンス映画。ロンドンでは女性をネクタイで絞め殺す殺人事件が続き、人
々の話題をさらっていた。かつて空軍で英雄だったが今はうらぶれた生活を
送っているブレイニーは、離婚した妻のブレンダが絞殺される直前に会って
いたため、ネクタイ連続殺人の容疑者として追われることとなる。しかし真
犯人はブレイニーの友人のラスクだった。ブレイニーが逃亡を続ける間もラ
スクは犯行を重ね、自分の罪をブレイニーに着せようとする。
最初から犯人がわかっているタイプのサスペンスだが、おもしろかった。冴
えない風体で感情的になりやすく、いかにも殺人を犯しそうなブレイニーだ
が、真犯人のラスクは裕福でいつもスーツを着ているという対比がまずいい。
しかしラスクはブロンドなのだが、普通ブロンドってきれいな感じがするが、
ラスクのブロンドは何だかうっとおしくて、顔も脂ぎっていて不快な印象だ。
観ている側は犯人ということを知っているので先入観が入ってしまうのかも
しれないが。そしてラスクは変質者だ。ブレイニーの元妻が経営する結婚相
談所にも何度か行っていて、好みの女性のタイプを言うが、秘書に「ご期待
に添えるような女性はいません」と断られてしまう。
殺された女性たちの死に顔や、死後硬直が始まっている指をポキポキ折るシ
ーンなど、ヒッチコック作品にしてはちょっと残酷なシーンが多い。それを
マイルドにするためかユーモラスなシーンもある。捜査を担当している警部
の妻がフランス料理教室に通っていて、いろんなフランス料理を作るのだが、
それがとてもまずそうなのだ。警部もジーッと見て微妙な顔をしている。必
死に食べるのだが妻が見ていない隙にお皿の料理を鍋に戻したりするのが笑
える。私もあの妻の料理は食べたくないと思った。それにしても警部があん
なに捜査状況を妻にベラベラとしゃべっていいものだろうか。この夫婦のシ
ーンはおもしろい。
ヒッチコックらしく、サスペンスフルな演出もいい。ある女性が殺された時、
殺人シーンを見せずに、アパートの階段を少しずつ下がって街中へと引いて
いく長回しのカメラワークは秀逸だと思った。何が起きているのか充分想像
できるからだ。ラスクが死体をじゃが芋の袋に入れ、じゃが芋を運ぶトラッ
クに放り投げるが、その後ネクタイピン(?)を死体に握られたままになって
いるのに気づき、トラックに飛び乗って必死で捜すシーンもスリリング。さ
すがヒッチコックという感じで、とてもおもしろかった。ラストがあっけな
いのも良かった。


良かったらこちらもどうぞ。アルフレッド・ヒッチコック監督作品です。
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コメント (4)
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