猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

勝手にしやがれ

2017-12-18 15:55:30 | 日記
1959年のフランス映画「勝手にしやがれ」。

ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)は自動車窃盗の常習犯。今日もマルセイユで
車を盗むが、追ってきた警官を射殺してしまう。パリに戻ったミシェルは知り合いの
女から金を盗んで街に出た。ガールフレンドのアメリカ人の留学生、パトリシア(ジ
ーン・セバーグ)とデートをする。だが勤務先に戻ったパトリシアの元に刑事が来て、
ミシェルの居場所を聞く。パトリシアは彼が警察に追われる身だと知ってしまうが、
刑事の尾行を撒いてミシェルと逃避行する。

ジャン=リュック・ゴダール作品。ジャン=ポール・ベルモンドが若い!ハンフリー
・ボガードを崇拝する若者の無軌道な人生を描いている。傑作と言われているが、正
直言って「よくわからない映画」だ。いやわからない訳ではないのだが、主人公ミシ
ェルやパトリシアのあまり意味のなさそうな会話や行動が流れていき、私はこういう
映画は好きなのだが、苦手な人も多いかもしれない、と思う。ミシェルは何を考えて
いるのかよくわからない。何も考えていないのかもしれない。対照的にパトリシアは
賢く、色々と考えを巡らせている。フランス人とアメリカ人の対比なのだろうか。
フランス映画では簡単に人が殺される。アメリカ映画のアクションものや犯罪ものと
は違うあっさりさで殺される。このフランス映画のあっさりさが私は好きだ。観てい
る側に考える暇を与えず、それでいて深い。
この映画の頃のジーン・セバーグはきれいで、輝いている。彼女のフランス語は本物
だろうか?吹き替え?ではないだろうな。かわいそうな亡くなり方をしたようだが、
彼女の女優人生に何があったのだろう。
ラストシーンでのミシェルのセリフも好きだ。全体的に同じゴダール作品の「気狂い
ピエロ
」みたいな雰囲気があるが、私は「気狂いピエロ」の無意味さや虚しさの方が
好きだ。




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美女と野獣

2017-12-15 22:11:51 | 日記
2017年のアメリカ映画「美女と野獣」。

傲慢な王子(ダン・スティーヴンス)は「道に迷ったので1晩泊めて欲しい」という
乞食の頼みを断り、嘲笑ったため、乞食は魔女の正体を現し、王子と家来たちに
呪いをかける。王子は醜い野獣に姿を変えられ、家来たちは家具に姿を変えられ
た。魔女は王子に、「バラの花びらが全て落ちるまでに、愛し愛されることを学
ばなければ、呪いは永遠に解けない」と言った。数年後、城の近くにある村では、
父モーリス(ケヴィン・クライン)と暮らすベル(エマ・ワトソン)という美しい娘
がいた。ベルに一目惚れした村の英雄・ガストン(ルーク・エヴァンズ)は彼女に
求婚するが、彼の下品さや乱暴さを嫌っている彼女は求婚を断る。ある日モーリ
スはオルゴールを売りにパリに出かけるが、森の中で道に迷い、城に辿り着き一
休みする。ベルからバラを土産に頼まれていたことを思い出したモーリスは、庭
にあるバラを取るが、それを見た野獣は、モーリスをバラを盗んだ罪で牢獄に入
れてしまう。それを知ったベルは父を助けに行き、父の代わりに自分が牢獄に入
る。

ディズニーのアニメーション映画「美女と野獣」の実写リメイクで、ディズニー
が自ら手掛けた作品。私はディズニーアニメの中で「美女と野獣」が1番好きなの
でこちらも観てみたが、なかなか良かった。何と言ってもエマ・ワトソンがかわ
いくて美しい。傲慢さゆえに魔女に野獣の姿に変えられてしまった王子。王子に
捕らえられてしまった父を助けるために、父の代わりに牢獄に入った村娘のベル。
王子の家来であるルミエール(ユアン・マクレガー)はベルが呪いを解くための女
性だと考え、牢獄から出してやり、もてなすことを王子に提案する。しかしなか
なか打ち解けられないベルと王子。そこへ、ベルを諦めきれないガストンもやっ
てきて、お城は大混乱になる。ガストンのしつこいこと。
西洋の童話ってこういうパターンが多い。老婆などに化けた魔女が、自分に優し
くしてくれた人には褒美をあげ、冷たくした人には呪いをかける。その手の物語
をいくつか読んだ気がする。昔の西洋では魔女、魔法、呪いといった概念が身近
にあったのだろう。野獣はベルの清らかさや聡明さによって次第に心を開いてい
く。その過程には悲しいエピソードも入る。
エマ・ワトソンは子供の頃超絶美少女だったが、少し顔が変わったような感じが
する。もちろんかわいくなくなった訳ではなく、しっかり大人の女性になったな
という印象。歌もうまかったし、これはエマ・ワトソンを見る映画だと思った。
華やかなお城、かわいいベルのドレスなど目の保養になった。ただ少し気になっ
たのが、フランスが舞台なのだが、アメリカ映画だからセリフが英語なのは仕方
ないとして、ちょこちょこ「ボンジュール」や「マドモアゼル」などフランス語
が挟まれるところに違和感があった。でも私の好きなポット夫人もかわいかった
ので良しとしよう。




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ちゃぴなな

2017-12-13 00:12:00 | 日記
早いもので、今日でななが亡くなってから3ヵ月、ちゃぴが亡くなって1ヵ月半が
経つ。時間が過ぎるのは何と早いのだろうか。まだ昨日のような気がするのに。
私はまだ立ち直れないでいる。気を紛らわすために映画に行ったり色々している
けれど、家に帰ってくればベルしかいない事実を突きつけられてまた悲しくなる。
思い出しては泣き、携帯電話のアルバムの写真を観ては泣く。どうしてちゃぴな
ながいないのか、心の中で折り合いがつかないのだ。
ベルも淋しいのか、よく鳴いて私にやたらくっつくようになった。自分のために
もベルのためにも、新しい猫を迎えた方がいいのかもしれない。小さい小さい子
猫を。でも、子猫を欲しいという思いと、こんな気持ちのまま育児ができるのだ
ろうか、という思いが交錯している。



こんな日はもう来ない。



みんなどうやってペットロスを克服しているのだろう。やっぱり時間が過ぎるの
を待つしかないのだろうか。読みかけの漫画も途中で止まったままで、いつ読み
終えられるのかわからない。放置状態だ。いろんな意味で前に進めない。

ベルも淋しいね…。






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オリエント急行殺人事件

2017-12-10 00:13:58 | 日記
アメリカ映画「オリエント急行殺人事件」を観にいった。

有名な探偵エルキュール・ポアロ(ケネス・ブラナー)はイスタンブールで休暇を
取ろうとしていたが、イギリスでの事件の解決を頼まれ、急遽、オリエント急行
に乗車することになる。出発した車内で、アメリカ人の富豪でラチェットという
男(ジョニー・デップ)がポアロに話しかけてきた。事業絡みで脅迫を受けている
彼は、身辺の警護を頼むが、ポアロは「悪人からの依頼は受けない」と言ってあ
っさり断る。深夜、オリエント急行は雪崩のために脱線事故を起こし、高架橋で
立ち往生してしまう。しかも、その車内で殺人事件が発生する。ラチェットが12
ヵ所も刺され、死体で発見されたのだ。乗り合わせていた医師のアーバスノット
(レスリー・オドム・ジュニア)は、死亡時刻を深夜の0時から2時の間だと断定す
る。ポアロは乗客たちに話を聞き始める。乗客たちの証言から様々な事実が明ら
かになるが、それぞれにアリバイがあり、ポアロの腕を持ってしても明確な犯人
像は浮上しない。

アガサ・クリスティの傑作ミステリー小説「オリエント急行の殺人」の映画化。
1974年にイギリスでも映画化されているが、今回はアメリカ映画である。ケネ
ス・ブラナー、ジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、
ウィレム・デフォーなど、キャストが豪華。前作のキャストも豪華だったが。
脱線事故を起こし止まった豪華列車の中で人が殺される。いわば密室殺人のよう
なものである。容疑者は乗客全員ということになる。そして偶然乗り合わせてい
た高名な探偵エルキュール・ポアロがその事件の謎を解くことになる。ポアロは
乗客1人1人からアリバイなどを聞くが、彼らの言葉の端々から嘘を見抜いてい
く。とにかくこの人、頭がいいのだ。自称"灰色の脳細胞を持つ世界一の探偵"で
ある。彼と渡り合えるのはシャーロック・ホームズくらいだろう。そしてやがて、
乗客たち全員に共通点があることを見つける。
原作小説が有名なので、結末を知った上で映画を観にいった人も多いと思う。私
もそうだが、それでも充分おもしろかった。この小説はクリスティの作品の中で
は異質だと言われている。確かにこういう結末の推理小説はそうないのではない
だろうか。ポアロの鮮やかな手腕を堪能できるだけでなく、とても悲しい物語な
のだ。この小説がチャールズ・リンドバーグの事件にヒントを得て書かれたとい
うのも有名である。
私の中ではポアロはイギリスのテレビシリーズのデヴィッド・スーシェのイメー
ジが強いのだが、テレビドラマのちょっと傲慢な感じのポアロもいいが、ケネス
・ブラナーの人間臭さのあるポアロもまたいいと思った。雪の中を走るオリエン
ト急行をとらえた景色は本当に絶景だった。私もあんな豪華列車で旅をしたいも
のだ。ただやっぱり、アガサ・クリスティの世界はイギリス映画がいいなあ、と
思った。




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ボーイズ・ライフ

2017-12-06 01:46:02 | 日記
1993年のアメリカ映画「ボーイズ・ライフ」。

1957年のアメリカ。エルヴィス・プレスリーが大好きなトビー(レオナルド・ディ
カプリオ)は、男運の悪い母親キャロライン(エレン・バーキン)と暮らす元気な不
良少年。キャロラインは何度もトビーが悪さをしては学校に呼び出され手を焼いて
いるが、大きな愛情を注いでいた。やがてキャロラインはドワイト(ロバート・デ
・ニーロ)という男と交際するようになり、今まで付き合ってきた男たちと違って
紳士的なドワイトに惹かれ、トビーを連れて再婚する。だがトビーは、ドワイトの
紳士ぶりが上辺だけのもので、実は暴力的で執念深い男だということを見抜いてい
た。

作家で大学教授のトバイアス・ウルフの自伝小説の映画化である。古き良き時代の
アメリカが舞台で、なかなかいい映画だった。トビー(トバイアス)の母親キャロラ
インは男運が悪いというより、男の趣味が悪い。トビーにもそう指摘されていた。
そして少々だらしない女性だ。悪い人ではないし息子を愛しているのだが、変な男
に引っかかってしまう女の典型というか。最初の方のだらしなさやいい加減さは観
ていてイラッとする。トビーは悪い友人たちと付き合っているが、根はいい子だ。
でもあの年代って周りに流されやすいんだろうなあ。
キャロラインが出会ったドワイトは、明るくユーモアがあって優しい。彼は子供た
ちと暮らしている。トビーの悪さに困っていたキャロラインは、ドワイトの「うち
にトビーを預けないか」という提案に乗り、トビーを預けて更生させてもらうこと
にする。だがドワイトは表面ではいい人を装っているものの、実は短気で意地悪で
威圧的な男だった。それに気づかないキャロラインはやがてドワイトと再婚し、大
家族の主婦になる。
ドワイトの性格のいやらしさは本当に憎々しい。ロバート・デ・ニーロはこういう
役が似合うと思った。抑圧されながら暮らすトビーがかわいそうだった。やがてキ
ャロラインもドワイトの本性に気づき始めるのだが、もう離婚をしたくない彼女は
我慢してやり過ごす。気持ちはわからなくはないが、やっぱり彼女はトビーを連れ
て早く出ていくべきだったと思う。ドワイトの子供たちはずっとドワイトのことを
どう思っていたのだろうか。その描写がなく、子供たちは皆明るいのでよくわから
ない。1度、ドワイトがトビーに意地悪をしている時に長男が「かわいそうだよ」
と言ってかばうシーンはあったけれど、結局長男もドワイトに怒鳴られていた。
最後はハッピーエンドで良かった。トビーは大学教授にまでなったのだから。この
映画の時レオナルド・ディカプリオは18歳くらいだったのではないかと思うのだが、
ローティーンに見える。本当にこの人は童顔だなあ。なんだかとてもアメリカ映画
っぽい映画だった。




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