猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

侵入する男

2021-07-09 22:12:21 | 日記
2019年のアメリカ映画「侵入する男」。

カリフォルニア州ナパ郊外、広大な土地に建つ理想的なマイホームを購入
したスコット(マイケル・イーリー)とアニー(ミーガン・グッド)のハワード
夫妻。家の前の所有者だったチャーリー・ペック(デニス・クエイド)に対し
てアニーは好感を持つが、スコットは何か不審なものを感じる。やがて、そ
の家に異常な執着を持つチャーリーは、度々夫婦の前に現れ、生活に執拗に
干渉してくるようになる。

購入した家の前の持ち主の異常さにより夫婦が恐怖に陥れられる様子を描い
たサイコ・サスペンス。スコットとアニーの夫婦はそろそろ子供が欲しいと
思い、広い家を購入することになる。郊外のある豪邸を見にいくが、突然銃
声が響いて2人はびっくりする。そこへチャーリーという男が現れ、庭を荒
らす鹿を撃っただけだと言う。家の持ち主であるチャーリーはにこやかに挨
拶をし、人のよさそうな彼にアニーは好感を持つが、銃が嫌いなスコットは
あまりいい印象を抱かなかった。家の中を見てスコットは古臭いと感じるが、
アニーは庭も広くて子供を遊ばせられる、と大変気に入る。結局スコットは
アニーの要望を聞き入れてその家を購入することにする。
早速引っ越してきた2人は、家の内装を自分たちの好みに変えていく。妻を
病気で亡くし、フロリダにいる娘のところに行くと言うチャーリーは引っ越
すまでの間ホテル暮らしをしていたが、家の様子を見にやって来る。そして
壁のタペストリーが替えられていることにショックを受ける。スコットが仕
事に行っている間に庭の芝刈りをしに来てアニーは驚くが、「自分たちでや
るから大丈夫よ」とやんわり断る。それからもチャーリーは何かにつけて家
の様子を見に来るのだった。あまりに干渉してくるチャーリーにスコットは
苛立ちを覚え、「もう君の家じゃない。来ないでくれ」と言うが、それでも
チャーリーは突然の訪問をやめない。
スコットはチャーリーに不信感を持っているが、アニーは少し鈍いのではな
いだろうかと思った。アニーにしてみればチャーリーは妻を亡くしたかわい
そうな人という感じで、スコットが彼を怪しいと言っても気にしなかった。
アニーはお人好しなのかもしれないが。遊びに来たスコットの親友もチャー
リーに不審なものを感じる。スコットはチャーリーと初対面の時、彼が鹿を
撃っていたことから親友に「バンビ・キラー」だと話す。そして家に執着す
るチャーリーの行動はエスカレートしていき、夫婦は大変な恐怖にさらされ
ることになる。
あんなに家に固執する人っているのだろうか。家はチャーリーの高祖父が建
てたもので、チャーリーはとても大事にしていたが、異常である。やがてス
コットと親友はチャーリーの本性を知ることになる。デニス・クエイドの演
技がとても怖い。愛想良く振る舞っていながら、陰では鋭い視線でスコット
たちを見ているのだ。物語のオチはありがちというか目新しさはないが、と
にかくデニス・クエイドの狂気の演技に引き込まれる。さすがベテラン俳優。
なかなか怖い映画だった。




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クローゼット

2021-07-05 22:28:44 | 日記
2020年の韓国映画「クローゼット」。

事故で妻を失い、そのトラウマに苦しむサンウォン(ハ・ジョンウ)。娘のイナ
(ホ・ユル)を連れて新居へと越したサンウォンは、母親の死以来心を閉ざして
いる娘と向き合おうとするがうまくいかない。やがて友達ができたと明るさを
取り戻すイナだが、一方でサンウォンはクローゼットから聞こえる奇妙な声や
毎晩のように見る悪夢に悩まされる。ある日、イナが忽然と姿を消す。必死に
捜し回るも全く手がかりを掴めないサンウォンの前に、イナの所在を知るとい
うギョンフン(キム・ナムギル)が現れる。

予告を観るとミステリーと銘打っているが、しっかりオカルト・ホラーだった。
事故で妻を亡くした建築設計士のサンウォンは、1人娘のイナと共に郊外の家
へと引っ越す。家は大きいが古く、何だか落ち着かない雰囲気。こういう時ど
うして都会の便利なマンションに引っ越さないのかなあと思う。それでは物語
の舞台として似合わないのだろうか。サンウォンは基本的に自宅で仕事をして
いるが、時々現場へ行かなければならず、シッターを探していた。しかしいい
シッターが見つからず、自分1人でイナの面倒を見ることに限界を感じていた。
サンウォンはイナの部屋のクローゼットから時折り聞こえる不審な物音や声、
悪夢に悩まされていた。そんな時イナの行方が突然わからなくなる。
サンウォン役のハ・ジョンウはよく映画に出ているなあ。しかもこの人の出演
作はどれもおもしろい。ハンサムではないが不思議な魅力のある人だ。娘が姿
を消して何の手がかりもなく、疲弊していたサンウォンの元に、祈祷師だとい
うギョンフンが現れ、事件のカギはクローゼットにあると言う。祈祷師という
か霊媒師のようなこの男は何となくうさんくさい。霊の周波数を感知するとい
う機械をセットして、「僕のことは室長と呼んでください。その方が威厳を感
じる」などと言う。この霊媒師の軽さやユーモラスさが不気味な映画の中和剤
になっていていい。
物語はジャパニーズ・ホラーっぽい。イナは母親を亡くし、父親もあまり構っ
てくれない淋しさに付け込まれたのだ。サンウォンはギョンフンと共にイナを
救い出そうとする過程で、今まで育児は妻に任せっきりだったことを痛感する。
後半、イナの行方がわかってくる辺りからは物語はかなりシリアスになる。実
はギョンフンの母親も祈祷師で、除霊の際に霊に負けて非業の死を遂げていた
のだった。そしてギョンフンも重傷を負ってしまう。
終盤、霊たちがたくさん集まっているところ、「死者の国」とでも言うのだろ
うか、そこはちょっと大仰な感じで興醒めしてしまったが、悲しい物語だった。
そして母親の存在というものの大きさを改めて感じた。母と子、父と子のあり
方を考えさせられる映画だった。




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