港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


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映画音楽史(324) 『空中レヴュー時代』 1934年公開

2014-12-31 07:40:56 | 映画音楽



『空中レヴュー時代』  Flying Down to Rio (米) 1934年制作
監督 ソーントン・フリーランド
音楽 ヴィンセント・ユーマンス
主演 ベリーニャ … ドロレス・デル・リオ
    ロジャー・ボンド … ジーン・レイモンド
    ホネー … ジンジャー・ロジャース
    フレッド … フレッド・アステア
主題歌 『キャリオカ』 ( Carioca ) 演奏・サウンド・トラック
挿入歌 『月下の蘭』 ( Orchids in the moonlight ) 演奏・サウンド・トラック

飛行機の翼の上でレヴューをするという当時としては破天荒なアイデアで話題を呼んだミュージカル作品。
ジャズバンド「ヤンキー・クリッパース」のリーダーのロジャーはフロリダで公演中にブラジルの富豪の娘ベリーニャに出会って
一目惚れしてしまう。そんな時、ロジャーはリオデジャネイロのベリーニャの父親レゼンデが経営するホテルでで演奏会を開く
ことになりベリーニャを連れてリオへ飛ぶ。しかしベリーニャには婚約者がいる上、ブラジル政府によるアメリカの楽団の演奏
の許可が下りない。さらにはレゼンデは公演ができなくなった責任でホテルを乗っ取られそうになる。そこでロジャーはリオの
上空で飛行機による空中レヴューを実行してレゼンデの窮地を救った。ロジャーとベリーニャは晴れて結ばれ、空中結婚式を
挙げて二人はパラシュートで地上に降りてゆく。

ラテンリズムの『キャリオカ』およびタンゴ調の『月下の蘭』はいずれもエドワード・エリスクとガス・カーンの共同作詞、ヴィンセント・
ユーマンスの作曲によるものです。
また映画では傍役でしたが、初めてコンビを組んだアステアとロジャースは主役を食うほどの人気を得て脚光を浴びました。

↓はサウンドトラックによる『キャリオカ』 YOUTUBEより



↓はサウンドトラックによる『月下の蘭』 YOUTUBEより



『キャリオカ』はその後ラテンのスタンダードナンバーとして人気を集め、エドムンド・ロス楽団、ペペ・ハラミジョ楽団など数多くの
演奏がリリースされており、カウント・ベイシーなどがジャズとして演奏しています。

↓はペペ・ハラミジョ楽団の『キャリオカ』 YOUTUBEより



一方、『月下の蘭』はコンチネンタルタンゴの定盤としてアルフレッド・ハウゼ楽団やマランド楽団のレコードが有名ですが、
こちらも数多くの楽団による演奏があり、ブラターズなどの歌唱もリリースされています。

↓はマランド楽団の『月下の蘭』 YOUTUBEより




映画音楽史(323) 『街の灯』 1934年公開

2014-12-30 09:52:17 | 映画音楽



『街の灯』  City Lights (米) 1931年制作
監督 チャールズ・チャップリン
音楽 チャールズ・チャップリン
主演 浮浪者 … チャールズ・チャップリン
    盲目の花売娘 … ヴァージニア・チェリル
    富豪の紳士 … ハリー・マイヤーズ
    富豪の執事 … アラン・ガルシア
主題歌 『花売り娘』 ( La Violetera ) 演奏・サウンド・トラック

常に圧制・不正義・不平等を真っ向から糾弾し、自由と愛と平和を訴え続けたチャップリンのサウンド版トーキーの感動喜劇作品。
浮浪者チャーリーは街角で盲目の花売り娘に出会い心を奪われた。その娘はチャーリーのことを花を買ってくれる裕福な紳士と思い
込んでしまう。チャーリーは娘を不憫に思い必死で働いて彼女の生活を支え、何とかして目の手術を受けさせてやりたいと思った。
そんな時、酔っ払いの富豪と仲良くなり彼から娘の手術資金を受け取るが、酔いがさめるとチャーリーを泥棒扱いにして警察に突き
出そうとした。チャーリーは金を握ったまま逃走し娘に手渡したものの警察に捕まって刑務所に送られる。月日が流れて出所した
チャーリーは町で立派な花屋を経営しているあの花売り娘を見つける。どうやら視力は回復しているようだ。娘はウインドウから
眺める浮浪者に気が付いて花とお金を恵もうとしてチャーリーの手に触れ、彼が恩人であることに気付く。

主題歌の『花売り娘』はホセ・バディラが作曲しラケル・メレエが唄っていた古い歌曲です。チャップリンが好んでいた曲といわれ、
これをアーサー・ジョンストンが編曲し、無声のフィルムに別撮りした音楽を貼り付け花売り娘のテーマ曲として使われました。

↓はサウンド・トラックによる『花売り娘』 YOUTUBEより


この『花売り娘』はコンチネンタル・タンゴにアレンジされてアルフレッド・ハウゼ楽団やマランド楽団などがレパートリーとして
取り入れており、1962年にはボビー・ライデルが『星空の花売り娘』としてレコーディングしています。


 

映画音楽史(322) 『巴里祭』 1933年公開

2014-12-29 04:47:36 | 映画音楽



『巴里祭』  14 Juillet (仏) 1932年制作
監督 ルネ・クレール
音楽 モーリス・ジョーベール
主演 アンナ … アナベラ
    ジャン … ジョルジュ・リゴー
    レイモン … レイモン・コルディ
    ポーラ … ポーラ・イルリー
主題歌 『巴里恋しや』 ( A Paris Dans Chaque Faubourg ) 唄・サウンド・トラック (コーラス)

クレールのトーキー四作目で、巴里の下町の人間模様の哀歓を抒情的に感傷をこめて作り上げた映画詩の傑作。
巴里下町の花売り娘アンナとタクシー運転手のジャンは口げんかしたり仲直りしたりの恋人同士である。7月14日の革命記念日
の盛大なお祭りを二人で楽しんだが、ジャンが家に帰ると昔の女ポーラが転がり込んて来てそれ以来ジャンとアンナの仲は気
まずく疎遠となる。アンナは病気の母を亡くしてカフェに勤めるようになったが、その店に悪い仲間に誘われたジャンが泥棒に
入ったためにアンナは首にされてしまった。アンナは再び花売り娘に戻りジャンも更生して運転手となった。巴里の下町でアンナ
が花を売っていた時ジャンの車がアンナの手押し車に接触して町の住人たちが事故現場に集まり始めて騒ぎ始める。すると
そこに激しいにわか雨。ジャンとアンナは二人そろって雨宿りしているうちに打ち解けあってよりを戻す。

主題歌の『巴里恋しや』はルネ・ナゼール作詞、ラウール・モレッティ作曲によるもので、映画ではタイトル・バックからエンディング
まで繰り返して一つの主題歌で押し通し、映像と音楽が見事に融合して後世のお手本的な存在となりました。特にコーラスによる
反復の効果、変奏、対位法的手法は映画音楽史上高く評価されています。
映画で使われたサウンドトラックのコーラス盤がリリースされたという話は耳にしていませんが、レコードとしてはリス・ゴーティの
SP盤がヒット、後日にはダニエル・ダリューもレコーディングしています。
 
À Paris dans chaque faubourg
Le soleil de chaque journée
Faut en quelques destinées
Èclore un réve d'amour

↓はリス・ゴーティの『巴里恋しや』 YOUTUBEより


クレールの『巴里の屋根の下』と『巴里祭』はトーキー初期の完成された映画音楽の双璧となりました。


映画音楽史(321) 『フットライト・パレード』 1933年公開

2014-12-28 04:03:43 | 映画音楽



『フットライト・パレード』 Footlight Parade (米) 1933年制作
監督 ロイド・ベイコン
音楽 レオ・F・フォーブスティン
主演 チェスター・ケント … ジェームズ・キャグニー
    ナン … ジョーン・ブロンデル
    ビー … ルビー・キラー
    スコッティ … ディック・パウエル
    ヴィヴィアン … クレア・トッド
主題歌 『上海リル』 ( Shnghai Lil ) 唄・ジェームズ・キャグニー

トーキー初期の唄って踊るだけのマンネリ化したミュージカル映画の型を破る当時としては新鮮なミュージカルの話題作。
ミュージカルコメディの演出家のチェスターはトーキー時代に失職したが、映画版のレビューを制作する会社を設立した。
やがて事業は成功し、ミュージカルスターのヴィヴィアンと婚約、そこへ離婚したはずの元妻も帰ってきてひと騒動。そのうえ、
新しいレビューを立案したがキャスティングしていた主役が他に引き抜かれてしまう。思い余ったチェスターは自ら主役を演
じてその場を乗り切り、秘書としてこれまでを支えてくれていたナンと結ばれる。

主題歌の『上海リル』はアル・デュービン作詞、ハリー・ウォーレン作曲によるもので、チェスターが陸軍兵の役になって上海の
街で恋人リルを探すシーンで唄われていました。また、ガイ・ロンバード楽団をバックにしてカーメン・ロンバードが唄ったレコード
も大ヒットしました。この映画には他にもサミー・フェイン作曲、アーヴィング・カール作詞の『ハネムーン・ホテル』など四曲が
挿入されています。

I've covered every little highway
And I've been climbing every hill
I've been looking high and
I've been looking low
Looking for my Shanghai Lil

↓はサウンドトラックによる『上海リル』 YOUTUBEより



60年代ポップス変遷史 1961年12月

2014-12-27 04:14:00 | 60年代ポップス変遷史

1961年12月にはこんな曲が流行していました。

夢のデイト コニー・フランシス
コーヒー・ルンバ ウーゴ・ブランコ楽団
悲しき街角 デル・シャノン
悲しき片想い ヘレン・シャピロ
峠の幌馬車 ビリー・ヴォーン楽団
月光のノクターン ディック・ジェイコブス楽団
悲しき足音 スティーヴ・ローレンス
電話でキッス ポール・アンカ
ハローメリールー リッキー・ネルソン
落日のシャイアン アル・カイオラ楽団
トラベリン・マン リッキー・ネルソン
漕げよマイケル ハイウェイメン
ホワイトクリスマス パット・ブーン


『コーヒー・ルンバ』に代わってコニー・フランシスの『夢のデイト』がベストワンです。
英語盤も日本語盤もともに大ヒットしました。本当に強いですね。
10位の『落日のシャイアン』はアル・カイオラの電気(エレキ)ギターによる演奏ですが
アル・カイオラのギターはストリングスなど他の楽器とも溶け合うように協調しているようです。
ビートルズ以降の無機質なサウンドとは比べものになりませんね。
11位の『ホワイト・クリスマス』はこの時期に必ず顔を出す定盤です。
パット・ブーンの『ホワイト・クリスマス』を映画主題歌ではないとすれば、
今月は珍しく映画主題歌が全滅となってしまいました。

↓はアル・カイオラ楽団の『落日のシャイアン』 YOUTUBEより



ベストテン入りはしませんでしたが、ロス・マチュカンポスの『ペピト』、ポール・アンカの
シンデレラ』、アムラム=バロー楽団の『明日なき十代』などもこの頃のヒット曲でした。
(『明日なき十代』はYOUTUBEで見当りませんのでリンクできません)

↓はロス・マチュカンポスの『ペピト』 YOUTUBEより



参考までに1961年の年間ベストテンが発表されていますので紹介しておきます。

太陽がいっぱい サウンドドラック
峠の幌馬車 ビリー・ヴォーン楽団
悲しき少年兵 ジョニー・ディアー・フィールド
コーヒー・ルンバ ウーゴー・ブランコ楽団
遥かなるアラモ ブラザース・フォア
カレンダー・ガール ニール・セダカ
悲しき街角 デル・シャノン
栄光への脱出 パット・ブーン
黒い傷あとのブルース アンリ・ド・パリ楽団
アラスカ魂 ジョニー・ホートン
G.Iブルース エルヴィス・プレスリー
ボーイ・ハント コニー・フランシス
日曜はダメよ ドン・コスタ楽団
ポケット・トランジスタ アルマ・コーガン
月光のノクターン ディック・ジェイコブス楽団
夢のデイト コニー・フランシス
君こそすべて ニール・セダカ
小さい悪魔 ニール・セダカ
悲しき足音 スティーブ・ローレンス
サレンダー エルヴィス・プレスリー