ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

ゴールデン・リバー

2019-07-04 23:55:28 | か行

ジェイク・ギレンホールつながり(笑)

いや、でも、マジで予想以上。

 

「ゴールデン・リバー」71点★★★★

 

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1851年、西部開拓時代のアメリカに

最強と恐れられる殺し屋兄弟がいた。

兄(ジョン・C・ライリー)と

弟(ホアキン・フェニックス)。

 

彼らは

「化学者(リズ・アーメット)を始末せよ」との命令を受けて、彼を追う。

化学者は、その情報をもたらした

仲間の連絡係(ジェイク・ギレンホール)と一緒にいるはずだった。

 

しかし、情報の場所に彼らはいなかった。

「連絡係が裏切ったのか?」――

二人を追う兄弟に、思わぬ事態が待ち受けていた――。

 

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正直、西部劇って、あんま得意じゃないんです。

 

この映画も

ゴールドラッシュの時代、殺し屋兄弟、無法者、血、馬――と

アイテムは完全に西部劇なんで

うーん、どうなんだろ、と思ったんですが

これはなんとも・・・・・・不思議な魅力を持ってた。

マジで想像以上のものをいただきました。

 

なんたって監督が

「預言者」(12年)「ディーパンの闘い」(16年)

ジャック・オーディアール。

フツーの西部劇をリスペクトしつつ、違うものを生み出そうとする

意欲と意思を強くリスペクトします!

 

 

冒頭、闇の中で火を噴く撃ち合いシーンから

「なんか、ちょっと違う?」なテイストを感じさせる。

 

それでも途中までは

ドンパチあり、馬や動物の扱いが気の毒だったり(これがやなんだよね、西部劇・・・)、

微妙な心持ちなんですけど

いや、がんばって続けて観た方がいい。

 

まず、「おとなのけんか」(12年)でワシ大好きなジョン・C・ライリー演じる

殺し屋の兄のキャラクター造形がうまいんですよね。

 

無骨な顔と裏腹に

新製品の歯ブラシをいち早く使ってみたり、馬への慈しみといい、

とにかく繊細なキャラで、

そのギャップ使いがうまーい。

 

その兄と

弟でキレがちな殺し屋(ホアキン・フェニックス)の対比もおもしろい。

 

で、彼らが追うのは

砂金のありかを見つける薬品を開発した化学者(リズ・アーメット)。

 

そして、この化学者が求めるのは

「金」ではなく

野蛮で不毛な殺し合いの続く「西部劇」の時代からの脱出なんですね。

 

そんな化学者のビジョンに

本当は殺し屋側でありつつも

次第に化学者の味方になっていく連絡係(ジェイク・ギレンホール)。

 

時代とともに、社会が変革する。

そんな時代の変わり目を

西部劇の登場人物たちが、どう過ごすのか。

みんな、ホントに殺し合いなんてしたいの?

 

そのへんにテーマが設定され

ラスト、

優しい日差しに揺れるカーテンに

さまざまを思うのでした。

 

★7/5(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。

「ゴールデン・リバー」公式サイト

コメント
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