ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

さらば愛しきアウトロー

2019-07-13 12:54:32 | さ行

ロバート・レッドフォード、82歳。

・・・・・・渋いねえ!

 

「さらば愛しきアウトロー」72点★★★★

 

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1981年、テキサス州。

スーツを着こなした品のいい紳士が

銀行から出てきて、優雅な身のこなしで車で走り去った。

 

男の名はフォレスト・タッカー(ロバート・レッドフォード)。

たったいま銀行強盗を働いたところだった。

 

窓口担当の女性にやさしく微笑み、「金を入れてくれ」とバッグを差し出す。

フォレストは誰も傷つけることなく

銀行強盗を繰り返してきた“達人”だった。

 

ある日、たまたまフォレストが強盗を働いた銀行に

非番の刑事ジョン・ハント(ケイシー・アフレック)が居合わせる。

 

なにも気付かずに強盗が行われていたことに驚いたジョンは

フォレストの犯罪を追い始めるが――?

 

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ロバート・レッドフォードが

俳優をこれで終いにする、とした作品。

 

監督はめちゃくちゃ余韻残した

「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー」(17年)

デヴィッド・ロウリーです。1980年生まれ。

 

レッドフォードが

誰も傷つけずに犯罪を繰り返した“紳士的”な強盗を

品を持って演じていて

ゆったりとゆるゆると、派手さはないけど

目が離せない。

 

ドンパチなし、老境ならではの色気と、余裕に満ちた作品で

実に見事な人生の一区切り、締めくくりだと思いました。

 

 

そして

さすがレッドフォードだなあと感じたのが

次の世代との関わりと、バトンの渡し方。

ここでは

自分を追う40歳の刑事、ケイシー・アフレックというキャラを立て

ミドルエイジで下り坂、日々ダウナーな40歳が

74歳の銀行強盗の、なんだか生き生きと人生を楽しんでいる一端に触れて

意外な共鳴と、活力をもらう、という展開になっている。

 

強盗と刑事、立場を異にする二人が

魂レベルで通じ合う感じが、いいんですねえ。

 

81年からサンダンス・インスティテュートを設立し

サンダンス映画祭をはじめ

多くの若手を発掘することにも尽力してきた

レッドフォードらしさを感じました。

デヴィッド・ロウリー監督もサンダンス映画祭で評価されたんだもんね。

 

 

そして

実話が基で、さらに老人の犯罪といえば

御年89歳となったクリント・イーストウッドの

「運び屋」(19年)

似て非なる老境の捉え方なのか、

本人の持つ雰囲気が、その映画が醸す雰囲気に映っているのかなあとも思う。

比較してみるのも、おもしろいかと。

 

★7/12(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国で公開。

「さらば愛しきアウトロー」公式サイト

コメント
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