風に吹かれて(Breath of Nature)

山歩きにBike、忘れかけたflyfishing、季節の匂いや風を追って遊びたいお気楽男の雑記帳

Last Drive

2012-02-15 01:07:51 | Weblog


15年もの時を共にした愛車を手放すことに決めたのは、1月のことだった。
燃費は最悪、故障は頻繁、部品も既に手に入らない物が多く、やっと見つかっても
リビルト品に頼ることが多く、エンジンをかけると強烈な臭いを伴う白煙を放つ。
エコなんて無関係のバブル期に誕生した車なのです。

それでも、微妙なRを描く美しいボディラインと包み込まれるようなシート、低い
車高とロングホイールベースが生み出す快適な乗り心地、シーケンシャルツイン
ターボを備える3ロータリーエンジンの強烈なパワーは圧倒的で、魅力的だ。
発売当時、宇宙船とも例えられた室内デザインはは確かにユニークで後席こそ荷物
スペースでしかないが、前席は低く沈み込み身体を包まれるようなシートは日常も
長距離ドライブでも快適な空間と時間を与えてくれる。

近年、諸事情でドライブにも出掛けられず車庫で眠ることが多かったが、今回は
車検が切れるまでに高速に乗ってドライブに出かけ、最後の走りを楽しもうという
ことになった。
それなのに、あぁそれなのに。
予定した一回目は風邪で体調が悪く、2回目は雪が積もった。三回目は河口湖に
決定したら富士五湖地方を震源とする地震があり、「これは行くなという神様の
お告げ」と理解してまたまた延期となりました。

そして翌週の土曜、まさに車検満了日のこの一日しかチャンスが無くなったのです。
天気、体調、家庭の事情?!等々、全てが完璧でなければ実現できないのです。
二度とこの車で走ることが出来なくなるのです。ラストドライブも行けずに・・・・・・

さて、その大事なドライブの行き先を何処にするか。これがまた大問題なのです。
思いで深い長野、箱根、伊豆、日光方面等に行きたい気持ちはやまやまなれど、
この大寒波の冬、ドライブにいいルートを調べると何処も冬タイヤ装着の情報が
出ていて断念。
いつかのためにと貯めておいた資金を元に、嘗て両親を温泉に連れていった時に
寄った沼津の鮨文に行こう!という事になりました。
「お気に入り」から最新情報を見ようとアクセスすると何とエラー?????!。
「えぇ~!なんで?」古い情報は出てくるが最近のものが無い!
いろいろ検索した結果、何と昨年2011年3月で店を閉めたらしいのだ。
鮨文はそれはそれは美味い寿司を食べさせてくれた数少ない名店の一つです。
光り物が苦手な私でも、ここの鯖にぎりは何度もお代わりをした思い出があります。
そう言えばこの数年、TVで沼津港周辺のグルメ情報が放映されると、安くて
ボリュームと種類も多い行列が出来る激安海鮮食堂ばかり紹介されていたなぁ。
正統派で美味しい名店が消えてゆくのは、本当に悲しいものがあります。

ならば、同じ沼津ICで降りる三島へ鰻を食べに行こうと言うことに決まりました。
三島には有名な「うなよし」がありますが、最近見た「桜家」の香ばしく焼けた
蒲焼きを目指すことにしました。

  

久しぶりの東名を快調に飛ばすと、やがて前方に大好きな富士山の頭が見えてきました。
進むに連れ見え隠れする富士も段々その大きな姿を見せてきました。
でも何だかいつもと違うことに気がついたのです。
頂上付近こそ真っ白だったが、7,8号目辺りや中腹のところどころに雪が無く、
山腹が白と黒の斑状になっていたのです。
冬姿こそ富士らしい富士山なのに、こんな冬の富士は初めてです。
もしかしたら先日の地震の震源だったし、地核のマグマが動いて富士の地熱が上がり、
雪を解かしているのでは?なんて思ってしまいました。
ネットで調べたら、例年5月から6月に出来る「農鳥」という残雪の模様が冬真っ直中
に現れているらしく、地元民の間では何かあるのではと不安の声が上がっていると言う。

そんな異様な富士を横目に見ながらも、途中の足柄SAで休憩を取りました。
地場野菜の安さ、「えび伝」という海老を使った沢山の煎餅の旨さに行きから土産を
買いまくり、40分も滞在してしまいました。何しに来たのかなぁ・・・。
休憩と気分転換も出来たので、本線に戻りひたすら走りを楽しんでいると白いロータス?
と思しき車が追い抜いて行きました。その後、一定間隔を置いて巡行しているとやがて
見えてきた沼津ICを降りて三島を目指します。

途中県道22号を外れてしまったらしく、迷いながらも何とか三島市内に入りました。
気温がぐっと上がり車内が暑くなってきたのでウインドウを開け気味で走っていると、
うなぎを焼くいい匂いが入って来るではありませんか。
街中にうなぎを焼く匂いが充満している感じなのです。
三島広小路駅前の桜家は木造の素敵な店構えで横を源兵衛川が流れておりました。
旨い店とくれば当然行列。ここも例外でなく、この日も店先で記名して外で待って
いる客が数組居ました。



寒い冬です、外で待つ客のために大きな石油ストーブが置いてありました。
初めて目にする形でした。熱風が出ていて至近距離だと焦げそうな熱さです。
「やけどに注意」の注意書きもありました。
程なくして名前が呼ばれ一階の店内入ると、太い桜の柱や木目と節がきれいな板壁が
目に入りました。様々な絵画や書、色紙等も飾られていました。

  

ここの鰻は丼もお重も全て鰻の質は同じで、2枚、3枚、4枚と入っている枚数が
違うだけで値段も同じなのです。
店内は混んで居るので時間がかかるだろうと、2枚の鰻重のほかにつまみとして
酢の物と青菜の煮浸し、そしてエビスビールを注文しました。
隣に居合わせたご夫婦の話では、二階の造りが面白く素敵なので一回は行った方が
いいと教えていただきました。(次回ね)

仲居さんは若い人も熟練の人も皆、感じよくてきぱき仕事をしていました。
そして中瓶を二人で飲み終えるころ、絶妙なタイミングでお重が運ばれてきました。



鰻重、きも吸い、お新香の一般的なセットです。
蓋を取るといい具合に焦げ目の付いた鰻が2枚(一匹分)、たまらない香りが鼻と舌
そして脳味噌を刺激します。



山椒をたっぷり掛けて一口目を頬張ります。
タレも甘すぎず辛すぎずいい感じです。
ご飯の炊け具合も抜群で、半端なご飯をお重の角に追い込み一粒残らずきれいに食べる
ことができました。

遅く出たせいで午後も後半に入ってしまい、あまりのんびりする時間もないのでひとまず
三島神社へ行くことにしました。

   

宝物殿や幾つかの門を抜け本殿に付くと、しめ縄と緻密な彫刻に目を奪われました。
象の顔もあるんです。

 

 

 

そしてとても久しぶりにお賽銭を入れて手を合わせてきました。
そうこうしているうちに日が陰り、日中の暖かさを忘れるほど寒さが戻ってきたのです。
「帰ろうか」どちらかともなく言い、気持ちは既に帰路に向かっていました。
何はともあれ、第一目的のラストドライブと第二目的の鰻を食べられたのだから。

 

帰りも始めは順調でしたが、厚木-町田間の事故で段々速度が落ち、やがて渋滞の中に
入ってしまいました。じわじわ歩くような速度なため、時間ばかりが過ぎても一向に
距離が延びません。燃費が悪いため、渋滞は苦手ひやひやものです。
一時間程ロスしたでしょうか、それでも高速を降りてからは一般道をひた走って無事に
帰ってくることができました。
この夜の晩酌は焼酎でなく、たっぷりの菊水ふなぐちで祝いました。

ありがとうユーノスコスモ!君は永遠だ~!