馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

彼女は、両国橋を渡ってやって来た。

2017-01-19 18:49:18 | 日記

1月17日(火)

16時半 両国橋を渡って、彼女はやって来た。

事前に柳橋に着いたら電話くださいと言っていたが

直接、玄関のチャイムが鳴った。

 

胡瓜のような体型

黒のパンツルックグにグレースエード上着

 

黒のパンツルックは、ことさらに脚の長さが際立つ。

 久しぶりの再会だ。

スタイルは、35年前と変わらず。

 

スカイツリーを眺めるテーブルに案内した。

紙袋から、スパークリングワインを取り出し。

「はい 差し入れよ」

顔立ちは25歳で出会った頃と変わらないが

容色の衰えは致し方ない。

 

彼女の昔の写真を探した。

唯一 アルバムにあったのが、

親父の葬儀参列の写真。

 

黒の礼装で御礼の挨拶を聴き入る

背の高い彼女は目立った。

 

トマト鍋を囲み、

昨年 還暦を迎えた彼女

今月22日で前期高齢者になる私。

ワインで祝った。

 

二度の結婚と死別

二度の転職

 

会話は、明るく滑らかに弾む。

悲しみを隠し気丈に振舞う彼女。

豊洲の高層マンションで一人暮らし。

休日は、昼間から鍋焼きうどんとビール、ワインで

一人テレビを見ながら食べ

一歩も外出せずに過ごす。

 

豊洲市場土壌汚染問題に揺れるエリアに住む彼女に取って

4千万円で購入したマンションが、現在の相場が

6千万円になったが、値下がりを心配。

無職になった彼女の生活費はどうするのだろうか?

死別した夫と住んでいた朝霞のマンションを賃貸収入があると言う。

旅行業取扱主任者の免許を取得しているので

代理店に名義貸しをして収入を得ている。

彼女は、私のことを、既に35年前の呼び名なのだが

書記長と呼ぶ。

彼女にとって、当時在籍した会社の経験は3割

組合活動で7割の経験が役に経っています。

特に、書記長の「ひるまない」精神を学んだ。

だから、偉い方達とのビジネス交渉でも生かされています。

 

大手企業の役員、部長の行動を見て

懸命にゴマすりして、主体性欠如の仕事振り

社長の顔色ばかり窺う管理職を見て

何ぼのものか?

そう思った。

私は苦笑いした。

彼女は、更に付け加えた。

書記長をあのような卑劣な方法で退社させるなんて

現在なら、訴えることできますよ。

不当労働行為ですよ。

 

心中、私は、不器用で融通のきかない馬鹿者なんだよ。

世渡りが下手だったので、底辺で這いずり回っているだけ。

 

「結婚しないの」?

「もう、しません」

では事実婚をしたら?

「一緒に住むのは、もう懲り懲り」

死別すると、旧姓に戻すのは

かなり難しいと言って

悲しげに俯いた。

 

煙草を吸い

缶ビールを飲み

ワインを二本飲み切った。

トマト鍋、ソーセージ。チーズを食べきり

23時35分まで会話。

帰り際 

「書記長の葬儀には必ず参ります」

「でも、私のほうが先に死にそうです」

 

彼女はタクシーに乗り、両国橋を渡って帰っていった。

私は、終電の総武快速に乗車。

船橋駅下車して、川風の冷たい海老川に放尿した。

午前1時帰宅。

娘は入浴中。

彼女と娘は同じ大学出身。

娘も、嫁にいきそうもない。

溜息ついた。