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映画・演劇のレビュー

『フランケンウィニー』

2012-12-31 22:54:23 | 映画
 これはティム・バートンの新作である。とても可愛い映画のような宣伝が為されている。もちろんセールス上仕方ないことだろう。だが、ディズニーのアニメ映画であるにもかかわらず、そんなことをしてもヒットしない。これはただの趣味の映画でしかないからだ。もちろん、そんな言い方はこの映画を貶すためではなく、この映画に込められた意図を代弁するためだ。  これはティム・バートンのデビュー作品のリメイクなのだ。20 . . . 本文を読む
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角田光代『空の拳』

2012-12-31 22:36:05 | その他
 角田光代がなんとボクシング小説を書く! なんか凄くないか。新境地開拓とか、そんな次元じゃない。今までの作品系列からあまりにかけ離れていて、大丈夫か、と心配になる。しかも、こんなにも分厚い。500ページに及ぶ力作だ。その上、主人公は男だ。しかも、主人公の彼がボクシングをする、という小説ではない。彼は雑誌の編集者で、たまたまボクシング雑誌の担当になっただけで、ボクシングとはまるで縁のなかった男なのだ . . . 本文を読む
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『ルビー・スパークス』

2012-12-30 20:34:55 | 映画
『リトル・ミス・サンシャイン』の監督、ジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスがメガホンを取ったロマンチック・コメディー。こういうお話って、今までもいろんなところにあったけど、ちょっとエロ系が多かったが、これはなんともとてもかわいらしくて気持ちのいい作品だった。  10代で華々しくデビューして、その後ずっとスランプの作家が主人公。彼は異性はもちろん、同性とですら、上手く関わることが出来ない。要 . . . 本文を読む
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Nyanセレクト2012 『キャンドルの灯りに選ばれた演劇祭』

2012-12-29 20:06:09 | 演劇
 2プログラムからなるNyanのヤマサキケイコさんによるイベント公演である。「ともにょ企画、劇想からまわりえっちゃん、カラ/フル」の3団体による短編と、山崎さんが主宰する劇団 T.C.N の中編作品。それらがキャンドルによる舞台美術のもとで演じられる。だから、今回は普通の照明は使わない。これはこのキャンドルの空間を活かした芝居を作ることが求められるクリスマスイベントでもある。  各団体がそれぞれ . . . 本文を読む
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『トゥ・ローマ・ウィズ・ラブ』

2012-12-29 18:44:28 | 映画
 もうすぐ劇場でも公開されるはずのウディ・アレン最新作。『ミッドナイト・イン・パリ』に続く観光映画。作品としては、前作のほうがたぶん出来はいいけど、これは久々に本人も出演してのアンサンブルコメディーで、バカバカしいけどとても楽しい。オールスターキャスト(こんなにも豪華な顔ぶれが、こんなたわいもない映画にゲスト出演するのだ! さすがウディ・アレン!)で、今回の観光地はタイトルにある通り、ローマ。スタ . . . 本文を読む
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『レ・ミゼラブル』

2012-12-29 17:26:01 | 映画
 全編、歌だらけのミュージカルは、さすがにうるさい。セリフのシーンと、歌のシーンのバランスを考えて、構成して欲しかった。ドラマを見せるシリアスなパートと感情のうねりを歌いあげるミュージカルパートを分けて見せるタイプのミュージカル映画の方が、感情移入しやすい。しかし、この作品はそうはしなかった。2時間38分もの大作を、セリフの部分まで、すべて歌って見せるという姿勢を貫いた。悲惨な話を、壮大な歌物語と . . . 本文を読む
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覇王樹座『12月、フタリ、明日』

2012-12-29 16:44:05 | 演劇
 とてもかわいらしいお話になっている。久々に本格的学生劇団の王道を見せてもらえた気分だ。変にすれることなく、きちんと自分たちの見せたいものを演劇としてストレートに描き、訴えかけてくる。そういう正直な作品作りがいい。幼いといえば、これはかなり幼い芝居だろう。だが、言いたいことを照れることなく、自分たちの語り口で見せて行こうとする姿勢にはなんの問題もない。変に捏ねくりまわして、独りよがりで、頭でっかち . . . 本文を読む
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ショウダウン『ウインドミルバレー 最後の三日間』

2012-12-19 22:24:31 | 演劇
 『月下人魚』に続いてショウダウンが贈る「林遊眠ひとり芝居」の第2作。2時間15分の超大作だ。実質2時間。2部構成。休憩15分を挟んで上演される。もちろんそのすべてを彼女がひとりで演じきる。2万の軍隊をたった200人の村人が迎え撃つアクション・スペクタクル巨編である。だが、これは派手な立ち回りを見せるための芝居ではない。だいたいこれはひとり芝居なのだ。アクションシーンも、スペクタクルも、すべてひと . . . 本文を読む
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宮下奈都、小路幸也『つむじダブル』

2012-12-19 22:05:31 | その他
宮下奈都と小路幸也によるコラボレーション小説。今、これを読まずして、何を読むんだ、と鼻息も荒く、読み始めたのだが、しばらくして、急速にその意気込みが萎んでいくのを感じた。何がダメなのかは明らかだ。2人がお互いに遠慮しながら書いていて、1+1が1以下にしか、なってない。お互いの個性は相殺されて、なんとも無残で中途半端な作品になってしまった。ものすごく残念な結果だ。  兄と妹の視点から描くホームド . . . 本文を読む
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『ホビット 思いがけない冒険』

2012-12-18 23:01:39 | 映画
 『ロード・オブ・ザ・リング』3部作の前日譚。これをまた3部作スタイルで映画化するという壮大なプロジェクトの第1作。しかし、どう考えてもこれが前3部作を超える作品になる、という気がしない。スケールが小さすぎる。だいたいこのタイトル。そこからして、もう前作に負けている。『思いがけない冒険』なんていうサブタイトルの映画を誰が見たいと思うだろうか。それにタイトルも『ホビット』である。これでは『ロード・オ . . . 本文を読む
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虚空旅団『ゆうまぐれ、龍のひげ』

2012-12-18 22:57:01 | 演劇
 なんて素敵な小品なのだろうか。慎ましくて、控え目なこの芝居には、「小品」という言い方がとてもふさわしい。もっといろんなことを描くことなんていくらでもできた。だが、高橋恵さんは敢えてそれをしない。必要なことだけを描き、70分という短い時間に収める。これは良質の短編小説の趣を大事にした長編作品なのだ。  先にも書いたが、「慎ましい」という言葉がとてもぴったりとあてはまる。この小さな世界の、ほんの少 . . . 本文を読む
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永遠カオス『僕と母さんとブランカとシートン、ロボというオオカミの話』

2012-12-18 22:33:34 | 演劇
 作・演出 中川雄介が自分のスタイルを大事にしているのはよくわかるけど、なぜこういう語り口でなくてはならなかったのか、と考えると、なんだか変に無理しているような気にもなる。「僕の母さんと父さんはポジティブな離婚をした」と語る少年の告白から始まる。彼を中心にして、母親との関係が描かれる。  久々に父親の所に行く。パソコンの迷路の中に入り、様々な人たちと出会う。現実と虚構の世界を行き来する。いつまで . . . 本文を読む
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『砂漠でサーモン・フィッシング』

2012-12-13 22:22:15 | 映画
 ありえないことに挑戦する話が続く。先日読み終えた『限界集落株式会社』に続いて、この映画もまた、同じパターンなのだ。たまたまそうなっただけだが、なんだか不思議な気分。大好きなラッセ・ハルストレム監督の作品だから、内容もほとんど知らないまま劇場に行く。そして、見始めたら、そういう映画だったのだ。まぁそれだけの話。  イエメンの砂漠でサーモンを釣る。そんなありえない夢のために、ダムを造り、川を作ると . . . 本文を読む
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evkk『きしだざい』

2012-12-13 22:15:33 | 演劇
 初めてJR北伊丹駅で降りた。伊丹までは、何度となく、行く。アイホールがあるからだ。しかし、その先には、なかなか行く機会がない。久々のエレベーター企画。今回はお寺で、ライブ。真宗大谷派寺院、大徳山 徳通寺というところの本堂での公演である。これは徳通寺が行う「おてらいぶ」での初めての演劇公演らしい。演目は、太宰治の『待つ』と、岸田國士の『明日は天気』『紙風船』を1,2本ずつにして組み合わせて見せる。 . . . 本文を読む
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『パピヨン』

2012-12-13 22:09:07 | 映画
高校1年生の時、この映画を見た。ロードショーではなく、天王寺の2番館、忘れもしない、今は亡き天王寺ステーションシネマだ。500円で映画が見れた。確か、学生は400円だった。夏休みの宿題で天王寺動物園に写生に行った帰り、たまたま上映していたこの映画を見たのだ。 そして、魂が揺さぶられるほどの衝撃を受けた。ラストシーン。断崖から飛び降りるマックインの姿に涙が止まらなかったのを今でもはっきりと覚えてい . . . 本文を読む
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