心配ばかりしているけど、この映画も見事なまでにガラガラだった。公開8日目の土曜日なのに、10人ほどしかいなかった。大丈夫か?
今、映画館に行くと、いつもこんな感じ。どんどん封切られてすぐに消えていく。見たいものはさっさと見に行かなくては見ることができない。
前田司郎監督作品である。ついに、あの前田司郎も映画監督に進出。でも、いかにも彼らしい映画で、監督デビューの華々しさはない。というか、彼に . . . 本文を読む
初めて井坂幸太郎を読んだのは『死神の精度』だった。でも、たまたま読んだあの作品はあまり面白いと思えなかった。彼らしさがそれほど出ていないからだ。そのあと、映画化された『アヒルと鴨のコインロッカーを』を見て衝撃を受けたのが、彼の小説をちゃんと読み始めたきっかけだ。今考えたなら、出会いが悪かったのだ。死神はあまりによくわかる仕掛けがなされすぎている。だから、彼の得意のとんでもない人と人との関わり合い . . . 本文を読む
これは失敗だった。この小説を高校の図書館に入れても、意味がない。高校生にこの本を読ませる意味がないからだ。選書段階では、詳しい内容までわからないから、ときどきこういう失敗が起きる。
恋愛小説であることは想像できたのだが、こういう不倫ものとは、知らなかった。しかも、共感できない。まぁ、最初から最近の小手鞠るいは、危険か、とも思ったけど、なんか、安易に選んでしまった。まだ、不倫とかいう言葉もなか . . . 本文を読む
益田ミリの4コマ漫画を映画化したエッセイ風の作品。でも、決して軽いわけではない。描かれる問題はどちらかというと重い。30代の3人の女性が主人公。同い年ではなく、たまたまバイト先で一緒になり、仲よくなり、今も親しく付き合っている。それぞれ年代も置かれている状況も違うけど、気が合う。30歳のすーちゃん(柴咲コウ)、34歳のまいちゃん(真木よう子)、30代後半のまいこさん(寺島しのぶ)。
映画はす . . . 本文を読む
なんて真面目な芝居だろうか。だが、これではこの緊張を持続させるには、きつすぎる。まるで余白がないまま、どんどん締め付けられるようで、見ていて辛かった。それだけ、作者には余裕がなかったのだろう。そういう切実さこそがこの作品の魅力でもあるから、難しい。決してうまい芝居ではない。器用に作ることを作者であるつぼさかまりこさんは求めない。そうではなく、自分の中にある混沌をそのまま作品化しようとしたのだ。こ . . . 本文を読む
1968年の作品で、時代の気分を多分に代弁した作品なのだろう。だから、当時の人たちにはとてもよくわかる作品であり、納得の行くものであることは想像できる。だが、それを今再演すると、ほとんどの人たちがここに描かれていることがわからない、ということにもなりかねない。そういう危惧は十分に予想できたはずだが、三枝さんは気にしない。
60年安保以降の気分、70年安保以前、という時間を前面には出さない。そ . . . 本文を読む
見るのが少し怖かった。予告編を見ていると、あのタッチで2時間17分はきついのではないか、と思った。ジブリの映画とはいっても、高畑勲は、前作『ホーホケキョ となりの山田くん』で興行的に失敗している。あの水彩画のようなタッチは大衆受けしない。今回も同じだ。いかにもマンガ映画という他のジブリ作品とは異質だ。しかも、題材があまりに渋すぎる。
もちろん、僕が興行成績に心配なんかする必要はないのだが、で . . . 本文を読む
浅野彰一の主役する芝居を見るのは久しぶりだ。というか、とても久しぶり。学生劇団の頃(劇団新天地)はよく見たけど、ファントマを始めとするエンタメ芝居はあまり見る機会がなかったからだ。今回、たまたまこの作品を見ることが出来て、よかった。
宣伝には「痛快火消活劇」とあるが、それほど派手な芝居ではない。浅野が主役として大活躍するのではなく、群像劇になっている。江戸から東京へと時代が変わって、新時代が . . . 本文を読む
これは600ページに及ばんとする大作だ。重い。こんな重い本を抱えて電車に乗りたくない。でも、仕方ないから、持参する。ここ数日通勤が苦痛だった。だが、本自身は実に面白いから、仕方ない。
まずこれはエンタメ小説としては実によくできている。だから、読んでいて先が気になる。ページを繰る手が止まらない。途中で電車を降りたくない。職場に到着しても、ついつい続きを読んでしまう。やばい。という感じ。おかげで . . . 本文を読む
少し前に話になるが、『R100』を見て、驚いた。こういう映画を平気で作れる松本人志の大胆さ。あの映画が不発に終わったのは当然のことだ。あんなマニアックで地味な映画が全国一斉公開されたことのほうが奇跡だろう。だが、そこは天下の松ちゃんである。しかも、先の3作品はそれなりにヒットしている。映画会社(松竹ですね)は、大丈夫だと踏んだのだろう。だが、蓋を開けたら、ガラガラだった。不入りだということもそう . . . 本文を読む
「マエ持ち女2人組」シリーズの第2作。悪くはないけど、なんだか小説としてはゆるくて、読みながら、これでは時間潰しでしかないよな、と思った。たまたま手許に他に読む本がなくて前作を読んだのだが、そういう流れで、今回もたまたませっかく第2作があるので、文庫だし重くないから、読んでもいいかぁ、と思い手にした。なので、読んでしまったけど、それだけ。
もちろん、よくできているのだ。だから、最後まで一瞬で . . . 本文を読む
ポスターとかを見ると、見るからにとてもバカバカしい映画なのだが、実はかなり本気の映画なのだ。というか、これはただのパロディーではない。どちらかと言うと、マジで『ET』に挑戦しているのだ。もちろん、こちらは低予算の作品だし、コメディだし、明らかに元ネタは『ET』なのだが、まるで負けていない。それどころか、俺たちの方が大人の映画だし、と胸を張っているほどだ。まるでいちびってない。大真面目。シリアスな . . . 本文を読む
震災を扱った小説で、エンタメ系の作品で、でも、ここまでシリアスで、とことんリアルなドキュメンタリーで、もちろん、それをねらっている。東北を舞台にして今までたくさんの本を書いてきた作者の思い入れがあるはずで、いろんな意味で、これは凄く困難なことに挑んでいるはずなのだ。だが、小説としては失敗している。
特に残念なのは、終盤の謎解きがあまりに単純すぎて、こんな程度のお話だったのか、とがっかりさせら . . . 本文を読む
このクソつまらなさそうなSF映画を見たかった。劇場で公開された時も、一瞬見に行こうか、と血迷ったほどだ。どう考えても面白いはずもない。つまらないSF映画以外の何物でもないはずなのだ。こういうものを劇場公開するということ自身がちょっとした事件ではないか。そんな気にさせられるような映画に見えた。
一応SF超大作のような宣伝をした。スターが出ていて、有名監督が手掛けて莫大な予算を投入して、鳴り物入 . . . 本文を読む
初めて三谷映画を見てつまらないと、思った。今まですべて嫌いではなかった。もちろん、今回も嫌いというわけではない。豪華キャストを見事に捌いて、さすがだ、とは思う。だが、見ていて笑えないし、ときめかない。話の先が見えていることも原因なのかもしれないが、でも、これまでのシチュエーションコメディだって、結構底は割れている。それでも、まんまとお話に乗せられて最後まで退屈させないのが今までの彼だった。だが、 . . . 本文を読む