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映画・演劇のレビュー

劇団息吹『嫌われ者』

2015-05-31 20:44:01 | 演劇
イコーラムホールというスペースに初めて行った。東大阪男女共同参画センター、希来里(きらり、と読む)ビルの6階にある。若江岩田の駅前に出来た住宅を中心にした巨大な複合施設だ。こんなところに、こんな背の高い建物があるって不思議な感じだ。思わず見上げてしまった。本当ならちょっと探検もしたかったけど、芝居が始まる時間も迫っていて、1階のどこにでもあるショッピングセンターをちょっと覗いただけで、劇場に入る . . . 本文を読む
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小川糸『たそがれビール』

2015-05-31 20:41:42 | その他
なんと彼女のエッセイ集を読むのは初めてだ。エッセイは嫌いではないけど、なんだか不毛な気がして、あまり熱心にはなれないからだ。たとえ大好きが小川糸であろうとも、そうなる。 彼女は『糸通信』としてブログ更新しているが、これはきっとそこに掲載されたものを、本にまとめたのだろう。幻冬社文庫からすでに何冊も出版されていたけど、今まで読んだことがなかった。彼女の小説はほぼ全部読んでいるのに、である。 今回 . . . 本文を読む
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関口尚『ブックのいた街』

2015-05-31 20:26:30 | その他
野良犬ブックは、さびれた商店街、ラブリ商店街に居ついている。誰が飼い主というわけではないけど、商店街のみんなに飼われている。そんな彼と人々との交流が描かれていく短編連作というスタイルを取る。6つのエピソードを通して、結果的には、ブックの生涯が描かれていくこととなる。 こんなにも泣いたのは久しぶりだ。最近、泣ける小説が多くて、電車の中では警戒しているのだが、それでも、流れる涙は止めようがない。恥 . . . 本文を読む
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無名劇団『無名稿 あまがさ』

2015-05-27 21:08:06 | 演劇
今年の1本目の芝居は無名劇団だった。ウイングの1月番組で、僕はそこで初めてこの劇団を見た。なかなかおもしろかった。こういうミステリタッチの作品を提示するんだ、と感心した。しかも、とても真面目。僕はまじめな人は好きだ。(ふまじめが魅力の劇団も確かにあるけど)まじめは、ふまじめよりも難しい。しかも、つまらなくなる場合も多々あるからだ。まじめなのにおもしろいというのは実はリスクが高い。まじめすぎて、少し . . . 本文を読む
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『ブラックハット』

2015-05-27 20:28:39 | 映画
マイケル・マンの5年振りの新作である。『ヒート』以降、僕はマイケル・マンの信者だ。彼の渋い映画の虜だ。アクション映画の世界において他の追随を許さない。 派手なだけで、空疎なハリウッド映画には辟易している。CGを多用して、火薬の量ばかりを増量すればいい映画になるとでも思っているのか、そういうバカ映画にはもううんざりしている。目が疲れるばかりのうそくさい映画はもうこりごりなのだ。 彼の映画は信用で . . . 本文を読む
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佐川光晴『おれたちの約束』『おれたちの故郷』

2015-05-27 20:26:57 | その他
『ぼくのおばさん』シリーズの第3作、第4作を連続して読んだ。先の2作もよかったけど、今回は成長した2人(陽介と卓也)を描くため、それぞれ別々の場所に身を置くふたりを交錯させない。しかも、3作目は、まず魴鮄舎(ほうぼうしゃ)を出て、高校生になった陽介を通して、距離を置いた視点から、改めて、自分にとって魴鮄舎は何だったのか、が描かれる。この2冊で彼らは16歳から17歳にな . . . 本文を読む
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ババロワーズ『ショートショート・カタログ vol.2 ブラックの巻』

2015-05-27 20:25:39 | 演劇
先月の『ホワイトの巻』に続く第2弾だ。先のvol.1にも書いたが、この公演はなんと9ヶ月続く。たかせさん自身が、今回のMCで喋っていたけど、こんなにも大変なことをしなければよかった、というのは実感だろう。考えたときには、大丈夫だ、と思った、だろう。僕もそう思う。彼らならそれくらいのこと、大丈夫、と。でも、これは思った以上に大変なことだ。そのことが、今回の2作目で実感できた。 つまらなかった、なん . . . 本文を読む
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燐光群『屋根裏』

2015-05-27 20:24:52 | 演劇
この作品を見るのは2度目だ。前回はアイホールで見た。衝撃的な傑作だった。そして、それと同じくらいに衝撃だったのは、この芝居の狭さ、だ。こんなにも狭く空間を使う芝居を見たことがない。しかもそれをアイホールで上演したのだ。広いアイホールの舞台をあそこまで狭く使い、さらには客席も狭く使う。ありえない、と思った。でも、そのありえなさがこの作品の魅力なのだ。 でも、始めて見たとき、出来ることならこれをち . . . 本文を読む
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『ローラーコースター!』

2015-05-26 23:05:28 | 映画
こんなおバカな映画を支持する評論家もいるらしい。大阪アジアン映画祭ではコンペティション部門【来るべき才能賞】を受賞。どこが評価されたのだろうか。僕にはまるでわからない。監督のハ・ジョンウのデビュー作で、俳優である彼が監督にも進出したことへの期待からの受賞のようなのだが、もしそれが本当なら、それはそれで、それってなぁ、と思う。こんなのただのB級コメディでしかない。しかも、笑えない。そこのところはどう . . . 本文を読む
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黒野伸一『脱 限界集落株式会社』

2015-05-24 18:50:24 | その他
前作から4年になる(らしい)。再び止村の人たちが帰ってきた。ちょっとヒットすると、翌年には安易な続編が横行する中、満を持しての登場である。というか、この本が出たときには、最初は「おまえもか、」と思った。だから、ちょっと手に取るのが遅れた。だが、躊躇する必要なんかなかったのだ。これは、実に素晴らしい視点を持つ続編だ。まるで安易ではない。というより、まったく新しい視点からあのお話のその後をちゃんと描 . . . 本文を読む
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『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』

2015-05-24 18:49:37 | 映画
たった90分の映画なのに、この豊かさ。これってほとんど奇跡だ。もちろん、それを原監督は軽々と見せる。(そう見えるけど、これを作りためにはどれだけの時間と技術、熱意と才能が必要だったかは語るまでもない。) これといったストーリーなんか何もないにも関わらず、至福の時間が、そこにはある。(きっと、真紅組が『夢ばかり』で目指したものは、この映画のような世界だったのではないか?)冒頭の橋の上でたたずむ長 . . . 本文を読む
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真紅組『夢ばかり』

2015-05-24 18:48:40 | 演劇
真紅組が今回、大正ロマンに挑戦した。ベル・エポックだ。だが、それはほんの短い夢でしかない。だが、誰もがその時ささやかな夢を見た。そんな愛おしい時代の幻のような時間を、いつものようにみんながあつまって無為な時を「やり過ごす」そんな幸福として描いた。 脚本の阿部遼子さんと演出の諏訪誠さんの黄金コンビは、決して大事(おおごと)として、彼らの物語を見せようとはしない。時代に埋もれていく庶民の哀歓をきちん . . . 本文を読む
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『イタリアは呼んでいる』

2015-05-23 23:19:54 | 映画
5泊6日の自由気ままなイタリア縦断の旅。極上のワインと料理。美しい風景。気の合う友。最高の休日を過ごすこと。なんだか夢のような映画なのだ。別に特別凄いことが描かれるわけではない。イギリスからイタリアにやってきたミニクーパーで走る。彼らのしていることはそれほど贅沢ではない。プチ贅沢。 しかも、これって、半分仕事だったりもするのだから、出費は必要経費として落とせるのではないか。なんかそれって羨まし . . . 本文を読む
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『ブランカニエベス』

2015-05-23 23:05:32 | 映画
なんと、無声映画である。もちろん、ちゃんと昔ながらの字幕でせりふが出る。モノクロ・スタンダード。とても端正な映画。まるで戦前の映画を見ているような素朴さ。描かれるのも昔々のお話。有名な闘牛士とその妻カルメン(彼女はもと踊り子で、今は、身重の身。あと少しで出産する)幸せなふたり。今日、彼女は彼の雄姿を見るために競技場に来ている。いつものことだが、少し心配。でも、彼なら大丈夫、な、はずだった。 冒 . . . 本文を読む
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『ゼロの未来』

2015-05-20 20:23:06 | 映画
久々にテリー・ギリアムらしい映画を見た、って感じで、とても興奮した。要するに『未来世紀ブラジル』の頃のギリアム再来、ということだ。あの彼の最高傑作はSF映画史に残る金字塔である。あれに匹敵する作品は両手にも満たない。思いつくままにあげると、まず『時計仕掛けのオレンジ』、『エイリアン』、もちろん『2001年宇宙の旅』と『猿の惑星』。『ブレードランナー』に『未知との遭遇』と『スターウォーズ』くらいか。 . . . 本文を読む
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