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映画・演劇のレビュー

『代立軍 ウォリアーズ・オブ・ドーン』『バトルオーシャン 海上決戦』

2020-04-27 19:52:41 | 映画
今我が家では「韓国映画週間」をしている。12本レンタルしてきた。見逃していたこの10年ほどの韓国映画を一気にかっさらうという企画だ。めぼしい映画はほとんど劇場で見ているし、そうじゃなくてもすでにDVDで見ているからそれほど面白そうな映画は残ってなかったけどそんな中からチョイスした。(というか、勝手にしているだけだけど) まず、秀吉による朝鮮侵略を描く2本の戦争映画を見る。どちらも力に入った凄い迫 . . . 本文を読む
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『V.I.P.  修羅の獣たち』

2020-04-27 19:42:27 | 映画
凄い緊張感だ。冒頭の20分間、何が起きているのか、よくわからない。ただただ圧倒される。現在の香港からスタートして、チャン・ドンゴンが殺しに向かう。彼が一人目の主人公だ。3年前、北朝鮮の野原の小道。可憐な少女が歩いている。車に乗った男たちが彼女を拉致する。一家惨殺事件の現場。惨たらしい。なぜか担当した刑事は捜査から外される。彼が二人目。殺された少女の顔にカメラが寄る。拉致された少女だ。ということは、 . . . 本文を読む
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辻村深月『東京會舘とわたし』

2020-04-27 19:34:00 | その他
これは2016年に出版された本なのだが、まだ読んでいなかった。読み始めて、止まらない。短編連作のスタイルになっているのは、『ツナグ』と同じで彼女の得意技。時系列になっているのも、この場合当然なのだけど、大正12年から始まり、昭和39年までの5作品を読み終えた時の気分はなんとも言いようのない清々しさだった。ここまでが上巻であり、『旧館』である。2冊目に入ると,趣が変わる。 五つのお話のひとりひとり . . . 本文を読む
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佐藤利明『みんなの寅さん from 1969』

2020-04-26 09:55:40 | 映画
なんと650ページ越えで2段組の本だ。読むのに1月ほどかかった。いや、1か月かけて、ゆっくりと読んだのだ。ふだんなら本は通勤の電車の中で読むのだが、これは重たいから夜寝る前にベッドの中で30分から1時間くらい毎日読んだ。全50作品の解説やさまざまなエピソード、批評をあらゆる側面から書いてある。1日2,3作分を読み継いだ。 読みながら寅さんとの日々を思い出していた。作品解説だけではなく渥美清のたど . . . 本文を読む
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さよなら大林宣彦監督

2020-04-20 21:52:12 | 映画
77年の夏、大林監督の商業映画デビュー作『HOUSE ハウス』を見た。封切り2番館なので3本立上映。それが昔の常識だった時代だ。あまりのことに映画館の椅子から何度となく滑り落ちた。吃驚仰天。驚天動地。こんな映画があっていいのか、と2度見た。(ほんとうなら3度でも続けて見たかったけど、3本立なので不可能だった。)たぶん高校3年の夏休みだ。映画に夢中で、受験勉強なんかしなかった。 『HOUSE ハウ . . . 本文を読む
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『荒野にて』

2020-04-20 21:47:19 | 映画
これはとても寂しい映画だ。孤独な少年が新しい場所で、ぽつんとひとり佇む。冒頭のランニングシーンから、競馬場にたどり着き、そこで仕事を貰うまでがいい。映画は彼をただ追いかけるだけ。なんの説明もない。だけど、それだけから、彼が置かれている状況はわかる。この無骨な見せ方が心地よい。甘い映画ではないけど。ただ少年に寄り添い、なんの感想も言わない。ただ、一緒にいるだけ。やがて事故で死んでしまう馬のように。僕 . . . 本文を読む
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吉田修一『7月24日通り』『愛に乱暴』

2020-04-20 21:38:39 | その他
吉田修一の初期作品を2作連続で読んだ。まず、2013年の『愛に乱暴』。なんだか強烈なタイトルだが、内容もまた強烈だった。この激しさが吉田修一らしくない、とか、思いつつ。 3人の男女の物語だ、と思いつつ読んでいると、果たしてそうなのか、と疑問がわく。そうじゃなかったのか、と気付いたときには、もう遅い。作者の罠にはまる。騙されていたのは誰か。明確だ。ふたりの女と彼女たちが奪い合う男。3角関係のお話に . . . 本文を読む
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『マイ・サンシャイン』

2020-04-18 12:47:21 | 映画
この映画の原題は『KINGS』だ。それがなぜか(日本の映画会社の宣伝戦略のためだが)ホームドラマのようなポスタ-と『マイ・サンシャイン』なんていう甘いタイトルに変えられ、この映画の描く92年に起きたロサンゼルス暴動の凄まじさは前面には出ない。 だが、映画自体はそんな生易しいものではない。たった87分の短い映画の中で、さまざまな要素や状況がぎゅうぎゅう詰めにされている。衝撃に1作である。 どうし . . . 本文を読む
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『雪の華』

2020-04-12 20:30:49 | 映画
全身少女漫画の世界で、もちろん自覚している。作り手も、登場人物である主人公自身も。自覚症状があるから、この世界を大事にするし、嘘のないように夢の世界を紡ぎあげる。嘘だろ、という設定をどこまでも大事にして、彼女の夢の実現のために全力を注ぎこむ。あと1年の命、という少女漫画のような、冗談のような運命を真摯に受け入れて、そこで何ができるのか、何がしたいのかを、考える。 中条あやみ演じる薄幸の美少女、と . . . 本文を読む
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『風の色』

2020-04-11 21:22:07 | 映画
『ラブストーリー』のクァク・ジェヨン監督が『僕の彼女はサイボーグ』に続いて再び日本映画に挑戦する、という意味でこれは期待できると最初は思った。だけど、マーケットの問題や、キャスティングやら、なんか少し雲行きが怪しい、気がした。劇場公開時はひっそりと上映され、すぐに消えていったし話題にも上らなかった。公開から2年。ようやく見る決心をしたのだが、始まってしばらくして、これは無理、と思う。マジシャンの話 . . . 本文を読む
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『オズランド』

2020-04-10 22:58:20 | 映画
こういうハートウォーミングで心和むことが出来たなら、それはそれでいい。「こんなもの、つまらない」と一笑に付すことも可。これはそれくらいにたわいもない映画だ。でも、この映画の真面目さはバカにしてはならない。観客をなめてかかったような安易な映画なら要らない。そうではなく、たとえ甘い映画であっても、伝えたい気持ちがしっかりしていて、それが確かに伝わってくる映画であったなら、じゅうぶんだ。そして、これはそ . . . 本文を読む
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『ボストンストロング』

2020-04-10 22:45:26 | 映画
これはボストンマラソンのゴール付近で起きた爆弾事件によって両足を失った男の戦いの日々を描く人間ドラマだ。最初に彼のキャラクターと現状をしっかり描くから話に入り込みやすい。何度となく、別れては復活するということを繰り返している恋人との関係、彼女がボストンマラソンに出場するから、自分は彼女の応援のためゴール付近で待つ。お話はそこから始まる。 こんな事件があったにもかかわらず、彼が変わることなく、前向 . . . 本文を読む
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『あさひなぐ』

2020-04-10 22:26:11 | 映画
乃木坂46による劇映画として企画された作品らしい。でも、僕はこの映画の中の誰がそのメンバーなのかも知らない。主人公はメンバーの一員なのだろうし、白石麻衣は先日スマホの映画で知った。その程度。監督が英勉なので、あまり期待していなかったが、予想通り、何の特色もない映画だった。彼の映画にしてはコメディ色は薄いけど、当然シリアスでもなく、軽めの作品。でも、さらりと流していく感じで、何のフックもないけど、そ . . . 本文を読む
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『サンセット』

2020-04-05 09:06:01 | 映画
『サウルの息子』のネメシュ・ラースロー監督最新作。長編2作目となるこの作品はあまりに惨い作品。前作のスタイルを引き継ぎ、今回もカメラは主人公の姿を顔のアップからバストショットで捉え、スクリーンの情報量は少なくなる。彼女の周囲数メートルだけ。しかも、お話がわからない。ストーリーは追えないわけではないけど、謎はまるで解き明かされないまま、放置プレー。さすがに2時間経ってもよくわからないのでは、匙を投げ . . . 本文を読む
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『春待つ僕ら』

2020-04-05 08:16:09 | 映画
この手の青春映画は好きだったから、以前はちゃんと見ていたけど、最近は食傷気味。映画のレベルも落ちたし、いろいろ作りすぎて、もうネタがない。10代後半のキラキラした時間を愛おしく見つめる映画を通して、自分の過去を振り返ることや、今を生きる子供たちにある種の指針を示すことができるような映画は好ましい。ただの夢物語でもいい。現実はそんな甘くはないことは誰だってわかっている。だから映画の中だけでも幸せでい . . . 本文を読む
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