習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ザ・ファイブ・ブラッズ』

2020-09-22 10:33:27 | 映画
スパイク・リーの新作が劇場公開もなく、Netflixオリジナル映画として配信されている。2時間半の大作である。しかも、ベトナム戦争を扱った戦争映画なのだ。そうこれはスパイク・リーによる『地獄の黙示録』だ。 埋蔵金と戦死した隊長の亡骸を探しにベトナムを45年ぶりに再び訪れた4人の元軍人たち。彼らが見た現実。平和になった今、のはずなのだが、そうじゃない。安易な想いで観光気分でやってきた。あの頃の悪夢 . . . 本文を読む
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小川糸『ライオンのおやつ』他

2020-09-21 19:48:20 | その他
この7月から9月にかけて読んだ小説の中で、ベストワンがこの小説だ。(3か月で45冊の本を読んでいる。本ばかり読んでいる。)図書館で予約していたけど、なかなか順番が回ってこなくて、ようやく読むことができた。ターミナルケアを描く心優しい小説で、読みながら、何度となく涙ぐんだ。今はこういう小説がいい。胸に痛い。弱くなった心にぐっと沁みてくる。いたたたた、という感じ。後半、少しテンポが悪くなるけど、それで . . . 本文を読む
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瀧羽麻子『虹にすわる』

2020-09-21 19:13:09 | その他
東京での生活を清算して、故郷に戻ってきた男。祖父の仕事を手伝い、面倒を見るために。でも、実は自分のため。今までの暮らしに見切りをつけた。30歳を区切りにした。そんな彼のもとに、同じように東京での暮らしから逃げ出してきた大学の後輩がやってくる。そんなふたりが工房を開き、椅子作りをする。 自分の人生とどう向き合うかが描かれる。何のために生きているのか。何がしたいのか。夢はあるか。挫折を通して、自分を . . . 本文を読む
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『DEVILMAN crybaby』

2020-09-20 22:33:16 | 映画
湯浅政明監督による『デビルマン』の完全アニメ映画化。(いや、映画ではなくNetflixだけど)25分で10話だから実質4時間弱。映画なら大作のボリュームだ。実に面白い。この作品に続く『日本沈没2020』にもつながる内容で、今の時代を先取りしている。 「悪魔」に感染した人類のお話。悪魔と人間との間に立ち、悪魔というものを人間の作ったものとする結末部分は少し弱いけど、導入から前半は実に興味深い。悪魔 . . . 本文を読む
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神戸 遥真『恋とポテトと夏休み』

2020-09-20 21:48:42 | その他
こういうかわいい軽い青春小説を読みたい、と思った、わけではない。毎日しんどいことばかりで、クタクタだけど、それを一瞬でも忘れさせてくれるようなものを読みたいけど、仕事の延長のような高校生のお話は今は堪忍してほしい、という気分だったからだ。 たまたま新刊コーナーに置いてあったので借りた。読みやすくて楽しかった。楽しいのは、いい。不本意な高校に入学して、うまく学校になじめない少女が主人公。たまたま勘 . . . 本文を読む
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浮狼舎『壊れた夜空』

2020-09-20 20:10:10 | 演劇
神原さんのカンパニーによる公演である。7月の公演に続いて、早速もう次回作が上演された。3月、7月、9月と今年3本目である。この後も11月に新作の公演が決まっている。コロナの影響で芝居の公演は中止や延期が常態になってしまった現状の中で、彼女だけはすべて予定通りに公演を行っている。これは異常だ。困難をものともせず、自分たちのペースを崩すことなく、芝居をやり続ける。ありえないことをありえさせるのだ。無謀 . . . 本文を読む
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『TENET テネット』

2020-09-20 16:17:13 | 映画
クリストファー・ノーランの新作が公開された。コロナの影響でハリウッドの大作映画は軒並み公開延期の中、久々に超大作の登場である。期待は高まる。しかも、事前に難解で1度見ただけでは理解不能というなんだかとんでもない情報が流れる中、まず目撃せよ、とばかりに、事前情報はそれだけで劇場に向かう、さすが、公開2日目の土曜である。満席状態。でも、隣の席は空いているから、圧迫感はなく広々としているしのんびり見れる . . . 本文を読む
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『窮鼠はチーズの夢を見る』

2020-09-13 15:59:14 | 映画
久々に本格的な恋愛映画を見た。恋愛だけを描く映画だ。それ以外のことは映画の外の出来事だ。彼ら2人の恋愛と真正面から向き合う。そこではお互いの想いがひとつひとつ丁寧に描かれる。それはいろんな方向に迷走する。そんな自分の心と向き合う。だが、それを感情的に描くのではなく実に冷静なタッチで描いていく。事実の検証をしていくように。感情移入させない。観察するように見つめる。引いた視線からクールに見守る。だから . . . 本文を読む
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ブルーシャトルプロデュース『承久の乱』

2020-09-12 22:56:50 | 演劇
ブルーシャトルプロデュースの新作だ。このコロナ下での上演である。リスクは大きい。だけど、それでも上演を挙行する。あらゆる対策を講じた上での公演だ。当然のこととはいえ、ここまで安全面での配慮が必要なのである。いくつもの制約を乗り越えて、妥協することなく、リスクを反対に作品の力と変えていく。それでなくては、今やる意味はない。 歌とダンス、殺陣を縦横に駆使した華麗で激しいアクションを持ち味とするこの集 . . . 本文を読む
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『静かな雨』

2020-09-02 20:18:38 | 映画
『4月の長い夢』がとても好きだったから、中川龍太郎の作品は見ることにした。宮下奈都の原作が大好きで、期待したのだけど、映画は同じお話なのに、なぜだか心惹かれない。だいたいこの小説はお話で見せる小説ではない。彼ら二人のたたずまいだけで見せる。映画も同じように彼らふたりをたたただ見守る。何もないお話だ。 繰り返される日常。彼女は毎日起きた時に前日の記憶を失うから、文字通り同じことを繰り返すしかないの . . . 本文を読む
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香月夕花『昨日壊れはじめた世界で』

2020-09-02 20:17:26 | その他
この世界は壊れ始めた。コロナの影響でそんなふうに思える昨今で、何もしたくないし、もう以前のような生活は取り戻せないかもしれないと不安になるそんなときに、この小説はぴったり寄り添う。なんだか、今の時代を予見したような小説だ。読みながら、先がこんなにも気になったのは久しぶりのことだ。   このお話のラストがどこにたどり着くのかが気になり、一気読みしてしまった。子供の頃、マンションの13階 . . . 本文を読む
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真夏の太陽ガールズ2020代替公演『テノヒラサイズの人生大車輪2020』

2020-09-02 19:14:33 | 演劇
この作品は「真夏の太陽ガールズ2020」の代替公演として上演された。まず、今年は「真夏の太陽ガールズ」が上演できなかったことは悔しいけど、それでも諦めず、こういう形での公演を実施したオカモト國ヒコとBALBOLABOチームは凄い、ということを言いたい。そこには、何があっても芝居をする、という強い意志を感じる。簡単ではない。だけど、やり遂げる。軽やかなフットワークを見せるこの芝居を持ってくるところも . . . 本文を読む
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