習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『アンナ・カレーニナ』

2013-03-31 21:30:34 | 映画
 今更こんな古臭い映画を作る意味がどこにあるのか、と呆れた。だが、チラシをよく見ると、これは『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライトの最新作だったのだ。もちろん主演はキーラ・ナイトレイだ。この黄金コンビが挑むというのなら、これは必ず意義のあるものになる、と確信して、劇場に向かう。原作は言わずと知れたトルストイの名作である。時代錯誤としか言いようのない古典をわざわざ現代に映画化することにどんな . . . 本文を読む
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『メモリー First Time-(第一次)』

2013-03-31 20:57:30 | 映画
 とても残念な映画だと思う。これは僕が今年の大阪アジアン映画祭で見た作品の中で、唯一つまらなかった映画なのだが、ヒロインのアンジェラベイビーがとんでもなく可愛くて、それだけで全肯定したくなる。そんな映画なのだ。彼女の可愛さに免じて、いろんなことから目を瞑りたくなるのだけど、映画自身はあまりにお子様ランチで、そうはいかない。  ただし、これは見せ方ひとつでとてもいい映画になるのだ。お子様ランチでも . . . 本文を読む
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吉田修一『路 ルウ』

2013-03-28 10:38:33 | その他
 これを一刻も早く読みたかった。でも、諸事情からなかなか読めないでいたのだが、先日ようやく手にした。もちろん速攻で読んだ。読み始めると、読むのが惜しい気分にさせられた。それくらいに心地よい。でも、3日で読み終えてしまった。もったいない。  吉田修一が台湾をどう描くのか、興味津々で、読みだしたのだが、思った通りの心地よさで、なんだか台湾にいる気分。日本人の感じる台湾の魅力を無理なく、リアルに捉える . . . 本文を読む
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『プラチナデータ』

2013-03-28 10:14:39 | 映画
 かなり期待したのに、これには心からがっかりさせられた。人物配置が先日公開された傑作『脳男』とよく似ているので、いつもなら、ついつい比較したくなるのだが、これはそんな気力すら失くすほどの駄作。どうしてこんなことになったのだろうか。大友啓史監督は、先の『るろうに剣心』で、なかなか骨のある映画を作っているから、楽しみにしたのに、なんでこんなにもつまらないものになったのか。  アクションもダメだし、そ . . . 本文を読む
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『人生はビギナ-ズ』

2013-03-28 08:33:01 | 映画
 父が死んだ。これはただ、それだけのことを描いた映画である。そんな気持ちが、ただそれだけで、1本の映画になる。なんだか凄い。  母親が亡くなり、その後、父が自分がゲイであることをカミングアウトした。父はガンに侵され、後いくらも生きれない。だから、自分の心のまま生きる覚悟をした。70代になり、初めて若い恋人(もちろん男)を作り、幸せそうな老後を送る。息子であるユアン・マクレガーは、そんな父親を見守 . . . 本文を読む
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有川浩『旅猫レポート』

2013-03-23 22:44:10 | その他
 何が必要なのか、しっかり考えてみよう。この小説のラスト、涙が溢れて止まらなかった。こんな素直な気持ちで泣けるのって、久しぶりのことだ。猫のナナと共に、この小説の主人公であるサトルの生きてきた人生をたどることで、それが見つかる。  この小説を読む直前にも同じような猫好きが主人公の『世界から猫が消えたなら』(川村元気)を読んでいたから(これはあまりおもしろくない。)たまたま2冊連続で「猫もの」小説 . . . 本文を読む
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『愛 アムール』

2013-03-23 20:22:50 | 映画
 カンヌ映画祭で前作『白いリボン』に続いてパルム・ドール(グランプリだ!)を受賞したミヒャエル・ハネケ監督作品。なんと今年のアカデミー賞でも外国語映画賞だけではなく、作品賞にもノミネートされていたけど、あれはなぜなんだろうか。アメリカのアカデミー賞って英語の映画しか、作品賞にならなかったのではないか。これはフランス語だし、オーストリア映画だ。いいのかなぁ。そう言えば、今思い出したけど、昨年はフラン . . . 本文を読む
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『クラウド・アトラス』

2013-03-22 22:24:18 | 映画
 2時間52分の大作である。上映時間だけの問題ではない。6つの時代の6つのお話が同時並行で展開していく。6つ、と書いたが、それはチラシに書いてあったから、そうわかっただけで、見ながらいったい幾つだったか、それすらわからなくなるほど複雑なのだ。しかも、オムニバスではないだけでなく、それぞれの話が目まぐるしく移り変わりながら描かれるし、例えば、カットの変わり目が、前のエピソードの主人公が走っている場面 . . . 本文を読む
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極東退屈道場『サブウェイ』 

2013-03-22 20:32:14 | 演劇
 今回は全国縦断ツアーである。大阪を皮切りにして全国5か所を巡る。地下鉄のある都市で公演していくそうだ。3度目の『サブウェイ』である。どんどん進化していく。よりシンプルで、スタイリッシュな作品になる。衣装もよくなった。ダンスとの融合も、もう取ってつけたようにはならない。とても自然に見える。それは繰り返すことでどんどん洗練されてきたこともある。だが、林慎一郎さんがこの作品世界をどんどん深化させていっ . . . 本文を読む
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『野蛮なやつら SAVAGES』

2013-03-22 19:54:49 | 映画
 オリバー・ストーン監督の新作である。なのに、この扱いはなんだ! しかも、このタイトル。最低! これでは誰もお客さんはこないだろう。安物のつまらないB級犯罪アクションにしか見えない。映画会社は最初からこの作品のセールスなんてするつもりはないみたいだ。ビデオスルーで十分と判断したのか。「手違いで劇場に出してしまいました。ごめん。」って感じ。これって、オリバー・ストーンはもう過去の人で、誰も顧みること . . . 本文を読む
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伊坂幸太郎『残り全部バケーション』

2013-03-22 19:52:30 | その他
 これはまぁ、いつもの伊坂幸太郎だ。今回は短編連作なので、5つのバラバラのお話が、最後に、ひとつになるわけでもない。だが、ひとつひとつの話はいくつかのサブプロットが用意され、ひとつに収斂するという形で、裏稼業コンビの溝口と岡田が5つの事件(出来事)に関わっていく。  ただし、岡田は溝口のせいで、途中退場を余儀なくされる。本来ならこの2人の掛け合いのおもしろさで見せていくべき話なのに、早々第1話で . . . 本文を読む
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『王になった男』

2013-03-22 19:48:30 | 映画
イ・ビョンホン主演の時代劇スペクタクル。本国では大ヒットした作品だが、日本ではなかなか難しいようだ。公開から1カ月過ぎてようやく、見た。平日の梅田の劇場で、たったひとりで見る。勘違いしないように。それって、文字通り劇場に観客が僕しかいない、ということだ。 こんな経験は久しくなかったことだ。僕さえいなければ、上映しなくともいいから電気代も使わなくてよかったのに、なんだか済まない気分になる。でも、僕 . . . 本文を読む
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ともにょ企画『ハッピー! ハッピー、ユートピア』

2013-03-21 19:48:28 | 演劇
 これはまるでエッセイのような芝居だ。心の赴くままにフリーハンドで書いていく。「幸福」がテーマだ。いつもならともにょの芝居は、鈴木さんのぐちゃぐちゃの脳内宇宙が描かれるのだが、今回はそうではない。鈴木さんはエディターに徹する。自分の意見とか考えなんか言わない。街中で出会った人たちの語る声に耳を傾ける。彼らの声を拾い集める。  一戸建ての家を買いたいと望む夫婦の話と、街頭で歌うフリーターのミュージ . . . 本文を読む
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『ジャンゴ 繋がれざる者』

2013-03-21 19:46:09 | 映画
 2時間45分の大作だ。いまどきこの手の西部劇が作られるというだけでも、珍しいのだが、タランティーノはいつものように自分の趣味とこだわりを満載させて、とても楽しい映画を作り上げた。黒人奴隷のジャンゴと、彼を開放して一緒に賞金稼ぎをするドイツ人の歯科医シュルツ。とてもテンポよく、彼らの旅を串団子式に描きながら、やがてはジャンゴの妻を取り戻すために悪人である地主(ディカプリオだ!)と対決するクライマッ . . . 本文を読む
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あうん堂『宇喜島2丁目蓬莱園』

2013-03-21 19:39:12 | 演劇
 2年9カ月振りのあうん堂だと言う。今まで彼らは毎年必ず1作ずつ、ほぼ同じ時期に新作を上演してきた。だから、今回そんなにも長い空白があったなんて、気付かなかった。確かに、しばらくあうん堂を見ていないよな、とは感じていたけど毎日の生活に追われて、2年9ヶ月が市過ぎていたなんて、思いもしなかった。さまざまな事情から、今回これだけ間が空いた。でも、暢気な僕はそんなことにも気付かないで、いた。恥ずかしい。 . . . 本文を読む
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