ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

河合隼雄『私が語り伝えたかったこと』2014・河出書房新社-河合隼雄さんの「熱い」思い

2024年03月12日 | ユング心理学に学ぶ

 2014年のブログです

     *

 河合隼雄さんの最新刊『私が語り伝えたかったこと』(2014・河出書房新社)を読みました。

 河合さんの晩年のインタビューや講演,論文などを集めた一冊です。

 一言で感想を述べると,「熱い」です。

 静かに,穏やかに,また,いつものようにユーモラスに語っていらっしゃいますが,中身はとても「熱い」です。

 その「熱さ」は熱いことで有名な山中康裕さんよりも「熱い」かもしれません(山中さん,すみません)。

 もっとも,河合さんは若い時から熱かったと思います。

 それでないとあんなに臨床心理学に命を懸けられないと思います。

 河合さんはそれで命を縮められたような気もしています。

 しかし,男の生き方としては最高なのかもかもしれないとも思います(勝手なことを言って,河合さん,すみません)。

 河合さんの渾身の語りを受けて,じーじも力不足な一年寄りながら,心して生きていきたいなと改めて思いました。    (2014.4 記)

 

コメント

池澤夏樹『終わりと始まり』2015・朝日文庫-時代を深く読み、ていねいに考える

2024年03月12日 | 随筆を読む

 2019年夏のブログです

     *

 池澤夏樹さんの『終わりと始まり』(2015・朝日文庫)を読みました。

 この本も旭川の本屋さんで見つけました。

 2015年の本ですから、4年遅れでの読書です。

 もともとは「朝日新聞」夕刊に2009年から2013年にかけて連載されたエッセイです。

 ということは、2011年3月11日の東日本大震災をはさんでの激動の4年間です。

 しかし、文章は少しも古びていません。むしろ、新しさを増している印象を受けます。

 本の中で、当初は、普天間基地の問題やアメリカの問題、さらに、水俣病の問題などを論じますが、3・11のあとは当然、原発の問題が中心となります。

 そして、その後は、次第に原発事故を反省しない政治家や大企業の問題に論点が移り、さらには、そういう政治家を支持する国民のことを考えます。

 池澤さんの明快な意見に比して、社会の動きのにぶさや利害関係の複雑さにうんざりしてしまいますが、人間とはそういう存在でもあるのでしょう。

 しかし、哀しいですし、もどかしいです。

 自分のことはともかく、子どもや孫のことを考えると、心配がつのります。

 なお、解説は田中優子さん。

 池澤さんより、少し過激に、しかし、冷静沈着に社会と本書の関係や意義について教えてくれます。    (2019.8 記)

 

コメント (2)