日暮里駅の4番線ホームに、常磐線の上野発勝田行き普通電車が、ヘッドライトを輝かせながら滑り込んできました。
私はこの電車に乗って普通列車を乗り継ぎ、日本最東端の街、北海道の根室を目指します。
財布の中には青春18きっぷ、背にした小さなザックに一人用のテントと数枚の着替え、今朝自宅近所のコンビニで購なったコッペパンとコーヒー牛乳が収まっています。
私にとって、今回が二度目の青春18きっぷの旅となります。
前回の旅は、2019年夏に18きっぷで東京と稚内を往復しました。
本音を言えば、今回は九州最南端の駅、鹿児島県の大山駅を目指したかったのですが、何度シミュレートしても、一枚の青春18切符で東京と大山駅を往復するルートが見つかりませんでした。
4、5年前に試みた時は普通列車だけで時刻表がうまく繋がったのですが、多分九州新幹線が鹿児島駅まで伸びたことが影響しているのでしょう。
普通電車は5時14分に日暮里駅を出るとすぐに、東北本線や京浜東北線と進路を別ち、ビルの狭間を東へ向かいます。
そして律儀なことに、普通電車は2分も走ると直ぐに、次の三河島駅に停車しました。
三河島駅のホーム先の空には、かすかな陽の光受ける雲が浮かんでいました。
電車はそっけない素振りで三河島駅を出て、光がまだ十分に届かぬ東京の家並の中をはしり過ぎて行きます。
南千住駅を過ぎて、電車は隅田川を渡りました。
次の北千住駅は、一日の乗降客数が160万人という世界第6位の乗降者数を誇るターミナル駅ですが、普通電車のそっけなさは相変わらずでした。
私がこの先600を超える駅に着発する旅をスタートしたことなど、全くもってお構いなしです。
電車は北千住を出ると直ぐに荒川を渡りました。
東の空に登る朝日が川面を照らしますが、両岸に広がる家々の中で、人々はまだ夢の中かもしれません。
電車が荒川を渡った車窓に、あの「こちら亀有公園前派出所(通称・こち亀)」の連載40年間に活躍した、不真面目でいい加減な警察官 両津勘吉が暮らす町が見えていました。
きっと今は彼も、私と同様に年金生活のはずです。
そして電車は中川を渡り
江戸川を越えて千葉県に入りました。
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