電車は藤代駅を過ぎると小買川を渡りました。
小貝川は関東平野の中をゆったり流れる川で、那須烏山市小貝ヶ池付近を源としますが、写真で見ても分かる通り、その流域の86%が平地です。
この川が流れる、筑波山山麓の下妻市堀篭に200万本のコスモスが咲き乱れる広大な「小貝川ふれあい公園」があります。
筆者は、花を眺める日々を余生のテーマと定めましたので、「小貝川ふれあい公園」を一度は訪ねてみたいと願っています。
電車は龍ケ崎市駅や牛久駅で停発車を繰り返しながら終着駅の勝田を目指しました。
あまり知られていない話ですが、龍ケ崎市の牛久沼は「ウナ丼発祥の地」なのです。
江戸時代後期にウナギ好きな大久保今助という人が、牛久沼の茶屋で渡し船を待つ間にウナギを食べたくなって、蒲焼とドンブリ飯を注文しました。
しかし出来上がったタイミングが船の出発時間と重なったので、今助はドンブリ飯に蒲焼をかぶせて船に乗り込みました。
彼が対岸に着いてからそれを食べると、蒲焼が飯の温度で蒸されて柔らかくなり、タレがしみて、より一層美味しくなったのです。
そしてその話が広まり、いつしか水戸街道の名物となったそうです。
そして今でも、牛久沼の畔には、数件のウナギ専門店が店を構えています。
私はこのような発祥の地とか、元祖、老舗とかいう言葉にめっぽう弱いので、「いつか必ず、牛久沼でウナ丼を食べてやるぞ」と心に決めています。
電車は荒川沖に停まりました。
上り線のホームに白い色の車体のスマートな電車が停まっていました。
土浦発品川行きの特急電車「ときわ」です。
荒川沖から上野までは56分、品川までは71分ですから、ずいぶんと便利になったものです。
ところで、荒川沖駅は関東平野の陸地の中に位置しますので、荒川の沖という名に違和感を覚えます。
しかし「沖」という漢字を調べてみると「岸から遠く離れた場所」という意味以外に「広々とした田畑や野原の遠い所」という意味があるようです。
荒川沖を出た電車は、霞ヶ浦に注ぐ桜川を渡り終えて土浦駅に停車しました。
電車が川を渡るたびに、少しずつ日常から遠ざかる気分になります。
そんな時車内に、「ドアは、自動で開きません。乗降時にはドア横のボタンを押して、お開き下さい。」とアナウンスが流れました。
え!と思いました。乗客が乗降時にボタンを押して電車のドアを開け閉めするシステムは知っていましたが、常磐線の土浦からそれが始まるとは思わなかったのです。
土浦辺りでは、冬の停車時にドアを開けておくと、寒くてたまらないのでしょうか。
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