団塊シニアのひとりごと

定年退職して14年目になりました、定年後の生活で
日々感じたことを伝えたいと思ってます。

泣くかわりに笑って72歳の生涯を全うした男性

2023-07-22 05:29:59 | シニア男性

絵本作家の伊勢英子氏は夫のノンフィクション作家、柳田邦男

氏との対談集「はじまりの記憶」の中で実父についての思い出

を語っている、銀行員で退職後は画家として生きた父とのエピ

ソードは心温まるものがあった

 

進行がんで余命4ヵ月と告知された父は家で絵を描き続けてア

トリエで死ぬ生き方を選んだ、酸素の管を鼻につけモルヒネで

痛みを抑えながら展覧会出品の絵を描き続け10ヵ月を見事に

生ききった、それは壮絶という言葉など全然にあわないユーモ

アとペーソスにあふれた10ヵ月だったという。

 

ユニークなのは告知をうけてまもなく誕生日に免許証の書き換

えに行った、もう自分で運転できない体力だったからタクシー

の往復「もうすぐ死ぬのに更新してどうするの?」という母

ばか、免許証がないとあの世で運転できないじゃないか」

といった父。

 

67キロあった体重が50キロになりMSコンチン止血剤、咳止

め、安定剤など14種類もの薬を服用していたそんな時期でさ

え飄々としていた、泣くかわりに笑い、周囲の人をも笑わせ7

2歳の生涯、死を目前にしてこんな生き方ができるなんて、

晴らしい人間力に心を打たれた。