*「魁!!女塾」*

京都でギターを弾いています。

誰でもぜったいできる

2024年04月28日 | blog


会いたかった人に再会した話です。


わたしが大人になってからルービックキューブができるようになったのは
ある京大生の影響です。

当時、京都大学のそばに住んでいて
一般の人も利用できる京大の学生食堂をたまに利用していました。


すると、食堂の一角に
土曜日の夕方にはいつも
ルービックキューブ全面を10秒ほどで揃えてしまう人々がいました。
目隠しをして全面揃えることができる人もおり
すっかり見入ってしまいました。

京大のキューブサークルの人でした。



当時7歳くらいだったむすこが
「俺もなかまに入りたい!」と100均でキューブをねだり

「突然にすみません
お邪魔でなかったら、そばに座っていっしょにキューブを回してもいいでしょうか」
という内容のおねがいをしました。


わたしと息子もそばに座らせてもらい
キューブを回すようになりました。

お兄さんたちのスゴ技に感嘆しつつ
ただ、黙ってキューブを回す土曜日をいくつも重ねました。


でも、いつまでたっても
わたしたち親子はキューブを揃えることができません。

「ダメだ、いっこうに出来ません…」

と愚痴ったわたしに京大生は

「そんなことはない。絶対に誰にでもできます」
と言いました。


それなのにわたしは

「いやいや、それは京大生という日本最高レベルの天才だからではないでしょーか
我々になんて出来る日は来るのでしょうか」

などと、自虐的なダサい発言をさらに重ねてしまいました。


京大生は
「それは違います。絶対に誰でもできます」と再度断言しました。



その日帰って
ああ、自分、超ダサいな
「京大生だから」なんて言って
出来ない言い訳を探してるだけやんか

と思いました。


そんな自分、キライだ、
わたし、かっこわるい
と思いました。


その日は土曜だったので
翌日、日曜日。
午前中からずっとキューブを研究しました。
8時間かけて、夜には、はじめて全面が揃いました。



そして息子に教えました。


あの頃の京大生はもう京大を卒業し、
二度とあうことはできません。

キューブサークルも
今は存続しているのか不明で
彼らのあとを継いだ後輩に会えないかと思い、
去年、息子は何度も京大の食堂に探しに行きましたが
キューブをしている人はどこにもいなかったそうです。

 

 





あれから7年、
息子はそこそこ腕を上げ、
ルービックキューブの日本大会に出場することになりました。

そこには、日本屈指のキューバーが集まります


わたしは、つきそいで一緒に行っていたのですが
実のところ、そんなにキューブに興味はないので
試合を見ずにキョロキョロ、ぶらぶらしていました。


すると会場でたまたま
古株の人と話す機会が訪れました


すみませんが、この方々の中で
京都大学のキューブサークルご出身の方はおられないでしょうか
とダメ元で聞いてみました。

すると、「ひとりだけいますよ」とある青年を紹介してくれました。



見知らぬ人です。



わたしは、話しました
今日ここにいるのは
京大のキューブサークルの方々に出会ったことがきっかけです
きっとあなたの先輩の方々ですね
みなさんには感謝しています

そうそう当時の写真があります

と、この写真を見せました。

 


 



すると「えっ、この
息子さんの隣に写ってるの僕ですよ」


えっ?!ほんとですか?
だって、手しか写ってないじゃないですか!?


「絶対に僕です
ほら、右手のここにほくろがあります
それに、この色の服、いまも着てます
僕、すごく体重が増えちゃったからわからないでしょう」



!!!!!!


よくみると笑顔に面影があります!
完全に記憶が一致しました。



「あの時、
こんなんできるの京大生だからだろー
なんてインネンをつけた(笑)自分を
ああほんまにダサいなと思って
こんなままじゃいややと思ったんです
目が覚めた思いでした。
あの頃のみなさんありがとう」


なんて、7年ぶりに伝えることができました。



その人は、あれからアジア大会2位にまで上り詰めたそうです。