●巨人打線を7回1失点で2年ぶりの勝利に涙をこらえきれず
「……すごくうれしいです……」
阪神・岩田が5日の巨人戦に先発。7回6安打1失点で09年10月以来の勝利。インタビューで見せた涙は復活までの苦悩を物語っていた。
08年にローテ入りするといきなり10勝(10敗)。飛躍が期待された09年はWBCのメンバーに選ばれ2試合に登板。帰国後に「左肩肩峰下滑液包炎」と診断され、序盤は戦線離脱。結局、7勝(5敗)に終わった。
岩田はその前年、自身が患う糖尿病の研究助成のために1勝につき10万円の寄付を約束。7勝して70万円を寄付した際には、「(来年は)今年の倍ぐらいはできるように」と語っていた。が、昨年はキャンプ中盤に左ひじ痛で離脱。3月にメスを入れ、シーズンを棒に振った。
「リハビリ中は投げられないつらさで精神的に落ち込み、寄付金がゼロだったことをとても悔やんでいた。岩田の活躍で元気づけられる子供の患者さんは多い。今年は寄付を“倍返し”する気でいます」(関係者)
今年は無事に開幕を迎え、15勝を目標に掲げたもののここまで3連敗。7回、6回、6回を投げていずれも3失点以内とゲームをつくりながら打線の援護(いずれも1得点)に恵まれなかった。
そしてこの日も四回に先制を許すと味方打線は中盤まで無得点。1―1の同点で迎えた六回、城島に勝ち越し弾が飛び出し久々の勝利を手にした。
ある球界OBが言う。
「岩田は05年ドラフトの希望枠で獲得した阪神のエース候補。地元の大阪桐蔭高出身で村山(実)元監督の関大の後輩でもある。08年のキャンプでは、木戸、久保両コーチが毎日つきっきりで指導。開花させようと必死でした。ちなみに09年から阪神のユニホームを着た関大OBの山口投手コーチは岩田にぞっこんです。阪神は能見が急成長し、昨年14勝した久保と二枚看板。だが、久保は岩田が09年のWBCで故障した際、緊急補強したロッテ出身の外様。毎年の契約更改で強気な久保はフロントの受けがよくない。球団としては、早く能見と岩田の生え抜き左腕にローテの柱になって欲しいのです」
岩田は「迷惑をかけてばかりだった。これで終わりたくない」と言った。フロントの願いも同じだろう。
上記は日刊ゲンダイから抜粋。
岩田投手には、心から頑張ってほしいものである。