クロの里山生活

愛犬クロの目を通して描く千葉の里山暮らしの日々

イノシシの話

2014-04-04 09:22:28 | 日記
昨夜は居間の方からとても良いニオイが漂ってきた。
あれはシシ鍋とかいう食べ物らしい。
ご主人様は、お客さんが訪ねてくるといつもとてもおいしそうなニオイのするあのシシ鍋をふるまう。

シシ鍋を食べているご主人様の上機嫌な声が居間から聞こえてきた。
「そうでしょう。おいしいでしょう。これはあぶらが乗って一番おいしいロースの部位なんですよ」
「ーーーーーーー」
相手のお客さんはケモノ肉をじっくりと味わうかのように黙々と食べている気配だ。
「シシ鍋はやっぱりミソ味に限りますな」
御油人様は益々上機嫌になってそんな事を言っている。
「このイノシシは近くの山で獲れたものでね、ケモノ肉をさばく名人の村人からいつも譲ってもらうんです」
「イノシシを初めて食べてみましたが、以外にさっぱりしていてオイシイものですな。そういえば最近はフランスレストランなんかでもジビエ料理を出すところがあるようで、イノシシや鹿の肉料理が評判ですよね」

そんなシシ鍋の夕餉の翌日には、ご主人様からそのシシ肉を時々頂戴することがあるので楽しみにしていたのだが、今朝の拙者の朝食には残念ながらひとかけらも入っていなかった。なんとも人情の薄いご主人様である。

一度でいいから、思わずよだれが垂れてきそうなあのオイシイシシ鍋をタラフク食べてみたいものだ。

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桜の話

2014-04-01 08:43:04 | 日記
「まだ咲きませんね」
「里山は寒いから少し遅いんですよ」
数日前にご主人様が隣の家のおばさんとそんな挨拶を交わしていた。

隣の家の前庭には一面に芝が敷き詰められ、その真ん中に1本のソメイヨシノの大木が堂々と立っているのだ。
「あの桜の木の下でお茶をしたらさぞかし気持ちがいいだろうな・・・・」
一年前の今頃、ご主人様は満開のその桜を眺めながら、ため息まじりにそんなことをつぶやいていた。

その桜が、昨日あたりから急に咲き始めた。
「クロちゃん、ほら見てみろ、サクラがきれいに咲いているぞ!」
今朝の散歩の時に、ご主人様は惚れ惚れとその桜を眺めながらそう言った。

しかし拙者には、ご主人様が桜にどうしてそんなに興奮するのか、とんと理解できない。
あの木の花がいかに美しかろうと、その花を食べても全くマズイ。その証拠にミツバチさえ寄って来ないではないか。それにオイシイ実がなるわけでもないし・・・・。
人間様がどうしてあのような物に興奮するのか、拙者には全くガッテンがいかないのである。

朝食後、ご主人様が居間でのんびり新聞を読んでいるのを眺めながら、拙者がそんな事を考えていると、なんと隣のおばさんがニコニコしながらやってきて言った。

「桜が咲いたので、お昼にみんなで花見でもしますか」
「いいですね!」
ご主人様は飛び上がらんばかりに喜んだ。
「では、ワインかなんか持って行きます!」





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