『「利根川・江戸川河川整備計画(原案)」に対する公聴会』が行われ、応募した私は今日、午後1:00~公述しました。
とっても緊張しましたよ。ええ。
何しろ、その公聴会に応募したのが前橋市議選の真っ最中です。選挙でひーひー言っているさなかで、他のことに頭がまわらないままでした。で、公述は前橋市議選の一週間後なわけで。準備らしい準備を整える間もなく、国交省高崎河川国道事務所に行くことになったわけですから。
で、河川整備計画原案って何なのか、また、一体何を話したのか、ということですが、大ざっぱにいえば、「八ツ場ダムを造りますよ」という原案なわけです。
科学的には根拠が弱いことがさまざまな角度から指摘され、八ツ場ダムの建設を続ける理由などもうどこにもない状況なのに、なお続けようとするわけです。
きちんと言ってやらなければ。...できたかどうかはともかく。
場所は国交省高崎河川国道事務所です。行くとスーツを着た職員が大勢で待機してました。おおお。と一瞬ひるみそうになりましたが、まあそれは隠して受付手続きを済ませ、廊下を案内されて会場に入ります。
報道関係者や職員がやっぱりスーツ姿でうろうろしている中、「公述人」の札が貼られた椅子に座りました。小さな会議室に正面左側には事務所の方々が座り、右側には公述人が座って意見を述べる机が、お互いハの字に置かれています。公述人の控え席は最前列。待っている間、いろんな思いが頭の中をぐるぐるしました。
「なんだか、法廷に引っ張り出された証人か被告人みたいな感じだなあ」とか、妙な威圧感に近いものを感じながら、「考えてみれば、アウェーで意見するってことだよなあ」とか。
候補者をやっていたときには、街頭宣伝で演説する内容にしても、割と自由度が高いので、原稿を作る作業もほとんどしませんでしたが、今回はそうはいきません。私はもともと文系で、理系の話って、自分なりに消化するのにも、とっかかりを得るのに苦労する方なんです。
いいかげんなことを言うわけにもいきませんから、それなりに内容を吟味しながら話す必要があり、そうなれば原稿なしで話すなんて不可能だと考えました。
私が話した内容を大まかに。
1.利根川・江戸川本川だけが対象の原案であり、支川も含めた計画案の策定が必要。
2.治水目標流量の設定が17,000㎥/Sは過大な数値であり、科学性に乏しい。
3.治水でも利水でも、八ツ場ダムの必要性がないことは明白。地質も脆弱である。
4.ダム建設よりも、堤防強化やゲリラ豪雨対策など、急がれる課題がある。
5.ダム建設自体が目的化していることが問題。公共事業の目的は国民の安全や利益を守ること。
...というところかな。
公述でもふれましたが、昨年候補者としての活動をする中で、吾妻へ足を運ぶ機会が増えました。あるとき、間近でカモシカを見たときには本当に感激しました。
よく知る人は、珍しくもないといった風情で「カモシカは好奇心が強く、ひょっこり出てくることがある。目があまりよくないので、逃げ出すのも遅い」と教えてくれました。
後日、草津の栗生楽泉園付近でも、道路の真ん中にたたずむカモシカに遭遇しました。
こういう自然が残っていることに感動しつつ、生態系の危うさや、大型公共事業によって人間が与えてきた国土へのストレスがいかに大きいかを感じました。
まあ、こういうのを誰かに言わせれば、「感傷」であるというのでしょうが、私自身、モチベーションの大きな部分はそこです。
「科学」は重要な要素であり、これを正しく貫くことは大切ではありますが、国交省の出す科学性の希薄な原案を科学で斬るための研究の動機が、こんなことだっていいんじゃないかと思っています。
あ、そういえば、関東整備局の方は、「個人情報は伏せて内容を公開」って言ってました。建物を出るとき、朝日新聞の記者さんと上毛新聞の記者さんにも呼び止められ、「5区で立候補した糸井さんですよね?」と聞かれました。記事にする時には名前を出さないように言いましたが、ここでこんな風に書いちゃえばバレバレじゃないですか。
ま、いいか。