羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

サキ短編集 1

2016-09-14 19:07:31 | 日記
『二十日鼠』中年になるまで母に守られていたというのが利いてるが、それでも一人で旅立った主人公の姿に辛口の優しさが垣間見える。
『平和的玩具』極めて政治的思惑の元に左一色に乗っ取られた日本の児童文学界に一撃喰らわす見方だが、これはこれで一面的な気もする。
『肥った牡牛』最高。「男って気狂いだわっ!」ホント、最高。
『狼少年』本当に人外を出すとは意外。浅はかな善の愚劣と、死の誘惑。
『話上手』傲慢だが、自嘲的。玩具の話もそうだが、ちょっと子供が都合良過ぎる気もする。
『七番目の若鶏』創作の虚しさと必然的な罰。
『運命』他者変身と絶対的罰は繰り返し描かれる。
『開いた窓』ホラーそのものだが喜劇であり、ホラー自体喜劇的なジャンルでもあるなと改めて思わされた。
『宵闇』半端な善は必ずしっぺ返し。
『ビザンチン風オムレツ』労働組合とその支援者を強烈に茶化しているが、髪を確認する姿や太公の訪問、トルコ風呂、表題のオムレツと空虚なモノ達の誘惑も印象的。
『休養』やり過ぎな童話。妙な親しみもあり、ヴェラが何やらチャーミング。

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