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羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

わたしを離さないで

2016-03-06 16:20:25 | 日記
ドラマ版の美和は弱いが素直で、結果的に恭子と親密に最後の時を過ごした。ルースは強くあろうとし、名誉を重んじるところがあって、最後のその時まで恭子に当たる人物キャシーとは硬質な他者同士のかかわり合いと信頼があった。芸術による救済の描写は無い。代わりにビスケットとミネラルウォーターが活躍。ルースはもう何も作らず、ただ話し合うばかり。やっぱり男性的な描写。キャシーに対するちょっかいも違っていて、気高い人なのに、あんな人生を選びあんな最後を迎える、そこに現実の何かや誰かを重ねられていたんだと思うが、美和はまた別の何かや誰かを表す人物として作中で役割を終えていた。
最初から受け入れたワケではなく、美和も取り乱した分、『天使』の定義を改めてドラマの恭子は口にする。血を吐くような、しかし必要な嘘。求められる言葉が一切善じゃないっていうのをいっそ振り切れてスパッ描けるの特殊設定物ならばこそ。だが、処々の世界観の補完描写が今回もあったが、もうちょっと早い内に台詞以外でもさらにそういう描写があれば世界観の違和感自体がこの物語の味として機能した気もした。子役編が終わってもしばらくは漠然としていたからさ。原作はもっとあっさり解説だけど。
恵美子が写真を燃やしていたが、亡くした子のクローンを作ったが提供用にしか利用されず、反って同じ姿の子を殺され続けるハメになったというような話か? どうなるにせよこの世界観で実子を持ち出すとなると悲惨な背景と思われる。それでも「連れてきてくれた、皆が、ここへ、私を」と恭子が言って友彦と抱き合う今回のラストはこのような世界観であってもこの二人が救われる瞬間をクローズアップして描いたのは、希望を見せたかったのかもしれない。

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