羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

うしおととら 1

2015-09-26 21:38:59 | 日記
とらが山の木の天辺で沈黙し、鎌鼬兄妹が助太刀する為に森の中を疾走する中、うしおは老人を連れて村までたどり着き、パン屋で一息ついていた。「だぁはぁっ! こんなにパンが美味いとはねぇ」クリームパンをかじり、瓶の牛乳をゴクゴク飲んだうしお。「ほら、おまけ」うしおの食べっぷりにパン屋のオバさんはもう1つクリームパンをくれた。話半分でうしお達が襲われた『化け物』の話になり、そこから崖から落とされたバスの話になると「乗ってた人達は?!」潮は食い付いた。「乗客は無事だっていうけど?」「そっかぁ」安心する潮。ここで店の奥で赤子が泣き出し、オバさんが老人に店番を頼んで奥に引っ込むと、潮は老人と二人になった。
「この槍を抜いた時が、始まりだったんだ」店の周囲に妖怪達が集まるのには気付かず、潮は老人にこれまでのことを話し出した。クリームパンを二つ食べ終え、3つ目の袋を開けた辺りで一通り話し終えた。「ほぉ、そんな訳があったのかい」「信じられないだろ? 俺だって考えてもみなかった。だけど、近頃これが慣れてきちまったんだな」「妖怪を殺すことにかい?」ハッとする潮。「違うわい! 妖怪がマジにいることにさっ。たとえ化け物だって、殴った手の方が痛いこともあるんだ」
老人は潮を見ていた。「そんなことよりさ、爺ちゃん。さっきから俺ばっか食ってんだよぉ、爺ちゃんだって腹減ってんだろぉ? オバちゃん! パンもう1個、貰ったよっ!」潮は新しいクリームパン1つと瓶牛乳を老人に渡した。それらをしげしげと見詰める老人。「食ってみなって、ウメぇんだぜ? クリームパン」開けていたクリームパンをかじる潮。「妖怪もこの味がわかれば人間と少しは仲良くできんのによぉ」黙って見ている老人。店を出た潮は、「どうすっかなぁ、爺ちゃんとこ泊めて貰おっかなぁ」などと話していたが、気配を察した潮!
     2に続く

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