労働者は泣き寝入りするしかないのか?社労士は役に立たないのか?

2014年06月14日 | 日記

労働政策研究・研修機構の浜口桂一郎氏が労働局の斡旋(あっせん)について分析しています。

労働局内にある総合労働相談コーナーでは、主に労働基準法に規程のない事柄について相談に応じています。たとえば、解雇された(してはいけないという規程はないのです)、労働条件を引き下げられた(引き下げてはいけないという規程もないのです)、いじめや嫌がらせを受けたなどです。民事上の争いといえます。労働者からの相談を受けて、会社に対し助言や指導をしてくれます。

その他に、斡旋というものがあります。紛争調整委員が労働者と経営者の間に入り、双方の言い分を聴いて調整します。こうするのがいいんじゃな~い?ってかんじでしょうか。双方が納得すれば紛争は解決です。原則1回で終了です。なんべんも集まって話し合うもんではないのです。短い、というのが特徴です。メリットなのかデメリットなのか…

まずいところは、なんら強制力がないところです。経営者は呼ばれて行かなくても罰は下りません。斡旋案に対しても同様です。無視する経営者は多いようです。

今回浜口氏が対象としているのは、4つの労働局で2008年に扱われた1144件の斡旋です。

斡旋という制度は、小規模企業の労働者や非正規の労働者がよく利用しているようです。

分析結果を簡単にまとめると

*労働審判(平成18年に始まった、通常の裁判よりも短い時間で結果の出る司法制度)では、労働者の8割以上が弁護士に依頼しているが、斡旋では弁護士ばかりか社労士を頼む例もほとんどない。(斡旋では、特定社会保険労務士は事業主や労働者の代理人として交渉ができるんですーー知られざる世界かも…)なんでやろ?その理由は…

*斡旋申請から1か月くらいで、解決ないし未解決で終わっている。強制力ないですから…でも、未解決って…いくら迅速に1回で終わっても、解決できないんじゃ意味ないやろ…って思うのですが。

*事案の内容は、解雇・退職勧奨・雇い止めなど雇用終了に係るものが66%、いじめ・嫌がらせが22%。

*強制力がないので、4割強が不参加。残り6割弱は参加はするものの、合意に至るのはそのうちの3割。合意しない場合、通常の裁判に移行する労働審判との大きな違い。

*解決金額は、10万~20万が一番多く、次が5万~10万、20万、30万円台は13%。平均17万。

弁護士も社労士も入らないからこんな金額になってしまうのか、こんな金額だから弁護士も社労士も入らないのか…関与した場合の解決金額との差異はどの程度なのだろうか。

労働審判の場合、平均140万で、低すぎるというのが弁護士側の意見だそうだ。

労働問題を扱う弁護士は非常に少ないそうだが、そのなかでも経営者サイドの弁護士はごくごく少数である。ほとんどが労働者サイドである。一方、社会保険労務士は逆である。そもそも紛争解決が専門ではない。社会保険や労働関係の手続きの代行が主たる仕事である。それプラスというか、包括して労務管理などを請け負っている社労士が多いと思う。経営者から顧問料としてお金を受け取っている場合、労使間紛争においては、当然ながら会社側に立つ。ここで思うのが、社労士は弁護士ほど徹底して依頼者のために働くことができるのか、その義務があるのかということです。手続き業務がそもそもの仕事である以上、会社と契約することが多いのは当然だが、手続き業務や給与計算をしていれば、違法なこと、人道的に許されないこともみえるはずだが、その際社労士はどう対応しているのか、するべきなのか。労働者が明らかに不利益を被っているにもかかわらず、経営者が依頼主なら見過ごすのか。それとも是正を促すのか、それは社労士にできることなのか、場合によっては顧問契約解消もありうるが、仕事を失ってでも倫理を曲げずにいられるのか。

労働審判で特定社会保険労務士が代理人となることに対し、「とんでもない!」と反対する人もいるが、(社労士は法律なんてわかっていない、経営者のろくでもない言い分を正当化ばかりしているとかで、労働者側の弁護士が猛反対している)社労士自身はどうなのだろうか。代理人となった場合、弁護士のように徹底して依頼者側に立つことの厳しさをどのように思っているのだろうか。

 

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