写真・1920年第一回メーデーのデモと官憲
1920年の主な労働組合(読書メモ「日本労働年鑑 第2集/1921年版」大原社研編)
第一篇 労働組合
①日本労働総同盟友愛会
1920年10月の8周年大会で「全国の各種職業別並びに産業別組合をもって組織する」と期した。現在産業別組合数12、地方支部158。これを東京連合会、大阪連合会、神戸連合会、九州出張所、海員部所轄及び本部直轄地方支部に区分し、統制している。
②労働組合同盟会
1920年5月16日創立。14の労働組合・団体が連合した。日本交通労働組合、友愛会、信友会、正進会、大進会、啓明会、汎労会、工人会、紡績労働組合、東京電機及機械鉄工組合、工友会、東京鉄工組合、日本鉱夫総同盟、日本機械技工組合の14の労働団体で構成。
③日本印刷工組合信友会
1917年4月設立。労働組合同盟会に加盟。
④全日本鉱夫総聯合会
1920年10月20日設立。全国坑夫組合、大日本鉱山労働同盟会、友愛会鉱山部の連盟が成立した。会員5千人、足尾、日立、北陸、の各鉱山、北海道夕張、九州各鉱山に及んでいる。
⑤啓明会
1920年2月設立。教育者により組織。「我らは教育者なり。教育者としての天職を自覚し、自由を獲得し、万民の味方としてこれが救済と指導とに専念し、人類の対する熱愛に目覚めんとす」。機関誌『啓明』を発行。
⑥日本交通労働組合
1919年9月3日創立。東京電気局電車従業員、東京市街自動車運転手、玉川電車従業員、王子電車従業員で組織。一時8500余名が加入。
車掌、運転手、信号手など8200名、自動車運転手300名。1920年春の数度の争議(市電2回、王子1回、玉川1回、市街自動車1回)の結果、指導部分の多くはクビ、投獄された者362名にのぼったが、この秋理事長中西伊之助氏らの出獄により、徐々に組合の態勢を挽回しつつある。機関誌『交通労働』を発行。
⑦汎労会
1920年1月創立。東京、神奈川で会員を有し、機械工2056名、伸銅工293名、自動車修繕工350名で、小石川支部・山の手支部・横須賀支部・海岸支部・尾久支部・千住支部・新宿支部の8支部で統括。機関誌『労働新報』毎月発行。
⑧大日本機関車乗務員会
1920年4月13日創立。全国の鉄道労働者で組織。約3千名の会員。機関手1500名など東京、大宮、長野、直江津、新津、高島、高崎、横川、小山、成田、品川など18の支部を置く。支部は会員3名以上で成立し、2支部以上で分会とする。
「宣言
我らは政府当局者が徹底的に社会政策を行うことを要求す。我らは有産階級が徹底的に社会奉仕を行うことを要求す。さらに我らは我らが国有鉄道の従業員たるがごとく、一切の労働者が我らと同一の対国家関係に到達せん事を全同胞に要望す。実に我が国を世界的不安より救う道はこれを他にしてあらざるなり。」。機関誌『国家の血脈』発行。
⑨東京印刷工組合
1919年10月創立。東京製本合資会社、千代田印刷株式会社、秀英舎、三協印刷株式会社、民友社、日進会、日新印刷株式会社、東亜印刷株式会社などの労働者で組織。機関誌『協調』発行。
⑩工人会
1919年9月創立。築地の海軍造幣廠の労働者約千名で組織。労働組合同盟会に参加。
⑪大進会
1919年9月創立。東京小石川博文館工場内に事務所を置く。1920年現在約1600名。3支部。印刷・植字・文選・製本・鉛版など印刷労働者で組織。ストライキも経験し、メーデーにも参加。労働組合同盟会に参加。機関誌『大進』発行。
⑫日本水火夫長組合
1919年3月創立。横浜の船舶海員の210名の水火夫長で組織。友愛会の元主事の板倉定四郎が幹事。
⑬関西労働組合聯合会
1920年10月設立。友愛会大阪聯合会、大阪印刷工革新同志会、大阪洋服裁縫組合同志会、大阪印刷工組合、向上会、関西鉄工組合鉄心会、電業員組合、大阪商工青年団、伸銅工組合、新進会、人力車夫聯盟会、関西屋外労働誠友会、大阪仲仕人夫労働組合が連合。
⑭大阪印刷工組合
1919年1月設立。大阪における活版工・文選工・植字工ら印刷労働者約1300名で組織。会長賀川豊彦。
⑮友愛会大阪莫大小界
大阪の莫大小(メリヤス)業界の労働者で組織。
⑯商業使用人組合新生会
1919年2月創設。大阪の会社員、銀行員、商店労働者で組織。
⑰大阪刷子工組合
1919年9月設立。大阪市内のブラシ・はけ(刷子)製造労働者で組織。
⑱大阪沖仕人夫労働組合
1919年6月創立。組合員約500名。
⑲電業員組合
1920年3月21日設立。大阪市内と周辺の電燈と電車労働者約1600名で組織。同年11月関西労働組合聯合会に加入。
「宣言
国家は我らの棲家なり。労働は我らの天職なり。正義は我らの信条なり。平和は我らの理想なり。
我らはこの観念に立脚して真の幸福なる社会建造の使命に貢献するところあらんとす。」
⑳日本機械労働組合
1920年10月設立。組合員286名。
「宣言
(中略)本組合は皇国を基礎としての自由平等を追及す」
㉑関西屋外労働誠友会
1919年11月設立。屋外で働く労働者で組織。
㉒向上会
1919年11月設立。大阪・名古屋の兵器製造労働者4200名で組織。
㉓大阪鉄工組合
1919年5月設立。8支部の1200名。
㉔大阪ショフワー交友会
自動車運転手と助手320名で組織。
㉕伸銅工組合新進会
1919年9月設立。組合長賀川豊彦。会員約800名。住友伸銅場、東洋伸銅株式会社を主な地盤としている。
「主張
(中略)我らは普通選挙の即時実行と治安警察法第17条の撤廃を期す」
㉖大阪純洋服職工組合
1920年2月創立。大阪市内の洋服店は4千余り、裁縫工は2万余人だが組合員の数は不明。
㉗日本労友会
1919年10月設立。八幡製鉄所と地域の労働者8千名で組織。会長浅原健三、副会長西田健太郎。1920年八幡製鉄所大ストライキで会員多数が収監、クビにされた。
㉘鉱夫協会
1919年8月創設。北九州、福岡、粕屋炭田坑夫1千名。幹部が八幡製鉄所の大ストライキを徹底的に応援した為、炭坑資本からの弾圧が激しくなり、衰退。
㉙同志会
1919年設立。八幡製鉄所内労働者3500名で組織。八幡製鉄所の労友会や友愛会による2万5千人の大ストライキのそのさなかに作られた労資協調を標榜する企業内労働組合。労友会とはげしく対立した。
㉚博多織職工組合
1920年5月27日設立。博多織職工で組織。組合員453名。