1973年(昭和48年)3月2日最高裁第二小法廷判決は「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨である」としています。
つまり、有給休暇の届け出・申請用紙にある「理由欄」に理由など一切書く必要はないのです。「私用」とすら書くこともありません。ましてプライベートの休暇の中身を会社に教えてやる事など更々ありません。上司が「何で休むの?」と聞いてくることも本来はあってはならないことです。
そもそも、年次有給休暇は、会社や上司が労働者の「理由」によっては許可してやるとか、認めてやるとかという類(たぐい)のものではありません。大体、年次有給休暇は会社が恵んでくれたものでも、会社内の制度ではなく、最初から祝祭日と同じ、労働者の休暇・休日を定めた国の制度・法律なのです。
それが、「うちには有給休暇はないよ」とか、「有給休暇をくれなんて10年早い」とかを平気でいう会社や上司がこの世の中にはたくさんいるから嘆かわしい。法律を否定する会社や上司は犯罪を犯していることに気が付いていないのでしょうか。
労基法第39条違反は「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」です。れっきとした犯罪なのです。
・時季変更権を行使する正当な事由がないのに時季変更を求めた場合(大した理由もないのに、この日はだめだ! ほかの日にしろ!)
・労働者の指定した日に出勤を命じた場合(休む前日の夜に上司から電話で緊急出勤命令!)
・休暇を与えた場合でも所定の賃金支払日に年休取得に係る日の賃金を減額して支給する(有給で休んだ月の給料が減っている!)
以上のような場合に、労基法第39条の違反が成立します。
会社側には「時季変更権」が? 確かに、会社側には「時季変更権」はあります。あるにはありますが、
最高裁は
「勤務割の体制がとられている事業場において、使用者としての通常の配慮をすれば、代替勤務者を配置することが、客観的に可能な状況であるとみとめられるにもかかわらず、使用者がそのための配慮をしないことにより代替勤務者が配置されないときは、必要人員を欠くものとして事業の正常な運営を妨げる場合に当たるということはできない」
「使用者に対し、できる限り労働者が指定した時季に休暇を取得することができるように、状況に応じた配慮をすることを要請していると解すべきであって、そのような配慮をせずに時季変更権を行使することは、、右趣旨に反するものといわなければならない。」
「事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきである。」
と言っています。
つまり、労働者が有給休暇で休む時の為に、あらかじめ職場としての配慮や代替え勤務者を用意していない会社に「時季変更権」など使えないよという訳です。
こんな法律すらも守らない会社は、みんなで労働組合を作り変えていきましょう。 職場の仲間たちと相談しませんか。