先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
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「浜松(日本楽器)争議に対する決議」関東地方評議会合同大会 1926年の労働争議(読書メモ)

2023年02月13日 07時00分00秒 | 1926年の労働運動

「浜松(日本楽器)争議に対する決議」関東地方評議会合同大会(1926年9月19日)
参照 協調会史料

—評議会の日本楽器争議総括です―
浜松争議に対する決議 (関東地方評議会合同大会1926年9月19日)
浜松争議
 浜松における日本楽器会社の105日に亘るストライキは争議団員の結束の強さと、官憲と資本家とその召使いである暴力団との共同戦線による圧迫、迫害の猛烈さと、小作人による罷工団の応援と、長期間のストライキとにおいて、確かに最近における代表的な階級闘争であった。

(略)・・・この争議の原因は労働者の劣悪な労働条件に対する改善の要求が、資本家によって拒絶されたことにある。この故にこの争議は初めは労働力売買の紛争であった。しかるに労働者の要求が甚だ妥当であったにもかかわらず、資本家は全力を挙げて労働者に対抗し、会社は40万円の損害、警察は5万円の臨時増額をもってこれに当たった。これは一体何を物語るのであろうか?  それは労働者の僅少な労働条件の改善に対しても、現在の資本家は一歩も譲歩しないことを実証し、官憲は民衆の租税を労働者圧迫に露消して資本家を擁護するものである事を実証したのである。成るほどこの争議は労働者の敗北に終わった。しかしこの敗北は資本家、官憲、暴力団の共同戦線の力が強かった為ではなく、争議団以外の応援が薄弱であり、大多数の組織労働者及膨大な未組織労働者の階級意識が貧弱であったことが大なる敗北の原因である。更に部分的には評議会の争議基金が僅少であった事と、官憲が争議指導者の大衆的逮捕を行った事と、資本家が一部の労働者を好餌をもって誘惑した事も大いに作用している。しかしこの争議は悲観的な方面ばかりであったわけでなく一面には大いに積極的楽観的方面もあった。小作農民が米その他を支出して争議団を応援したことは特に労働者が銘記しなければならないことである。(略)・・・労働者、農民の融合を具体的闘争場面において、農民の側から積極的に実現したということを意味するからである。この尊い経験は今後ますます発展させなければならないものであると同時に、労働者は今までよりモット意識的積極的に小作農民と融合しなければならない。その次に今回の争議は労働者の団結と階級的自覚がいかに偉大なものであるかを示した。(略)・・・三井の資本と官憲の擁護とにもかかわらず、資本家は労働者の団結と階級的自覚をどうする事も出来ず、この労働者の力の前には40万円の損害と5万円の警察費を消費するを余儀なくされたのである。これは労働者がもっと広範に、強固に、自覚的に団結すれば労働者の地位向上は易々たるものであることを暗示するものである。

英国総罷業と浜松争議
 浜松の日本楽器争議と前後して、全世界を震撼させたの英国労働組合会議総評議会の指導による英国労働者の総罷業が勃発した。英国は資本主義の先進国であることと労働運動の日和見主義者、改良主義者によって指導されていたことをもって知られていた国であるが、英国帝国主義の凋落(ちょうらく)による資本の攻勢と労働階級の生活悪化とは英国労働者の階級意識を鮮明にし、1921年の「暗の金曜日」の経験は、坑夫の生活悪化であるという自覚を与え、ついに今回炭坑資本家の坑夫攻撃に対して英国全労働者階級として総罷業をもって答えしめたのである。しかし政府、資本家の組織的、計画的、積極的な労働階級攻撃に対して右翼及び『左翼』指導者の無活動と裏切りと降伏とはついに総罷業を敗北に終わらしめたのである。この故に英国総罷業の敗北は右翼及び『左翼』指導部の無活動と裏切りと降伏とにあるので即ち日和見主義者、改良主義指導者の敗北であって、総罷業の無力でも、また労働階級の全階級的団結の無力でも何でもないのである。この英国総罷業の敗北と浜松争議の敗北について次のことが言える。英国の場合は大多数の労働階級が、資本家階級下の膨大な大衆は階級的連帯責任に燃えていたのに反し、組合総評議会の指導者の裏切りと降伏で敗北したのであるが、浜松の場合は一浜松、もしくは一評議会だけがこの争議に連帯責任を感じていただけで、他の労働団体における組織労働者及一般未組織大衆はなんら連帯責任を感じなかったことが敗北の最大な原因である。これは悲しむべきことであるが事実である。・・・・(略)一労働団体に加えられた圧迫は全労働階級に加えられた圧迫であると、全労働階級が資本家に反対して立つことである。更に平易にいえば、労働階級が資本家・官憲の共同戦線に対して労働階級の共同戦線を具体的な新たな争議の場合に適用することである。ただし狭い職業組合的、群小割拠的偏見の支配している我が国の労働組合運動は、かかる階級的行動を今回の争議において発揮はし得なかった。これは我が国労働運動の欠陥である。この欠陥は目の上のコブの如きのもので、これあるが為に我が国の労働運動は可能な範囲における十分なる威力を発揮することができないのである。故にこの職業組合的、群小割拠的偏見は、我が国労働階級の階級闘争と生活向上の障害物であるということができる。
 この偏見を除去し得る手段は、わが国労働組合を産業別的総合同に統一するより外に手段はないのである。

結論
 浜松争議の結論はこうである。
 現在の我国の資本階級は労働者の僅少な生活改善にも譲歩せず、徹頭徹尾労働者の生活低下のみ心がけ、大資本と官憲の擁護の下に個々の戦線において労働者の闘争を打ち破っている。
 この組織的な資本の攻勢を前にして、労働階級の個々の闘争では甚だ勢力が微弱であり、常に敗北を運命づけられているから、労働階級の生活状況を維持改善するにはどうしても、全階級的に団結しなければならない。そして此の階級的団結を階級的精神で統制しなければならない。此の全労働階級の階級的団結を結成する過程として、我が日本労働組合評議会は全国組合会議をあらゆる可能を利用し、全力を挙げて作り出すことを日本の全労働階級に誓うものである。
 更に小作農民の今回の争議の応援に鑑み、今後益々小作農民との融合を深め、小作農民が地主との闘争を遂行する場合に我が労働組合評議会は全力を挙げてこれを応援し、物質的・精神的な援助を吝(お)しむものでない事を誓うと共に、労働者・小作農民が経済的闘争において組織的に融合する為に、労農組合会議の設置をも賛成するものであることを公表する。



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