先輩たちのたたかい

東部労組大久保製壜支部出身
https://www.youtube.com/watch?v=0us2dlzJ5jw

王子電気軌道株式会社(王電)争議―1928年の労働争議

2025年02月10日 13時32分35秒 | 1928年の労働運動

王子電気軌道株式会社(王電)争議―1928年の労働争議

1928年の陸上交通における主な労働争議
 王子電気軌道株式会社(東京)1927年12月からの争議は28年1月に解決  約300名 市電自治会(250人) 現実同盟(20人)
 東京乗合自動車会社実用自動車部(東京)1927年10月からの争議28年1月に解決 370名 東京自動車従業員同盟系
 日本航空輸送研究所(大阪)3月       20人
 九州電気軌道会社(福岡)4月    300人  総同盟
 大阪エロータクシー(大阪)5月   40人 
 ツーリング自動車会社(東京)6月    100人 東京自動車従業員同盟
 東京市電自動車部(東京)6月・12月  2000人      市電自治会
 目黒蒲田電鉄会社(東京)6月  市電自治会(200名)   関東電気労働組合(15人)
   東京横浜電鉄会社(東京)7月    市電自治会(?名)       関東電気労働組合(13人)
   鞍手軌道会社(福岡)8月        200人
 旭自動車会社(岡山)8月         15人
 国際通運自動車部(東京)8月     75人 東京自動車従業員同盟系
 目黒自動車株式会社(東京)9月    20人 東京自動車従業員同盟
 東京乗合自動車会社(東京)10月      850人 市電自治会
 池上電鉄株式会社(東京)10月
 高知電鉄会社(高知)12月      250人 高知労働
 東京地下鉄会社(東京)12月      30人
 浅草合同運送株式会社(東京)12月      33人 総同盟運輸労働組合

王子電気軌道株式会社(王電)争議―1928年の労働争議
参照・協調会史料

会社 王子電気軌道株式会社(王電)——電灯供給、鉄道、バス等
本社 東京北豊島郡巣鴨村
争議団 約250名(市電自治会王子支部―本部派)  市電自治会現実同盟派(約20名)  
応援  市電自治会郊外支部(2000名)等

(嘆願書)
1927年12月王子電鉄従業員、運転手や車掌約300名の従業員代表者10名が来社し、王電会社当局に以下の嘆願書を提出した。
嘆願書
一、古い単車を、新しいボギー車と交換して下さい。
二、監督者は今後従業員中の最も会社の事情に通じ事業に熟練した者を採用して下さい。
三、被服貸与は2ヵ年に一着では破れたり汚れたりで、乗客に不快の感を与えますから一年一着を貸与して下さい。
四、信号手は車掌運転手と同様に一ヶ月皆勤したならば精勤賞を支給して下さい。

(全面対決の会社—解雇攻撃、暴力団雇い入れ)
会社は暴力団神田組を雇い入れ、会社の制服と外套を着せて行動させた。12月1日、会社は10名の従業員代表者を、突然会社に呼びつけ、こん棒や鉄棒を持った暴力職員の包囲の中でなんら理由も示さないままクビを申し渡してきた。労働者が抗議行動を行うと、さらに6名を出勤停止にしてきた。王子電鉄争議が開始された。会社は多くのならずものを本社の屋上に寄宿させて労働者を威嚇させた。また新たに電車の乗務員として経験のある約300名近くの元車掌や運転手を採用した。あらかじめストライキを予想した組織的計画的な解雇攻撃であった。

(応援)
12月5日夕方、王子争議団は西巣鴨の巣鴨会館において会社糾弾演説会を王子争議団員約80名など約170名の参加で開催した。
応援として市電自治会本部派、市電自治会現実同盟派、東京合同労組、労農党北部支部らが参加、応援演説をした。演説会終了後、労働者は午後10時王子電鉄終点まで警察の弾圧にあいながらも抗議のデモを行った。

(会社)
12月6日会社は要求の全てを拒絶してきた。ただちに同夜午後7時王子演芸館で王電労働者約200名の報告演説会を行った。

(現実同盟派の裏切り)
市電自治会現実同盟は要求の一部を会社と先に手を結び、自派の主導権で争議を解決させることで王子会社に現実同盟派の勢力を拡大させようとそのチャンスを待っていた。
12月7日、会社は市電自治会本部派を出し抜くため現実同盟派(総同盟本部)とはかり、わずかばかりの労働条件改善と出勤停止7名のうち4名の出勤停止を解除する一方で10名の解雇はわずかな金で承認させる争議解決案が合意された。また現実同盟派は、「我々穏健なる組合主義に立脚した・・・わが労働組合の承認」など争議団とは別の独自嘆願書を会社に提出した。会社はすぐに「穏健適法なる労働組合ならば会社はこれを承認する」と回答してきた。
同上印刷ビラ
「王子争議団を会社に売りつけた現実同盟の陰湿なる裏切り行為の真相を暴露す」

↑クリック

(暴力団の襲撃)
12月8日争議団は最後の態度を決定しようと王子電鉄従業員大会を開き以下の決議をした。会社制服を着た20名の暴力団員と現実同盟は大会を混乱させようと襲撃して来たが、憤激した会場の労働者の力で暴力団らを追放した。しかし、この混乱と隙をねらった会社と現実同盟派は乗務員を出張事務所2階に強制的に連行し、暴力団の立ち合いのもと乗務員を脅迫し無理やり妥協案に調印させてしまった。
決議文
一、再嘆願書を提出すること
一、暴力団を即時解体すること
一、新規採用者を即時解雇すること

(「現実同盟」への反感)
争議団(市電自治会王子支部―本部派)約250名は、現実同盟派約20名が会社側と通じ争議団を裏切ったとして、現実同盟を争議団から追放することとした。

(王子支部大塚線労働者17名連名の声明書ビラ)
御用党現実同盟より脱退し
王子支部争議団の統制下に同一行動をとらんとする
吾等の態度を声明し
併せて秋田、伊藤、岡一派を排撃す

・・・資本家と結託して争議団の分裂を行うことによって我が王子支部の運動を破壊せんとの陰謀なることが、彼等秋田、伊藤、岡等の行動によって明白なるが故に、ここに署名を取り消し、現実同盟を徹底的に排撃することを誓うと共にあくまで労働組合たる王子支部争議団統制の下の目的貫徹のためにあくまで運動を統制せんことを声明す
市電自治会王子支部大塚線17名の連署

(市電自治会郊外従業員大会、官憲の検束弾圧)
12月9日市電自治会郊外従業員大会と応援演説会を郊外各支部員300名で開催。「今回の王子支部の問題は、吾等郊外支部二千名の死活にかかわるもの」として「共同闘争」を宣言した。カンパと争議支援金の徴収も決めた。また「現実同盟」排撃も決めた。演説会がはじまるや弁士の応援演説に臨監警察官が「中止」命令を連発したため、場内は喧噪を極め、労働者は「会社に押しかけろ!」「重役を葬れ!」と次々と叫んだ。警察は5名を検束弾圧してきた。

(市電自治会郊外支部決議)
郊外支部は、「争議、演説会への動員」、「検束者救済同盟を組織する」、「15日の演説会当日は、電車終点より徒歩にて示威(デモ)的に会場へ繰り込むこと」、「支部員は必ず支部旗を持参すること」を決議して2000名郊外支部組合員に指令した。

(会社)
会社は争議団の動揺と分断を狙い、3名の出勤停止を解除してきた。一方で10名の解雇者は絶対に復職させないと表明した。

(争議団ニユース№1 自治会王電争議団)
見ろ!  争議団の意気を!!
昨夜の従業員大会は三百名以上——盛大だった。
 暴力団の解体
 裏切者 前職者雇い入れ 即時取り消し
 現実同盟代表秋田、伊藤、添谷の否認
 現実同盟と会社との間で作成した争議解決反対!
 強制調印絶対反対!
 両嘆願書の提出!!
等を決議し、あくまで現実同盟の裏切りと会社の暴圧に最後の一人までも戦うことを血盟した。

会社の強制調印なんかハネ飛ばせ!
押した者は直ちに取り消し運動に参加せよ!
 秋田、伊藤、岡、添谷等の会社の御用代表を蹴とばし
階級的な吾々の従業員代表をだせ!
直ちに署名せよ!

(官憲の弾圧)
12月17日午後1時頃、王子電鉄本社で開催されていた株主総会に決議文を提出しようと争議団は一挙に本社正門に押し寄せた。会社の抵抗を跳ねのけ入口を突破し、ついに本社の中に押し寄せ決議文を置いた。所轄巣鴨警察がおそいかかり現場で3名、その後更に9名が検挙された。26日、27日の両日、自治会本部派の連続示威行動が約200名以上の組合員で闘われた。幹部5名が検束され弾圧された。王電争議を通じて警察は13名を投獄し、しかもその内3名は検事局において起訴された。

(王電争議団ニュース 1927.12.26)
吾等の犠牲者を出迎えろ!!
       総動員して市ヶ谷へ!

天野君等八名の犠牲者は愈々、本日午後六時市ヶ谷刑務所から釈放されることになった。争議の尊き犠牲者として十日間も暗い牢獄に監禁された同君等は今日青天白日の身となって市ヶ谷から釈放される。
 会員は総動員してこの犠牲者を出迎えろ!
時 午后六時に市ヶ谷刑務所出獄
集合午後三時までに争議団本部に 総動員して出迎えろ!!

(惨敗)
争議団は12月27日限り争議の一時打ち切りを決定した。1928年1月7日解雇された9名は解雇手当と金一封を受け取った。1月8日、9名は争議団本部で記念撮影を行い、争議打ち切りの以下の声明書を発表した。

(敗北声明書)
   親愛なる王電従業員諸君に告ぐ
吾が王電従業員は自己の安定と社会的地位の向上を目的としてその貫徹のため市電自治会王子支部を組織したのである。然して吾が自治会王子支部は創立以来幾多の苦闘を続けた。然しながら過去の闘争は大体において従業員側に有利に解決されたのである。その原因は何故かといえば王子支部の会員は常に一致的行動をしたからである。打って一丸としたからである。強大なる団結の威力をして資本家を戦慄せしめたのである。

 王電の兄弟 諸君!!
吾が王子支部今回の争議は、光輝ある歴史を持つ王子支部闘争の歴史の上において実に悲惨なる争議であった。闘争は実に月余にわたり十二名の犠牲者を出し、更に十三名の投獄者さえだした。しかしもその内三名は検事局において起訴され、近く公判に附されることになったのである。かくのごとく多くの犠牲者をだした原因は何か。この原因を明確に知って今後の闘争に備えねばならぬ。

 争議失敗根本原因
裏切者の現実同盟の策謀によって全従業員の結束が出来なかったこと、会社の弾圧が組織的計画的であるにもかかわらず、争議団の結束が充分でなかった。官憲の圧迫のため外部の応援が充分できなかったこと。
以上が最も失敗の根本原因でぁった。
然し吾々王電従業員の唯一の城砦である市電自治会王子支部をあくまで死守せねばならぬ。従業員の団結が崩れ足並みが乱れれば、ますます会社はその間隙に乗じて第二、第三の暴圧の魔の手は職場に、電車内に、休憩中に、今や至る処に露骨になっているではないか!!

 王電の兄弟諸君!!
吾等は今回、争議によって尊い試練を受けたのだ。鉄火の洗礼を受けたのである。この尊い実践の経験を今後活用し、再び往年の自治会王子支部たらしめなければならぬ。

 王子全従業員諸君!!
今後における王子支部の確立のため、当面何をなすべきか。それは今回の争議によって出た尊い犠牲者を救済せねぱならぬ。この犠牲者こそ光輝ある自治会王子支部発展の基礎となるのだ!!
犠牲者を真実に救済することによって、第二、第三の闘士が後顧の憂いなく活動し得ることになるのだ。王電争議団はひとまず解決した。しかしながら我々の精神的結合は堅く結ばれているのだ。吾等はあくまで自治会王子支部を死守する事を誓うものである。
 犠牲者を救済せよ!  王子支部を守れ!!!
1928年1月10日
市電自治会王子支部
犠牲者救済委員会

以上


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。