12月25日刊行
虹の身体 チベットのヨーギたちと光の錬金術
永沢哲:著 定価=4,620円(税込)
からだを光に変容させる瞑想に取り組む、19世紀から21世紀に出現したチベットの行者たちの伝記。
チベットに伝えられるゾクチェンの密教の修行者たちは、物質からできた粗大な肉体を、純粋な
光に変える修行に取り組む。死のときあるいは生きている間に、肉体は純粋な光に変容し、消えて
しまう。「虹の身体」は、ゾクチェンの修行の究極の果実だと考えられてきた。
「虹の身体」の背景にあるゾクチェン密教の「光の存在論」とは何か?
さらに現代の物理学──量子論および超弦理論──との対話を試みる。
【本分より】
・家の中には五色の光が満ち、虹が立ち続けた。亡くなって1週間後、小部屋に入ってみると、残されていたのは髪の毛と爪だけだった。
・突如、激しい突風が吹き荒れ、護送の中国兵たちは、地面に伏した。風がおさまり、空を見上げると、ヤクの背にいたはずのヨーギが、高く、上昇していく。兵士たちは発砲した。けれども、その姿は、大空に吸い込まれ、消えてしまった。
◎著者紹介◎1957 年、鹿児島県生まれ。東京大学法学部卒。宗教学(チベット仏教、仏教哲学、身体論)。京都文教大学准教授、上智大学グリーフケア研究所客員准教授を経て、現在アティ・ゾクチェン研究所所長。主な著書に『野生のブッダ』(法蔵館)、『野生の哲学』(筑摩文庫)、『瞑想する脳科学』(講談社)、『チベット仏教の世界』(法蔵館、監修)、訳書に『虹と水晶』、『夢の修行』(法蔵館)、『ゾクチェンの教え』(地湧社)などがある。