~シリーズ七二候~
(晩春 穀雨の日 4月30日)
牡丹咲く晩春 高安ミツ子
今日の風は
春のスイッチを持って走り回っています
牡丹の蕾をなでていくと
声をあげるように大輪の花が咲きだしました
新緑はゆらいで
野良猫が のっそりとふりむき
人恋しいのか
牡丹の色香に酔ったのか
尻尾を垂らしたまま庭を横切って行きました
四月の陽ざしは全てにやさしいと思えるように
鶯の鳴き声が私の心をていねいに耕していきます
数日にして牡丹は
崩れるように短い命を落としてしまうが
花弁は風に舞いあがることもなく
陽ざしを受けて
おおように笑っています
遠い時間に残してきた私のときめきが聞こえるようです
今日の風はあの時の相聞歌を運んできて
私の心はすっかり牡丹色に染められていきます
明日は雨だろうか
風の気配が明日の変化を知らせているようです
★★★★★★★ Mitsuko's Room ★★★★★★★
発行が遅れましたこと心からお詫びいたします。
常日頃から花や樹木に包まれて生活しています。
どんなに、癒されるかわかりません。庭の草花も
2,3日ごとに変化しています。まさしく命の代わり
を見るようです。このような季節の変化を詩に書い
てみたいと思うようになりました。
季節の暦のを分けかたには下記のようなものがあり
ます。
(二十四節気(にじゅうしせっき)は半月毎の季節
の変化を示していますが、一年を七十二に分けて植物、
動物の様子や気象現象の変化を知らせる暦が七十二候
であります。
私は身の回りの風景を七十二候に添って私の季節を詩
として表現したいと思うようになりました。時間はか
かるかもしれませんがお届けしたいと思います。
言葉が自然の変化にどのくらい近づけるのかそんな思
いに駆られています。
わが家の牡丹の花は華麗な装いで散ってしまいましたが、
キンポウゲが鮮やかに咲いています。
( 2016.5.2)