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筍流しの風が吹くころは
雨の気配を含んだ南風が吹くという
風を伴った夜更けの雨は
竹林の筍を育てる音でした
夏の前触れを運ぶ
安堵感のある雨音は
私に懐かしさをさしかけてきます
ふと 筍の淡竹(はちく)が
好物であった義母が思い出されます
ぐんぐん育つ筍のように
ぐんぐん大人にはなれなかったけれど
義母の思い出の一つをすばやく食し
あの時の暦をゆっくり広げてみたいのです
足を止め義母に話したい憂いがあるけれど
筍流しの風に吹かれていると
宛先不明の優しい手紙を
私は書いてみたくなるのです
みやると
町を囲む半円のような低い山々には
常緑樹の葉が生まれ変わっています
その色彩のグラデーションは
何故か生きているうれしさで迫ってきます
月見草が咲き
次にショウマが咲き
何事も閉じ込められないまま時は流れています
竹林は今年の生命を抱えてしなやかに波打っています
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4月の終わりに東北地方の美術館を訪れた。
青森美術館、三内丸山遺跡、棟方志功記念館、岩手美術館
が主なルートであった。青森出身の作家太宰治が津軽の
旅行は5・6月に限る。梅、桃、桜、リンゴが一度に花が
咲くと書いていたが、まさしく東北は花ざかりであった。
水仙をはじめ、桜そして、こぶし、白蓮、梅、しだれ桜が
咲いていた。初めて知った名前だが山中には、匂いこぶし
が咲いていた。東北の春は一斉にやってくることを知らさ
れた。しかし、はるかに見える山、岩手山、八甲田山は雪
が白く頂きに残っていた。自然の風景からも東北の深さを
見る思いであった。
美術館のひとつで見た棟方志功の板画には驚かされ感動し
た。青森のねぶた祭りの影響で独自の世界を創りだした
作品群であった。ねじった和紙を鉢巻のように頭にまいて
青森の歌を歌いながら板画を楽しそうに彫っているビデオ
を記念館で見た時、東北の土や空や人々そして、生活が、
棟方志功の作品のエネルギーになっていると思われた。
やはり青森にあってこそと思える棟方志功の作品群で
あった。
東北は歴史の中でも中央から攻められたり、飢饉に見舞
われたり、また今回の東北地震の被害で多くの方が亡く
なられた。その悲しさを私が安い言葉で語ることはでき
ないが東北人の思いの一つの答えが棟方志功の作品だと
思えた。東北の歴史の重さを考えた時私は言葉を発する
ことはできなかった。車中から見える水仙の花はいたる
ところで東北の力のように咲いて、その鮮やかさは胸に
迫るものがあった。(2017.5.19)