高安ミツ子
窓をたたく風の音に目覚めてしまった
すると瞼の裏の思い出が一人歩きだし
満天を走る流れ星を連れてきた
あれはどこからの帰りだったのか
それともどこかへ行く時であったのか
山と川に挟まれた暗闇の道を
闇の底を見ているような気持ちで
私は父の自転車の荷台に乗っていた
だんだん夜の景色に慣れてくると
私は風にになった思いになってきた
急に 父の自転車が傾いたとき
満天の星空を 金粉をふりまいたような輝きで
勢いよく星が落ちていった
流れ星を見ると
誰かが死ぬと知らされていた私は
無言で父の背中につかまり
そうでないことを黙って祈っていた
悲しみの輪郭を初めて知った時だった
今宵ひらりと時間が止まり
私の夜話は 夜半に咲く花々のようにあふれてくる
せきたてられない このひと時は
もしかしたら 老いていくことへの
流れ星がくれた命のくつろぎだろうか
明日の予報は見えないけれど
流れ星と父の姿は私を迎えてくれる
遠いはずの父と流れ星
深夜に交差する若さと老い
外の風は雨に変わり しめやかに降りだしたようだ
猛暑となり今年は苦しい夏のようです。ひっきりなしに蝉の鳴き声が聞こえてきます。
今朝は朝方の4時頃に蝉時雨が聞こえにぎやかでした。13日の今日はお盆なので先祖をお迎えに
行きます。13日は盆棚を作り日常の品々、果物、や野菜や、飲み物等を棚に飾ります。
先祖の位牌も並べ、お迎えの準備をします。この町では13日の夜は盆団子と称しお団子を
皆で食べます。市内の和菓子屋さんで購入するのが常でしたが、市内の和菓子屋がなくな
ったため、3年ぐらい前から隣町の和菓子屋から購入しています。チエーン店のような新
しい菓子店でも販売しているのですが、やはり丁寧に作った味の違いを感じます。
13日から15日まで盆棚には毎回異なった品を供えます。古くからの風習を亡き義母から
教わったものです。中でも面白い風習に15日の夜のそなえものがあります。
「先祖は天竺に買い物に行くから」とおにぎりを作り、おにぎりに一膳のオガラを突き刺し、
おにぎり弁当のようにして供えます。翌朝の朝はお茶ぐらいで何も供えません。
家人を休ませる知恵なのでしょうか。とても面白く感じます。
ことしはコロナの関係で孫たちが「おじいちゃんおばあちゃんにコロナを知らない間に
うつして、死んでしまったら困るから」
と来なくなり、今年は夫と二人だけで先祖を迎えることになりました。
静かなちょっと寂しいお盆となりました。
皆様も連日の猛暑とコロナの時節柄ご自愛ください。(2020.8.13)